納車されたのがつい先日のように感じますが、愛車の折り畳みミニベロこと『KHSF-20R』に乗り始めてから、今年でちょうど丸三年になります。
私の所有する自転車の中でダントツの稼働率を誇り、近場への買い物から日帰りのロングライドまで、私の足代わりとして本当に大活躍してくれています。
流石にこれだけ乗り続けていると、長所や短所が手に取るようにわかりますし、それに応じたカスタマイズも数えきれないほどしてきました。
最近は定期メンテナンス以外で手を加えることがめっきり少なくなり、すっかり安定期に入った印象ですが、三年間を振り返る意味で、私が感じたF-20Rの長所や短所、今まで施してきたカスタマイズや軽量化について簡単におさらいしてみたいと思います。
三年間ありがとう…『KHS F-20R』の贔屓目な感想
お別れっぽい感じのタイトルで意味深ですが当然まだまだ現役です。
因みに同じKHS製のミニベロでも製品名の頭に『F』が付いた製品はフォールディング、つまり折り畳み自転車となり、『P』の付いた製品はハンドル部分のみを取外せる仕様です。
さて、このF-20Rに三年間乗ってみた率直な感想ですが、折り畳みの簡単さや輪行向きなコンパクトさを求めるなら△、乗りやすさや走行性能の高さを求めるなら◎という評価でしょうか。
実際私は折り畳み機能の大半をキルして使っているので、本来は先述したPシリーズの方が向いているかも知れません。
それくらい折り畳み自転車としての魅力は薄く、走りに重きを置いたミニベロだと感じています。
径の大きな451ホイール、乗り心地の良いクロモリフレーム、上下にしなって振動をいなすソフトテール、慣れると手放せなくなるブルホーンハンドルなど、ミニベロながら走りを楽しめる要素がふんだんに盛り込まれ、気ままなポタリングからロングライドまでこなせる懐の広さは、他のミニベロには見られない特徴かも知れません。
有名処のミニベロには独自規格が採用されている事も多いですが、F-20Rはロード用のパーツがそのまま使えてしまうのも魅力ですね、セカンドマシンとしてロード乗りに好まれるのもわかる気がします。
また、ホイール径の小さいミニベロは路面からの影響を受けやすく、長時間乗ると疲れを感じやすいのですが、不思議なことに私が初めて100km以上走れた自転車はこのF-20Rでした。
確かに初めて乗った時は、ハンドルから伝わる振動の凄さに面喰らいましたが、クロモリフレーム&ソフトテール仕様のお陰なのか、その後はハンドルに振動対策のカスタマイズを施すことで、見違えるように乗り心地が良くなりましたね。
F-20Rを語る上で『折り畳み自転車なのに折り畳みが苦手』という弱点がどうしても付き纏いますが、ここ数年のモデルは細かなアップデートを重ね、ようやく実用レベルになりました。
今のところ買い替えの予定はありませんが、次もきっとF-20Rを選ぶだろうな……
そう確信できるくらい気に入っていて、ダホンやブロンプトンとは別ベクトルで完成されたミニベロだと思っています。
折り畳みミニベロ『KHS F-20R』のカスタマイズポイント
さて、備忘録を兼ねてF-20Rの変遷やカスタマイズ点をを振り返ってみますが、上画像が紆余曲折を経て落ち着いた現在の姿です。
前後にフェンダーが見えますが、常に装備している訳ではなく雪解けで路面がウエットになる春先と梅雨時にしか利用していません。
タイヤ
まずは足まわりからですが、乗り味に大きな影響を及ぼすので真っ先にカスタマイズした方が良い部分ですね。
私は貧乏性ゆえに、300gと激重な標準タイヤで二年近く粘りましたが、昨年交換したSCHWALBE ONE/シュワルベワンが余りにも快適だったので、納車後に直ぐに交換すべきだったと軽く後悔しました。
しっかりと体感できるくらい走りに変化があり、軽い力でもスルスルと進み続けてくれます。
因みに普段使いにはやや不向きなタイヤで、私の場合は2000km未満で前後ローテーションする必要がありました。
また、タイヤ表面に小石が刺さりやすいので、悪化してパンクする前に小石を排除して『Shoe Goo/シューグー』などの靴底補修剤や『セメダイン スーパーX』などの接着剤で穴埋するのが、タイヤを長持ちさせる秘訣です。
最近知ったのですが、2019年くらいからシュワルベワンの一部とデュラノが廃番になっています、20インチ用では451・406共にデュラノが完全に消滅、シュワルベワンは28cが標準になった上に451用はワイヤービードのみのラインナップと、中々厳しい状況になりました。
同じ20インチ用でも軽量なフォールディングビードが選べる406はまだ恵まれている方ですが、本当に『どうしてこうなった?』といいたくなる改悪ですね。
かわりにチューブレス対応タイヤが充実しましたが、評判はイマイチ振るいません。
個人的に大変気に入っていたタイヤだけにショックですが、これでミニベロ最速タイヤはパナレーサーのミニッツライトあたりになるでしょうか?
普段使いするには23cは流石に怖いので、451用なら20×1 1/8(28c) 『F2081BAX-MNL4』が190gと軽量で使い勝手も良さそうです。
ハンドル&バーテープ
前項でも触れましたが、ミニベロは路面の凹凸を拾いやすく、そのままだとハンドル伝いに手が痺れてしまうくらいの負担があります。
対策として、デフォルトのバーテープを剥ぎ取りブルホーンハンドルを丸裸にしてから、下地に¥100ショップやホームセンターで売っている耐震ゲルを敷き詰め、その上からお好みのバーテープを巻き付けます。
私の場合、耐震ゲルの上にプラスチックテープを巻いて下地を作ってからバーテープを巻きましたが、その方がバーテープの巻き直しや交換が楽でした。
使用するバーテープはお好みですが、クッション性の高い製品は握りが太くなり過ぎてブレーキレバーが握りづらくなりがち。
安全に関わる部分なので、バーテープの過度な太巻きには要注意でしょうか。
因みに、私は白いバーテープが短期間で汚れてしまうのが嫌だったので、fabric/ファブリックのシリコンバーテープを選びました。
噂に違わぬ汚れ落ちの良さで二年間使い続けても、真っ白なままです。
余談ですが、ストレートバーハンドルで振動が気になる場合は、ESIの『Chunky Grips』に代表される柔らかなフォーム系グリップがオススメでしょうか。
本来はMTB用ですが癖になる柔らかな握り心地です。
泥除け・フェンダー
必須アイテムではありませんが、季節によっては泥除け・フェンダーがあると便利です。
私は最初に上画像左のワンタッチで取外しできるミニベロ用フェンダーを購入したのですが、F-20R対応を謳っていたにも関わらず、何故かフロント側の取付け位置が合いませんでした。
その後、現在使用している上画像右のGIZA PRODUCTS『GDS008』を購入しましたが、こちらはワンタッチで取外しができないものの、慣れればドライバーを使って10分程度で着脱が可能です。
リア側はシートステーに、フロント側がフォークにバンドで台座を固定する方式で、ブレーキ取付部分に固定するタイプよりも作業が簡単でした。
必要最低限のサイズの割に、しっかりと仕事をしてくれるフェンダーなので気に入っているのですが、残念ながら現在は入手が難しくなっているようですね。
壊れたら中華通販を頼るしか無さそうです。
シートポスト
少し前までは乗り心地を快適にする目的でサスペンションシートポストを使っていましたが、フルサス29erを増車したのを機にミニベロの原点回帰を目指し、軽量化目的で購入した『シマノPRO LTシートポスト』に戻しています。
サスペンションシートポストは振動に弱いミニベロに効果覿面でしたが、折り畳み機能を活かしたい場合は排他利用になってしまったり、サドルバッグが使えなくなってしまうのが欠点でしょうか。
あと、言わずもがな結構重いです。
ミニベロとファットバイクの振動対策として効果的だった"Cane Creek THUDBUSTER/サッドバスター LT"や"SR SUNTOUR/エスアールサンツアー NCX"などのサスペンションシートポストを使用した感想のまとめ、両者の違いや設定方法、比較した結果についても説明しています。
F-20R標準のシートポストはΦ27.2mmで長さ400mm、重量は336g程です。
お手軽に軽量化できる部分なので初期段階から手を付けましたが、400mm長で軽量、おまけに標準品には無い目盛付きというのが代替品の条件。
折り畳み機能を無視するならカーボン製も視野に入りますが、私のお眼鏡に適ったのは、お手頃価格でアルミ合金製の『シマノPRO LTシートポスト』くらいでした。
400mm長にしては265gとそこそこ軽量な上にサドルの角度調整が簡単にできる中々の優れモノで、ストレートタイプと20mmオフセットの二種類がラインナップされています。
カセットスプロケット&チェーン
ドライブトレインの大半はF-20R標準の旧SORA3500系のままですが、将来のフロントシングル化を見越してカセットスプロケットとチェーンを別の物に交換しています。
チェーンは本来の9速用ではなく10速用に、スプロケットはCS-HG400-9の11-25TからCS-HG400-9の11-32Tに交換し、このスプロケットは旧SORA3500系リアディレイラーのSS/ショートケージで使える最大サイズです。
あとは、チェーンリングをナローワイドタイプに交換するだけでフロントシングル化が完了しますが、使わなくなる予定のバーコンの処理方法に悩み、現在は足踏み状態ですね。
因みにチェーンリングはWolf Tooth製を使う予定で、9速の場合は推奨チェーンが10速用と説明されていました。
テンションプーリー&ガイドプーリー
あまり目立たない部分ですが、リアディレイラーのテンションプーリーとガイドプーリーをベアリング入りの社外製に交換しています。
ロード系コンポの場合、ULTEGRA以下は安価なブッシュ式ベアリングのプーリーが採用されているので、走行中の異音が気になる場合は早々にプーリーを交換した方が良いですね。
私の場合、結構マメに掃除をしていたにも関わらず80km程度でプーリーから異音が発生することが多くなり、思い切って交換しました。
ブッシュ式ベアリングのプーリーは取外して分解掃除してあげないと、侵入した砂やゴミでジャリジャリとした異音が出やすいのが難点。
シマノは非対応としていますがプーリーだけデュラエース化している方も多いです。
余談ですが、ベアリング入りのプーリーに交換してもハンドスピナーのようには回転してくれません。
当然ペダリングも体感できるほど軽くはならないので、どちらかといはドレスアップパーツに近い位置付けでしょうか。
ペダル
F-20Rに乗り始めた当初は折り畳みや輪行をメインとした『ミニベロ=軽量』という先入観に囚われていたため、少しでも軽量なペダルやワンタッチで取り外し可能なペダルを探すことに執着していましたが、折り畳み機能をキルしてからはシンプルに自分好みのペダルを選ぶようになりました。
現在使っているのがMKSの『ALLWAYS/オールウェイズ』で、ペアで384gとミニベロ用にはやや重いものの、コスパや回転性能の高さに定評があり、軽く手で弾いただけでもクルクルと回り続けてくれる通好みなペダルです。
折り畳み自転車やミニベロのペダルはどうしてもサイズが小さくなりがちですが、私は足底筋膜炎を患ったのを切欠に、踏みやすい座面の広さと回転の良し悪しがペダル選びの基準になりました。
輪行でもしない限り、今後はもうペダルを交換しないだろうと思えるくらいALLWAYSが足に馴染んでいます。
ボトルケージ
F-20Rにはフレーム中央とハンドルコラムの二箇所にボトルケージのマウントが備わっているため、例えサドルバッグが使えなくても、この部分を活用することで小物の収納に融通が利きます。
ですが、フレーム中央が水平に近い形状になっているせいか、ボトルケージに差し込んだボトルやツールケースが路面からの突き上げで脱落してしまうことが多く、一般的なボトルケージとは相性が悪いですね。
抜き差しのスムーズさは犠牲になってしまいますが、サイズ調整が可能なTOPEAK『モジュラーケージ2』でガッチリ固定すると欠点が解消できます。
何気に市販のペットボトル飲料をそのままマウントできるのも魅力でしょうか。
サドルバッグ&フロントバッグ
現在は『サドルバッグ+フロントバッグ』または『ボトルケージ+フロントバッグ』のどちらかに落ち着いていますが、サドルバッグが使えないサスペンションシートポストを使っていた経験から、過去に色々と試行錯誤をしました。
一般的な使い方なら、サドルバッグのみ、フロントバッグのみ、ボトルケージにツールケースのみのどれかで、携帯品の収納に過不足ありませんが、私の場合ちょっとした買い物にもミニベロを多用しているので、少しだけ収納力に余裕を持たせている感じでしょうか。
現在はファットバイク用に使っていますが、思いのほか使い勝手が良かったのが、ステムとハンドルの間に取付ける『ステムバッグ』です。
小物やドリンクの出し入れが手元でスムーズに行え、汗をハンドタオルで頻繁に拭いたり、小まめな水分補給が必要な夏場は本当に重宝しました。
ミニベロに使うなら『ボトルケージにツールケース+ステムバッグ』くらいが一番使い勝手の良い組み合わせかも知れませんね。
スマホやデジカメも放り込めるので、街乗りやポタリング中は特にそう感じます。
クイックリリースレバー
少し地味な部分になりますが、リア・フロントのクイックリリースレバーをスキュワーに変更しています。
このカスタマイズの影響でF-20Rの折り畳みに必須なマグネットパーツを取付けられなくなりましたが、あえてレバーの無いスキュワーに交換したのは軽量化のためではなく防犯のためですね。
ミニベロや折り畳み自転車は、コンパクト故にそのまま施錠しただけでは危険。
ワゴン車どころかミニバンでも車内に放り込まれたら、ほんの一瞬で持ち去られかねません。
このような事情からミニベロの施錠は地球ロックが基本ですが、前後のホイールを防犯用スキュワーに変更して施錠箇所を減らしてあげると、頻繁な施錠でも苦になりません。
長いワイヤーロックをその都度車体に這わせる必要が無くなり、鍵を短く軽量な物に交換できるのが何よりの利点です。
キックスタンド&センタースタンド
F-20Rには駐輪時に使うキックスタンドと、折り畳み時にチェーンリングをガードしつつ車体を自立させるセンタースタンドの二つが装備されています。
実はこのキックスタンドが難アリで、若干長さが足りないが故に駐輪時に車体が勝手に倒れてしまうことが良くあります。
私も何度か経験していますが、不本意ながら未だにこのスタンドを使い続けていますね。
前述の通り、私は折り畳み機能をキルしているのでスチール製でやたらと重いセンタースタンドはとっくに取外しているのですが、実はこの空き地部分を活用すると不安定なキックスタンド問題を簡単に解決できます。
空いているセンタースタンドのマウント部分にKHS純正のPOWER TOOLS/パワーツールズ製センタースタンド(画像右)か、社外製のダブルレッグセンタースタンド(画像左)を取付ければ、安定して駐輪が可能です。
重量が増す欠点はあるものの、GIZA製の『アジャスタブル ダブルレッグセンタースタンド』が特におすすめで、駐輪時に安定するだけでなく、折り畳み時にもチェーンリングを保護して自立する機能も果たし、キックスタンドとセンタースタンドの両方を兼ねてくれます。
私の場合は軽量なPOWER TOOLS/パワーツールズ製で十分ですが、一挙両得のGIZA製には少なからず惹かれるものがありますね。
まとめ
三年間に渡るカスタマイズ部分をあたらめて振り返ってみると、実用性や使い勝手を重視したアクセサリー系やドレスアップパーツ系のカスタマイズが目立ちます。
ミニベロのカスタマイズで劇的な変化を望むなら、タイヤまわりと振動対策を優先するのが近道でしょうか。
冒頭でも触れたように、次に購入するならまた同じF-20Rを選ぶだろう……
そう確信するくらいお気に入りのミニベロですが、今後はフロントシングル化の仕上げとキックスタンドの交換を予定しています。
少し前に軽量ホイールへの交換も考えましたが、今は自転車三台所有の大所帯なので、もう少し先の話になるかも知れません。
叶うなら評判の良い20インチ451ホイール『AMAINT A2』を試してみたいですね。