私はミニベロとファットバイクの二台持ちと言う事もあり、それこそ年がら年中自転車に乗っています。
春や秋は当然の如く快適、冬も寒さで鼻水が止まらなくなる事を除けば、オーバーヒートせずにロングライドを楽しめ自転車におあつらえ向きの季節です。
さて、問題なのが夏ですね。
容赦なく体力を奪う暑さや強い日差しには何とか耐えられるものの、ライド中に襲い掛かってくる大量の『虫』には本当に辟易させられます。
ライド中は常に扇風機の弱レベルの風を浴びているとは言え、夏場は顔にしっとりと汗をかきます、これに日焼け止めがプラスされると顔面は常にベタつきのあるウエットな状態になり、不本意ながら顔面にムシムシキャッチャーが完成します。
今年も梅雨時から虫の洗礼が始まり、夕暮れ時のサイクリングロードにはユスリカやその他諸々の虫が大量発生しました、理由は定かではありませんが今年は例年と比べてやたらと数が多く、とても快適に走れる状態ではありません。
ユスリカは河川などの水辺に大量発生し、数が多いだけで人の血は吸わない種類の虫ですが、どうやら昨年から続いている河岸工事が何らかの影響を及ぼしている様です。
目視でハッキリとわかるレベルの蚊柱が河川敷に幾つも林立する様は圧巻でしたが、自転車乗りとしては不快極まりない状況でしょうか。
顔面にパチパチと虫がヒットするのはもちろん、耳元には不快な羽音が纏わりつきます、おまけに息が上がっても口呼吸が出来ませんし鼻呼吸も危ういレベルです、とどめは目つぶし攻撃でアイウェアをしていても回り込んで目に飛び込んでくる始末です。
数が圧倒的に多いとは言え毎年の事ですから、一週間もすれば勝手に収まるだろうと楽観していたのですが、今年は夕方だけでなく日中も虫の多い状況が長く続き、未だに収拾する気配が見えません。
ライド後は顔面ムシムシキャッチャーに捕獲された虫がホクロみたいになっていますし、それに気付かず帰り際にショッピングに勤しんでしまう事もしばしばなので、今回は実用性を重視した自転車向けの虫除け&防虫対策について話題にしてみます。
余談ですが、春から夏にかけて大量発生するユスリカに対して秋から冬直前に大量発生するのがアブラムシ一種、通称『雪虫』です。
こちらの雪虫は冬の到来を告げる風物詩としても知られ、風の弱い晴れや曇りの天候時に大量に湧き、夕方に特に多くなります。オスには口が無くメスも産卵後に力尽きるため一週間ほどの寿命となりますが、厄介なことに人によってはアレルギー反応を起こすことがあり、皮膚に付着したものを潰したり、鼻や口から吸い込んでしまわないように注意しましょう。
ユスリカも雪虫もライド中に遭遇すると煩わしいことこの上ありませんが、私の経験上ユスリカは民家の少ない河川敷近くに発生しやすく、雪虫は街路樹や生垣などがある道路沿いや住宅地近くで発生しやすいですね。
『今日は虫が多いから、街中でも走るか!』と避けたつもりが、逆に雪虫のトラップにハマる…なんてことがよくあります。
見た目はどれもアレだけど…自転車乗りの虫除け・防虫対策
さて、残念ながら自転車の虫除け&防虫対策は物理防御が最強です、故にどの方法も見た目が大変アレな感じに仕上がり、得られる効果は怪しい見た目とトレードオフです。
まずは、このNAROO MASK/ナル―マスクです。
スポーツ専用マスクで排気ガスや花粉症対策としても使われていますが、もちろん物理的に虫も防いでくれるニンジャっぽい見た目の製品です。
バリエーションは花粉症対策用、紫外線対策用、防寒対策用の三種類で、私の住む片田舎でも使っているロードバイク乗りの方をチラホラ見掛けますね。
虫対策として夏場に使うなら通気性が良く汗にも強い『NAROO MASK F5』『NAROO MASK N1』『NAROO MASK X1』のどれかから選ぶ事になります、因みに商品名の末尾に『s』が付いているのが首まで覆わないショートタイプで、日焼け対策を考えないならこちらの方が快適そうです。
ショートタイプで接触冷感素材が使われた『MAROO MASK N1s』あたりが良さそうに思えますが、正面のメッシュ穴がやや大きめで虫対策には少し不安が残ります、選ぶなら汎用性が高くオールシーズン使える『NAROO MASK F5s』か薄手で夏用の『NAROO MASK X1s』あたりが鉄板ですね。
因みに、このニンジャっぽい見た目が嫌だ!という方には、カジュアル風の『F.U+』がオススメでしょうか、私も使っていますがベージュカラーは不審者っぽさが、かなり軽減されます。
続いては、女性用から人気に火が着いたヤケーヌ/YAKeNUです。
元々はUVカット用のマスクでしたが、現在はバリエーションが増え夏場に快適なクールタイプや速乾性やフィット感に優れるスポーツ用などがラインナップされていますね。
ヤケーヌ最大の特徴は呼吸のしやすさで、マスク特有の息苦しさが殆どありません、私は冬場のファットバイクに使う目的で防寒用のヤケーヌを持っていますが、呼吸が下に抜けて楽な上にメガネが曇らず大変重宝しています。
アゴ部分にスリットがあるので虫が侵入してしまうのでは?と少し心配になりますが、正面の物理防御力は相当な物です。
ヤケーヌは元々がUVカット用だけに、耳まで覆えるタイプと従来のマスクの様に使えるタイプの二種類があります、夏に使うなら耳ナシタイプの方が快適ですが、耳元まで防御したいなら耳アリも良いでしょう。
自転車用に使うなら画像左のフィットタイプか画像右の爽クールタイプがオススメですが、こちらはナル―マスクとは異なり、どの製品も首まわりが覆われたままなので虫除け対策と同時に紫外線対策もしたい方向けの製品でしょうか。
因みに、パールイズミ製には『MSK-03 ベンチレーション マスク』という、ヤケーヌと似たような仕組みを備えつつも、より自転車向きに洗練されたマスクが存在するので『ヤケーヌは見た目がちょっと…』という方はこちらを選びましょう。
最後を飾るのが、SEA TO SUMMIT/シートゥサミットのモスキートヘッドネットです。
見た目はアレですが、抜群の通気性と全方位の物理防御を兼ね備え、虫を全く寄せ付けません。
シートゥサミットのヘッドネット三種類のうち、もっともコンパクトなのが上画像のナノモスキートヘッドネットで、掌サイズな上に重量が11gと自転車用として打って付けな製品です。
養蜂家の方ですか?と尋ねられそうな見た目なので常用には向きませんが、ヘルメットの上からでも難なく着用出来ますし、携帯に向いたコンパクトさはここぞと言うときに役立ってくれます。
ツールケースなどに忍ばせておいて、このルートは虫が多くてウザいな…と感じた時だけ使う方法がベストでしょうか?使い方次第ではMTBのトレイル用としても役立ちそうな気もしますね。
虫除け・防虫スプレーを併用して効果を高める
おまけ的な内容ですが、市販の虫除けスプレーを併用するのもオススメです。
効果を重視するならディートを30%以上配合したタイプが心強いですが、濃度の高いディートは人体に有害ですし、プラスチックを変色させる恐れがあるのでスポーツウェアに多く見られる化繊の衣類には正直あまり使いたくありません。
幸い、最近は効果が高く人体にも無害なイカリジンを主成分とした虫除けスプレーが登場し、衣類の上からでも問題なく使える仕様になっています。
ウェアに謎の虫を貼り付けたまま、長々と走り続けていたなんて事は良くありますし、個人的にやけど虫や蜂に貼り付かれるのは御免被りたいですから、強力タイプを服の上からスプレーできるのは本当に有難いですね。
因みに、先ほど紹介したヤケーヌに吹き付ければスリットからの虫の侵入を軽減できると思います。
虫除け・防虫効果のある衣類を着用する
ライドの度にいちいち虫除けスプレーをするのが面倒…という方には、防虫効果のあるスコーロン生地を使った衣類がオススメです。
アウトドアメーカーが積極的にリリースしていて、フォックスファイヤー・コロンビア・カリマーあたりの製品が狙い目でしょうか。
私もトップスからボトムスまでバリエーションが豊富なFoxfire/フォックスファイヤー製の長袖Tシャツを購入した事がありますが、元々アウトドア用の衣類だけに汗に強く自転車との相性も良いですね。
当然の事ながら顔には効果がありませんし、ハチやアブなどの大型の虫にも劇的な効果は望めませんが、虫が体に長時間どどまるのを防ぐ効果があります。
走行中は体の正面部分に虫が付着しやすく、風圧でそのまま居座ってしまうことも多いのですが、小まめに虫を払う手間を省けるだけでも有難いですね。
サイクルウエアではありませんから、絶対にサイクルジャージじゃないとダメ!という方には向きませんが、カジュアル寄りのスタイルでライドしている方には、全身スコーロンというのも悪くない選択肢でしょうか。
まとめ
今回紹介した製品は大半がアイウェアとの併用が前提となっていますが、私の用途に一番向いているのはSEA TO SUMMITのナノモスキートヘッドネットでしょうか。
ロード乗りならナルーマスク、女性向けや紫外線対策にはヤケーヌ、通勤通学用で緊急時に使うなら私と同じヘッドネットが向いているかも知れせんね。
使い慣れないうちは若干の気恥ずかしさが伴いますが、虫の大量発生は予測しづらい場合が多いので、田舎住まいの自転車乗りやサイクリングロードを頻繁に走る方なら、備えておいて損はないと思います。
因みに、虫の大量発生は辺りが暗くなる夕方から夜間にかけてが最も多いので、見た目が不審になるモスキートネットでも人目を気にせず使えたりします。
薄暗がりですし、自転車ですれ違うなんてほんの一瞬ですからね。