前回の記事では、過去に失敗したカーボンハンドルの切断にリトライしました。
工具類に拘ったおかげであっさりとリベンジを果たし、めでたしめでたし、お疲れ様でした……
そういった流れで終了したのですが、当然のことながら私がわざわざ¥10000もするカーボンハンドルを購入したのには理由があります。
端的に言えば、所有するフルサス29erプラスこと『トレック フルスタッシュ8』の乗車姿勢を改善するのが目的で、この車体はハンドル高がやや低く設定されているため前傾気味の体勢を強いられます。
私はお尻の痛みに悩まされることが多いので、上半身に加重が分散されるこのジオメトリに少なからず恩恵があり、クッション性の乏しい軽量サドルでも40km程度なら平気でいられたのですが、その代償として今度は手のひら・腕・肩などの負担が気になり始めました。
あと少しだけ上半身の加重を減らせば、ちょうど良いバランスになるのでは?
そんなふうに考え、ハンドル高の見直しを決めたのですが、【1】コラムスペーサーで調整【2】角度付きステムに交換【3】ライズの高いハンドルに交換のうち、フルスタッシュ8に使えそうな方法は【3】くらいしかありません。
当たり前の話ですが、フォークごと交換でもしない限りステアリングコラムは今より長くできませんし、短いのが当たり前なオフ車のステムでは角度を付けても期待薄。
おまけにトレックの『Knock Block/ノックブロック』機能が邪魔をして、対応するステムしか使えないという悪条件です。
結局、現在使用しているアルミ製のライザーバーをハイライズ仕様のカーボン製ライザーバーに交換する。
この一番簡単な方法で手を打つことにしましたが、正直なところ過去にファットバイクで使っていたライザーバーではあまり効果を実感できなかったので、博打的な要素が強いですね。
さて、記事のタイトルでもろバレですが交換した結果は如何に!
ちょっとだけ説明、トレックの『Knock Block/ノックブロック』機能
本題の前にトレックの『Knock Block/ノックブロック』について愚痴らせて、説明させて下さい、興味の無い方は読み飛ばしてもOKです。
上画像を見るとわかりますが、件のノックブロック機能はヘッドパーツの一部に組み込まれていて、内部にある爪でハンドルを一定角度以上に切れないようにステアリングが制限される仕組みになっています。
不慮の転倒でもフォークの肩の部分がダウンチューブに接触せず、フレームを保護してくれるありがたい機能なのですが…車体を降りた状態で取り回しすると小回りが効かずイライラすることも多いですね。
ボトムチューブの接触部分にはしっかりとしたプロテクターが設けられているため、無効化しても特に問題は無さそうですが、上画像のボルト付きのスモールパーツを取外したり、可動域を制限しているスモールパーツの爪部分をヤスリなどで削り落とすと、制限のない可動域が実現できます。
とはいえ、スモールパーツを取外し後は跡地が見苦しくなったり、パーツに不可逆的な加工をしなければならなかったりと、正直どちらも試したくない方法ですね。
やるなら対象箇所のリペアパーツである『Trek Bearing Cover and Frame Chip for Knock Block Headset Systems』を揃えてからの方が良さそうです。
余談ですが、『Trek Knock Block Lockring Spacer 1 1/8”』という別売りパーツを最上部のコラムスペーサーと置き換えることで、Knock Block非対応の他社製ステムでもこの機能が使えるようになるとのこと。
自分好みのステムが選べる有難い措置なのですが、国内・海外を問わずこの別売りパーツ自体の入手難易度が高いのが厄介な点ですね。
ひょっとしたらトレック製バイクを取扱っている最寄りのサイクルショップに相談するのが一番の近道かも知れません。
サイドシルエットを見るとわかりますが、この機能を有したトレック製MTBはトップチューブ・ダウンチューブ・ヘッドチューブの接合部がロードバイクやクロスバイクに似た鋭角的な構造になっています。
オフ車のKONA HONZOなんかと比較するとわかりやすいですが、普通この部分はサスペンションフォークとの接触を避けるために前側に間延びした形状になり、ダウンチューブもぐにゃりと湾曲しています。
ダウンチューブをストレート形状にすることでフレーム強度が増す利点があるそうですが、やはりノックブロック機能による車体の取り回しづらさには少しばかりストレスを感じてしまいます、あくまでも降車時の話ですけどね。
余談ですが、不注意で車体を倒してしまっても、動きが制限されたハンドルの先端が真っ先に地面に接触するのでフレームやフォークにダメージが及びづらいです。
私も二度ほど助けられましたが『なるほどね……』と思わぬ副次効果に感心させられました。
以上、愚痴…じゃなくて説明終了です。
Nukeproof Horizon V2 カーボンライザーバーを購入
前回の記事でも触れているので説明は簡単に済ませますが、今回購入したのはNukeproof/ヌークプルーフ Horizon V2 カーボンライザーバーです。
今まで使っていたフルスタッシュ8標準装備のボントレガー製ライザーバーは、ライズが15mmとフラットバーに近い仕様で、ハンドル長は750mmで重量が294gとアルミ製としては軽量は方でしょうか。
今回は乗車ポジションを改善するのが一番の目的なのでライズの高い38mmを選びましたが、40mm前後のライズでバックスィープが9度の製品が思いのほか少なく、Nukeproof製がほぼ唯一の選択肢でした。
手や腕の負担に大きく関係する部分なので、ハイライズ仕様とバックスイープ角の深さは個人的に譲れない部分です。
仕様はハンドル長780mm、重量250g、アップスィープ5度、バックスィープ9度となり、カーボン製としてはやや重めの作り。目的が軽量化ではありませんから、ハンドル交換で50g減らせるだけでも御の字としましょう。
因みに、ハンドルをステムに固定するバークランプ径は35mmで、これは車種によってまちまち。
大抵は25.4mm、26.0mm、31.8mm、35.0mmのどれかですが、この値を間違えるとハンドルだけでなくステムまで買い替える羽目になるので、購入の際は注意したいところ。
こうかは ばつぐんだ!ライズ38mmカーボンライザーバーハンドルの感想
マット塗装のフレームに光沢仕様のライザーバーにするとハンドル部分だけが浮いてしまうのでは……と少し懸念があったのですが、実際に車体に組み付けるとそれほど違和感は無く杞憂に終わりました。
カット後のハンドル長は700mmと現在のオフ車基準では短めの設定ですが、華奢な私にはこれくらいが最もしっくりきます。
750mm以上で前傾気味だと脇が開きすぎるせいか、ロングライドで疲労が出やすくなりますから。
また、グリップは自重による手のひらへの圧が分散するようにエルゴグリップにしていますが、ぶちゃけエルゴグリップよりも手触りモチモチなフォームグリップの方が負担軽減には効果が高いです。
ESI Gripsの『Extra Chunky』やWOLFTOOTHの『Fat Paw Grips』あたりが鉄板で、一度使うと元のグリップに戻れなくなるほど。
高めの38mmライズでも厳つ過ぎずほどほどの見た目ですね。
過去にファットバイクで使っていたライザーバーはハンドルの先端が手のひらを圧迫して好きになれませんでしたが、今回は取付け角度が適切なこともあり、そのままハンドル位置だけが20mmくらい高くなった感覚でしょうか。
よく見ると、グリップの根元部分にツノように生えている物体がありますが、これは以前記事にした『TOGS/トグス』です。
簡易バーセンターバーとも呼べる装備ですが、こちらも手や腕の負担軽減に役立ってくれて、お気に入りの一品。
結局、いつもより少し短い30kmほどとはいえ、試走中は手・腕・肩にまったく負担を感じることはなく、ワイドプッシュアップみたいだった乗車姿勢もほど良く解消されていました。
バックスィープ9度&ハンドル長700mmの相乗効果で脇の開きも気にならず、この快適さならフルサス車でのロングライドも問題なくこなせそうです。
因みに、私は疲労時にドロッパーポストを意図的に下げてお尻と上半身を休ませているのですが、上半身が一番楽な位置まで下げてしまうとペダリングで膝に負担が掛かりやすいという難点ありました。
幸いハンドルが20mm高くなったことで、この際のシート高が適切な範囲に収まるようになり、これで膝に負担を掛けずにお尻と上半身を安心して養生できます。
サドルベタ下げ以外なら、どの位置でも快適にペダリングできるようになり、ドロッパーポストとの相乗効果が快適さに拍車を掛けてくれそう。
さて、鋭い方なら既に違和感にお気づきかと思いますが、今回の試走でフルサス29erにグラベルタイヤを履かせています。
後で記事する予定ですが、チューブレス+セミスリックの威力は絶大で、驚くほど良く転がってくれます。
乗り心地の良さと走りの軽快さが両立され、前後にサスを付けたクロスバイクといった走行感でした。
しかし、ファットバイクをスリックタイヤにした時も思いましたが、ノブ無しタイヤはとにかく砂埃や泥汚れが付きやすいですね……
卸し立てなせいもありますけど、途中の15km時点でもこの有様。
田舎住まいだと余裕でバレてしまいます。
まとめ
ひとまず、カーボンライザーバーへの交換は大成功。
フルサス29erの乗り心地がハッキリとわかるくらい改善できました。
フラットバーはMTBだけでなくクロスバイクやミニベロでも手・腕・肩に痛みが出やすいと聞くので、お悩みの方はライザーバーへの交換をご一考あれ。
余談ですが、少しでも楽に乗りたいならハンドルのライズだけでなくハンドルのバックスィープ角に拘ってみましょう。
手首の角度が自然なカタチになるので、上手くマッチすればママチャリ並みの快適さも夢じゃありません。
SALSA『BEND DELUXE』や『RITCHEY「WCS TRAIL 10D RIZER』なんかがオススメですね。
また、独特な形状が気にならないならRITCHEY『COMP KYOTE』などのカモメハンドルやADEPT『OVERHANG BAR/オーバーハングバー』などのHバーも快適化の強い味方になってくれるかも知れません。