少し前にファットバイクのグリップをKCNC製の軽量グリップ『EVA LOCK-ON GRIP』に交換しました。
100g強の軽量化とグリップの握りづらさの解消。
これら二つは達成できたものの、その代償として手のひらや腕への負担が再燃することに。
ファットバイクに限らず、クロスバイクやMTBといったフラットバーハンドルの自転車は手のひらを含む腕まわりに痛みや疲労を感じがち。
軽量化目的でのグリップ交換は失敗だったかも……
そんなふうに思っていた最中、フラットバーハンドルで腕まわりの負担を軽減できる『TOGS/トグス』というお役立ちパーツの存在を知ります。
気になって調べてみると、利用者の評判も良く絶賛されている方も少なくありません。
これは是非とも使ってみたい!と好奇心が抑えきれなくなったので、試しにTOGS/トグスを購入してみる事にしました。
フラットハンドルを快適にするお役立ちパーツ『TOGS/トグス』とは?
『TOGS/トグス』 マルチハンドルポジションは、アメリカのソルトレイクにある小さな家族経営の会社がリリースしている製品とのこと。
フラットバーハンドルに取り付けるとグリップ根元の左右に3cm程の角が生えたような外観になり、TOGSのロゴマークに『牛』が採用されているのにも納得ですね。
現在は初代に改良を加えた第二世代の製品が販売されていて、カラーバリエーションも10種類以上と豊富。
初代とは違い、リング部分がグリップを外さなくても取付け可能な柔軟性のある素材に変更され、角の部分は滑りづらいラバー素材になっています。
一応、カーボン製の上位グレードも存在しますが、元々軽量なので選ぶメリットは少ないかも知れません。
上画像はTOGSを使用した際のハンドルポジションの一例。
親指と人差し指の股部分でもグリップを固定できるので、リラックスしつつも安定した握りが実現できます。
この角があるだけで不意に襲う路面のバンクや急なブレーキングにも対応でき、ハンドルから手が滑り落ちてしまうこともありません。
画像ではグリップがしっかりと握り込まれていますが、脱力して手のひらをグリップの上に置くような使い方をしても安全に走行ができます。
ファットバイクに『TOGS/トグス』を取付け
腕まわりの負担軽減を狙い、早速TOGSを購入。
カラーはファットバイクのアクセントカラーに合わせたオレンジにしてみました。
価格は送料込みで3000円ほど、正直あと1000円安くても……そう感じるくらいにはシンプル。
とはいえ、この手のお役立ちパーツは価格の大半がアイディア料みたいな物なので、文句を言うのはお門違いかも知れませんね。
作りがシンプルなだけに中華製のコピー品もいくつか出回っていますが、本家の家族経営に敬意を表してオリジナルの購入がマストです。
重量はペアで16gと軽量。
上位のカーボン版は18gなのでこちらの方が僅かに軽量な作りですね。
前述の通り、角部分だけラバー製のセパレート構造で取付け径はフラットバーハンドルのにぎり径と同じΦ22.2mmです。
本体には小さくL・Rとプリントされ、締め付けトルクは1Nmと表示されていました。
第二世代のTOGSはグリップを外さなくても取付け可能なので、ちょうどスペースが空いている部分に差し込んでみます。
TOGS本体のボルトを外しリングを広げながら取付けますが、プラスチック感あふれる見た目とは裏腹に指先で広げながらハンドルバーに差し込むのに結構な力が必要。
割れ目の部分を広げてハンドルに押し当てつつ、上から力尽くで差し込む感じになります。
無事にハンドル径にフィットしますが、仕上げのボルト締めで少し苦戦。
ほぼ力技で取付けるせいか、変形後のリングが復元しきれずに固定ボルトが空回りします。
結局、手でギュッと締め付けつつボルトを固定しましたが、素直にグリップを外して作業した方が簡単だったかも。
実は苦戦してTOGSを取付けしたものの、KNCN製グリップのクランプ部分がわずかに干渉してしまい、フィット感はイマイチ。
この時点では解決策を思い付かなかったので、予備用のPDW(ポートランド・デザイン・ワークス)製グリップが急遽採用に。
ご覧の通り派手過ぎるグリップなので、ずっと使わず仕舞いだった代物です。
さて、取付けは無事に完了しましたが、実際に試乗して自分好みの角度に調整する必要があります。
殆どの場合、角は真上ではなく少し手前(前方方向)に倒れる向きで固定されますが、私の場合はブレーキレバーとほぼ同じ角度が一番しっくりきました。
因みに、TOGSの締め付けトルクは1Nmですが、最初のうちは走行中に何度も角度を微調整するので、手でギリギリ動かせる程度にするとセッティングが捗ります。
効果は如何に?『TOGS/トグス』で試走してみた感想
取付けから数日後、ようやくTOGSの使用感をチェック。
TOGS以外にもハンドルがフラットかつカーボン化されていたり、VブレーキレバーもDeoreXTの3フィンガーになっていたりと結構変わっています。
グリップのクランプ部分が干渉して使えなかったKCNC製EVAグリップが何とか復活。
固定用のクランプをバーエンド側にすることでTOGSとの干渉問題を解決できました。
さて、25kmほどの定番コースを試走してみましたが、コレは本当に便利だなぁ~♪という感想に尽きます。
【1】TOGSに親指を掛けない通常の握り
【2】グリップを握ってTOGSに親指を掛ける
【3】グリップを握らずにTOGSに親指を掛ける
走行中は上記の3パターンのポジションが取れますが、【3】がとにかく快適。
手のひらをグリップに軽く置いているだのリラックス状態ですが、TOGSにしっかりと親指が引っ掛かっているおかげで、危なげない走行が出来ます。
最初のうちはTOGSの感触を確かめながらポジションを小まめに変えていましたが、気が付けば【3】のポジションオンリーになっていました。
実際に使用してみても不満らしい不満は感じませんでしたが、取付け位置は再考の余地がありそう。
親指をTOGSに深めに引っ掛けると、親指の第一関節がブレーキレバーのクランプ部分に干渉するので、TOGSとブレーキレバーの間は1~1.5cmくらいのクリアランスが必要かも知れません。
最後になりますが、TOGSは角が地面と干渉するためメンテナンスなどで車体を逆さまにする際は要注意です。
ライザーバーなら先にハンドルの先端が地面に触れるのでギリギリ干渉を免れることもありますが、ライズの無いフラットバーだとほぼ確実に地面と干渉することに。
地面がアスファルトやコンクリートだとゴム部分が傷みやすいため、パンク修理などで車体を逆さまにする習慣がある方は、TOGSの角度を手で動かせる程度に本締めするのがオススメでしょうか。
まとめ
TOGSはバーエンドバーのように見た目が大きく変わってしまうことも無く、クロスバイクよりもハンドル幅が広いMTBやファットバイクなどのオフ車とは、特に相性が良いですね。
フラットバーハンドルによる手のひらの痛みを解消したい方や、腕や肩に掛る負担や疲労を軽減したい方は、是非お試しあれ。
現在はフラットハンドル用以外にもドロップハンドル用のTOGSもリリースされているそうで、グラベルロードあたりで重宝されるかも。