ファットバイクを購入した後に、これがあると本当に便利だなぁ~としみじみ感じたのが、ファットバイク対応のメンテナンススタンドやディスプレイスタンドでしょうか。
一応、私のファットバイクにはキックスタンドを装備させていますが、激重なファットバイクを支え続けるにはディスプレイスタンドの方が適任ですし、整備時には専用のメンテナンススタンドを頼った方が遥かに融通が利きます。
とはいえ、これらのスタンドはファットバイクに対応していない場合も多く、売れ筋の製品では役に立たないことも珍しくありません。
ファットバイクの重さに耐えられるか否か?
ファットバイクの極太タイヤに対応するか否か?
こういった点が製品を選ぶ上でのポイントになり、ファットバイク専用を謳う物ほどその適性が高くなります。
ファットバイク対応のメンテナンススタンド

最初に紹介するのは、AKI WORLDの『SD-YI-011』というメンテナンススタンド。
フロントエンドやリアエンド部分を挟み込んで使用するタイプのスタンドで、エンド幅は180~210mmまで対応します。
ファットバイク専用を謳い、これ一つでメンテナンススタンドとしてもディスプレイスタンドとしても使える優れモノですが、既に生産は終了していて現在は入手困難。
私も過去に使っていた経験があり、リアタイヤを浮かせられることからメンテナンス時には特に重宝していました。
ロードバイク用でよく見掛けるタイプの製品ですが、エンド部分を挟み込む手順に慣れが必要で、ロングライドで疲れ切って帰宅した際などは、少しばかり面倒臭さを感じることも。
また、エンド部分で固定するという性質上、スルーアクスルのアクスル軸がレバータイプじゃないと固定できない制限もあり、車種によっては相性問題が生じます。

お次は手軽に使えるのが売りのミノウラ製メンテナンススタンド。
殆どの車種に対応した汎用スタンドなのでファットバイク以外にも使用でき、複数台持ちには利点の多い製品ですね。
シートステーとチェーンステー部分をラバー保護されたフック部分に引っ掛けて使用し、車体のリアタイヤを浮かせた状態にできます。
私は上画像左の『DS-520』を使用していますが、ミノウラのDSシリーズにはあまり価格差がないため、上画像右の上位モデルを選ぶのがおすすめ。
エントリーモデルのDS-520はフックの位置を無段階で調整できず、車体の位置をスタンドに合わせる必要がありましたが、『DS-550-CS』などの上位モデルはその欠点がしっかりと解消されています。
フック位置は無段階に調整でき、下側フックは『のせるだけ』タイプに変更。
使い勝手が格段に向上していて、車体へのフィッティングがよりスムーズになりました。
欠点はロードバイク主体に設計されているせいか、やや耐久力不足に感じることでしょうか。
メンテナススタンドとしては過不足ないものの、ディスプレイスタンドとして長時間使用するには若干の不安が伴います。

お次もミノウラ製ですが、個人的に一押しなのがスピンドル差し込み式のスタンドです。
BBやクランクの規格によっては使用できないケースがあるものの、スタンドの先端を中空タイプのクランクスピンドル(軸)に差し込むだけという手軽さが一番の魅力。
上画像の『スピンドルスタンドSPN-20』はスタンドを差し込んだ状態でもクランクを回すことができ、高さも3段階に調節できます。
前述したDSシリーズよりも安定感があり、車重の嵩むフルサスマウンテンバイクやファットバイクには打って付けなスタンドでしょうか。
このSPN-20はファットバイクを取り扱っているショップでディスプレイ用として使われいるのをよく見掛けますね。
余談ですが、SRAM dub規格に使用するには工夫が必要だそうで、有志の方によると外径18mm、内径13mmの塩ビ管でスペーサーを自作するとジャストフィットするとのこと。
ファットバイク対応のディスプレイスタンド

さて、続いてファットバイク対応のディスプレイスタンドについてですが、こちらはメンテナンススタンドとは異なり兼用という使い方が出来ず、リア・フロントタイヤの両輪がしっかりと接地された状態になります。
ファットバイク対応のディスプレイスタンドは勃興が激しく、製品が出たり消えたりを繰り返していますが、上画像のFeedBack Sports『FATT RAKK/ファット ラック』あたりが有名処ですね。
スペック上は18~29インチ、76~127mmまでのタイヤ幅に対応していますが、実際に使用してみると低圧にした4.8インチタイヤが上限で、結構キツキツな感じになります。
現在は『RAKK XL/ラックXL』にリニューアルされ、旧モデルを見掛けなくなりましたが、対応するタイヤ幅が63~127mmと下限が拡張されただけなので、キツキツなのは相変わらずな模様。

このタイプのディスプレイスタンドはスペースさえ確保すれば、ただ車体を押し込むだけで使えてしまう手軽さがあり、ファットバイク専用のディスプレイスタンドでは主流になりつつあります。
前述のFATT RAKK以外にも選択肢は多く、BIKEHANDの『YC-97FB』、SUPER Bの『1959 ファットバイクストレージ』、WILLWORXの『fat rack』あたりが狙い目ですね。
これらはRAKK XLよりもずっと安価なので、代替品として積極的に選びたいところでしょうか。
私もファットバイク用としてBIKEHANDの『YC-97FB』を使っていますが、4.8インチタイヤにもフィットする上に、調節次第でタイヤの細いグラベルロードにも対応してくれるので大変重宝しています。

お次は、簡易タイプのディスプレイスタンドです。
作りがシンプルで必要最低限の機能に絞っているため、低価格な製品が多いですね。
設置場所を選ばず、取りまわしが容易、幅の調整が簡単などの特徴がありますが、車重のあるファットバイクに使うとスタンド本体が変形しやすく、軽量ゆえに駐輪時の安定感にも欠けます。
ロード・クロス・MTBに対応した汎用ディスプレイスタンドを幅だけファットバイクにも対応させてみました的な製品が大半で、強度を度外視した物が目立つ印象。
上画像の簡易ディスプレイスタンドはDELTAの『RS-8502 MANET V2』で、他にもGEAR UPの『RACK-N-ROLL 1BIKE ROLLING STAND』などの製品があります。

全体的に評判の芳しくないファットバイク対応の簡易型ディスプレイスタンドですが、ミノウラ製もその例に漏れず、新登場と生産終了を繰り返している状況ですね。
複数あったモデルも現在は『DS-151』のみで、こちらは最大120mmサイズのタイヤに対応と、ギリギリファットバイクでも使えるサイズ感です。
また、新作としてタイヤを上から置くと左右から挟み込む新機構を備えた『DSX-2M』も登場していますが、この製品はファットバイクで使用している公式画像があるにも関わらず、対応タイヤサイズが3インチまでという謎仕様。
おまけに評判もイマイチで、壊れやすいという意見が目立ちました。
安価なので選んでしまがちですが、ファットバイクに簡易ディスプレイスタンドは鬼門なのかも知れません。
ファットバイク対応のディスプレイスタンド【番外編】

最後に番外編として、変わり種や変則的に使えるファットバイク対応のディスプレイスタンドを紹介します。
結構有名な製品なので知っている方も多いと思いますが、上画像左のTOPEAK『フラッシュスタンド ファット』もなかなか便利です。
クランクに装着して使うポータブルタイプのスタンドで、車体を自立させるだけなら思いの外しっかりと機能してくれます。
もちろんファットバイクの携帯スタンドとしても使え、自宅用のディスプレイスタンドとしても機能しますが、雑な使い方には不向きだそうで、想定外の加重で容易に破損するといった評判も聞かれますね。
上画像右は自転車の展示会などで使用される、リア引っ掛けタイプと呼ばれるディスプレイスタンドで、ディスクブレーキに対応したタイプと、そうでないタイプの二種類があります。
車体を軽く持ち上げてリアエンド付近に差し込むだけで車体を安定させられるのが魅力で、構造が単純ゆえに安価なもの嬉しい点でしょうか。
一例としてYUENIの『WS-416JC』を紹介していますが、このリア引っ掛けタイプのスタンドはファットバイクに使用されているのを頻繁に見掛けるので、対応可能な製品は意外に多いのかも知れません。
現物合わせでしか確認する術が無いのが残念ですが、お近くにファットバイクの取扱店がある方はご店主に尋ねてみるのも手でしょうか。
まとめ
使い勝手を考えるなら、メンテナンススタンドとディスプレイスタンドは別々に揃えたいところ。
ディスプレイスタンドには、BIKEHANDの『YC-97FB』
メンテナンススタンドにはミノウラの『DS-550-CS』または同ミノウラの『スピンドルスタンドSPN-20』
私ならこの組合せを選ぶと思いますが、ゆくゆくは車体を吊り下げ可能なワークスタンドが欲しくなるかも知れませんね。
因みに、ディスプレイスタンドだけ欲しいという方には、『コンクリートブロック』や水を入れた『ポリタンク』で代用する方法も。
これらをタオル等で養生してリアタイヤを挟み込むように使うと、簡易ディスプレイスタンドとして機能してくれます。