バラ完グラベルロード用に購入したMAVIC製ホイール「ALLROAD S」が3シーズン目に突入。
昨シーズンから「そろそろ頃合いかな?」と思いつつも、なかなか定期メンテナンスを出来ないでいました。
マヴィックによると、採用されているフリーハブ「Instant Drive 360」は走行距離1000kmがメンテナンスの目安とのことで、割と頻繁なグリスアップが推奨されています。
今のところラチェット音に違和感は無くホイールは快適そのもの。
そんなにマメにやらなくても大丈夫でしょ……なんて不精な囁きも聞こえますが、目安となる1000kmなんて軽く超過しているのは明らかなので、しぶしぶ重い腰を上げることにしました。
今回は自身への備忘録も兼ねて、MAVIC製ホイールのフリーハブ「ID 360」ことインスタントドライブ360の分解クリーング&グリスアップのやり方や注意点について記録に残しておきます。
工具不要で超シンプル!MAVIC「ID360」フリーハブを分解する手順

分解メンテナンスをする前に、必須となる物があります。
MAVICからはID360用の専用グリスがリリースされていて、必ずこちらを使って欲しいとのこと。
ID360はDTSwissのスターラチェットに酷似しているので、手持ちのDTグリスが流用できそうな気もしましたが、今回は冒険をせずに素直に従うことにしました。
あくまでも私の感覚ですが、グリスの硬軟を表す「ちょう度」はDTグリスの方が小さい印象があり、MAVICの専用グリスよりも僅かに硬い感じですね。
因みに、MAVICの専用グリスは1.5gしか入っていない小袋でも、ひとつ1000円前後と結構なお値段。

いよいよID360の分解に挑みますが、ここからは画像多めでお送りいたします。
分解に特別な工具は不要で、内部へのアクセスは素手だけでOK。
また、今回はスプロケットのクリーニングもしたので既に取外し済みなものの、スプロケットを取付けたままでも分解が可能な親切設計になっています。

分解の一歩目は力任せにフリーハブボディを引き抜くだけ。
留め具を兼ねるエンドキャップにもスレッドは備わっておらず、ただパチリと嵌っているだけです。
スプロケごと外せるのにも納得で、逆に不安になってしまうくらいシンプルな設計。

フリーボディを引き抜くと、バネとラチェットが露出。
専用グリスにはフリーハブの分解図も付属しているので、大まかな内部構造は事前に把握済みです。
内部のグリスは思ったほど汚れておらず、異物の侵入もありませんでした。
グリスは水分の侵入を防ぐシール的な役割もあるため、そこそこ多めにグリスが塗布されていますね。
新しいグリスを塗布する際の目安になるので、各部のグリス分量も大まかに記憶しておきたいところ。

バネを抜き取った後は心臓部となる二枚のラチェットを外します。
手前側のラチェットは素手でも外せますが、奥側のラチェットは掴みどころが無く先端の細い道具の手助けが必要。
奥側のラチェットは画像の先細ピンセットでも苦戦したので、マイナスの精密ドライバーを使うか、パーツクリーナーでグリスと落してから振動で叩き出すのが良さそう。

奥側のラチェットを外すと、流石に内部は黒く汚れています。
後述しますが、見えづらいところにゴム製のシールが備わっていて、必要ならそれも外すことが可能。

外したパーツを順番に並べるとこんな感じ。
右から、エンドキャップ、フリーボディ、バネ、外側ラチェット、内側ラチェットの並び。
バネに上下や方向の指定はなく、二枚のラチェットも本体は同じ物が使われています。

少し注意したいのがラチェットの裏側部分。
外側ラチェットにはバネがフィットする溝があり、内側ラチェットにはその溝にゴム製のリングが嵌っています。

新しい専用グリスを塗布する前に、パーツ類をウエスでクリーニング。
汚れが酷い場合はパーツクリーナーの使用もOKですが、今回は細かな溝にグリスが入り込んでいるラチェットやフリーボディにだけ使用しました。
因みに、内側ラチェットの裏に嵌っていたゴム製のパッキンに表裏の指定は特にありません。

ホイール側もウエスでクリーニング。
パーツクリーナーの影響を受けそうな部分は見当たらないものの、シールドベアリングが近いのでこちらはパーツクリーナーを使わずにウエスと綿棒でチマチマと地道にお掃除。
わかりづらいですが、赤矢印の部分に先述したシールリングが備わっています。

MAVIC公式のメンテ動画では特に取外すように言及されていないため、今回は外さずにクリーング。
注意点として、このシールリングには表裏の指定があり、ヒダ状の溝が設けらている方が表側、何もなく平坦になっている方が裏側とのこと。
専用グリスはマシマシで?MAVIC「ID360」フリーハブの組み立て手順

各パーツをクリーニングした後は、新しい専用グリスの塗布と組み立て作業に移ります。
グリスの小袋は画像のように角をハサミでカットするのがオススメ。
グリスの塗布は素手や綿棒で行いますが、私は筆を使うのが好みですね。
使用後はパーツクリーナーで洗浄してあげると、グリスでべとついた毛先を復元できます。

まずはホイール側にグリスを塗布。
内側ラチェットが嵌る縦溝に念入りに塗布し、フリーボディがフィットする円周部の防水も意識して塗布しますが、小袋のグリスは1.5gしかないのでこの時点では余力を残す感じで作業します。

続いて、各パーツにもグリスを塗布。
こちらも溝を意識して、フリーボディ本体、二枚のラチェットは特に念入りに。
また、バネは錆び止め程度に、エンドキャップも上面に薄く塗る程度で十分です。

例外だったのが、内側ラチェットの裏側に嵌るゴム製リング。
こちらも軽くグリスを塗る程度で十分でしたが、作業中にポロリと外れてしまうため接着剤がわりに多めのグリスを塗布してラチェットに貼り付けました。

グリスを塗布した後はID360フリーハブの再組立てに移ります。
最初に内側ラチェットをホイール側に取付けますが、ぶっちゃけ難しいのはここだけ。
難しいと言っても、お互いの縦溝が噛み合った状態に位置合わせするのが少し煩わしいだけで、慣れ次第といった感じです。
また、この時点で各パーツには最低限のグリスが塗布済みになっている筈ですから、組み立ての各過程でグリスの残量分を使い切るつもりで気になる部分をマシマシにしてあげましょう。

続いて、外側ラチェット取付け内側ラチェット上面の溝に噛み合うようにフィットさせます。
前述したように、塗りが甘いと感じるならここでも追いグリスしましょう。

お次はバネの取付け。
外側ラチェットの溝にフィットさせるだけの簡単な作業です。

次にフリーボディ本体を外側ラチェットの縦溝に合わせるようにフィットさせますが、特に位置調整する必要はなく、あっけなく取付が完了。
この作業以降は内部にグリスを盛れなくなるので、防塵・防水が気掛かりなら余ったグリスを総動員して、水分の侵入しやすい縁部分のシールを強化してあげましょう。

仕上げにエンドキャップをパチリと押し込み、グリスアップと組み立て作業はこれにて終了です。
最終確認としてフリーボディを反時計方向に回転させて動作チェック。
特に違和感は無く、しっかりと正常動作しています。
驚いたことに、グリスアップの前後でラチェット音に明確な違いがありました。
正常だと思っていたラチェット音が低くウエットな音質に変化し、今までが如何に甲高く乾いた音質だったのかを思い知らされる結果に。

すべての作業を終えて、ふとグリスの小袋に目を移すと、まだ結構な残量が……
十分にマシマシにしたと思っていたのですが、序盤にケチったのが響いたのかも。
ID360はスプロケットを取付けた状態からでも容易に分解できますから、小袋を限界まで絞り切って追いグリスするのが良さそうです。
まとめ
MAVIC製ホイールのフリーハブ「Instant Drive 360」のクリーニングとグリスアップに挑戦してみましたが、苦戦したのはグリス使用量の配分くらいでしょうか。
構造自体は至ってシンプルで、過去にメンテナンスしたDTSwissのスターラチェットをも上回る印象ですね。

余談ですが、ID360フリーハブの防塵・防水性を高める「V00063631」というシールキットがあるそうで、記事中で取り上げたシールリングと置き換えて使用する強化版とのこと。
MAVICホイールはハブまわりがデリケートだと聞きますから、愛車を頻繁に水洗いしている方や1000km毎のグリスアップが面倒に感じる方はこちらに交換するのも手でしょうか。