未だに曖昧?間違いやすい『シートポストクランプ』のサイズ選び

未だに曖昧?間違いやすい『シートポストクランプ』のサイズ選びイメージ01

自転車歴がどんなに長くても、曖昧だったり勘違いしている事柄のひとつやふたつはあります。

その代表例として、今回はシートポストクランプに纏わるお話。

単にシートクランプと呼ばれたり、シートポストカラーなんて洒落た呼ばれ方もされますが、シートチューブの上端に鎮座するリング状のアレですね。

私もそうですが、自転車趣味が高じると走るだけでは飽き足らず、車体を軽量化してみたり自分好みにドレスアップしてみたりと、カスタマイズにも熱が入ります。

初心者向けのカスタマイズはスモールパーツあたりから手を出すのがお約束で、本日の主役となるシートポストクランプもそんなパーツのひとつ。

元のシートポストクランプを取外し、新しい物をポン付けするだけの簡単な作業なものの、実のところシートポストクランプにはサイズを間違えやすいというビギナー泣かせな一面も。

これは実際に購入してみるとわかりますが、シートポストクランプのサイズはシートポストのサイズと混同されやすい上に、数値が似通っているという紛らわしい特徴があるのです。

勘違いしやすい「シートポスト外径」と「シートポストクランプ内径」

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説明するまでもありませんが、自転車のシートポストには幾つかのサイズが存在し、車種やメーカーによってポストの直径が異なっています。

【ロードバイク・クロスバイク】Φ27.2mm

【マウンテンバイク・ファットバイク】Φ30.9mm / Φ31.6mm / Φ34.9mm

【ミニベロ・折り畳み・ママチャリ】上記サイズを含みメーカー独自規格も多数存在

大雑把にまとめると以上のようになり、オンロード用のΦ27.2mmが広く浸透しているものの、ミニベロ・折り畳み・ママチャリはカオス状態で、ここに書き切れないくらいのサイズが存在します。

実際に自転車乗りが意識するシートポスト径はΦ27.2mm / Φ30.9mm / Φ31.6mm / Φ34.9mmくらいでしょうから、あえて触れないでおきましょう……

因みに、上画像はTHOMSON/トムソン製のシートポストとシートクランプで、軽量かつ高精度なアルミ削り出しの逸品。

過去にトムソン製の軽量ポスト「Masterpiece/マスターピース」を愛用していたこともあり、今でもポストやクランプのカスタマイズと言えば、私の中で真っ先に思い浮かぶメーカーですね。

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さて、お次は肝心のシートポストクランプについて。

こちらは、Φ28.6mm / Φ29.8mm / Φ31.8mm / Φ34.9mm / Φ36.4mm / Φ38.6mm / Φ39.7mmといったサイズがあり、初見だとシートポスト径のサイズと混同しがち。

特にΦ31.8mmはシートポスト径のΦ31.6mmと誤認しやすく、Φ34.9mmに関してはどちらにも全く同じ寸法が存在するという迷惑っぷり。

当たり前の話ですが、シートポストのサイズはポストの外径寸法を意味し。

シートポストクランプのサイズはクランプの内径寸法を意味します。

両者の値は全くの別物ですし、シートポストクランプのサイズは使用するフレームのシートチューブ外径と一致するように選ばなければなりません。

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私の知る限り「シートチューブの外径を測ってからサイズを選んでね!」と親切に説明していたのはWOLFTOOHくらいで、この不親切な風潮もサイズ選びに失敗する一因になっている気も。

シートポストクランプはシートポストの外径寸法を基準にして選ぶのが正しく、販売ページに表示されているサイズは対応するシートポストの値ではないことを肝に銘じておきたいところ。

試しにミニベロの「シートチューブ外径」を測ってみる

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随分前にレバー式からボルト式に交換したことだけは覚えていますが、どのサイズのシートポストクランプを選んだのかをすっかり失念。

良い機会なので、折り畳みミニベロことKHS F-20Rのシートポストまわりを再計測してみることに。

うろ覚えですが、折り畳み機能を一切使用していなかったため、軽量化とパーツの盗難予防を兼ねてボルト式クランプに交換したような気がします。

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シートポスト径はオンロード規格のΦ27.2mm、ミニベロでは珍しい部類ですがF-20Rはロード用パーツをそのまま移植できるため、ロード乗りのセカンドマシンとして人気とのこと。

ポストは純正から「シマノPRO LTシートポスト」に交換していて、軽量な上に純正には無いメモリがあるのがお気に入り。

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ボルトを緩めシートポストとクランプを取外すと、見慣れない物体が出現。

すっかり忘れていましたが、シートポストシムがデフォルトになっていて、シム無しだとΦ29.2mmという聞いたこともないサイズが標準な模様。

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シートチューブの外径はΦ31.8mmという値。

安物でもノギスがあると色々と重宝しますが、メジャーや紐で外周を測ってもOK。

【外周÷3.14=直径】なので、簡単にシートチューブの外径を計算できます。

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取外したシートポストクランプの内径を測ってみると、当然シートチューブ外径と一致するΦ31.8mmという値。

因みに、内径の上側は段差で狭くなっているのでクランプの下側からノギスを入れて測ります。

Φ27.2mmのシートポストにはΦ31.8mmサイズのシートポストクランプが対応する場合が多いそうですが、フレーム素材によっては例外もあるため、やっぱりシートチューブの外径をしっかり測ってからのサイズ選びを推奨。

まとめ

自転車歴の長い方には釈迦に説法的な内容だったかも知れませんね。

とはいえ、シートポストクランプはオークションやフリマサイトの定番アイテムなのは確かで、出品理由で頻繁に見掛ける「サイズを間違えたため……」なんて正直すぎる文言には親近感を覚えます。

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余談ですが、シートクランプの取付け方向はフレーム素材によって文字通り180度変わり、上画像のトムソン製マニュアルにも注意書きが見られます。

私も過去にこのマニュアルで知りましたが、カーボンフレームだとクラックの生じやすい部分なので心に留めておきたい内容でしょうか。

因みに、トムソン製のシートポストクランプは推奨トルクが2.8Nmと一般的なクランプの約半分という数値。

加工精度が高くクランプの割りが斜めに入っていることがその理由だそうですが、軽量化のためだけでなくカーボンフレームのクラック対策として、一度くらいは使ってみたくなる製品ですね。

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