前回の記事でフルサス29er用として、クランクブラザーズのアルミホイール『Cobalt/コバルト2 XC』を追加購入したことをお伝えしました。
その中でも軽く触れましたが、このホイールはシマノHGタイプのフリーハブボディが標準になっているため、そのままではSRAM XDドライバー対応のスプロケットを取付けることができません。
例によって、シマノHGから既に入手済みのSRAM XDドライバーへと交換する作業に挑みますが…不思議なことにクランクブラザーズ公式も含めて交換方法や作業手順についての情報がやたらと乏しく、作業前から暗雲が立ち込めています。
PDFファイルすら見当たらず頼みの綱は付属の紙製マニュアルのみになりますが、今回は情報共有の意味も込めて、クランクブラザーズ製ホイールのフリーハブボディ交換方法について簡単に解説してみたいと思います。
クランクブラザーズ純正のXDドライバーについて
さて、上画像のブツがクランクブラザーズ純正のXDドライバーです。リアエンド幅12x148mmのBOOST規格と12x142mmの非BOOST規格に対応し、135mmと141mmのQR/クイックリリースに対応するエンドキャップも付属しています。
QRに関しては門外漢なのでさっぱりわかりませんが、クランクブラザーズ公式によると12x157mmのスルーアクスルにも対応と説明がありました。
対応するホイールはMTB用ホイールの『Cobalt/コバルト』シリーズと『Iodine/アイオダイン』シリーズの第二世代・第三世代・第四世代モデルで、第一世代には未対応とのこと。
因みに、このパーツは国内外を問わず品薄な上に、ショップによって対応エンド幅の表記や対応する世代の表記がまちまちで、なかなか不安を煽る要素が満載です。
一応、最新のクランクブラザーズ公式HPでは全ての第三世代・第四世代ホイール対応、リアエンド幅は12x148mm/12x142mm/12x157mmのスルーアクスルおよび、135mm/141mmのクイックリリース対応となっていました。
同梱されているパーツは右から二番目の『フリーハブボディスペーサー』を含めて六つですが、今回はΦ12mmスルーアクスルのBOOST規格なので、使用する可能性があるのは右から四つ目にある『反ドライブ側エンドキャップ』までですね。
『可能性がある…』と微妙に濁してお伝えしているのには理由があり、実は一つだけ不安要素が存在しています。
Φ12mmのスルーアクスルである点は共通していますが、リアエンド幅が142mmでも148mmでも右から一つ目のドライブ側エンドキャップは全く同じ物を使用する仕組みになっていて、正直どの部分でエンド幅を調整しているのかが不明確なのです。
取付けてはみたものの、エンド幅が合わなかった…なんてことも考えられ、割と出たとこ勝負な状態ですね。下手をすれば別途でエンドキャップを購入なんて事態に陥りかねません。
パッケージには冒頭で触れた通りマニュアルが付属していて、今回はこちらの手順に倣って作業を進めていきます。
丁寧な内容ですし作業の難易度も高くありませんが、今のところ公式HPにはフリーハブボディの交換に関するPDFマニュアルが存在していないので、参考までにこちらに紙製マニュアルの画像をアップしておきます。
クランクブラザーズ製ホイールのフリーハブボディを交換する手順
いよいよ作業開始ですが、手始めに反ドライブ側のエンドキャップを外します。
この部分は単純なパチ組になっているので、エンドキャップに傷を付けないようにウエスで当て布をしてから、ペンチなどでパキッと引き抜きます。
因みに、取り外したエンドキャップとXDドライバーセットに同梱されていたエンドキャップを比較してみると、全く同じ部品でした。
作業一発目でいきなり不安要素が解消され拍子抜けしましたが、これで前項で触れた反ドライブ側のエンドキャップの出番は無くなりました。
少し説明がまどろっこしいですが、142mmや148mmなどの異なるエンド幅へ対応は、どうやら反ドライブ側のエンドキャップのみで調節されていて、ドライブ側のエンドキャップはどのエンド幅でも共通のものが使われる仕組みで間違いなさそうです。
反ドライブ側のエンドキャップを外すと六角レンチの挿し込み部分が露出します。
ここには対面幅の12mmの六角レンチを使用しますが、大抵の六角レンチセットには最大で10mmのサイズしか含まれておらず、私の工具セットも同様でした…
慌てて最寄りのホームセンターに脚を運び思わぬ水入りとなりましたが、12mmの六角レンチは予想していたよりも安価だったのが唯一の慰めです。
反ドライブ側に六角レンチを挿し込み、それを片手で固定した状態でドライブ側のエンドキャップを17mmのレンチを使って緩めます。
この部分は逆ネジになっていて『Loosen ⇒』と指示のある方向に従い時計回りに緩めると、ドライブ側のエンドキャップが外れます。
エンドキャップを取外せば、あとはシマノHGのフリーハブボディを手で引き抜くだけです。特に工具は必要なく、抵抗なくスポっと引き抜けました。
フリーハブボディを引き抜いたあとは、忘れずにシマノHG用のフリーハブボディスペーサーも取外しましょう。セットに付属しているXDドライバー用の物とは異なるため、間違えて再利用しないように注意です。
コバルト2はスチール製でコバルト3はアルミ製と、標準装備されているシマノHGに差別化が見られますが、流石にスチール製はずっしりと重みがありますね。
気になって交換予定のXDドライバーと比べてみると、約64gと馬鹿に出来ない重量差がありました。上位グレードのコバルト3ならセットで1730gですから、XDドライバーに交換するだけで1600g台に軽量化できることになります。
XDドライバーを取付ける下準備として、マニュアルで指示されている箇所にグリスを塗布します。
異なるグリスを混合するのは良くないそうなので、面倒ですが純正のハブグリスが残る本体側を一旦綺麗に拭き取って洗浄してからお好みのグリスを塗布しましょう。
私は手持ちのDTswiss用ハブグリスを使いましたが、ハブ用にはフィニッシュラインのセラミックグリスを使うか方が多いですね、爆音ハブのラチェット音を抑えたい方にもオススメです。
XDドライバーを取付ける前に、セットに同梱されていた新品のフリーハブボディスペーサーを忘れずに取付けます。
この部分にもグリスを塗布する必要があるのか悩みましたが、マニュアルに指示は無く取り外したシマノHG用のスペーサーにも殆どグリスが付着していなかったため、今回は素のまま取付けました。
比較的簡単な今回の交換作業で一番の山場がコチラです。
XDドライバーを取付ける際に、赤矢印部分の爪を上から押さえながら本体を挿し込まないと、しっかり奥までフィットしてくれません。
爪は全部で三つあり、それらを同時に押さえつつ本体を挿し込む面倒な作業ですが、不器用を自称する方は誰かに手伝ってもらっても良いでしょう。
無事にXDドライバーを取付けた後は、念のため動作チェックをしてみます。
手でフリーハブボディーを回し、時計回りで引っ掛かりがあり、反時計回りでラチェット音がするなら成功ですね。
続いてドライブ側にエンドキャップを取付けます、前述した通りこの部分は逆ネジになっているので、反時計回りで締め付けましょう。
同梱されていたXDドライバー専用のエンドキャップを先端に宛がい、反ドライブ側に挿し込んだままになっている12mm六角レンチを片手で固定しつつ、ドライブ側のエンドキャップを17mmのレンチで締め付けます。
仕上げは反ドライブ側に元のエンドキャップをパチッとはめて、作業終了ですね。
作業後は148mmのリアエンド幅で間違いないか不安でしたが、車体にも無事に取付けできました。取り合えず一安心です。
まとめ
クランクブラザーズ製ホイールのフリーハブボディをXDドライバーに交換する方法を解説してみましたが、最後に注意点を三つほど。
【1】12mmの六角レンチを忘れずに準備しておくこと
【2】板スパナはエンドキャップを舐めやすいので要注意!
【3】古いグリスはしっかりと拭き取り、グリスを混ぜて使わない
とはいえ、作業自体は至極単純なので、マニュアル通りに進めれば特に躓くところは無いと思います。
何気に一番難しいのはクランクブラザーズ純正のXDドライバーを入手することかも知れませんね…世界的な自転車需要の増加が影響しているのでしょうかね?