どっちが最適?つや消し・マット塗装に使える保護テープ2種類を比較

つや消し・マット塗装の自転車フレームに使える保護テープ2種類の比較テストイメージ01

以前につや消し・マット塗装の自転車に使える保護テープについて記事にしたことがあります。

この光沢の無いシックなフレームは塗装面が多孔質と呼ばれる微細な凹凸で構成されいるため、通常の保護テープやフィルムが思うように貼り付いてくれません。

オススメはどれ?マット塗装の自転車に使える保護テープあれこれ
マット塗装の自転車で悩みがちなのがフレームの保護やお手入れです。通常の保護テープ/フィルムでは剥がれやすい上に光沢が目立ちますが、少数ながらつや消し塗装に馴染み剥がれづらい製品も存在しています

記事中では、数少ない選択肢の中からギリギリ実用レベルの保護テープを幾つか紹介していますが、最も重宝される透明または半透明の保護テープについては、内容の掘り下げがイマイチでした。

私もつや消し・マット塗装の自転車を所有する一人ですが、保護テープ無しだと摩耗でフレームの表面がテカってしまうため、ベルクロ留めのアクセサリー類を気軽に使えないことに不満を感じることが多いです。

フレームにしっかりと貼れる、透明または半透明、保護テープ自体がつや消しで目立たない、そんな願ったり叶ったりな製品がないものかと探し続けていると…ありました!

素直に白状すると、単に私が見落としていただけなのですが、ようやく実用レベルの製品に出会えました。

今回は以前の記事を補完する意味も込めて、つや消し・マット塗装のフレームに使える二種類の保護テープ&保護フィルムについて、それぞれの特長や実際の使い勝手を簡単にレビューしてみたいと思います。

コニシ『ストームガード屋外用』とハッピークロイツ『カーラッピングフィルム』の詳細

つや消し・マット塗装の自転車フレームに使える保護テープ2種類の比較テストイメージ02

今回、実用兼テスト用として購入したのが、コニシ『ストームガード屋外用』画像左とハッピークロイツ『カーラッピングフィルム』画像右の二種類です。

両者とも以前の記事で簡単に紹介していますが、私はハッピークロイツ『カーラッピングフィルム』につや消しの『マットブラック』と『マットミリタリーグリーン』の他に、つや消し半透明の『ステルス』が存在することを完全に見落としていました。

コニシ『ストームガード屋外用』は幅30cmと50cmの二種類があり、2メートルで800前後と少し高めのお値段です。

ホームセンターで手軽に買える本製品ですが、多孔質のつや消し・マット塗装フレームにもしっかりと密着し、本来の用途では時間経過で粘着力が増す性質を持っています。手軽で扱いやすいですが、テープそのものが光沢仕様なので貼り付けると目立ってしまうのが最大の欠点ですね。

ハッピークロイツ『カーラッピングフィルム』はその名の通り本来は自動車用で、デコレーションだけでなく保護フィルムとしても使えます。自動車用として便利な大判シート式と私が購入したテープ式の二種類があり、テープ長は6m、欠品が多いものの幅は1~15cmまでお好みで選べます。

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さて、今回の主役は『カーラッピングフィルム』の方ですね。購入したのは7cm×60cmのテープ式、カラーはつや消し半透明の『ステルス』、価格は¥2000弱でした。

付属のマニュアルに目を通すと、施工液と使う『水貼り』と直接貼り付ける『ドライ貼り』の二通りの方法に対応していて、施工液はスプレーボトルに水500mlと家庭用洗剤1滴で簡単に自作できるようです。

水貼りする場合は、エア抜き用の『スキージー』と呼ばれる別売りのヘラがあると綺麗に仕上がるそうですが、曲面の多い自転車では特に必要ない気もしますね。

因みに、不要になったカードに薄手のマイクロファイバークロスを巻いても代用できるとハッピークロイツの公式HPで説明されていました、親切すぎで商売下手なのが微笑ましいです。

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テープの台紙は升目状になっていて、任意の寸法にカットしやすい配慮がされています。他のカラーは表面に製品保護フィルムが貼られた三層構造になっていますが、つや消しタイプは光沢タイプよりも傷が目立たないので、マニュアルの記載通りテープと台紙の二層構造でした。

このカーラッピングフィルムには伸縮性があり腕次第では曲面にも綺麗に貼れます、素材がPVCなのでそのままだと元の形状に復元しようとしますが、ヒートガンで加熱しながら貼り付けると、復元することなく曲面に沿って定着します。

結果は上々!保護テープ二種類の貼り付けテスト

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コニシ『ストームガード屋外用』は時間経過で接着力が増す性質があるため、実用前に軽くテストしてみます。

フレームの脱脂をしていないせいか、貼り付けた直後はそれほど接着力は強くありません、自転車用として定番の『3M スコッチ 表面保護用テープ #331』よりも少しだけ強いくらいでしょうか。

この手のクリアテープを多孔質表面に使うと細かな気泡で色が白く濁ってしまうのですが、貼り付け後は思いのほかクリアな仕上がりですね、光沢はあるものの本来のフレームカラーが映え、これはこれでアリな気がします。

テープの厚さは0.25mmですが、表面には適度な弾力性があり保護テープとしても十分に役立ってくれそうですね。

前述した通り時間経過で接着力が増すので、剥がした際の糊残りや塗装への影響を調べるために、取り合えず十日ほど放置してみました。

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さて、お次はハッピークロイツ『カーラッピングフィルム』を十日後に貼り付けてみました。

このテープも気泡で白く濁りづらくフレーム本来の色が失われづらいですね、光の加減で見え方に変化があるものの、つや消し・マット塗装のフレームに良く馴染んでいます。

元は光沢塗装&フラットな車のボンネット等に使われる製品だけに、多孔質に対しては接着力がやや弱めですね、『3M スコッチ 表面保護用テープ #331』と同程度でしょうか。

テープの厚みは0.2mmですが、実際の手触りは隣のストームガードの半分くらいに感じます、こちらは厚みが頼り無い反面、ストームガードよりも引っ掻き傷に強い硬めの質感ですね。

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こちらの角度の方がテープの馴染み具合がわかりやすいですね、どちらのテープも別要素で本来のフレーム色が生きています。

両テープともに、赤矢印の部分が剥がれたり浮いたりしていますが、これは私が素手で貼り付けた際の皮脂が影響しています、本番はニトリル手袋を使った方がいいかも。

白矢印の気泡は異物の混入やフレームの細かな傷が原因ですね、水貼りすれば軽減できそうですが、自動車とは目的が違うので神経質になり過ぎるのも考えモノです。

貼り付けテストが一通り終了したので最後に二種類のテープを剥がしてみます、カーラッピングフィルムは製品レベルで糊残り対策がされているため、何の問題もなく剥がせました。

お次はストームガードです、時間経過によって確かに粘着力は強まっていますが、こちらも糊残りや塗装が剥がれるなどのトラブルは無く、スムーズに剥がせました。

総評として、見た目はカーラッピングフィルム、使い勝手はストームガード、保護能力はカーラッピングフィルムが引っ掻き耐性強し、ストームガードが飛び石耐性強し、といった感じでしょうか。

組み合わせるのもアリか?フルサス29erに保護テープを貼付

マット塗装の自転車に使える保護テープイメージ07

どちらのテープも十分に実用可能な手応えを感じたので、早速フルサス29erに使ってみます。

使用する箇所は、冬用フェンダーを付けるために少し前までニトムズの自己融着テープで保護していたシートステー部分となりますが、このテープも使い勝手が良かったですね。

冬場以外はリアフェンダーを付けない主義でしたが、少し前にチューブレス化したリアタイヤがパンクし、回転するタイヤからシーラントがスプレーのように噴き出す惨事に見舞われてから、小型のリアフェンダーを取付けることに決めました。

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作業中に気付きましたが、ハッピークロイツのカーラッピングフィルムは重ね張りに不向きで、凹凸が苦手なことがわかりました。

画像のようにテープ同士の接着は問題なくできるものの、テープが硬いため重ね張りの段差部分が密着してくれません、FULL STACHE 8の『8』の数字もエンボス加工になっているので周囲が浮いてしまっています。

ヒートガンで熱を加えながら爪楊枝でなぞれば密着してくれそうですが、生憎ヒートガンどころかドライヤーも持っていません。

カーラッピングフィルムをパッチ風に使うなら特に問題はありませんが、熱処理なしでパイプ状のフレーム部分に巻き付ける場合は、白浮きした部分を目立たない裏側に隠すか、フィルムを重ねずに数mmの間隔をあけるのが手っ取り早い解決策かも知れません。

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例え裏側でも、隙間ができてしまったら保護テープとして不合格では?と思ったので、二種類のテープで試行錯誤してみると、興味深いことがわかりました。

上画像は撮影用に適当に貼っただけなので少々雑ですが、ストームガードの上にカーラッピングフィルムを重ね貼りしても、しっかりつや消し仕上げになり、フレームカラーの発色も殆ど損なわれません。

また、逆にカーラッピングフィルムの上にストームガードを重ね張りする方法もアリで、ストームガードは素材が柔軟なため、カーラッピングフィルムに重ね張りしても段差で白浮きすることがありませんでした。

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テープの癖を知り、重ね貼りのテクニックに気付くまでは苦戦しましたが、何とかフェンダーを取付けが完了。

ニトムズ自己融着テープの無骨な仕上がりも好みですが、こちらも小奇麗に仕上がっていますね、遠目では保護テープの存在がわからないくらいです。

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因みにフェンダーは余っていた『MUDHUGGER FRX』でフロント用を少し加工して、リアフェンダーとして再利用しています。

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流石に近くで見ると粗が目立ちますが、水貼りしなくても慣れれば気泡は最低限に抑えられました。

白矢印の部分はシートステーが湾曲しているので熱処理なしではどうしても白浮きします、タイラップが接触しない部分なので、湾曲部まで達しない省スペースで良かったかも。

画像からではわかりませんが、シートステーにカーラッピングフィルムをアルファベットの『C』の字状に隙間をあけて巻き付けてから、隙間を上から塞ぐサイズに細長くカットしたストームガードを重ね貼りして仕上げました。

光沢があっても陰になって見えない部分ですし仕上がりも綺麗でした、この方法なら手間を掛けずに全方向をしっかり保護できます。

正直、フレームがカーボン製に多く見られるつや消しブラックだったらもっと作業が簡単だったと思います。カーラッピングフィルムのマットブラックがそのまま使えますし、重ね貼りしても半透明のように白浮きが見えず、普通の保護テープのように気軽に使えますから。

【追記】コニシ ストームガードに塗装を侵す可能性あり

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こちらの元記事を書いてから二年以上も経過していますが、コニシ ストームガードが『長期間の使用でテープの粘着成分が塗膜を侵食してしまう』との情報があったため、追記いたします。

確認のため製造元である(株)コニシ様に問い合わせてみると

【1】粘着剤と塗装はお互い化学物質なので、組み合わせによっては侵食が100%無いともいえない

【2】『ボンド ストームガード』の粘着剤が塗装を侵食する可能性自体に長期データが無い

【3】むしろ長期使用により粘着剤と塗装との密着性が増し、剥がす際に塗装ごとはがれてしまう可能性のほうが高い

【4】あくまでも補修用のテープなのでコーティング用途には知見が乏しく、明確な返答ができない

以上のような返答がいただけました。

100%塗装面に悪影響がある……という訳ではなさそうですが、強引に剥がそうとすると塗膜の薄いカーボンフレームなどでは、テープごと塗装が持っていかれる可能性もありそう。

私の愛車のヤバいのかも……と慌ててテープを剥がしてみると、確かにテープを貼った期間が長い箇所ほど粘着性が高くなっていました。

幸いなことに、およそ二年間貼り続けた部分も含めて、つや消し・マット塗装のフレームにあからさまなダメージは見受けられず、フレームに残留した粘着成分もパーツクリーナーで溶かし落とせるレベルでしたが、これは冷や汗ものですね。

あくまでの私見ですが、フレームに残った粘着成分は市販のMTB用保護フィルムと大きな違いは感じず、ストームガードが特に酷い…といった印象は薄かったです。

コツというほどではありませんが、テープを剥がす際は事前にドライヤーで温めたり、剥がしながらパーツクリーナーを染み込ませて、慌てずチビチビやりましょう。

さて、コニシ ストームガードは入手性が高く使い勝手も良かったので残念ですが、現在は代替品としてハッピークロイツの『テープ式 ボディ保護フィルム クリア』を使用中。

ストームガードと同様の光沢タイプですが、同社のハッピークロイツの『カーラッピングフィルム』よりも柔軟性が高いため曲面への追随性が良く、つや消し・マット塗装のフレームに貼り付けた際も白濁せずにテープの透明感が維持されます。

こちらは正真正銘の保護テープなので防御力は折り紙付きですし、剥がす際の糊残りまで配慮されているとのこと。

UVカット機能も備え、カーラッピングフィルムと同じく水貼りにも対応しているので、光沢タイプでも構わないなら悪くない選択肢です。

まとめ

完璧とはいえないものの、つや消しに拘りたいならハッピークロイツ『カーラッピングフィルム』、光沢でも良いなら同じくハッピークロイツの『テープ式 ボディ保護フィルム』が現時点でのベストチョイスになるでしょうか。

コニシ ストームガードも捨てがたいですが、下地に別のテープを重ね貼りしたり、半年未満でマメに貼り替えをするなど、いくつか対策がある模様。

ストームガードの件で、そもそも表面が微細な多孔質で構成されている『つや消し・マット塗装』のフレームに、粘着成分が細部に浸透するかも知れないテープ類は相性が悪いのでは?という疑念が頭を過ります。

パッチやシール的が使い方ができず、クリアタイプが存在しない欠点はあるものの、接着成分を含まない『自己融着テープ』を活用するのが、今のところ一番安全な方法かも知れませんね。

あと、コート剤の類を下地に使えばワンチャンあるかな?

【追記】コニシ製強力補修テープ『ストームガード』屋外用につや消しタイプが登場しました。

粘着力や使い勝手の良さはそのままに光沢感が控えめになっているため、つや消し・マット塗装用の保護テープとしてもお手軽に使えそうです。もちろん、こちらも長期間使用には注意を払い、マメに貼り替えするのがベストです。

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