私が所有する自転車の中で、新顔のフルサスMTBだけが『つや消し』のマット塗装仕様です。
マット塗装のフレームはカーボン製のロードバイクに多いイメージですが、最近では高級クロスバイクや一部のマウンテンバイクにも採用されていますね。
増車した直後はマット塗装への理解が浅かったこともあり光沢塗装との違いに戸惑うことも多く、まず最初に躓いたのがフレーム保護に関してでした。
馴染みのある光沢塗装のフレームなら、市販の保護テープや専用の保護フィルムをペタリと貼り付けるだけで終了ですが、マット塗装は見た目のカッコ良さと引き換えに厄介な点も多いのです。
マット塗装の表面は多孔質と呼ばれる小さな穴が密集した状態になっているため、一般的なテープやフィルム類との馴染みが悪く、すぐに剥がれてしまいがち。
おまけにこの手の保護テープの大半がテカテカした光沢タイプなので、つや消し面に対してそこだけ目立ってしまうなんてことも。
剥がれやすく、しかも目立つ……
だったらマット塗装専用の保護テープや保護フィルムを使えばいいのでは?
そんなふうに思うでしょうが、これが不思議と適当な製品が見付からないのです。
単に私の探し方が下手なだけなのかも知れませんが、今回はマット塗装のつや消しフレームにも使える保護テープや保護フィルムについて話題にしてみます。
試しにマット塗装に定番の3M保護テープを使ってみる
上画像は愛車のフルサスMTB『TREK Full Stache 8』でロゴ部分とワンポイントの蛍光グリーンの部分だけが光沢仕様。
光沢塗装は摩耗すると表面がくすんだようになりますが、マット塗装は逆に艶が出てテカってしまう性質があります。
光沢塗装なら何もせずに固定するところですが、テールライト用のブラケットを取付ける前に小細工を少々。
ダメもとでいつもフレームに多用している『3Mスコッチ表面保護用テープ#331』をシートステー部分に貼り付けてみました。
このテープは自転車乗りの間ではかなり有名な製品で、専用の保護フィルムの代用として使っている方が多いですね。
フレームを守る適度な強度がありつつも、剥がしやすく糊も残らない定番のアイテムです。
事前にこの保護テープはマット塗装のフレームには貼り付けづらいと聞いていたのですが、どうやら『全く貼り付かない』と『そこそこ貼り付いてくれる』の2パターンがある模様。
幸い私の場合は後者の方でした。
印象として光沢塗装のフレームに貼る場合の6割くらいの粘着性が確保されている感じでしょうか。
指の腹でテープ表面をしつこいくらいに擦っても、保護テープとフレームの間には微細な隙間が生まれてしまい、完全には密着してくれません。
画像のように、テープがテープの上に巻き付くような末端処理をすれば十分に実用レベルですが、パッチ的にワンポイントで使うのは難しいでしょう。
調べてみると、フレームに全く貼り付かない場合やパッチ的に使いたい場合は上画像右のコニシ製強力補修テープ『ストームガード』屋外用を使う方法がありました。
こちらは糊が強力なので取扱いに注意が必要ですが、テープの柔軟性や貼りやすさは3Mよりも良いと自転車乗りの評判も上々。
光沢タイプの他につや消しタイプも存在し、手軽に使えるマット塗装用の保護テープとして重宝しそうです。
ですが、長期間の使用でテープの粘着成分が塗膜を侵食してしまうとの報告もあり、最長でも6ヶ月くらいで貼り替えをした方が良いかも知れません。
念のため製造元である(株)コニシ様に問い合わせてみると、以下のような返答がいただけました。
【1】粘着剤と塗装はお互い化学物質なので、組み合わせによっては侵食が100%無いともいえない
【2】『ボンド ストームガード』の粘着剤が塗装を侵食する可能性自体に長期データが無い
【3】むしろ長期使用により塗装との密着性が増し、剥がす際に塗装ごとはがれてしまう可能性のほうが高い
【4】あくまでも補修用のテープなのでコーティング用途には知見が乏しく、明確な返答ができない
100%塗装面に悪影響がある……といった訳ではなさそうですが、確かなデータがないとのこと。
強引に剥がそうとすると塗膜の薄いカーボンフレームなどでは、テープごと塗装が持っていかれる可能性もありそうですね。
【追記】つや消しフレームに二年間貼りっぱなしだったストームガードを剥がしてみましたが、塗膜に影響は見られませんでした。
コニシ様の返答にあった通り粘着性は増していたので、剥がす際はシール剥がしやパーツクリーナーで糊を溶かしながら少しづつ進めるのが吉。
つや消し塗装のアルミフレームという私の環境では無事でしたが、使用するならあくまでも自己責任で。
マット塗装に最適な『つや消し』タイプの保護テープについて
さて、条件付きでコニシ強力補修テープが使えそうなことはわかりましたが、どうにも歯切れの悪い結果です。
他に何か使えそうな物は無いかと探していると、tesa/テサ製の自己融着テープが目に留まりました。
上画像の製品は『tesa 4600 エクストリーム』という自己融着テープで素材はマットな質感のシリコン製。
自己融着テープには糊が付いていないため、経年劣化してもベトつくことが殆ど無く剥がした後もフレームやパーツが綺麗なまま。
最近ではロードバイクのバーテープをエンド処理する際にもよく使われています。
自己融着で糊が残らない、強度も耐候性もあるシリコン製、おまけにつや消し仕様……
これは使えるか知れない!と詳しく調べてみると、25mmx3mで価格は¥900ほど、カラーはブラックとクリアの二種類があり、クリアは残念ながら乳白色の半透明タイプでした。
早速、実際の質感が知りたくなり近場のホームセンターに足を運んだのですが、何件かハシゴしても一向に見付かりません。
最近はホムセンPBの安価なシリコン製自己融着テープもあるそうですが、こちらも同様に見付からず仕舞い。
こりゃネットで探した方が早い。
そう切り替えて帰宅しようとしたところ、ちょっと気になる商品を見付けてしまいます。
それがこちら、割とどこのホームセンターでも売っているニトムズの自己融着テープです。
本来の用途は水道管や電装用ですが、テープの程よくマットな質感が実に素敵。
素材もブチルゴムと必要十分、おまけに2mとはいえ価格はテサ製の1/3と願ったり叶ったりの仕様です。
本命が手に入らないなら試してみるかと、あまり期待せずに二つほど購入したのですが、結果としてこれが大正解でした。
自己融着テープはテープ同士がくっつく性質上使い方に癖があり、テープを引っ張りながらテープ自体を1/2程度重ねながら横にずらしつつ巻き付けていきます。
ロードバイクのバーテープ巻きと同じ要領ですが、それ故にピンポイントで貼り付けるパッチ的な用途には全くの不向き。
自転車のフレームに使う場合は巻き付け可能な箇所であることが必須となります。
取り合えずリアフェンダーを固定するための保護テープとして使ってみましたが、差し障りのないマットブラックのテープが思いのほかフレームに馴染みました。
パッと見はチェーンステーに巻いた保護用の古チューブ風でしょうか。
因みに、引っ張りながらフレームに巻き付けていく過程で力加減の違いからテープが僅かに白化して色合いが不均一になりがち。
それほど目立たないので諦めていたのですが、時間を置くと不思議と元のマットブラックに戻ってくれます。
フロントフェンダーもタイラップで固定する部分に控え目に巻き、こちらはフォーク自体がマットブラックなだけに更に親和性が高いですね。
赤矢印の部分がそうですが、下のアウターレッグ部分は特に目立たない感じに仕上がっていると思います。
余談ですが、より保護性を高めたいなら下地に3Mテープを巻きその上から自己融着テープを巻くのもアリです。
仮に3Mテープの貼り付きがイマイチでも上からぐるぐる巻きにしてしまうので問題はありません。
まとめ
最後になりますが、つや消しでパッチ的に使えそうな製品と海外製の自転車専用品を幾つかピックアップ。
自転車用として使い勝手が良さそうなのが上画像のハッピークロイツの『カーラッピングテープ』でしょうか。
製品名にもある通り自動車メインの代物ですが、粘着面にエア抜き溝があったり粘着力を抑える特殊糊が使われていたりと中々の創意工夫がみられ、任意にカットして使用可能。
保護性も高くマットブラックは汎用性も高そうなので、パッチ的に使いたい場合や仕上がりの綺麗さにも拘りたい場合にオススメかも知れません。
同じハッピークロイツ製のカーラッピングテープには『ステルス』と呼ばれるつや消し半透明も存在し、マットブラック以外のつや消し塗装にはこちらを使うのが良さそうです。
別記事で実際の使用感についてレビューしていますので、興味のある方は是非ご覧ください。
海外の自転車専用品に目を向けると『Lamin-x』のフレームテープガードと『RideWrap』のバイクプロテクションがなかなか良さげ。
自転車に特化したマット塗装用の保護テープということで、まさに私の求めていた製品ですが、海外製だけに割高ですし国内での入手性が悪いのも悩みの種。
Lamin-xは1.5m長をロールで購入できますが、RideWrapはDIYできるロールタイプの『By the Foot』が国内では入手が難しい状態です。
RideWrapはMTB用のプロテクションフィルムとして人気が高く、車種別にカット済みになった物の方が有名かも知れませんね。