前回の記事で紹介した、ファットバイク用の軽量アルミホイール“BR 2250 CLASSIC”を予告通り、早速セットアップしてみます。
DT Swiss製の新ホイールにディスクローター・スプロケット・リムストリップの三点を取付けしていきますが、旧ホイールも引き続き利用する予定なので、今回は部品を移植せずに新規に購入したパーツを使用する事にします。
選択ミス?今回取り付けるディスクローター&スプロケット
今回使用するのがコチラ、ディスクローターはシマノ SM-RT10 180mm で初のセンターロック式です。
一年目にディスクブレーキを油圧式から機械式のBR-M375に交換した際に、ローターはHAYES製を使い続けていましたが、このSM-RT10が本来BR-M375に使用するローターだそうで、レジンパッド専用のワイドタイプとなります。
スプロケットは旧ホイールに使用している物と同じシマノ CS-HG50-10で11-36Tの10速仕様です。
どうせ交換するなら、10速のまま40Tか42Tのワイドコグ化も考えましたが、冒頭で触れた通りホイール二組による使いまわしを予定しているので、今回は互換性を重視して選びました。
因みに、リムストリップ(リムテープ)ですが、ホイールに取付け済みの状態だったため、今回はDTSwiss純正品のまま、しばらく様子見です。
リムに取付けるとキツキツになるSURLY製リムストリップと比べて、随分とユルユルなのが気になりますが、ズレてチューブが露出すると簡単にパンクしてしまうので、低圧時は注意を払ったほうが良さそうです。
今まで使用していたスプロケットと全く同じとは言え、実際に計量してみるとやっぱり重いです。
ホイールの中心部分に位置するパーツなので軽量化しても恩恵は薄いですが、10速で歯数も同じSRAM XG-1080が238gですから、少し気になる部分です。
旧ホイールと全く同じと言う部分に拘りがなければ、CS-HG50-10よりも50gほど軽く価格も近いCS-M771-10を選びたいところですね。
SHIMANO Dyna-Sys XT
カセットスプロケット CS-M771-10 11-36T
DT Swiss”BR2250″はディスクローターの取付部分にセンターロック式が標準採用されているため、今回の作業は私にとって初めての経験になります。
ポン付けしてからロックリングを締めるだけの2ステップで済むので、6ボルトタイプよりも取付が簡単に済むそうですが、個人的に重量増が気になるところでしょうか。
試しに計量してみると、予想通りロックリング込みで231gと結構な重さです。
新ホイールには6ボルト用のアダプターが付属しているので、こんなに重いのなら6ボルトタイプの軽量ローターを選んだ方が良かったのでは…と少し後悔しました。
6ボルトアダプターの重量が32gですから、SM-RT10とそれほど価格の変わらないアシマ製やKCNC製の軽量ローターと組わせた方が100g近く軽くできます。
しっかりと下調べをすれば防げた失敗ですが、これは後々交換する可能性が高いですね。
ディスクローターとスプロケットの取付けに思わぬ落とし穴
まずはスプロケットの取付けですが、フリーボディ部分とロックリングに薄くグリスを塗布し、ロックリングを手回して仮止めします。
取付方法については、そこかしこで散々解説されいるので詳細は割愛しますが、最低でもスプロケットのロックリングを締める専用工具が必要になります。
さて、本締めには説明不要のロックリング締付け工具“フリーホイールリムーバー”の出番となり、指定トルクは40Nmと結構な数値です。
生憎その数値まで設定できるトルクレンチを持っていないので、今回は貧相な私の力を使って限界まで締め付けました。
因みに、今回は取付けだけなので、細切れチェーンがぶら下がった工具”フリーホイールチューナー”の出番はありません。
続いてディスクローターの取付けとなりますが、前述の通りセンターロック式の取付けは今回が初です。
事前に下調べしたところ、こちらも先ほど使用したスプロケット用のロックリング締付け工具が役立ってくれる様で、特別難しい事は無さそうです。
ローターに付着する恐れがあるため塗布しない事が多いそうですが、念のため綿棒で取付け部分とロックリングに薄くグリスを塗布してから、手で回して仮止めします。
再び、先ほどのロックリング締め付け工具の出番となり『本当にポン付けで簡単ですね!』と恙なく作業が終了する予定でしたが、無知な私はようやくココで異変に気が付きます。
あれ?おかしい、工具がハマる場所が無い…
上画像の様に工具がフィットしそうな場所が何処にもありません。
まじまじとロックリング周辺を眺めてみると、内側と外側の二か所に何らかの専用工具に対応した溝が確認できます。
慌ててPDFマニュアルを調べてみると、SM-RT10の取付けには二通りの方法があり、従来のスプロケット用工具が使えない仕様になっていました。
恐らくMTB用のスルーアクスルに不向きなのが原因だと思われますが、内側溝にはTL-LR11と言うココでしか使わない専用工具が必要で、外側溝にはTL-FC36と言うホローテックII BBユニット取付工具を流用する仕組みです。
残念ながら、専用工具はもちろんホローテックII用の工具も持っておらず、ここで足止めを喰らうことになります。
結局、他の用途に使えないTL-LR11を注文せずに、シマノ純正のホローテックII 用工具TL-FC36を購入する事に決めたのですが、純正品が思いのほか高価だったため評判の良いPWT製を注文します。
2日後に届きようやく作業が再開できますが、この工具はファットバイクのBBを交換する必要のあるフロントシングル化の際にも役立つので、今回の件は良い機会だったと思うことにします。
ロックリングの外周にピッタリとフィットし、こちらも指定トルクは40Nmです。
画像を見てわかり通り、工具の性質上ロックリングへの掛かりが浅く、慎重に締め付けないとローターに傷が付いたり、ロックリングを舐めかねない使い心地です。
トルクレンチを使うなら今回選ばなかったTL-LR11の方が、しっかりとした締め付けが出来ると思います。
余談ですが、ローターを取付けた後に仕上げとしてオレンジ色のwarningテープを剥がしたのですが、粘着力が強すぎるせいか糊がローター側にしつこく残ります。
粘着力の強いダクトテープで糊を移し取り、何とか処理できましたが、いくらパッドが触れる部分では無いとは言え、安易にクリーナーを使えないローター部分にこの仕打ちはキツイですね。
まとめ
センターロック式に苦戦したものの、フロント・リア共にすべてのパーツの取付けが終了し、最後にパーツ込みでの重量を計測してみます。
因みに旧ホイールはフロントが1660g、リアが2190g(測定不能のため概算値)でした。
結果はフロントが1350gで310g減、リアホイールが1865gで330g減とトータルで640gの軽量化となりました。
下調べがしっかり出来ていれば、ここから更に300gほど軽く出来ましたが、そのあたりは後の楽しみに取っておく事にしましょう。
一年ほど前からファットバイクの軽量化をコツコツと続けていますが、タイヤ・チューブ・ホイールだけで、累計1760gも軽くなっています。
タイヤが本体と称されるファットバイクだけに、足まわりにはダイエットの余地がかなり多く、これに今回の取りこぼし分とチューブレス化が加われば、2500g減も夢ではありません。
余談ですが、ホイール交換の仕上げとして、旧ホイールからスリックタイヤの”SURLY BLACK FLOYD”を移植した際に、今までファットバイクのタイヤ装着で一度も出番のなかった、タイヤレバーを初めて使用しました。
ファットバイクはタイヤを素手で簡単に外せ、旧ホイールはパンクしたら即ビード落ちが確定でしたが、このホイールはタイヤレバーが必要なだけにパンクしてもタイヤがリムから簡単に脱落してしまう事は無さそうです。
試走した感想
時間と天候に恵まれず、ホイール交換後に中々試走できませんでしたが、やっとその機会が巡ってきました。
外観は画像の通りで、リムの色がハデハデなゴールドからシックなマットブラックに代わり、リムに合わせてゴールドにしていた、コラムスペーサーとシートクランプもブラックに変更しています。
全体的に落ち着いた印象になり、何故かタイヤのボリューム感も控えめに見えますが、良い意味でファットバイクっぽくなくなり、わざと人通りの多い場所を走っても、以前よりも視線を集めなくなったのが地味に嬉しいですね。
さて、肝心のホイール交換による走りの変化ですが、体調が最悪だった上にタイヤの空気圧をいつもより低く設定した影響からか、40kmほど走ってもイマイチ効果が実感できませんでした。
足まわりが600g以上軽くなっているのに可笑しな話ですが、以前よりもラチェット音が大人しくなった点や、タイヤの扁平率の変化からかカーブで若干曲がりずらくなった点など、現時点ではホイール交換による違和感の方が大きいでしょうか。
いずれ慣れると思いますが、このコンディションで40km走っても、以前より疲労感が少ないのが、何より効果があった事の証明なのかも知れません。
次回は体調も空気圧も万全の状態で挑みたいところですね…体調の悪い時は本当にペダルが重く感じます。
【追記】後日、体調を整えタイヤの空気圧を旧ホールと同じ2.0barにしてリベンジしてみました。
前回感じたカーブでの曲がりづらさは、どうやら空気圧が関係していたらしく、操作感は元通りになりました。今回はハッキリとホイール軽量化の効果が実感でき、特に漕ぎ出しの軽さは今後予定しているチューブレス化に期待が持てる結果でした。