欲しい…でも高い!『振れ取り台』と手組ホイールに必要な工具の話

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これに手を出してしまったら、立派な自転車ガチ勢。

個人的にそう思っている工具がふたつあります。

ひとつはタッピングやフェイシングツール。

もうひとつは、本日の主役「Wheel Truing Stand」こと振れ取り台です。

この工具はスポークの緩みによるホイールの縦振れや横振れを修正する用途はもちろんですが、ホイールの手組にも必須なシロモノ。

ホイールを自分で一から組み上げることが可能になるため、お好みの組合せでカスタマイズできたり、破損した部分だけを交換したりと、活用できれば確実に新たな地平が開けます。

ですがこの振れ取り台……

精度の高い真っ当な製品がとにかく高価で、使いこなすのにも慣れや技術が必要と、工具としてはなかなか手の出しづらい存在なのも事実。

おおよそエントリーモデルのクロスバイク一台分のお値段となり、安い買い物になるのか高い買い物になるのかは、購入後の身の振り方に委ねられます。

結局、完組ホイールを購入した方が遥かに安上がりだった。

使い続けなければ、そんな後悔も当たり前のように起こり、投資分を回収するにはホイールを手組するのが当たり前のような自転車ライフを送ることが大前提。

私自身、そこまでの覚悟はないので購入を渋り続けていますが、ファットバイク乗りにとって手組ホイールには特別な意味があり、振れ取り台には憧れに近い感情もあります。

冬に乗る自転車というイメージが強いファットバイクも、使用するホイール次第ではオンロードもオフロードも行けるオールシーズンバイクにカスタマイズが可能。

ファットバイクのハブ規格はフロントエンド幅150mm、リアエンド幅197mmのスルーアクスルが主流。

この特殊ハブに29インチや27.5インチ用のナローリムを組み合わせることでタイヤの選択肢が一気に広がり、ハードテイルMTBやクロスバイクに迫る走行感を発揮してくれるようになるのです。

さて、例によって前置きが長くなりましたが、今回は代表的な「振れ取り台」を幾つか紹介すると共に、手組ホイールに必要となる工具類や初期費用の目安についても話題にしてみましょう。

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振れ取り台以外にも…手組ホイールに必要な工具あれこれ

冒頭でも触れたように、振れ取り台は決して安い買い物ではありません。

振れ取り台だけは購入できたけど、そこで予算が尽きてしまった……

こんな失敗もあり得るので、ホイールの手組に必要となる振れ取り台以外の工具にも少しだけ触れておきます。

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まずは画像左の【スポークテンションメーター】

熟達者になるとスポークを叩いた際の音でスポークテンションが判断できるようになるため必須という訳ではありませんが、使用するリムやスポークの太さによってスポークテンションの許容範囲が異なり、使用する人の体重でも値は変わってきます。

やはり数値で把握できると安心感が違いますし先人の導き出した数値も参考にできるため、できる限り備えておきたいところ。

また、スポークテンションメーターにはアナログ式とデジタル式の二種類があり、価格はアナログ式が¥3000前後、デジタル式は安価な物で¥6000前後が相場となります。

お次は画像右の【ニップルレンチ】でスポークレンチとも呼ばれますね。

その名の通りスポークテンションを調整するニップル用のレンチで、これがないと話になりません。

ニップルのサイズによって幾つかの種類があり、一つで複数のサイズに対応できる製品もありますが、手組ホイール用にはシンプルで使いやすい形状の製品がおすすめ。

因みに、画像右上のパークツール製には3面タイプと4面タイプの二種類があり、ニップルとの接触面が多い4面タイプは柔らかく変形しやすい真鍮やアルミ製ニップルとの相性が良く、強いテンションも掛けやすい作りです。

価格は¥500前後と安価で、評判の良いパークツール製でもひとつ¥1200前後と手の届きやすいお値段。

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続いては画像左の【リムセンターゲージ】でホイールセンターゲージとも呼ばれます。

実際に使ってみないとイメージが湧きづらい製品ですが、リムがハブに対して左右対称位置になっているかどうかを調べる工具。

弓のような形状や脚を開いたコンパスのような形状になっている製品が多く、ホイールの手組には欠かせない工具となります。

価格は¥3000~10000弱と振れ幅が大きいですが、¥5000前後の製品で十分な印象でしょうか。

一応、振れ取り台とセットで販売されている場合もあります。

最後は振れ取り台の精度を上げてくれる画像右の【ダイヤルゲージ】です。

上位モデルの振れ取り台には標準で備わっていることもありますが、大抵は後付けの別売り。

汎用品のダイヤルゲージが使用可能な場合もあり、ゲージの裏面に赤矢印のような「耳金」が備わっていることが条件になっている場合も。

仮にダイヤルゲージが無くても振れ取り台の使用自体には全く不都合はありませんが、こちらもスポークテンションメーターと同様に、ホイールの振れ幅を数値でしっかりと把握できるのが利点。

気になるお値段はパークツールの純正品がセットで¥40000超と思わず二度見する価格設定、代替として期待したい汎用品の場合はひとつ¥5000前後が相場になるでしょうか。

余談ですが、振れ取り台はディスクローターの歪み修正にも流用でき、ダイヤルゲージがあるとより高精度な調整も可能です。

手組ホイールに必要となる振れ取り台以外の工具を幾つか紹介してみましたが、【1】スポークテンションメーター【2】ニップルレンチ【3】リムセンターゲージ、これら三つは確実に押さえておきたいところ。

必須ではないダイヤルゲージを除いた総価格は大体¥7000~12000くらいになるので、振れ取り台とは別に予算を割いておくのをお忘れなく。

ホイールを手組するには、この他にリム・ハブ・スポークも個別に購入しますし多少のケミカル類も必要になりますから、初期費用を考えると完組ホイールに逃げたくなるのも納得ですね。

「振れ取り台」あれこれ、最大エンド幅とスルーアクスル対応に注目

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いよいよ本題となる振れ取り台を幾つかご紹介。

トップバッターは言わずと知れたParkTool/パークツールの製品です。

画像左がパークツール製で最も安価な「TS-8」となり、残念ながら現在は生産終了していて市場在庫を残すのみ。

ホイールサイズは16~29インチに対応、対応エンド幅は最大170mm、アダプターでスルーアクスルにも対応します。

価格は¥35000と廉価品にしては割高、概ねホームユースには十分という評価ですが、構造上ホイールを途中でひっくり返して片側ずつ振れ取りしなければならないのが結構面倒。

画像右がミドルグレードあたる「TS-2.3」で価格は¥90000弱とこちらも高額。

とはいえ、実売価格は¥60000強とギリギリ手の出せる価格なので、パークツール製ならこのモデルが狙い目ですね。

ホイールサイズは最大29インチに対応、対応エンド幅は最大200mmで対応リム幅が最大102mm、アダプターでスルーアクスルにも対応します。

個人的にファットバイクのハブ規格に対応しているのを嬉しく感じる反面、別売りのスルーアクスルアダプター「TS-TA」やワイドハブ用アタッチメント「TS-2EXT.3」が共に¥10000超と割高な点に若干の不満も。

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そして最上位グレードとなるのがこちらの「TS-4.3」で、画像左にある旧モデル「TS-4.2」からバージョンアップしています。

ホイールサイズは最大29インチに対応、対応エンド幅は75~250mmで対応リム幅が最大127mm、タイヤ幅は最大152mmに対応と、一体どんな自転車がこの条件を満たすのかを逆に聞きたいくらいの仕様。

最上位グレードだけに「TS-2.3」で後付けだった機能が最初から備わっていて、もちろんスルーアクスルにも対応します。

これで価格が安かったら……そう思わずにはいられませんが、価格は無慈悲にも¥130000強。

因みに、旧モデルの「TS-4.2」はまだ市場に出回っていて、こちらの実売価格は¥100000くらい。

新旧の違いは対応する最大タイヤ幅の違いだけだそうで、旧モデルが5インチ/127mmに対し新モデルは5.5インチ/152mmとのこと。

恐らく多様化しているイーバイクやモペットへの対応を見越したバージョンアップなのかも知れませんが、それ以外の仕様は全く一緒なので、あえて旧モデルを狙うのも手です。

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鉄板のパークツールに続いては、妙に既視感のあるPWTの振れ取り台「WTS12」です。

一応説明しておくと、PWTは自転車用工具を扱う台湾ブランドで工場直販による低コストな製品が魅力。

PWT製の工具は私も幾つか所有していて、メーカー純正工具が高すぎて手が出ない時なんかに、ちょくちょくお世話になっています。

さて、あえて核心には触れませんが、こちらの振れ取り台は某社ミドルグレードの製品とほぼ同じ機能を有しつつも、お値段は直販価格でなんと¥19800ナリ。

上画像に含まれる別売りの工具諸々を一緒に購入しても¥30000程度で済んでしまう恐ろしいコストパフォーマンスを誇ります。

これだけ安価だと、どこかに落とし穴があるのでは?と疑いたくなりますが、利用者のレビューは真っ当そのもので、注意点は別売りセンタリングゲージ「CG13」が必須なことくらいでしょうか。

ホイールサイズは20~29インチに対応、対応エンド幅は最大190mm、付属のアタッチメントでスルーアクスルにも対応と、ホームユースなら十分すぎる機能を備えていますが、ファットバイク乗りには残念な点がひとつ。

対応エンド幅は最大190mm

そうなんです、リアエンド幅が197mmの5インチファットバイクには使えないのですよ……

正直、某社のワイドハブ用アタッチメント「TS-2EXT.3」を流用すればワンチャンあるかも知れませんが、現物合わせしか確認する術が無いのがつらいところ。

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そしてお次はこちら、正直あまり良い評判を聞かないMINOURA/ミノウラ製振れ取り台の面々。

外観の良い製品が目立つものの、どの製品にもある種の使いづらさや欠点があり、某所のレビューでは酷評された過去も。

実際に使った方が多いせいか一番グレードが低い画像左「FT-1」シリーズの評価が比較的良好。

スルーアクスルには対応していませんが、どうしてもミノウラ製から選ぶなら実売価格¥10000強のこちらがオススメです。

因みに、画像右の二種類が上位モデルとなり、エンド幅197mmの5インチファットバイクにも対応します。

うろ覚えですが、最上位モデルの「FT-500 PRO」はアーム類の固定の弱さや各部の使い勝手などが多少改善されているそうで、有難いことにセットでダイヤルゲージも付属。

価格は実売で¥38000と手が届きやすく、ファットバイク乗りとしては多少の不自由さは覚悟してでも試してみたくなる振れ取り台でしょうか。

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続いて、おまけ的に紹介するのがGORIX/ゴリックスの振れ取り台「GT-WEE」です。

価格が¥7000と飛び抜けて安価なだけに精度が低く本体も不安定という評価も聞かれますが、目的を振れ取りに限定すなら十分に実用範囲な製品。

ホイールサイズは16~29インチに対応、対応エンド幅は最大190mm、驚いたことにΦ20mm以外のスルーアクスルにも対応します。

何気に16インチまでの小径車に使える点が嬉しいですが、29インチホイールはタイヤを付けたままの作業ができないといった29er泣かせな制限も。

手放しでオススメできる振れ取り台ではありませんが、コンパクトに折り畳めるためホームユースとしてだけでなく、車載用として緊急時に備えておくのも悪くありません。

言い忘れましたが、上画像の振れ取り台・リムセンターゲージ・スポークテンションメーターの全てをGORIX/ゴリックス製で揃えた場合、予算はトータル¥15000だけで済みます。

まあ、手組ホイール用として使う方は少数派でしょうけど。

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最後に紹介するのは、HOZAN/ホーザンの振れ取り台「C-300」です。

無骨な見た目ながら、シンプルで使いやすい上に高精度という願ったり叶ったりな振れ取り台。

価格は¥63000弱と少し割高な印象なものの、実売価格は¥50000前後と意外にリーズナブル。

実際の評価も上々で、別売りのアタッチメントで自動二輪用としても使えるのが面白いところ。

ホイールサイズは12~29インチに対応、対応エンド幅は50~20mmで対応リム幅が10~150mm

別売りのアクスルハブ用アタッチメント「C-301」を使うことで、Φ12~20mmのスルーアクスルにも対応します。

また、この振れ取り台はファットバイクに対応するだけでなく、標準でディスクローターの歪み修正にも流用できる仕様。

しかも、耳金付きなら市販のダイヤルゲージも取付できるとのことで、数値による精度の高い調整にも期待できます。

あえて欠点を上げるなら、別売りのデジタル式スポークテンションメーターやリムセンターゲージが高価なことで、手組ホイールに必要な工具一式を全てHOZANで統一しようとすると、予算が高くついてしまうことくらいでしょうか。

予算が許すなら、間違いなく本命にしたくなる振れ取り台ですね……ぶっちゃけ私も狙っています。

まとめ

手組ホイールに必須な振れ取り台や必要となる工具類について話題にしてみましたが、眠っていた私の物欲が久々に再燃するのを感じました。

特にHOZANのC-301はずっと気になっていた製品なので、実売価格が控えめなうちに入手しておきたくなります。

ファットバイク用の手組ホイールは長年の夢ですから、是非とも実現したいところ。

私の場合、ファットバイクに使えるか否かという縛りがありましたが、それが無ければPWTの「WTS12」あたりが良い落しどころになるかも知れませんね。

因みに、怪しい中華メーカーまでターゲットを広げるとダイヤルゲージ付きで¥20000以下なんて製品も。

流石に精度や剛性に不安があるため安易に手は出せませんが、ミノウラの前例があるだけにブランドだけで評価するには惜しい印象もあります。

振れ取り台ではありませんが、デジタル式のスポークテンションメーターは中華製でも良い仕事をしてくれるとのこと。

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