毎年のことですが、初冬の恒例行事となっているのが防寒装備の見直し。
日常生活で使用する物はもちろんですが、冬場の自転車用やウォーキング用などは特に頭を悩ませ、アウター・ボトムス・シューズ類はできる限り機能性に優れる製品を選ぶようにしています。
昨シーズンの使用感を鑑みて買い替えの判断をしていますが、今シーズンはどうやらボトムスとシューズが対象になりそう。
とりあえずはシューズから手を付けてみるものの、昨年の冬に使用したメレルの「サーモローグ2」が私の中でかなりの高評価。
このサーモローグ2は登山靴並みのゴツさとは裏腹に、雪道や凍結路での普段使いだけでなく自転車用として使ってもぺダリングに差支えが無いという、なんとも不思議な使用感を備えたシューズ。
防水性・透湿性・保温性・防滑性はもちろんのこと、リール状のツマミで素早く着脱&調節できるBOAフィットシステムがとにかく秀逸で、深雪にはまっても靴の中に雪が一切侵入しない優れモノです。
これ以上の冬靴にはもう出会えないかも……なんて思っていたのですが、残念ながら不良品にあたってしまったようで、保証期間内の使用一ヶ月で泣く泣く返品する羽目に。
同サイズの在庫が既に無かったため、再生産を見込んで今シーズンに買い直すつもりでいたのですが、悲しいかなサーモローグ2は廃番となり、紐靴仕様のサーモローグ3へとバトンタッチとのこと。
バージョンアップして逆に良いのでは?と思うかも知れませんが、シューレースを使うブーツ類は金属製のフックがペダリングの際にクランクアームを傷付けてしまうので、自転車用としては不向き。
そもそも紐靴は自転車と相性が悪く、走行中に解けると落車やメカトラの原因になりかねません。
さて、他に良い代替品は無いものかと散々探してみましたが、サーモローグ2並みに歩行と自転車を両立させてくれそうなウインターシューズは見つからず、渋々オールインワン的な志向を断念する流れに。
出費が二倍になってしまうため懐事情は厳しい限りですが、奇しくも私にとってはじめての自転車専用シューズを選ぶ好機となりました。
国内では少しばかりマイナーですが、今回は私が購入したVAUDE/ファウデの冬用MTBシューズの詳細や使用感について話題にしてみたいと思います。
日本人向きなサイズ感「VAUDE/ファウデ」MTB用シューズの詳細
私自身、VAUDE/ファウデというブランドを全く知りませんでしたが、日本国内ではアウトドア用のバックパックの方がよく知られているドイツのブランドです。
前述した通り予算が厳しいので、当初はタイミング良くWiggleでセール価格だったFIVE TEN/ファイブテンのゴアテックス製シューズを購入するつもりでいたのですが、辛うじて冬用ではあるもののシューレースタイプな上にアウトソールのパターンが雪道で全く役に立たない雰囲気。
サーモローグ2に似た仕様のシューズを探し続けてようやく辿り着いたのが、上画像の「AM Moab Mid winter STX」で、ミッドカット仕様のフラットペダル対応MTBシューズ、もちろん冬用です。
余談ですが、ファイブテンがいつの間にアディダスの傘下に……そういえば昨年に店舗での取扱いが一斉に終了した時期がありましたね。
さて、仕様を見る限りゴアテックス製でこそありませんが、防水・防風・保温・透湿・BOAフィットシステムと隙の無い仕上がり。
ですが、MTB用シューズはスケートボード用のシューズと同様にアウトソールがフラットになっているのが当たり前なので、雪道での防滑性に不安が残ります。
雪道での使用感が気になったのでファウデの公式ページで確認してみると、上画像のように思いっきりスノーライドで使われていました。
アウトソールの素材やパターンを見る限り、ファイブテン製よりも遥かに良い仕事をしてくれそうですし、雪道への適性は明らかにこちらの方が上です。
仮に駄目だったとしても、Vibram社の「ポータブルパフォーマンスソール」なんてワンタッチで装着できる便利な防滑ソールもありますしね。
雪道でもそれなりに使えそうだったので早速注文、もちろん国内では取扱いが無いので海外通販を利用しました。
因みに、価格はユーロ円換算で22000円くらいでしたが、受取りの際にいつもより多い輸入消費税を請求され、少し焦ります。
革靴に30%の関税が掛かることは知っていましたが、皮革を使用していないスポーツシューズでも8%なんですね、自転車用品の輸入消費税に毛が生えた程度の増額でしたが、今後は注意したいところ。
カラーはブラック、サイズはEU44となり、今回の購入で最も頭を悩ませたのが、このEUサイズってヤツです。
UKサイズとUSサイズは国内でも触れる機会が多いので悩むことは少ないですが、EUサイズは調べれば調べるほどわからなくなりました。
一応、EUのサイズ数に0.67を掛けるとcmに換算できるらしいのですが、実はこの数値は足先の捨て寸を含む靴の内寸値だそうで、足の実寸を基準とした日本のサイズ表記とは異なっています。
おまけに、捨て寸の扱いが革靴とスポーツシューズとで違いがあるとかなんとか……もう不安しかありません。
試し履きできない通販、加えて返品や交換が面倒臭い海外、これはもう博打の域ですが、併記されているUSサイズを参考にして選ぶのが最も低リスクな方法でした。
正直、私の足長の実寸は27~27.5cmなのでEU43あたりがジャストですが、リスク回避のために大き目のEU44、日本サイズ28.5cm相当を選んでいます。
何気に一番笑えたのが、化粧箱の裏にわかりやすいサイズ換算表がデカデカとプリントされていたこと。
私が選んだEU44だとセンチ換算で28.1cmとありますが、この数値が何に対応しているのかは不明、馴染みのあるUSサイズを基準に選ぶなら私の場合はワンサイズ下のEU43がジャストサイズみたいです。
化粧箱から取り出してみると、外観はかなりしっかりとした作り。
この手のスポーツシューズは高価でも細部の作りが雑だったりしますが、丁寧な仕上がりに一安心です。
意外だったのが足先の形状で、海外製シューズにありがちな足幅の狭さが見られません。余裕を持たせたラウンドトゥになっていて、軽く足入れしてみても窮屈感は皆無でした。
日本人向きな足型だったのは嬉しい誤算ですね。ドイツはフットケア先進国なので、その辺が影響しているのかも。
自転車専用シューズということで、後部には割と大き目のリフレクターがあります。
この方が夜間は安全ですし、気になるほどではありませんが、もう少し控えめの方が私好みかな。
サイドシルエットはこんな感じで、冒頭で触れたサーモローグ2に似ています。
ベルクロ×2、BOAフィットシステムの計三箇所で履き心地を調節でき、EU44でも大きすぎる印象は薄いですね。
足首まわりで固定できるブーツタイプだったこともありますが、これがローカットだったら歩行に差し支えるレベルの違和感が出たかも知れません。
足首まわりはネオプレンと圧縮フリースを組み合わせたような素材感で、動きを阻害しないようにストレッチ性もあります。
防水仕様ですが、実際の構造を見る限り完全防水なのは中央ベルクロの上端ラインまでですね、それ以上の高さになると、普通にシュータン部分から浸水するので過信は禁物。
防寒用として、シュータンや内部のアッパー部分に化繊中綿のプリマロフトが封入されています。
最近はプリマロフトやシンサレートなどの化繊中綿を採用したアウターが増えていますが、ダウンと違って濡れても保温性が損なわれず、お手入れも簡単なのが強味です。
一番気になっていたアウトソールはご覧の通り。
噂には聞いていましたが、足入れしてみるとMTB用シューズのアウトソールは本当に硬く、登山靴なみにガレ場を歩けそうなほど。
アウトソールの中央部分はMTB用シューズによくあるトレッドパターンですが、つま先と踵部分には変化を持たせ、トレイルや雪道でも車体を押し歩きできるようなラグ形状が採用されています。
ぶっちゃけ、歩行主体のウインターシューズと比べると防滑性は間違いなく力不足ですが、MTB用シューズとしてならギリギリ合格点でしょうか。
この辺りは、実際に雪道を歩いてみないと判断がつきませんね。
アウトソールがしっかりしていたので実重量を測定してみると、片側522gとミッドカットのハイキングシューズとほぼ同程度でした。
重さの大半がアウトソールの素材に費やされていますが、実際に手で持ってもずっしりとした感覚はありません。
最後に気になるサイズ感ですが、足幅に余裕のある標準サイズとなり、特に大き目を選ぶ必要はないでしょう。
仮に厚手のソックスを想定してワンサイズ大き目を選んだとしても、調節箇所が豊富な上に足首でフィットさせられるブーツタイプですから、ローカットよりもサイズ面での失敗が少ないと思われます。
ちょっと早いけど試し履き!「VAUDE/ファウデ」MTB用シューズの感想
積雪があるまで使用を待つ予定でしたが、着用感を確認する目的で近場の野池まで紅葉ポタリング。
昨シーズンもほぼ同じ時期に訪れた場所ですが、そろそろフルサス29erからファットバイクへとバトンタッチする頃合いとなりました。
カジュアルなジーンズで臨んでしまったせいで、初っ端から裾部分の処理に苦戦します。
外出着で実際に足入れしてみると、ブーツシャフトが予想していたよりも太く、裾幅の狭いパンツとの相性が今一つでした。
ロールアップで何とか誤魔化せましたが、裾バンドの位置がいつもよりも上になってしまい、微妙に落ち着きません。
この辺りの着こなしは、試行錯誤が必要かも知れませんね。
MTB用シューズとはいえ、ミッドカットなだけに足首まわりに圧迫感や動きづらさがあり、走り出した直後は違和感バリバリです。
硬めのアウトソールによる足裏感覚の鈍さにも戸惑いましたが、それも最初の30分だけの話で、目的地に到着する頃には、しっかりと体に馴染んでくれました。
何の変哲もない、どこにでもある野池ですが、管理された農地用の溜池でもあります。
農繁期が終わったこの時期は滅多に人が訪れず、私以外に人の気配はありません。
多過ぎた昨年と比べて、今年はクマの出没が控えめな傾向ですが、それでも撮影中に背後から聞こえてくるガサガサ音には、終始ビビりっぱなしな私。
前日までの雨で道がぬかるんでいましたが、防水シューズなので躊躇なく進めます。汚れが落ちやすい素材なのも嬉しいところ。
昨シーズンに訪れた際はすっかり落葉していましたが、今年はギリギリ紅葉に間に合ったようです。
大した眺めではありませんが、MTBで訪れて無為に過ごすのも悪くありません。
帰途につく頃にはこのシューズの癖のような物が掴め、MTB用シューズであること実感できるようになります。
フラットペダル用だけあって兎に角ペダルへの喰い付きが良く、カジュアルシューズとは一線を画す使用感。
アウトソールの硬さも手伝って、仮にペダルに半分しか足裏が乗っていなかったとしても、危なげなくペダリングができるほど。
フルサス29erにはスパイクピンがマイルドなエクスペドの「SPRY」ペダルを使っていますが、こういった街乗り用の甘々スパイクピンでさえ、アウトソールのハニカム構造がしっかり捉えて逃しません。
因みに、このエクスペド「SPRY」は踏面サイズがL106 x W100 x H11mmと大き目にもかかわらず、重量が250g強と恐ろしく軽量なのが魅力です。
また、ライド中に意図的に車体を押し歩きしてみましたが、硬めのアウトソールに違和感を覚えることもなく、ちょっとした歩行用としても過不足ない履き心地でした。
後日に履き方を試行錯誤した結果、ブーツインがベストだと判明。この方法は裾バンドが不要になりますし、登山用のゲイターのように靴の中への雪や異物の侵入も防いでくれます。
初冬のこの時期は服装が寒さに対して中途半端なことが多く、知らず知らずのうちに体が冷えてしまうことも多いのですが、ここ数回のライドでは足だけが終始ポカポカ状態。
防風かつ中綿入りなので当然といえば当然ですが、足先に適度な空間もあるため、シューズカバー無しでも足先から冷気が伝わってきません。
フィット感が求められるビンディングシューズでは無理な話ですが、適度なゆとりが防寒性にも一役買ってくれているようです。
まとめ
はじめて本格的なMTB用シューズを購入してみましたが、これは沼にハマってしまいそうな予感。
私はちょっと長めの散歩やウォーキングも趣味にしているので、自転車とシームレスに使える靴の方が好みだったのですが、流石に専用品は一味違いますね。
防寒性も高く、今季は愛用している防水・防風ソックスの出番が無くなってしまうかも知れません。
真冬以外だとオーバースペック感が否めませんが、ファットバイクのスノーライド時には良き相棒になってくれそうです。