半年ほど前の話ですが、愛車のファットバイクにレバー操作ひとつで伸縮自在なドロッパーシートポストを装備しました。
このドロッパーシートポストは一度使うと手放せなくなるくらい便利な反面、テールライトやサドルバッグなどのスポーツ自転車には欠かせないアクセサリー類に相性問題が発生します。
幸い、私はサドルレールに一点で固定するタイプのサドルバッグを使っていましたし、フレームバッグやステムバッグ等も併用していたので、それほど不自由を感じませんでしたが、先ごろ増車したフルサス29erの装備品を整えている最中にこの問題がじわじわと表面化してきました。
増車したフルスタッシュ8は標準でドロッパーシートポストを備え、リアショックを装備したフルサス仕様です、実はこの『フルサス×ドロッパーポスト』のゴールデンコンビはテールライトやサドルバッグとの相性が最悪で、条件次第では難しい取捨選択を迫られます。
この組み合わせは、ただでさえ個々のアクセサリーとの相性問題が多いのに、加えてテールライト・サドルバッグ・フェンダーなどが限られた設置スペースを奪い合う様相になり、ますます頭を悩ませる感じでしょうか。
今回は割とニッチな問題に対する解決策を紹介していきますが、『フルサス×ドロッパーポスト』に限らず、ドロッパーシートポストを単体で使用しているハードテイル派にもちょっとだけ参考になる内容かも知れません。
全5箇所『フルサス×ドロッパーポスト』でテールライト・サドルバッグを装着できる場所
さて、手始めに私が思いつく限りでフルサス×ドロッパーポスト車でテールライトやサドルバッグを取り付け可能な箇所について、ざっと確認してみます。
まずは上図の【1】ですが、ドロッパーシートポストの根元部分にあたり、この部分は伸縮しないため、通常のシートポスト同様にアクセサリー類の取付けができます。
ただし、フレームから根元部分が十分に露出していることが条件で、これが不十分だと取付けスペースが確保できなかったり、テールライトを取付けても位置が低すぎてスイングアームで上下動するリアタイヤの陰に隠れてしまいがちです。
続いて【2】です、このスペースには主にサドルバッグを取付けますが、ドロッパーポストの伸縮部分があるため、よくあるベルトで二点どめするタイプのサドルバッグが使えず、サドルレールに一点どめするコンパクトタイプのみ取付け可能です。
また、運良くサドルバッグに何らかのブラケットが備わっていれば、クリップ式やラバーバンド式のテールライトなども取付けられ、一挙両得な場合もあります。
注意点として、ドロッパーポストを一番下げた状態でもサドルバッグがタイヤに接触しないように、サドルバッグとタイヤの間にはリアサスのトラベル量と同程度のクリアランスを確保する必要があります。
【3】はサドルレールの後部で、市販のブラケットを取付ける事でこのスペースにもテールライトを装着できます、ただし一点どめのサドルバッグとは排他利用になってしまうので、携帯品の収納にはツールケース・フレームバッグ・ステムバッグ等の併用が必要です。
視認性が高い場所なのでテールライト優先がおすすめですが、着用するアウター等の裾で発光部分が隠れてしまわないように気を付けたいですね。
テールライトの取付けで最も重宝するのが【4】のシートステー部分です、ハードテイルなら何ら相性問題は発生しませんし、サドルバッグやフェンダーとの両立も比較的容易です。
ただし、シートステーとチェーンステー間の挟角が30度前後と鋭利なフルサスバイクではテールライトが寝てしまい、後方からの視認性がイマイチな場合があるので、出来るだけ角度調整機能の備わった製品を選びたいです。
最後は上図の矢印が明後日の方向をむいている【5】です、これは車体ではなく乗り手にテールライトを装着する方法で、ヘルメット・バックパック・衣類等に取付けるのが一般的でしょうか。
オフ車乗りはバックパック派が多いので意外にお手軽な解決策かも知れませんが、忘れっぽ人には不向きかもしれませんね。
【1】~【5】まで、一通り取付け箇所についておさらいしてみましたが、これらを参考に実際に役立ちそうなアイテムを幾つか紹介していきます。
一点どめのサドルバッグとテールライトを併用する方法
まずは一点どめのサドルバッグとサドルバッグ装着タイプのテールライトを併用する方法です。
実際に見掛ける事も多い方法ですが、実は一点どめのサドルバッグはサイズが小さいものが大多数で、クリップ等でテールライトを取付け可能な製品が殆どありません。
数少ない選択肢の中でおすすめなのが上画像のSPCONNECT製で、どちらかと言えばスマートフォン用のマウントで定評のあるメーカーです。
使い勝手の良いクラムシェル型の『SADDLE CASE SET』にジャストフィットする『ALL-ROUND LED SAFETY LIGHT』を取付ければ、それだけでフルサス×ドロッパーポストの諸問題が解決できるお手軽な組み合わせですね。
このタイプのサドルバッグを使用する場合は前述の通り、タイヤとのクリアランスを考慮する必要がありあますが、SPCONNECT製は薄型に仕上がっているので有利に働きます。
国内でも正規販売されているので入手には困りませんが、セットで¥10000弱の価格が購入を躊躇わせるかも知れませんね…腕に覚えがあるなら他社製一点どめサドルバッグをDIYするのもアリでしょうか。
ドロッパーシートポスト専用マウントを使う方法
意外と知られていないのがコチラ、TOPEAK/トピーク製のドロッパーポスト専用マウントです。
上画像をご覧いただけるとわかりますが、テールライトはもちろんボトルケージやバイクパッキング用の大型サドルバッグも取付可能になる優れモノで、主に内装式のドロッパーポストと相性の良い製品ですね、ついでに前述した一点どめサドルバッグに拘る必要もなくなります。
製品名は『DP Mount』でドロッパーポストの可動部上端に取付けて使用し、対応径はΦ22~27mm です。
この他に『EP Mount』という見た目がそっくりな製品もありますが、こちらは対応径がΦ27.2/Φ30.9/Φ31.6mmのE-bike用なので間違えないように注意しましょう。
これさえあれば大半の問題は解決しますが、ドロッパーポストの可動部上端に取付ける性質から1cmほどトラベル量が目減りします、またシートポスト取付けタイプのフェンダーとは排他利用となり、こちらもサドルバッグを使う場合はタイヤとのクリアランスに気を払う必要があります。
因みにDP Mountへのテールライトの装着はクリップタイプかラバーバントタイプがメインになりますが、利用者の多いCATEYE製を使いたい場合は、上画像の小枠内にある同社製『リアラックブラケット』をDP Mount備え付けのボトルケージ穴に固定する事で解決できます。
排他利用でサドルレール後部に取付ける方法
この方法も割と良く見掛ける方法ですが、サドルレールに専用のブラケットを取付け、そこにテールライトを装備します。
テールライトの視認性が高くなる利点がある反面、サドルバッグとはキッパリと排他利用になってしまうため、携帯品は全て他の場所に収納するといった割り切った判断が求められます。
他のメーカーからも似たような製品がリリースされていますが、有名処ではやはりCATEYEのサドル用ブラケット 『RM-1』が便利に使えます、この他に『RM-2』という別種もありますが、こちらはマウント形状が異なるので、一般的なCATEYE製テールライトを装着する場合は、間違えないように注意しましょう。
テールライトをシートステーに取付ける方法
個人的に最もおすすめなのがシートステーにテールライトを取付ける方法です。
サドルまわりに自由なスペースが生まれサドルバッグやフェンダーの取付けにも対応できる上に、前述したTOPEAK『DP Mount』を併用することで、更なる拡張性にも期待できます。
この方法はロードバイクではポピュラーな手段ですが、シートステー角度が寝ていたり、ステーのフレームが太かったりするフルサスマウンテンバイクでは少数派でしょうか。
シートステーに取付け出来るテールライトは画像上のCATEYE製『RAPID-X』シリーズか、画像下の同社製『OMNI』シリーズの使い勝手が良いです。
OMNIシリーズはブラケットに角度調節機能があり、シートステーが寝ていても発光面を視認性の高い向きに固定できるのが良いですね。
また、見た目にも拘りたいならステーに直接ラバーバンドで固定するRAPID-Xシリーズも魅力的です、付属の『スペーサーX』を使えばOMNIシリーズのブラケットが使え角度調整も可能ですが、厚みのあるデザインなので、この場合は見た目のシンプルさが犠牲になる印象でしょうか。
同じドロッパーポスト仕様でもシートステーが寝ているフルサスにはOMNIシリーズ、シートステーがあまり寝ていないハードテイルにはPAPID-Xシリーズを選ぶのがベストかも知れませんね。
余談ですが、加速度センサーによるブレーキランプ機能を備えたテールライトは、シートステーに取付けると傾斜の影響で動作不良を起こしやすいそうなので、PAPID-Xシリーズを使う場合は後発のX2やX3ではなく無印版を選んだ方が無難です。
テールライトを車体以外に取付けてしまう方法
さて、最後を飾るのがこちら…あえて車体にテールライトを取付けない方法です。
安全性を高める目的のサブライトとしてヘルメット等に装着する場合が多いですが、車体に出来るだけ余計な物を取付けたくないといった、一部の拘り派にも好まれる手段ですね。
このタイプのテールライトはクリップやベルクロで固定する小型の製品が多いですが、上画像のknog製『PLUS』がなかなか面白そうです。
クリップ部分をバックパックやパンツのバックポケットに挟んで使っても良いですし、縦長の形状を活かしてドロッパーポストの付根部分にラバーバンドで固定するのもアリでしょうか。
ラバーバンドの位置が本体の下部にあるので、似たような仕組みのテールライトよりも発光面が上方向に延び、タイヤに隠れがちな欠点を少しだけ補ってくれます、もちろんドロッパーポストを無造作に下げるとサドルに接触してしまいますが、TPOに合わせて色々と使い分けできるのが一番の魅力ですね。
まとめ
私は結局シートステーにCATEYEの『OMNI3 AUTO』を取付ける事にしましたが、発光面をしっかり後方に向けられる点と、単四電池二本で点灯100時間の長寿命が、この製品を選んだ決め手です。
因みに、衝撃で上蓋が外れやすい欠点があるらしいので結束バンドで補強していますが、ほぼ同じモデルの『OMNI5』をファットバイクで三年以上使っても外れた記憶がありません、少し見苦しいですが保険みたいな物ですね。
雪国の初冬や初春はリアフェンダーが必須となり、今後はテールライト・サドルバッグを巻き込んだ椅子取りゲームに発展しそうですが、サドルバッグをキッパリと諦めて早々に他の収納スペースを確保するのが一番頭を悩ませない方法かも知れません。