昨年末にセミファット仕様のフルサス29erを増車して以来、すっかり部屋のオブジェと化していたファットバイクですが、流石に可哀想になって久々にメンテナンス&試走をしてみました。
前回のウインターシーズンにテストした結果、29×3.0のセミファットでも0.5bar以下の低圧にすれば雪道でそこそこの走破性を発揮してくれることがわかりましたし、ここ数年の暖冬傾向でそもそも私の住む地域でフルスペックのファットバイクは必要なのか?といった疑問から、一時は手放すことも考えたのですが、私が自転車趣味にハマる切欠になった車体だけに、所有する自転車の中では一番愛着があったりします。
室内保管とはいえ丸一年も放置すればチェーンまわりに錆が出てるかも…と心配になったものの、クリーニング後の注油でスムーズに動き外観もピカピカのままでした。
フルサス29erのコンポは『SRAM GX EAGLE』の12速ですが、こちらは無印GXの11速ですね。スプロケットだけ最上位グレードの構成になっていて、11速でも300g以下と軽量なのが気に入っています、クランクはRACEFACEのカーボン製、チェーンリングは30Tのフロントシングルです。
ブレーキは対向ピストンの機械式ディスクブレーキ『TRP SPYKE』、フルサス29erにはマグラ製の油圧式を使っていますが、効き方がリニアなのでいきなり機械式に戻ってもブレーキタッチに違和感がないですね。
油圧式はホイールを着脱する度にブレーキパッドとローターの微妙な干渉にイライラさせられますが、TRPの機械式はこの辺の調整が本当に楽ですね、3mmの六角レンチ一本で左右のパッド位置を個別に調整でき、シャリシャリ五月蝿い引きずり音から簡単にオサラバできます。
放置の結果、タイヤの空気圧は0.3barにまで落ちていましたが、その状態でも問題なく走れてしまうのがファットバイクの面白いところ、もちろん出走前に最大値の2.0barまで上げましたが、1.0bar未満だとサスいらずな乗り心地になり、こちらの方がファットバイクの真骨頂といえます。
パンクの原因になりやすい露出したリストリップ(リムストラップ)は紫外線で退色したり劣化して裂けたりしますが、室内保管だけに無傷でした。PVC製のリムストリップは一年くらいで劣化が目立つのに対して、このナイロン製はやたらと丈夫ですね、流石はファットバイクの元祖SURLYの新型リムストリップといったところでしょうか。
因みに、このファットバイク『mongoose ARGUS EXPERT』には購入当時、タンウォールのKENDA製タイヤが使用されていました。現在は同じくタンウォールでスリックタイヤの『SURLY BLACK FLOYD』を履かせていますが、個人的に外観がオールドスクール寄りになるタンウォールが好き過ぎて、タイヤを自由に選べない自縄自縛に陥っているのが悩みの種ですね。
真っ黒な極太タイヤに真っ黒な幅広リム、オマケに暗めなフレームカラーとなると、地味過ぎて雪国の無味乾燥な風景には全く映えないのですよ。835gとファットタイヤでは最軽量な『Kenda Juggernaut Pro 26×4.0』あたりも試してみたいのですが、中々踏ん切りがつかないでいます。
しかし…あらためて写真を見ると、このタイヤに限らずファットバイクのタイヤは極太ゆえに汚れやすいのが難点ですね。稲刈りシーズンが終わった直後なのでド田舎のアスファルト上には白く乾燥した泥の固まりが点々としていて、春と秋の農繁期はいつも諦めムードですよ。
因みに、タイヤワックスで軽減できないものかと調べてみると、自動車用は水性タイプも油性タイプもタイヤを傷めるのでNG、自転車専用タイヤコート剤として知られる『BLACK SHIELD』は専らロードバイク用、しかもトレッド面でなくサイドウォールだけに塗る黒塗り化粧的な代物でタンウォールのタイヤには使用不可でした…面倒だけと自転車には車種を問わずマメな水洗いやウエットクロスでの拭き取りが一番みたいです。
フルサス29er用にサスポンプを購入していたので、今回初めてファットバイクのサグ出しをしてみました、フロントサスのストロークは120mmでサグは16%強くらいに設定、車体に乗っただけでフロントサスが20mmほど沈み込みます。
仕上げにサス先端のつまみでリバウンドも調整して完了、私は柔らかめが好みなのでサグ値は20%でも良かったかな?
ファットバイクにもフルサス29er同様にドロッパーシートポストを装備しています。自転車専門の海外通販で知られる『Chain Reaction Cycles』専売の『Brand-X Ascend II』という製品で、¥13000前後と安価ながら評価の高い鬼コスパなドロッパーポストです。
価格差が二倍もあるだけに剛性や動作の俊敏さは若干劣るものの、フルサス29erに装備のボントレガー製ドロッパーポストよりも遥かに動作がスムーズなのに驚きました…そろそろガタが来ているボントレガー製の代替品として内装タイプを新調したくなりますね。
メンテナンス後に唯一カスタマイズしたのがコチラ、ボトルケージです。ドリンクホルダー兼小物入れとして使っていたフェアウェザー製のステムバッグをフルサス29erに移植したため、その代用として余っていたTOPEAKのモジュラーケージ2を装備しました。
シンプルで軽量なプラ製やカーボン製のボトルケージを使う方も多いですが、私はサイズ調整機能でペットボトルや保温マグボトルでも落とさずマウントできるこの製品がお気に入りですね、因みにブラックカラーはモジュラーケージの新作で今までのシルバーよりも高級感のある落ち着いた見た目になっています。
メンテナンス後に不具合が無いか30kmほど走ってみましたが、丸一年ぶりに乗った割にやたらと体に馴染みます。流石に三年もかけて自分好みにカスタマイズした車体だけのことはありますが、極太のタイヤの走行感が私の記憶にあるよりも随分と軽快だったのが謎ですね。
もしや、フルサス29erでロングライドしまくったお陰で知らず知らずのうちに脚力がアップしたのか!と糠喜びしたくなりますが、実のところ久々のファットバイクで単にテンションが上がっていただけかも知れません。
さて、既に自分好みにいじり倒して大方のカスタマイズが完了しているファットバイクですが、今後の方向性はどうしたものでしょう…
チューブレス化してみたい気もしますが、DTSwiss製の軽量アルミホイールはそのままでは未対応、加えてチューブレス並みに軽量で乗り味も近いとされるTPUチューブ『Revoloop.Blue Fat.』を既に使っているので、今更チューブレス化してもリム打ちパンクの予防くらいしか恩恵がありません。そもそもファットバイクでリム打ちするほど低圧にするのは雪道が主ですから、トレイルでもやらない限り大抵は無縁でいられます。
どうせやるなら、本来のファットバイクらしさをとことん追求するのも面白そうです。フォークをリジット化してフレームクリアランス限界の極太5インチタイヤを装備するのもアリかな。一度くらいは車重や外観を一切気にせず、ゴリゴリのマッチョにカスタマイズしてみたいですね。