ママチャリや街乗り仕様のクロスバイクやミニベロなんかではよく見掛けるものの、ロードバイクやマウンテンバイクに代表されるスポーツ自転車には、当たり前のようにスタンドが備わっていません。
これらの自転車は『走る』ことを主目的としているため、長々と駐輪させるための装備なんて無駄以外の何物でもない!といった合理性が先に立ちます。
とはいえ、乗っているのは人間ですから、ライド中は補給も休憩もしますよね。大抵は適当な壁や支柱を見付けては、少しだけお邪魔しますよ~的な感じで立て掛けますが、ペダルを縁石などの段差に乗せてみたり、ダイレクトに地べたに寝かせてみたりと、思い思いのスタイルで愛車を駐輪させます。
何かの拍子で倒れてしまうかも…といった不安を覚えつつも、いつの間にかスタンドの必要性を感じなくなるのですが、意外に困るのが愛車をスマホやデジカメで撮影する時かも知れません。
私も含めた今どきの自転車乗りにとって、出先で愛車を撮影する行為は既に挨拶みたいなものですが、程度の差はあれど撮影を繰り返すうちに誰もが見栄えを気するようになります…そうなんです、上記で紹介した駐輪と同じ方法だと撮影場所が限定されてしまう上に、余計なモノが写り込んでしまうのですよ。
この問題を解決できる自転車用の簡易スタンドや携帯スタンドなんかも幾つか販売されているのですが、車種によっては取付けが難しかったり、持ち運びするには嵩張り過ぎたりと一長一短があり、特にフルサスMTBやカーボンフレーム車とは相性が悪いですね。
フルサス29er持ちの私も、軽量で持ち運びしやすく、車種を選ばない携帯スタンドがあればなぁ…なんて常々思っていたのですが、少し前から気になっていたブツをようやく手に入れることが出来ました。
前置きが長くなりましたが、今回は愛車の駐輪や撮影時に超便利に使える携帯スタンド『Click-Stand/クリックスタンド』について話題にしてみたいと思います。
余談ですが、スマートフォン用のアクセサリーにも『クリックスタンド』と同名の製品があるようです。『携帯』や『撮影』といったワードが共通していて紛らわしいですが、間違えないように注意しましょう。
本命はフラッシュスタンド?自転車用の簡易・携帯スタンドのお話
私と同じように、ちょっとした駐輪や撮影に使える簡易スタンドが欲しい!と感じている方も多いらしく、車体備え付けから持ち運びできる折り畳みタイプまで、結構な種類のスタンドが販売されています。
私の知る限り、クイックリリースに取付けるタイプ、シートチューブ側のボトルケージマウントに取付けるタイプ、ペダルにミニスタンドが備わっているタイプ、BBのカップ部分に取付けるタイプなどなど、工夫を凝らした製品が目立ちますが、愛車には極力余計な物を取付けたくないといった方には、やはり上画像のTOPEAK『フラッシュスタンド』シリーズが本命でしょうか。
使わないときはポケットに入れて持ち運べ、ペダル先端に差し込むタイプなのでスタンドと相性の悪いカーボンフレーム車にも問題なく使用できます。
このフラッシュスタンドシリーズには、ロードバイクやクロスバイク用の『フラッシュスタンド スリム』(左)、同じくロードやクロス用で幅広タイプのクランクに対応している『フラッシュスタンド スリムX』(中央)、マウンテンバイク用の『フラッシュスタンド ファット』(右)の三種類がラインナップされ、スリムが136g、スリムXが196gとギリギリ携帯するのが苦にならないサイズ感に仕上がっています。
私の場合はフルサス29erに使いたいので、普通ならフラッシュスタンド ファットを選ぶことになるのですが…ハイ、残念ながらこのシリーズ中、このファットだけ出来が悪く評判も芳しくありません。
276gと重いため持ち運びに向かず、おまけにちょっとした加重で簡単に破損してしまうほど作りが貧弱な有様で、流石の私も購入を躊躇してしまいました。
悲しいことに、フルサスMTBはリアサスの影響で前述したボトルケージマウント取付けタイプのスタンドが使えず、スルーアクスル故にクイックリリース取付けタイプのスタンドも使えません…このフラッシュスタンド ファットが最後の望みだったのですよ。因みに、プレスフィットBBなのでBBカップ取付けタイプも使えませんし、ペダル備え付けタイプは格好悪いので論外ですね。
そんな八方塞がりな状態で見付けたのが今回の主役『Click-Stand/クリックスタンド』でして、この携帯スタンドはトップチューブやシートステーを杖のように支える仕組みになっているため、それこそカーボンフレームのロードバイクからフルサスMTBまで車種を選ばず使用できる優れモノなんです。
大抵の方ならロードやクロス用の『フラッシュスタンド』で事足りますし、撮影用と割り切って使うなら自転車用携帯フォトスタンドとして人気の『めだたんぼー』なんかで十分ですが、フルサスMTBに使える実用レベルの携帯スタンドは、今のところ後述するクリックスタンドが唯一かも知れませんね。
Click-Stand/クリックスタンドの選び方と注文方法
さて、いよいよ本日の主役『Click-Stand/クリックスタンド』の話題に移ります。ご存知ない方にとっては何のこっちゃと形状すら不明なアイテムですが、ミニ刺股(さすまた)のようなY字状のスティックで、テント用ポールのようにショックコードが通されたパイプ部分はスピーディーに折り畳みができます。
少し前までは国内のサイクルショップでも僅かに取扱いがありましたが、現時点で入手するなら米国の公式HPの方が確実ですね。残念ながら公式HPがSSL化されていないため、こちらに直接リンクが貼れません…気になる方は『Click-Stand』でググってみましょう、たぶん検索トップに出るハズ。
公式HPは当然英語ですが、ブラウザの翻訳機能だけで問題なく注文できます。下準備として愛車の採寸が必要になり、画像左のようにクリックスタンドのY字部分を宛がう部位から地面までの長さ(垂直)と、トップチューブの直径ないし真上から見た際の横幅を調べておきます。
トップチューブ以外ではシートステーでも使用可能だそうですが、その場合も採寸しましょう。私のフルサス29erは高さが700mm、トップチューブが円型ではなないので横幅を採寸することになりましたが、該当箇所の横幅は40~45mm程でした。
クリックスタンドには『Click-Stand Mini』と『Click-Stand Max』の二種類があり、後者は車重の重い自転車やパニアバックなど装備した自転車用の物で、大半の自転車にはMiniで十分だと案内されていました。両者の直径は9.5mmと11mmでそれぞれ異なり、Maxの方が少し重いです。
軽量化したとはいえ、車重13kg台のフルサス29erなのでどちらを選ぶかで悩みましたが軽さを重視してMiniを選択、お次は折り畳み時のコンパクトさを左右するセグメント数を決めます。
画像右上のように、スティック部分の分割数を4・5・6の三種類から選択でき、携帯性を重視するなら『6』、スピーディーに組み立てたいなら『4』といった選び方になるでしょうか、私はサイクルジャージのポケットに収まりやすそうな6セグメントを選びました。後述しますが組立&折り畳みが苦にならないくらい簡単なので素直に6セグをお勧めします。
因みに、HP上には採寸した地面からの高さを元に各セグメント時の仕上がり寸法の一覧があり、折り畳んだ時のサイズ感が丁寧に説明されています。あくまでも目安ですが700mmで6セグだと180mmくらいでした。
クリックスタンド本体以外にもオプションが幾つかありますが、念のため画像右下にある『Fat-Foot』ないし『Fat-Feet』と記載されている先端用のゴム足も注文します。スタンドを安定させたり柔らかい地面に沈み込まないようにするためのオプションですが、こちらはMax専用なので注意しましょう、注文予定のMiniには使えませんが一工夫すれば使えそうなので試してみます。
上記の内容が決まっていれば注文自体に特に難しい点はありません、ただし事前にアカウントを取得する必要があり住所・氏名・電話番号などを英語式の表記で入力する必要があります。とはいえ、ウェブ上にはJuDressや君に届け!といった便利な自動変換サイトがあるので特に困りませんけどね。
一応、注文画面もブラウザの翻訳機能に対応しているので一安心です。【1】測定したトップチューブまでの高さ/コンタクトハイト【2】トップチューブの直径ないし横幅【3】お好みのセグメント数/4~6【4】お好みの色/6色【5】ブレーキバンド組立の有無、この5項目を入力して幾つかの確認事項でYES/NOを選ぶと注文は終了です。
【5】のブレーキバンド組立の有無ですが、おすすめは『NO/分解して送って下さい』ですね、理由は後述しますが組立自体は簡単なので自分の自転車に合わせやすい『NO』を選びましょう。
さて、気になるお値段ですが日本までだと送料が22ドルとなり、トータル69.25ドル、日本円で¥7682と結構な出費となりました。支払いは各種クレジットカードとPAYPALが使え、今回はPAYPALでの支払いです。
送料が高くつきましたが、この手の海外産サイクルガジェットは日本に発送してくれないことも多く、これでもマシな方です。国内だと取扱っているお店を探す方が難しいですから、個人的には十分許容範囲ですね。
Click-Stand/クリックスタンドの使い方と感想
クリックスタンドのHP上で『新型コロナウイルスの影響でいつ届くか保証できないよ!』とアナウンスされていたので気長に待つつもりでしたが、10日程で受け取ることができました。
早速開封してみると、アイテム数が少ないだけに大変シンプルですね、使用方法のマニュアルや図解すら無いので予備知識が無い場合は少し困惑するかも知れません。
今回注文したのは、『Click-Stand Mini』の6セグメントタイプとClick-Stand Max用のゴム足『Fat-Foot』の二つです。カラーはシンプルにブラックを選びました。
持ち手付きのゴムバンド×2はハンドルレバーを固定するためのブレーキバンドです。駐輪時にフロントブレーキまたは前後ブレーキを固定する目的で使いますが、フロントだけに使う場合は一方が予備になります。
カメラのフレームに収まりきらなかったので二つ折りにしていますが、結束用のベルクロを解いて組み立てると、こんな感じです。
組立時の動作はテント用のポールそのもので、ベルクロを解いて各セグメントを真っ直ぐにすると、内部のショックコードの影響から半ば勝手に組み上がってくれる、小気味良い使い勝手でした。
地面に触れる先端部分はもちろんラバー素材、トップチューブを支えるY字部分も滑りづらいラバー素材です。
気になる重量は88gと100gを余裕で下回っていました、予想通りClick-Stand Maxよりも軽量で手のひらに感じる重量感はヤクルト一本分強くらいでしょうか。
試しに採寸してみると、折り畳み時で約180mm、使用時で約760mmでした。Y字部分の幅が49mmなので、どうやら一番大きいX-Largeサイズが送られきた模様です。
ダメ元で購入したClick-Stand Max専用のゴム足ですが、予想していたよりもガバガバ感が少なく、ちょっとした加工をするだけで十分に流用できそうです。
思い切ってホットボンドで固定してしまっても良いですが、自己融着テープでぐるぐる巻いて差し込み部分の径を少しだけ太くするだけで十分かも知れません。
天候に恵まれたので、近場の公園で早速試してみました。前述した通りクリックスタンドの組立は本当に簡単で、初めてでも一分以内に完了できます。
所詮は簡易スタンドなので、少し不安定な感じになるかも…と訝しく思っていたのですが、フロントブレーキレバーを固定してトップチューブで支えると、十分に実用レベルで機能してくれました。
レバーの固定はフロントまたは前後だそうですが、フロントだけでも十分な印象ですね、柔らかい芝生の上でも車体がぐらついたりする感じは殆どありませんでした。
手順としては、最初にブレーキバンドでフロントブレーキを固定、不慣れだとこの手順が一番手間取りますね。
ブレーキバンドを組立済みで注文するとゴムが強すぎて固定が難しくなる場合があり、やはりこのパーツは分解して送ってもらった方が無難です。
油圧ブレーキの場合は引きが軽いので、この部分はベルクロで固定した方が簡単かも知れません、別途ホームセンターで汎用のベルクロバンドを購入した方が良いでしょう。
フロンドブレーキを固定した後は、およそ5秒で組み上がるクリックスタンドを支柱にして駐輪は完了。
Y字部分がしっかりとトップチューブにフィットし、ラバー製ゆえに滑りづらくなっています。
このフルサス29erはシートチューブに近付くほどトップチューブの幅が狭くなりますが、シートチューブ付近はリアサスのマウント部分が邪魔をして固定がイマイチになるので、余裕も持たせてX-Large相当の横幅を申告して正解でした。
芝生上ということで、ノーマルの先端だと沈み込んでしまうのでは?と心配でしたが、この程度なら問題は無さそうです。雪上や砂地、湿ったトレイルなどでは流石に必要でしょうけど、ダイレクトに車重がのしかからないだけに意外と沈みませんね。
ついでなので、試しにシートステーで固定してみました。トップチューブよりも位置が低くなるのでクリックスタンドが地面に対して急角度になってしまいますが、特に問題なく簡易スタンドとして機能してくれます。
キッチリと安定させて駐輪するならトップチューブに固定、撮影用にはシートステーに固定といった使い分けも面白そうですね。安定度は別としても車体の見栄えはこちらの方が良さそうです。
一番見栄えのするドライブ側から撮影するとこんな感じになり、シートステーで固定した方がスッキリ見えますね。クリックスタンドがちょうど良い具合に車体の陰に隠れてくれて存在感が薄くなります。
ご覧の通り、周囲に何も無い芝生のど真ん中で撮影できるのは気持ち良いですね~順光にポジショニングできるのも嬉しいです、これだけでも本当に購入した甲斐がありました。
まとめ
実際に使用してみると、駐輪用として使うよりもやはり撮影用としての方が重宝しそうですね。駐輪用に使うとクリックスタンド自体が盗難に遭う可能性もありますから。
取り合えずブレーキバンドをベルクロ化して、Max専用のゴム足も追加する予定ですが、クリックスタンド本体は大変スピーディーに組み立てることができ、一切ストレスを感じませんね。慣れれば組立5秒、折り畳み10秒が普通になります。
送料が嵩むので多少割高になりますが、フルサスMTB用の携帯スタンドとしては現時点の最適解だと思うので、興味のある方は是非お試しあれ。