エンド処理あれこれ!インナーケーブルの『ほつれ止め』6つの方法

エンド処理あれこれ!インナーケーブルの『ほつれ止め』6つの方法イメージ02

最近のスポーツサイクルは変速まわりの無線化とブレーキの油圧化で、ワイヤレスと呼べる仕様になりつつあります。

ケーブルないしワイヤーと呼ばれる紐引きも何だかんだで生き残るとは思いますが、今回はそれに関連したニッチな話題とひとつ。

因みに、私は「ワイヤー」ではなく「ケーブル」と呼ぶ派なので、以下ケーブルと記述させて下さい。

さて、気になる本日の主役はインナーケーブル、それもエンド処理についてです。

大抵の方は市販のエンドキャップをペンチやニッパーでカシメて終了。

こんな感じかも知れませんね。

私も特にこだわりがある訳ではありませんが、未処理だと容易にほつれてしまいますし、エンドキャップによるカシメでもインナーケーブルが圧着により変形しがち。

ブレーキやディレイラーを新しい物に交換する際は、そのままだと引っ掛かってルーティングが上手くできなかったり、終端を整えるために再カットを繰り返したら長さが足りなくなってしまった……そんな失敗も。

カットしたケーブルエンドは綺麗なまま維持したい。

それもできるだけ簡単な方法で。

こう考えている自転車乗りは意外に多く、調べてみると先人が数々のテクニックを編み出していました。

自分でカスタマイズしない方には無縁の話かも知れませんが、インナーケーブルのエンド処理について、簡単にできる方法を幾つか紹介してみます。

インナーケーブルを「ほつれ止め」する、6つの簡単な方法

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「6つの簡単な方法」なんて気取ったタイトルにしてみましたが、他に良い方法が見つかったら追記していく予定なので、後々6つ前後になるかも。

余談ですが、私の経験からするとシマノよりもSRAMの方がシフトまわりのルーティングが複雑な印象。

特にMTB用のリアディレイラーがそうで、インナーケーブル用のガイドローラーがあったりカーブした狭いトンネルがあったりと、ケーブルエンドが乱れたままだとセットアップが上手く捗らないことがありました。

SRAM系コンポでインナーケーブルを再利用する際は、終端を綺麗にカットして整え直すか、ケーブルを丸ごと新品に交換してしまうのがオススメです。

【1】市販のエンドキャップを使う

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トップバッターは最もポピュラーな方法から。

完成車を購入すると、インナーケーブルは上画像のエンドキャップで処理されている場合が殆ど。

自分でカスタマイズした際も、お手軽なのでこちらで済ませてしまうことが多いですね。

シフト用インナーケーブルはΦ1.2mm、ブレーキ用インナーケーブルはΦ1.6mmなので、シマノ製エンドキャップには二種類が存在しますが、社外製は共用になっていることもあります。

使い方はケーブルの終端部分に被せて、ケーブルカッター備え付けのカシメを使ったり、ニッパーで適当にカシメたりしますが、この部分に仕上がりにこだわっている人も多いですね。

やり方が雑過ぎるとエンドキャップ内部でケーブルも圧し潰されてしまいますが、ほつれ止めだけが目的なら十分といえば十分。

聞くところによると、JAG WIRE/ジャグワイヤーからは「J-242」や「WST036」といった、専用のカシメ機能を備えたケーブルカッターがリリースされていたそうですが、残念ながら現在は生産が終了。

入手可能な工具で仕上がりにこだわりたいなら、電気工事用の圧着ペンチを使うのが良いそうで、簡単かつ綺麗に仕上がるとのこと。

【2】はんだ付けする

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インナーケーブルのエンド処理でかなり通好みな方法がこのはんだ付けでしょうか。

人によっては学生時代に技能教科で経験していると思いますが、実のところ自転車のインナーケーブルでこの方法を使うには多少の知識と経験が必要になります。

自転車のインナーケーブルをはんだ付けするには、はんだごての他に「ステンレス用はんだ」と「ステンレス用フラックス」を準備しなければならず、不慣れだと少し混乱しがち。

特に、はんだ付け促進剤ことフラックスは必須で、これが無いとステンレス表面の酸化被膜を除去できず、はんだがケーブルに上手く馴染んでくれません。

基本的な流れは、終端をパーツクリーナー等で脱脂⇒フラックス塗布⇒はんだ付け⇒パーツクリーナーでフラックス除去となりますが、フラックスは強酸性な上に使用後にしっかり除去しないとそこから錆が進行します。

間違いなくほつれ止めには最強の方法ですが、綺麗に仕上げるには何度か練習が必要になるので、完璧主義な方以外にはあまり推奨できない方法かも知れません。

因みに、OPTISLICK、SIL-TEC、ポリマーコーティング、テフロンコーティングといった特殊コーティングが施されたインナーケーブルだと、ヤスリ等でコーティングを剥がす手間も加わるため、更に面倒臭いことに。

高い効果が得られるなら、手間は一切惜しまない。

はんだ付けによるエンド処理は、そんな人にオススメな方法かも知れませんね。

【3】グルーガン・ホットボンドを使う

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続いては自作・DIY系ユーチューバー御用達のグルーガン・ホットボンドを使った方法。

はんだ付けでエンド処理するのは少しハードルが高い……そんな人に打って付けです。

ホームセンターや100円ショップでも安価な物が購入できますが、実は溶かしたスティックを射出するガン部分は必須という訳ではありません。

エンド部分のほつれ止めには単体でも買えるスティック部分と熱源さえあれば十分で、ライターやコンロで適度にあぶれば簡単に柔らかくなります。

やり方はグルーガンでシンプルにエンド部分を固めてしまう方法と、ケーブルエンドに溶けたスティックをちょい塗りしてから温めたエンドキャップを上から被せる方法の二通り。

オススメは後者で、仕上がりが綺麗な上にエンドキャップのカシメが不要、もちろんエンド部分が圧着で変形することもありません。

仮に失敗したとしても、ホットボンドには剥がしやすい特徴があるので、エンドキャップを無駄にすることなく再利用できます。

この方法ははんだ付けのようなコーティングの有無による影響は受けませんが、一応ケーブルエンドの脱脂くらいはしておきましょう。

【4】多用途接着剤を使う

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前述のグルーガンを更に簡略化したのが、この多用途接着剤を使ったやり方です。

●セメダイン 超多用途接着剤スーパーXゴールドクリア

●ボンド ウルトラ多用途S・U クリヤー

上記の多用途接着剤が使われることが多く、両者とも弾力性を保ったまま硬化する特徴を備えています。

開封したチューブにワイヤーエンドを直接つっこんで固めてしまうやり方もありますが、ホットボンドと同じくケーブルエンドにちょい塗りしてからエンドキャップを被せてもOK。

前者はケーブルエンドが剥き出しになるので少し剣呑ですが、この大雑把なやり方でもほつれ止めとして十分に機能してくれるとのこと。

因みに、エンドキャップの奥に入り込んだ接着剤はホットボンドほど剥がれやすくはないので、再利用には期待しない方が良さそうです。

また、これらの接着剤ではなく瞬間接着剤で固めてしまう方もいらっしゃいますが、ほつれ止めの効果はそれほど高くありません。

私は飛び散ったケーブルの破片が足裏に刺さって怪我をしたり、室内保管の車体をスローパンクさせてしまった経験があるので、瞬間接着剤を使うならカット後の飛び散り予防として役立てたいところ。

【5】熱収縮チューブを使う

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個人的に一番簡単だと感じたのが、この熱収縮チューブを使ったやり方です。

元々は電気配線に使う絶縁被膜ですが、最近はホームセンターだけでなく100円ショップでもよく見掛けますね。

その名の通り、ヒートガンやドライヤー、ライターの火といった熱を加えると、芯となる部分に密着するようにチューブが収縮。

70度くらいから収縮がはじまり、ケーブルエンドに被せて焦がさないようにライターで炙ると、エンドキャップを使わないお手軽なほつれ止めが完了します。

自転車のインナーケーブルに使うにはΦ2mmやΦ3mmの物が使いやすく、防水性の有無はお好みといった感じ。

カッターで削り落とすだけで簡単に外せますし、多用途接着剤で固めただけの剥き出しケーブルよりも安全性に優れるのも魅力でしょうか。

コーティング仕様のインナーケーブルでも問題なく処理でき脱脂も不要ですが、ポリマーコーティングは樹脂加工らしいのでライターで炙る際はほどほどに。

瞬間接着剤よりも効果が高そうなので、個人的にケーブルカット時の飛び散り防止にも使ってみたくなります。

【6】再利用タイプのエンドキャップを使う

『再利用できるインナーワイヤー用エンドキャップ』イメージ01

最後に紹介するのは、再利用タイプのエンドキャップを使う方法です。

KCNC製やTNI製が代表的で、シフト用とブレーキ用の二種類がラインナップ。

私はどちらの製品も使ったことがありますが、使用感に大きな違いは無いので、入手が難しいTNI製よりもKCNC製を選ぶのが吉。

本体のスレッド部分を回すことで内部がカシメられる仕組みになっていて、何度でも再利用ができます。

今まで走行中に外れたことはありませんし、ケーブルエンドを飾るドレスアップパーツとしての側面も。

一つだけ欠点を上げるなら、取付け時にケーブルエンドが綺麗に整っている必要があることでしょうか。

取付時の際に小さな穴に何度かケーブルを通す必要があるので、カット時に終端を潰してしまっていたり、一本だけほつれていたりすると取付けに苦労しがち。

切れ味の良いケーブルカッターを使うか、事前に瞬間接着剤で固めておくのがオススメです。

まとめ

インナーケーブルのエンド処理・ほつれ止めのやり方について幾つか紹介してみました。

完璧を目指すならはんだ付けでしょうけど、そこまでエンド処理にこだわりを持てるか否かは微妙なところ。

個人的には安価で済ませられる、ホットボンドと熱収縮チューブのふたつがお気に入りですね。

正直、インナーケーブルのエンド処理に頓着するような人は極々少数派かと思いますが、気に入った方法があったのなら、是非お試し下さい。

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