自転車を趣味にしているなら、誰しも一度はチェーン落ちという憂き目に遭うはず。
フロントマルチが主流だった一昔前なら珍しくない現象で、私はフロントダブルの変速ミスでよくやらかしていた記憶があります。
フロント側のチェーン落ちに限れば誰でも簡単にリカバリーができ、言わば自転車乗りの嗜みのような物。
ですがこの行為、不精して手っ取り早く済ませようとすると確実に手や指先が真っ黒になってしまうのですよ……
ご存知の通り、チェーオイルによる汚れはちょっとやそっとじゃ落ちませんし、ライド中ならバーテープやグリップにも汚染が広がってしまわないかと気が気じゃありません。
自転車歴が長くなると、その辺に転がっている木の枝や葉っぱなんかを利用して手を汚さずにリカバリーもできますが、大抵は事後に指先を何かに擦り付ける奇行に走りがちです。
用意周到な方はあらかじめツールケースに薄手の作業グローブや使い捨てのニトリルグローブを忍ばせていて、実は私もこのタイプだったり。
極薄で耐油性のあるニトリルグローブなら、ホムセンで100枚入り500円で売っていますし、チェーン落ちへの対策としては最も現実的なやり方かも知れません。
さて、ニトリルグローブが良いよ!なんて薦めておきながら、私が最近気になっているのがチェーン落ちのリカバリーに特化した「REHOOK/リフック」という携帯ツール。

UK発の携帯ツールで、チェーン落ちの際には手を汚さす3秒で復帰が可能とのこと。
正式名称は「Rehook Original Chain Handling Tool」で初出は2016年と以外にも古参の製品。
この手の工具は中華コピーの餌食になりやすいのですが、現在でも類似品を見掛けないは恐らく需要がニッチ過ぎるのが理由でしょうか。
チェーン落ちにしか使えない単機能ツールにしては大柄すぎますし、これをフレームにマウントするかと問われると言葉に詰まるのが正直なところ。
でも、何故か魅力を感じてしまうのですから不思議なものです。
サイズは135mm×24mm×9mmで重量は20g
ハニカム設計により見た目よりもずっと軽量な仕上がりで、耐久性に優れる素材で作られているとのこと。

いい忘れましたが、販売元は知る人ぞ知るTyre Gliderをリリースしているところと一緒。
こういったアイディア商品を得意とするブランドなのかも知れませんね。

フロント側のチェーンリングはもちろん、リア側のスプロケやプーリーまわりにも使え、指先が届かない細い部分に差し入れてチェーンを摘まみ上げたりもできます。
チェーンを掴むだけならニトリルグローブでも事足りますが、チェーンリングやスプロケは見た目よりもずっと鋭利なので、入り組んだ場所ならば破れやすいニトリルグローブよりもずっと良い仕事をしてくれるかも。
因みに、私が過去のチェーン落ちで最も苦戦したのはリア側です。
忘れもしませんが、駐輪していた車体が風に煽られて横転。
ディレイラーハンガーが曲ったことに気付かずそのまま走行し、チェーンがスプロケ最大ギアとスポークの間に落下して嵌り込んでしまうことがありました。
スポークを削りつつ力技で復帰させましたが、その時にREHOOKがあればもう少しスマートに解決できた可能性も。
なんか面白そうなツールだし、試しに買ってみても良いかな……
そう思って調べてみると、国内価格は4200円とかなり微妙なお値段。
言い方は悪いですが、フロント側ならその辺の木の枝で代用できる物にこのお値段は流石に悩みますね。

一応、「REHOOK PLUS」という上位モデルも存在し、こちらにはタイヤレバーやスポークレンチ、マルチツールが付属します。
サイズは148mm×28mm×14mmで重量は60g
大きさは単機能のオリジナル版とほぼ同じですが、マルチツール込みで60gは軽量な部類でしょうか。

個人的に、携帯するならコレだな……
そう思ったのが、「REHOOK Mini」ですね。
サイズが70mm×21mm×12mmで重量は21g
こちらも本体価格が5200円と割高なものの、REHOOK本来の機能にマルチツールの機能を一つだけ追加できるコンパクト設計になっていて、ニッチな単機能ツールを持ち歩く罪悪感がちょっぴり軽減されています。
残念ながら画像右のツールビットセットは別売りですが、自分好みにカスタマイズできるのは男心をくすぐりますね。

サイズ感は画像の通りで、オリジナルのREHOOKよりはずっと扱いやすそうです。
余談ですが、REHOOKが生まれた切欠は開発者が会議に向かう途中でチェーン落ちし、油で汚れた手とシャツのまま遅刻して到着したことが原点とのこと。
どうあがいてもニッチ過ぎる携帯ツールなのは間違いありませんが、私と同じ好事家の方は是非お試しあれ。
最後にちょっとした裏技ですが、手に付いたチェーンオイルはレジ袋で擦ると汚れが落ちやすいです。
また、REMA TIPTOPからは「クリーンナップ」という小型のクリーナーチューブもリリースされていて、オイル汚れが消しゴムのカスのようにポロポロ落ちる中々の優れモノだったり。

