ガタつき発生!クランクブラザーズSTAMP1ペダルを分解メンテ

ガタつき発生!クランクブラザーズSTAMP1ペダルを分解メンテイメージ01

前シーズンに例年になく大活躍したファットバイクも、そろそろグラベルロードにバトンタッチの頃合い。

例によって、一通りのメンテナンスと車体のクリーニングを済ませてから秋口まで休眠させるつもりですが、ここ数ヶ月のライドでちょっと気になる症状が出始めました。

ファットバイクに限らず自転車あるあるですが、坂道などでトルクを掛けるとペダリングに妙なクリック感が伴い、どうにも気持ちが悪いのです。

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パキパキ、ギシギシといった異音こそしませんが、症状からするとボトムブラケット・クランク・チェーン・チェーンリング・ペダルのどれかに原因がありそう。

ファットバイクはQファクターが異常に広いため元々ボトムブラケットへの負担が大きくなりがち。

ナローワイド対応のチェーンリングはチェーンと密に噛み合うため、特に不具合が無くても少なからずゴリゴリ感が出る。

おまけにチェーンラインのシビアさも手伝って、チェーンが注油不足だったり汚れたりしていると、それに拍車が掛かります。

また、シーズン中に砂浜も何度か走っていますから、チェーンに付着したりクランク根元の隙間に入り込んだ砂が悪さを働いているなんて可能性も。

疑いはじめると本当にきりがありませんが、取り合えずボトムブラケットまわりのパーツを徹底クリーニングして、各部の増し締めとグリスアップを実施。

一通り確認してみても、ボトムブラケット・チェーンリング・クランクに緩みやガタは無く、一応チェーンチェッカーで確認してもチェーンは伸びていない様子。

念には念を入れて、チェーンのコマに割れが無いか目視でチェックしますが、これも正常。

おそらく原因はココだろう……真っ先に当たりをつけていたボトムブラケットにも異常は無く、使用期間4年オーバーでも内部のベアリングにゴリゴリ感はありませんでした。

さて、残るパーツはペダルです。

ファットバイクに使用しているフラットペダルはフルサスMTBから引き継いだCRANKBROTHERS/クランクブラザーズのSTAMP1で、こちらも使用期間は4年ほど。

ボトムブラケットじゃなければここだろうと調べてみると、左右ともにペダルの軸部分にガタが出ているではありませんか。

我ながら気づくのが遅すぎて呆れましたが、原因そのものに驚きや意外性はありませんでした。

実は、数年前に某アマゾンのレビューでほぼ同じ不具合が報告されていて、なんとなく覚えていたからです。

クランクブラザーズのペダル中で最も安価な製品ですし4年も持てば十分かも知れませんが、ガタつきの原因が知りたくなったので、STAMP1ペダルの分解メンテナンスに挑戦してみることにしました。

驚きのシンプル構造!クランクブラザーズSTAMP1ペダルの分解メンテナンス

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さて、使用感バリバリなこちらのペダルがクランクブラザーズのSTAMP1です。

ご覧の通りペダルの踏面はアルミ等の金属製ではなく、プラや樹脂主体のコンポジット素材。

割と人気のある良ペダルですが、個人的にオフ車用のペダルは雑に扱えて、ガリガリ削れても心が痛まないくらいの方が好みですね。

因みにスモールとラージの2サイズ展開で、こちらのスモールは実重量がペアで315gほど。

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早速分解してみますが、必要となる工具は【1】8mmボックスレンチ【2】8mm六角レンチ【3】1.5mm六角レンチ【4】幅広マイナスドライバーの4種類。

とはいえ必須なのは【1】【2】だけで、【3】【4】は身近な他の物で代用できます。

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最初の難関がこちらのキャップ部分。

幅広のマイナスドライバーで回しますが、細いマイナスドライバーだとプラ製のキャップを舐めやすいので注意が必要。

この溝には一円玉がジャストフィットするので、コイン類やヘラ状のもので代用した方が安全です。

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キャップを外すと円筒形のスペーサーが現れます。

スペーサーにはネジは切られていないため、先細ピンセットや先細ペンチでそのまま引き出すことが可能。

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最初は先細ピンセットで試しましたが、ボールポイントタイプの1.5mm六角レンチの方が簡単でした。

ボールポイント部分の先端をどちらかの穴に差し込み、引っ掛けるように引っ張り出すとスムーズに取外せます。

形状的に爪楊枝の頭部分でも代用できるかも知れませんね。

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キャップ、スペーサーと順に取外すとペダルアクスルを固定している8mmのナットが現れます。

こちらを外すにはボックスレンチが必須なので、持っていない方は最寄りのホームセンターへGO!

安価な物なら500円前後で購入できます。

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8mmの六角レンチでペダルアクスル根元を固定した状態にして、ボックスレンチでナットを緩めます。

今回はペダルを車体から取外してから分解していますが、ペダルをクランクに固定したままでも分解は可能。

グリスアップなどの定期メンテが目的なら、ペダルを取外さないで作業したほうが捗ります。

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先端のナットを外すと、ペダルアクスルがするりと抜けます。

画像は既にグリスを拭き取った状態ですが、ペダルアクスル根元には黒いダストカバーと青色の内部パッキンのような物がありました。

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さて、驚いたのがここから。

先端部分は辛うじてシールドベアリングでしたが、安価な製品だけに根元部分はシンプルなブッシュベアリングだろうと内部を覗き込んでみると……

画像ではそれっぽく見えますが、ブッシュベアリングなんて影も形もなく、穴の中が段落ちになっているだけ。

クランクブラザーズSTMP1はまさかのワンベアリング、それも先端側のみという衝撃の事実。

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最初はブッシュベアリングがグリスで内部に貼り付いているだけかと思いましたが、何度も確認しても見当たらず、それっぽく見える段落ち部分は外れる気配がありません。

残念ながら構成パーツは画像の通りで、この他に直径1cmほどのシールドベアリングが内部に一つあるだけです。

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この時点でペダル軸にガタが出る理由に察しがついたのですが、ブッシュベアリングに相当する内部の段落ち部分の内径が、ペダルアクスル根元の直径と比べてそこそこ余裕のある作り。

その状態で先端だけナットで固定している訳ですから、先端の固定部分を支点にして遊びのある根元部分が上下左右にグラグラとガタつくのも当然の話。

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流石にそんな無茶な構造にはしないだろう……そう思いますが、それを解消しているのがペダルアクスル根元にあった青色の内部パッキンです。

このパッキンは内部グリスの流出や異物の侵入を防ぐように働きますが、段落ち穴とペダルアクスルとのサイズギャップを埋めて、ガタつきを緩和するクッションとしても機能。

購入直後はガタつきが見られなかったことから、内部パッキンの経年劣化やグリスの目減りが原因のように思えます。

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結局、内部構造がシンプル過ぎて分解しても修理する余地がなかったという顛末。

安価なエントリーモデルだから、4年も使えれば十分でしょ?

そう諦めがつく反面、これだけシンプルならメンテ次第で長く付き合えるのでは?という見方も。

メンテの仕上げにグリスを新しく塗り直しペダルを復元すると、ゼロではないもののガタつきが多少緩和されていました。

青色の内部パッキンによる鈍い弾性も感じますし、ひょっとしたらと思い再分解してグリスをこれでもかと増量してみると……

あら不思議!ガタがすっかり解消しているではありませんか。

使用したグリスはみんな大好きシマノのプレミアムグリス

ペダルに使うにはやや硬いグリスですが、それが逆にガタつきを抑えるように働いてくれたのかも知れません。

ペダルアクスル挿入時にペダル根元からムニュっとグリスが溢れ出るくらいグリスをマシマシに塗布しておく。

クランクブラザーズSTAMP1ペダルでガタが出始めたら、ダメもとでこの方法を試してみましょう。

因みに、プレミアムグリスでもペダルの回転が過剰に鈍くなることはありませんでした。もともと回転のスムーズなペダルではありませんしね。

まとめ

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ペダルのガタつきは何とか解消されましたが、STAMP1について調べている過程で不可解な点も。

上画像右のSTMP1ペダルアクスルパーツに、今回の分解ではお目に掛れなかった謎パーツの姿が。

赤矢印のパーツがそれですが、これは一体何なのでしょうね?ブッシュベアリングっぽく見えなくもありません。

このSTAMP1はカタログスペックと実際のピン数や重量が違っていたりとお粗末な点も多く、確証はありませんがリリースの前後で急な仕様変更があった可能性もあります。

因みに、今回のガタつきについては一部で既に周知の不具合らしく、STAMP1にはGEN2という後継モデルが登場しています。

国内では実売価格が旧モデルとほぼ横並びなので、GEN1ではなくこちらを選んだ方が安心できるかも知れませんね。

上画像左がGEN2ですが、ペダルアクスルの形状とベアリングの構成に大きな変更が加えられています。

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