昨年ファットバイクにドロッパーシートポストを導入して以来、あまりの便利さにすっかり手放せない存在になっています。
有難いことに、増車したフルサス29erには最初から内装式のドロッパーシートポストが備わっていて、わざわざ追加購入する必要がありませんでした。
現在はファットバイク用にコスパに優れ機能も十分な『Brand-X Ascend II』
フルサス29erに標準装備の『Bontrager Line Dropper Seatpost』という構成。
剛性や質感はボントレガー製に軍配が上がるものの、厄介なことに時折動作不良を起こしドロッパーポストがスムーズに下降しなくなる不具合があるのです。
『Brand-X Ascend II』が¥13000程度、備え付けとはいえ『Bontrager Line Dropper Seatpost』が¥26000程度と価格差は二倍なのに何故だろう?
価格にその理由を求めてしまいがちですが、原因は前のオーナーが長い間ノーメンテで使用していた事と、フレームのジオメトリが少なからず影響している可能性が高いです。
導入当時から、ドロッパーポストは頻繁に動作させる部分なのにイマイチお手入れの方法がわからない……
そういった疑問がありましたが、今回は動作のスムーズ化を狙ってサスペンション&ドロッパーシートポスト専用の潤滑オイルを試してみたいと思います。
フレームのジオメトリとドロッパーポストの相性について
本題に入る前に、冒頭で触れたフレームのジオメトリとドロッパーポストの相性問題について話題にしてみます
尚、ドロッパーシートポストでは少し長いので、以下『ドロッパーポスト』と記述させて下さい。
上画像はファットバイクに装備しているドロッパーポストで、ご覧通り外装式。
価格なりの質感で剛性にやや頼りなさはあるものの、軸部分にはガタは無く動作も至ってスムーズ、今まで不具合が起きた事は一度もありません。
安価なエントリーモデルなのは間違いありませんが、初めてのドロッパーポストだったこともあり、私にとってこの製品の使用感がドロッパーポストの良し悪しを計る評価基準になっています。
問題なのがコチラ、フルサス29erのドロッパーポスト。
剛性や質感は『Brand-X Ascend II』に勝り動作にも安定感がありますが、最長状態から押し下げる際に意図的に強く自重を掛けないとポストが上手く縮んでくれません。
上から手で押し下げた場合でも動作が重く感じるので、メンテナンス不足で潤滑性が低下しているだけかと思っていましたが、どうやら原因はそれだけでは無さそう。
上画像を見るとわかりますが、フルサス29erのフルスタッシュ8はオールマウンテン/トレイル系のMTBなので通常よりもシートチューブアングルが寝ています。
ジオメトリ表によると65.5度とのことで、ファットバイクの73度と比べて外観からでもその違いがハッキリわかるほど。
さて、これだけ傾いていると乗り手の自重はポストを縮ませる方向だけでなく、ポストをしならせて動きを鈍くする方向にも作用し、その影響が一番大きくなるのがポストが最も伸び切った状態な訳です。
簡単にまとめると【1】シートチューブアングルが寝ている【2】中古車だけにメンテ不足で潤滑性が落ちている、この二つが不具合の原因なのかも知れません。
ドロッパーポストは早ければ三ヶ月間隔でのメンテナンスが推奨され、最低でも年一くらいでグリスアップするのが正しい使い方です。
ドロッパーポストをリリースしているブランドは、製品にメンテ用の予備グリスを少量同梱したり、メンテナンス方法をHP上で解説していますが、完成車に備え付けの場合はどうしても疎かになりがちですね。
実際、グリスアップは本体を分解するそこそこ面倒な作業なので、可能な限り回数を減らしたいのが本音です。
マイルズワイドインダストリーズ『Wet Seal/ウェットシール』がオススメ!
さて、記事中で何度も触れたサスペンション&ドロッパーポスト専用オイルですが、代表的な製品が二種類存在します。
上画像右の製品がWPL『FORK BOOST LUBE/フォークブーストルブ』
上画像左の製品が『Miles Wide Industries Wet Seal/マイルズワイドインダストリーズ ウェットシール』
どちらも似たような性質の製品で価格もほぼ横並び。
フォークブーストルブの方がウエットシールよりも大容量なので、頻繁にメンテナンスしたりフォークにも使いたいといった人には、こちらがオススメでしょうか。
基本的な使い方も共通していて、ドロッパーポストやサスペンションのシール付近に少量垂らしてから、何度も可動部分をギシギシと動かしてあげるだけ。
潤滑されると同時に上画像左のように内部の異物や汚れが浮き上がってきます。
私はたまたまウェットシールの方を購入しましたが、30mlで¥1300程度とプリンター用の純正インク並みに高価でした。
取扱店も少ないので、WPLのフォークブーストルブを探した方が手っ取り早いかも知れません。
因みに、ウェットシールはキャップ部分がそのままスポイトになっていますが、販売時期によってはスポイト無しのパッケージもあるとのこと。
さて、早速ボントレガー製ドロッパーポストに使ってみますが、訳の分からない汚れが出てくる出てくる。
お目汚しなので画像は乗せませんが、ジャリジャリしているので砂も少なからず混じっている印象。
ウエットシールを垂らす⇒何度も上下動させる⇒汚れを拭き取る。
この作業を2回繰り返すと、ジャリジャリした感覚が薄れ、動作も見違えるほど軽くなりました。
特に手で押し下げた時にハッキリとした違いを感じ、今までの7割程度の力加減で押し下げることができます。
動作音もシュコシュコと小気味よい感じに変化し、ひとまず潤滑には成功した模様。
まとめ
ウエットシールやフォークブーストルブでは根本的な解決にならないものの、フォークやドロッパーポストの定期メンテナスには一定の効果が見込めます。
私の場合はこれだけで動作が改善されましたが、駄目だった場合は素直にグリスアップをするしかありません。
名の通ったドロッパーポストのメーカーなら、大抵はHP上にメンテナス方法がアップされているので、チャレンジしてみるのも手です。
因みに、グリスアップにはフォーク用と同じ物が使えるので、SRAM Butter/スラムバターあたりがオススメ。
聞くところよると、ロードバイクメインのショップだとフォークのメンテナンスを断られるという話ですが、ドロッパーポストはずっと構造がシンプルなので、ワンチャンありそうな気も。