せっかくのグラベルバイクなんだから、砂利道を走らないと宝の持ち腐れ!
グラベル乗りなら、こういった強迫観念に苛まれたことが一度や二度はあるはず。
その界隈ではグラベルハントなんて言葉も聞かれ、まだ見ぬ未舗装路を求めて奔走している方もいらっしゃいますね。
「ロードバイクよりも、ちょっとだけ自由に走れる」
私個人としては、こんな程度の向き合い方で十分だと思っていて、そういった気負いはどこ吹く風。
さて、農道や畦道を走れるだけで楽しいと感じてしまう安上がりな私ですが、グラベルロードに乗り始めてから、ずっと気になっていることがひとつ。
グラベルバイクは本当に砂利道を走っても大丈夫なのか?
何を言ってるんだコイツ、意味不明だぞ……
そう思った方は正常な感覚をお持ちです、安心して下さい。
私以外にもこの疑問を持っている方がいると信じたいですが、グラベルバイクで国内の砂利道を走ってみると、思いのほかミスマッチな感覚があるのです。
それもそのはず、国内にある砂利道の多くは「C-40」や「RC-40」といった0~40mmサイズの砕石を敷き詰めた人工的なもので、実際に走ってみるとグラベルタイヤには荷が重い印象。

gravelを直訳すると砂利となりますが、本来の砂利は「粒径が一定の細かさをもつ丸みを帯びた石」と定義されていて、河原や庭園でも走らない限りこんな密度では存在していません。
国内の砂利道を構成しているのはクラッシャーランと呼ばれる人口的に破砕された「砕石」が大半となり、先ほど触れた40mm前後のサイズは駐車場・工事現場・未舗装路などで頻繁に利用されていますね。
ミスマッチに感じてしまう理由が気になって調べてみると、この広く使われているC-40ないしRC-40の砕石はグラベルタイヤに対しての攻撃性が高く、本来はMTB用タイヤの領域とのこと。
MTB用語でいうところのダートを軽く通り越して、岩場・ガレ場を意味するロッキーに迫ることもあり、重機での踏み固めが甘かったり、まだ角の落ちていない砕石は特に注意が必要。

私の場合、田舎住まいのため農道という名の「ジャパングラベル」には事欠きませんが、愛車のグラベルロードで一番気持ちよく走れる路面は、やはりダートやフラットダートと呼ばれる未舗装路でしょうか。

この手の農道はグラベルタイヤでも本当にストレスなく走れ、特に気負うこともなく舗装路からシームレスに移行できるのも魅力。
農道以外に河川敷などでもよく遭遇しますし、最近主流の太目なロード用タイヤでもギリギリ走れてしまうため、ショートカットや抜け道として利用している方も多いのでは?

あくまでも乗り手にも車体にもストレスを与えず、気持ちよく走れるという判断基準ではありますが、一般的なグラベルタイヤの分水嶺になりそうなのが上画像のような未舗装路。
砕石にコンクリート片が含まれているため再生クラッシャーランのRC-20のようですが、20~30mmサイズ以下の砕石が入り混じった路面がグラベルタイヤで快適に走れる上限だという認識ですね。
グラベルと聞いて真っ先にイメージするのはこういったコンディションなものの、残念ながら近場には数えるほどしか存在していません。

そして件の未舗装路がこちら。
まだ角が落ち切っていない40mmサイズの砕石が密集していて、重機による踏み固めも不十分。
C-40やRC-40といった砕石が多用されるのは、ふるい分けをしていないため安価なこともそうですが、石粉から40mmサイズまでランダムに含まれる砕石が踏み固めにより安定しやすく、水はけも良いのがその理由だとか。

こういった敷きたての砕石は極端な例でしょうけど、国内の砂利道で最も身近な存在であるのは間違いありません。
グラベルタイヤで走るとパンクリスクが上昇するのはもちろんですが、踏み固めが不十分な砕石の場合はタイヤが沈み込むことによりサイドカットの危険性も高くなります。
私もたまに迷い込んでやむを得ず走り抜けることがありますが、締っていない砕石はハンドルが取られやすい上に、沈み込みにより砕石がリムを傷を付けてしまうこともあるため、たとえ100m程度でも避けて通りたいのが本音でしょうか。
面倒臭いことは考えず、舗装路も砂利道も気ままにガンガン走りたい……
そういった脳筋チャリダーには、グラベルロードにクロスカントリー用のMTBタイヤを履かせてしまう手っ取り早い裏技もあるのですが、グラベルタイヤでも物によっては十分にこの悩みに応えてくれます。

砕石主体の砂利道も卒なく走りたいなら、【1】タイヤ幅は45C以上、【2】高パンク耐性、【3】タイヤノブあり、この三要素を含んたグラベルタイヤが効果的。
鉄板のグラベルキングならパンク耐性に優れるプラス版を選び、センターノブのあるSKシリーズがX1シリーズがイチオシ。
SKシリーズには700×50Cや29×2.10、X1シリーズには650x48Bや700×50Cといったタイヤ幅50mm前後の製品が存在するため、フレームクリアランスが許す範囲で太目のタイヤを選びたいところ。

個人的にIRCのファンなので、こちらから選ぶなら「BOKEN G-CLAW TLR」一択でしょうか。
汎用性の高いオールラウンドなグラベルタイヤでワイルドなトレッドパターンが実に私好み。
タイヤサイズは700×50Cのみとなり、IRCで幅50mmのグラベルタイヤはこの製品が唯一です。
「BOKEN SLOPCHOP」も気になりますが、サイドカットに強く高いノブを備える点は魅力なものの、タイヤ幅が36Cと控え目なのが残念。
最近のグラベルバイクはタイヤ幅50Cに対応できるクリアランスの製品も増えていますが、タイヤを今までより太くするだけでも、締っていない砂利道でタイヤが沈み込みづらくなりサイドカットのリスクも軽減できます。
経験論として、C-40やRC-40といった砕石が目立つ未舗装路でも、工事から時間が経過していたり、踏み固めがしっかりとしていれば、パンクリスクはそれほど高くはありません。
とはいえ、グラベルタイヤだから砂利道は大得意なはず!
そんな単純な理屈にはならないので、くれぐれもグラベルタイヤという呼び名に惑わされないように注意したいところ。

