変換アダプターで解決!フラットマウント⇔ポストマウントを実現せよ

変換アダプターで解決!フラットマウント⇔ポストマウントを実現せよイメージ01

自動車や自動二輪は好きだけど、自転車には全く興味が無い……

そんな人にこの話をすると「最近はチャリもそうなの?」なんて驚かれますが、今どきのスポーツサイクルはディスクブレーキが標準装備です。

このディスクブレーキには大きく分けてロードバイク用とマウンテンバイク用の二種類が存在し、両者には互換性がほぼありません。

誤解の無いように説明すると、ブレーキシステム自体は概ね共通しているものの、ブレーキキャリパーを車体に固定するブレーキ台座の形状が大きく異なっているのです。

要は、MTB用のブレーキキャリパーはロードバイクのフォークやフレームに対してミスマッチとなり、その逆も然り。

それぞれに専用のブレーキが存在するため普通に使う分には何ら不都合はありませんが、世の中には居るのです……

MTBでロード用のドロップハンドルとデュアルコントロールレバーが使いたい!

グラベルロードにも制動力の高いMTB用ブレーキが必要だ!

そんな贅沢な悩みを抱えている自転車乗りが。

さて、回りくどい導入はこれくらいにして、今回はディスクブレーキ台座の互換性問題を解決してくれるブレーキマウント変換アダプターについての話題。

ポストマウントとフラットマウント、このふたつのブレーキマウント規格の溝を埋めてくれる、そんなニッチなアイテムです。

キホンの基本、三種類あるディスクブレーキ台座を再確認

変換アダプターで解決!フラットマウント⇔ポストマウントを実現せよイメージ02

本題であるブレーキマウントの変換アダプターに触れる前に、一応ブレーキ台座についてのおさらい。

画像左が主にロード用として採用されている【フラットマウント/FM】

画像中央が主にMTB用として採用されている【ポストマウント/PM】

画像右がMTB用の旧規格として採用されていた【インターナショナルスタンダード/IS】

ディスクブレーキ用のブレーキ台座はこの三種類に大別され、上画像のインターナショナルスタンダードは変換アダプターにより既にポストマウント化されている状態。

旧規格であるインターナショナルスタンダードは現在でもSURLYのクロモリバイクなんかに採用されているものの、大抵は変換アダプターでPM化されています。

そのため、ブレーキ台座の規格はロード用のフラットマウント/FMとMTB用のポストマウント/PMのふたつとなり、実質二種類と考えて差し支えありません。

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余談ですが、フラットマウントはその名の通りブレーキ台座が平坦でシンプル。

フロントのフォーク側はMTB用のポストマウントと作りが似通っているものの、リア側はフレームを貫通してブレーキキャリパーの底部側からボルトを固定する仕組み。

これが割と厄介で、事前にフレームの幅を把握していないと固定ボルトが長すぎたり短すぎたりしてキャリパーを上手く取付けできなかったりします。

おまけにシマノ純正の固定ボルトは先端に脱落防止用のチョボが付いた特殊仕様になっていて、発表当時はかなり不評だった覚えが。

フラットマウント用キャリパーをポストマウント化する変換アダプター

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まずはこちら、ロードバイク用のブレーキキャリパーをMTB用のポストマウントで使えるようにする変換アダプターです。

画像のWOLFTOOTH製がよく知られていて、製品名は「Post to Flat Mount Brake Adapter」

リア・フロントどちらにでも使える兼用の変換アダプターでお値段は6600円とちょっとお高め。

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この変換アダプタ―さえあれば、ロード用のブレーキキャリパーがMTBのフレームにもマウント可能になるため、ドロップハンドル&デュアルコントロールレバー仕様のMTBも実現可能!

そんなふうに手放しで喜びたくなりますが、残念ながら制限もあります。

上画像に小さく記載されている通り、変換アダプターを取付けるにはポストマウントの脚部に最低でも13mmのクリアランスが必要

それに加えて、変換アダプターによりキャリパーの取付け位置が嵩増しされてしまうため、使用するローターを20mm大きい物に交換しなければなりません。

大抵のMTBは標準でΦ160mmのローターに対応していますから、WOLFTOOTH製の変換アダプターを使うことでΦ180mmのローターが必要になるという計算です。

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Φ180mmのローターにすることで制動力の向上も見込めますが、どうしてもローター径を大きくしたくない場合はA.S.Solutionsの変換アダプターを使う方法もあります。

A.S.Solutionsはカナダのパーツメーカーで、WOLFTOOTH製とほぼ同じ仕様の変換アダプターの他に、ローター径を維持したまま使える製品もラインナップ。

こちらはポストマウントの脚部に24mmのクリアランスが必要になるものの、キャリパーの取付け位置を低く出来るため、この条件さえ満たせばΦ140mmやΦ160mmのローターも使用可能になります。

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興味深いことに、A.S.Solutionsからはインターナショナルスタンダートからフラットマウントへの変換アダプターもリリースされていて、旧車好きには有難い配慮。

こちらもフレーム側のマウント部分にキャリパーの底部と干渉しない程度のクリアランスが求められますが、ローター径はフロントがΦ180mmでリアがΦ160mmとなり、前後共Φ140mmは未対応とのこと。

どちらの変換アダプターもWOLFTOOTH製の穴を埋めてくれる素晴らしい製品ですが、国内では殆ど流通しておらず国内価格が割高なのも難点でしょうか。

国内でも普通に手に入る代替品としてはMicrOHERO製あたりが狙い目ですね。

因みに、どのブランドでも2個セットではなく単体で販売されているので購入の際はくれぐれも注意しましょう。

ポストマウント用キャリパーをフラットマウント化する変換アダプター

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お次はこちら、MTB用のブレーキキャリパーをロード用のフラットマウントで使えるようにする変換アダプターです。

制動力の高いMTB用の4ポットキャリパーがグラベルロードでも使えるようになるので、何気にこちらの方が需要があるかも知れません。

一応、高級パーツで知られるPAUL COMPONENTがフロント用だけをリリースしていますが、流石にそれでは片手落ち。

フロント用もリア用も卒なくリリースしているのは台湾メーカーのZENOで、それぞれにΦ140mmローター用とΦ160mmローター用の二種類が準備されています。

注意点として、ロードバイクやグラベルロードといったフラットマウント対応フレームでは、取付けに十分なクリアランスが確保できないことが多く、取付けできるか否かはほぼ博打とのこと。

特にフレームに囲まれたリア側がシビアな傾向にあり、使用するブレーキキャリパーのサイズ感も含めて、現物合わせ的な要素が強くなります。

さて、残念なお知らせですがこのZENO製も国内では入手が困難。

例によって代替品はBBB製あたりが適任で、出処のわからないノーブランド品を含めると選択肢は割と潤沢だったりします。

何気に充実!中華製のブレーキマウント変換アダプター

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最後になりますが、こういった小物類は中華製の得意とするところでお値段も大変リーズナブル。

ブレーキは命に係わるパーツだけに、中華製はちょっと……と少し不安になりますが、その点が気にならないなら試してみましょう。

フラットマウント用キャリパーをポストマウント化する変換アダプターは、ZTTOZRACE

ポストマウント用キャリパーをフラットマウント化する変換アダプターは、KOCEVLO

アリエクから直接購入するならこの辺りが狙い目で、お値段も国内価格の1/2~1/3くらいが相場、「pm fm adapter」といったワードで検索するとわらわら出てきます。

レビューを見る限り概ね評価は良好ですが、どうしても精度や耐久性については色眼鏡で見てしまいそう。

まとめ

ロード用とMTB用とで異なるブレーキ台座の変換アダプターについて話題にしてみましたが、クリアランスやローター径などに若干の縛りはあるものの、ある程度の互換性は期待できそうですね。

因みに、記事中で「MTBでもドロップハンドルやデュアルコントロールレバーが使用可能に!」なんて安易に言っちゃってますが、実のところシフターにも互換性が無いのでひと手間掛ける必要があります。

ロード用とMTB用とではブレーキケーブルだけでなくシフターのケーブル引き量も異なっているため、本来ならリアディレイラーも同系統にしなければなりません。

互換性に要注意?シマノCUES『ロード用STIレバー』の気になる仕様イメージ07

有難いことにWOLFTOOTHからは「TANPAN」というシフターの引き量を変換してくれるパーツがリリースされていて、ドロハン化するなら今回のブレーキマウント変換アダプターとセットで使うのがオススメ。

余談ですが、シマノCUESにはMTB用・ロード用といった垣根が無いため、MTBのドロハン化がブレーキマウントの変換アダプターだけで簡単に実現できてしまいます。

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