少し前の話ですが、愛車のファットバイク『アーガスエキスパート』がスローパンクしていました。
タイヤを外しチューブを確認してみると、カッターで切り裂いたような細長い穴がチューブの内径側に6箇所も開いていて、少し驚きます。
良く調べてみると、リム穴を塞いでる『リムテープ/リムストリップ』が経年劣化で変形し、露出したリムの肉抜き穴にチューブが擦れてしまったことが原因でした。
修理のため、チューブとリムストリップを交換することになったのですが、このリムストリップ…本当にはまるのか?などと軽く絶望するくらいにリムにはまりません。
情報を求めてネットの海を彷徨ってみても、参考になりそうな内容は見当たらず。取り合えず理解したのはファットバイク用のリムテープ/リムストリップは慣れていないと取り付けが兎に角大変だということだけでした。
因みに、ファットバイク用のリムテープはリムストリップ(rim strip)と呼ぶそうなので、記事中はリムストリップと記述します。
使用したリムストリップ

今回、私が使用したのはSURLYのナイロン製リムストリップで今までのPVC(ポリ塩化ビニル)製よりも軽量かつ丈夫な製品です。
リム幅100mmのClown Shoe用でPVC製よりも変形しづらくなったため、今まで75mmだった幅が65mmに変更されているようですね。
私のアーガスエキスパートはかなり特殊な形状のリム穴をしており、リム穴をキッチリ塞ぐためには85mm幅以上のリムストリップが必要になります。
残念な事に国内で手に入るリムストリップは75mm幅が最大で、今回は軽量なナイロン製を2枚ずらして取り付ける事で対応しています。
【我流】ファットバイク用リムストリップのはめ方
SURLY(サーリー)などをメインに扱っているファットバイク専門店では、取り付けの過程をすっ飛ばして『交換しました!!』といったような笑顔のブログ記事を良く見かけます。
その内容からは苦労した痕跡が伺えないので、もっと簡単にリムストリップをはめる方法があるのかなぁ~なんて思ってしまいますが、これから紹介する方法は慣れとちょっとしたコツが必要です。


私が使った道具はホームセンターで購入した蝶ボルト・ナット・ワッシャー・プレートとクランクブラザーズのSpeedier Lever (スピーディアーレバー)の二つです。
両者とも元々別の目的で購入していた物で必ずしも必要なわけではありません。

蝶ボルト・その他は取り付け中にずれないように、リムとリムストリップのバルブ穴同士を固定するために使用し、仏式のバルブ穴径6mmに出来るだけ近いサイズを選びましょう。
これがバルブ穴よりも小さすぎると、苦労してリムストリップを装着したものの、いつの間にかバルブ穴とリムストリップの穴が微妙にズレてしまい、チューブのバルブをスムーズに通せなくなってしまう事があるのです。
因みに、プレートは別に無くても固定できるので、その辺はお好みで。
ファットバイク用に限らず、リムストリップを取り付ける際にはこの穴にドライバー等を挿し込んで固定する方法が一般的ですが、私の取り付け方法ではホイールのバルブ穴が下側に位置することなるため、逆さまにしても固定のずれない蝶ボルトを使用しています。
さて、リムストリップの固定が済んだら、以下の順序でリムストリップを力技で装着していきます。
【1】バルブ穴を下側にしてホイールを立てる
【2】靴下を脱いで裸足になる
【3】適度な力でホイール下部を踏んで固定する
【4】リムストリップをホイールの左右からはめていく
【5】手ではこれ以上はまらないところまで進める
【6】足でホイールを押えリムストリップを背筋を使って上に引っ張る
【7】綺麗にはめようなどとは考えず、力技で無理矢理はめる
大雑把すぎる説明で心苦しいですが、【2】で裸足になるのはその方がスポークを足の指で挟みやすく、ホイールを固定しやすくなるからです。
【4】の左右からはめていくコツはリムの縁上にリムストリップを載せていく様な感じで、タイヤのビードをはめる作業に似ています。
【5】は結構重要で片手で押えても、リムストリップがずり落ちない程度に張り詰めさせておきます。
【6】はウエイトトレーニングのデッドリフトと同じ要領と言えば、わかりやすいでしょうか?
【7】で一気にリムにリムストリップをはめる訳ですが、リボン状で幅広なファットバイク用のリムストリップを力任せに引っ張っても、力が分散して上手く伸びてくれません。
帯状のまま綺麗にはめようとはせず、ひも状になるくらいに握りしめるか、二つ折りにするくらいの方が力を加えやすくなります。
さて、上記のように実践すると最後の段階でリムとリムストリップの間に指が挟まりやすく、抜き取る際に取り付けに失敗する場合があります。
実はこの部分にリムストリップ取り付けのポイントが隠されていて、そのコツを知ってるだけで取り付けが本当に楽になります。

【7】の説明と少し似ていますが、リムストリップをはめるときは内側をリムの縁に載せようとするよりもリムストリップの外側を載せる方が簡単です。
外側を掴み、クルっと半回転させるくらいの勢いではめるのがコツで、この方法だと最後に指を抜き取る必要がありません。
単純にリムストリップの幅がリムストリップ径にプラスされる理屈ですが、リム径よりも小さいリムストリップ径を補う効果が得られます。
なに?どういうこと?これじゃあ上半分だけ裏返しになるんじゃ…と思うでしょうが、ここで最初に紹介したクランクブラザーズのSpeedier Lever (スピーディアーレバー)の出番なのです。
スピーディアーレバーはタイヤレバーの一種で、これ1本でタイヤの取り外しが楽に出来てしまう大変優れたアイテムですが、樹脂製かつ普通のタイヤレバーよりも丈夫&ソフトにできているため、リムストリップやリムに傷を付けず、ちょっとした調整にも使えるのです。
どんな状態でも、リムストリップがリムにはまってさえいれば、スピーディアーレバーと指先を駆使してチマチマとリムストリップを調節でき、リムストリップが裏返っていようが折り目が付いていようが、時間さえ掛ければ十分に修正が効きます。
私の場合、計四本のリムストリップを装着しましたが、コツを掴んだ後半の二本は装着に5分、調整に10分程度で済むようになりました。
因みに、勘の良い方ならお気付きかと思いますが、最後にはめ込む直前にあらかじめリムストリップ上部をクルっと外に半回転させておくとキッチリと正位置で取り付け出来ます。
まとめ

文章だと伝わりづらい部分もありますが、一度チャレンジしてから参考にしてもらえればコツが掴みやすいと思います。
上画像の様にSURLYのナイロン製65mmを2枚使用し、最後に穴あけポンチでバルブ穴を開け直して、取り付け完了です。

仏式のバルブ穴はΦ6mmなので、少しだけ大きいΦ8mm前後のポンチで十分ですが、今回は余裕を持たせて10mmのポンチを使用しました。リムに傷を付けないうに、ハンマーではなく手で捻じ込むように穿ちます。
私はポンチを使いましたが、チューブレス化の際にシールテープに穴を開ける方法と同じく、加熱した釘や鉄串を使って穴を開けた方が簡単かも知れませんね。
ナイロン製は1.0barでもリム穴の膨らみが僅かに確認できる程度で、変形が少ない分PVC製よりも長持ちしそうです。
今回は伸縮性の乏しいナイロン製のリムストリップだったので大苦戦しましたが、従来のPVC製は良く伸びるので、取り付け難易度はずっと低くなります。
後日、DTswiss製のファットバイク用リムストリップに触れる機会があっあのですが、こちらはSURLY製と比べるとリムへのフィット感に余裕があり、今回のように苦戦することは無さそうでした。
余談ですが、ドライヤーやヒーターを使って温めてリムストリップを柔らかくしてから取り付ける方法も試してみましたが、ナイロン製では僅かに柔らかくなる程度で、殆ど効果は感じませんね。
確証はありませんが、PVC製リムストリップでのみ通用する方法なのかも知れません。