悲報、キャニオン撤退!
うぁ~マジかぁ~
そんな悲鳴も聞こえて来そうですが、安心して下さい。
これはあくまでもファットバイクに限ったお話。
二年ほど前から、CANYON/キャニオンのファットバイク「Dude」のラインナップが弱体化していたので薄々感じてはいましたが、懸念していたことが現実に。
スペシャライズド、トレック、マングースに続いて、また一つ国内でファットバイクの灯が消えました。
国内で……というのがミソで、実は米国のキャニオンUSでは引き続きDudeが販売されていますし、トレックやマングースも米国に限っていえばファットバイクのラインナップは衰えていません。
ファットバイクは米国で発明された自転車ですし、米国の気候にもマッチしているで当たり前ですが、活躍の舞台が日本国内となると北海道以外ではスペックを持て余し気味なのが正直なところ。
2018年頃をピークに国内での需要は右肩下がりで、2023年以降ともなると極太タイヤの電動アシスト自転車やフル電動モペットなんかにファットバイクの称号を奪われている始末です。
古参の人力ファットバイク乗りとしては寂しい限りですが、行く末を見守りつつささやかなレコンキスタを敢行。
ニッチな需要なのは間違いありませんが、今回は国内でも購入可能なファットバイクの主要ブランドの現状を再確認してみました。
また会う日まで!コスパ最高だったファットバイク、キャニオン「Dude」

一応、国内向けの最終モデルとなったのは、カーボンフレーム仕様で27.5インチホイールの「Dude CF 8」
価格は米ドルで$2299、セールで$1899になっていて、仮に日本から購入した場合は送料や箱代、輸入消費税といった諸経費を含めてお値段は¥320000ほどでしょうか。
古いモデルからウォッチし続けていた私からすると、サス無し・ノーマルポストでこの値段は割高に思えてしまいますね。
因みに、2021年前後のDudeは特にコスパが良かった記憶があり、ドロッパーポスト標準装備でも諸経費込みで¥280000で購入できたような覚えが。
この時期のモデルはドロッパーポストとフロントサスペンション装備でも¥300000くらいだったので、オークションや中古市場で状態の良い物を見掛けたら、思い切って購入してみるのも悪くありません。

個人的に同じDudeでも一昔前の2018年モデルが特にお気に入り。
古いモデルのためホイールもスタンダードな26インチですが、フレームのジオメトリは最新版と大きな違いはなく、何より良い意味でドイツ臭いミリタリーチックな配色がとにかく私好みでしたね。
中古品を見付けたら、今でもフレーム目当てで食指が動いてしまうかも知れません。
SURLYなら安心?国内で買えるファットバイクの主要ブランド

ここからは日本国内でも購入可能なファットバイクの主要ブランドをピックアップ。
トップバッターは言わずと知れたファットバイクの元祖、SURLY/サーリーです。
たとえ他のブランドが全て撤退したとしても、SURLYだけは販売を続けてくれる……
そんな確信めいた予感があるフットバイクの鉄板中の鉄板ブランド。
現行モデルは「Ice Cream Truck」「Wednesday」「Moonlander-V2」の三種類で、全てクロモリフレームです。
ファットバイク乗りなら一度はオーナーになってみたい憧れのブランドなものの、最新テクノロジーや流行り廃りとは別ベクトルの思想で作られいるだけに、一通り遊び尽くした末に最後に辿り着くファットバイクといった印象でしょうか。
購入する場合はSURLYの取扱店を頼ることになりますが、毎年の入荷数が限られているので確実に手に入れたいなら事前のアポは必須。
お店によっては通販にも対応しているので、地方住まいでも店舗まで引き取りに行かなくても購入できる場合も。

SURLYと並んでファットバイクの二大ブランドとされるのが、こちらのSALSA/サルサです。
アルミフレームやカーボンフレームのファットバイクをラインナップし、27.5インチホイールの「Beargrease」と26インチホイールの「Heyday!」が主要モデル。
以前は「MUKLUK」というモデルが存在しましたが、こちらは「Heyday!」として上画像のファットバイクにリニューアルしています。
SURLYには惹かれるけど、クロモリは重いし錆びるからちょっと……そんな方にはSALSAがおすすめでしょうか。
SURLYよりも取扱店が少ない印象があるものの、こちらもお店によっては通販に対応してくれます。
因みに、国内で販売されている物の大半がエントリーモデルだそうで、ハイエンドモデルの取扱いは稀。
私のファットバイクもSALSA製のカーボンモデルですが、コンポ類がエントリーグレードだったため、納車後に総入れ替えしてカスタマイズしています。

ファットバイクに興味はあるけど、予算が心許ない……
そんな人におすすめなのがKHSのファットバイクです。
2015年前後の比較的早い段階からリリースを続けていて、KHSではファットバイクのことを4シーズンバイクと呼んだりもしますね。
キッズモデルを除けば全て26インチホイールの製品となり、エントリーモデルからハイエンドモデルまで4.8インチ幅以上の極太タイヤが標準装備されているという、ファットバイクらしさ溢れる仕様も魅力のひとつ。
エントリーモデルのATB-300は9速仕様なものの、税込で¥132000というコスパが光ります。
唯一残念なのが通販に未対応なことで、KHSは対面販売が基本。
最寄りに取扱店が無い場合は、店舗まで自動車で引き取りに行くか自走で帰宅する必要があるため、そういった部分が購入のハードルになってしまう場合も。

初心者から中・上級者まで、満遍なくおすすめできるのが、KONA/コナのファットバイクでしょうか。
10速仕様のWOと12速仕様のWOOの二種類があり、どちらも26インチホイールを採用。
標準で4.8インチ幅のスノータイヤを装備し、納車後すぐに雪道を堪能できるのも魅力。
とにかく卒の無い仕上がりで最初の一台に打って付け、後々カスタマイズ欲が出てきてもしっかりと対応でき、長く付き合える素体としても優れています。
これだけ本格的な製品なのに大手ECサイトで取扱いがあるのが面白いところで、日本全国どこに住んでいても気軽に購入できてしまうという強みも。
因みに、KONAはコロナ禍による経営不振で身売りの憂き目に遭うも、KONA創業者により買い戻しがされたとのこと。
ブランドの存続は素直に喜びたいですが、今後はネット通販ではなく実店舗との関係を強化していく方針とのことで、今までの利便性が維持されるか否かは不透明です。
カナダのブランドだけに、ファットバイク自体がラインナップから外れることは無さそうですが、今後も毎年欠かさず新モデルを投入してくれることに期待したいですね。

最後にオマケとして紹介するのが、TREK/トレックのファットバイク。
一昔前なら、Farleyシリーズを積極的にリリースしていたのですが、現在は国内での販売はゼロでファットバイクのラインナップは完全に消滅しています。
販売されていないのにどうして紹介したのか?
その理由は、お膝元の米国では滅茶苦茶ラインナップが充実していて羨まし過ぎるから……
驚いたことに、米トレックのファットバイクは全て27.5インチホイールを採用。
その上、27.5 x 4.5インチというデカくて太いタイヤが標準となるフレームクリアランスも実現。
ファットバイクとしてワンランク上の段階にあるのは間違いなく、走破性に全振りしたモンスターファットなんて呼びたくなります。
上画像は米トレックからリリースされたFarley 9ですが、かつてトレックが販売していたセミファットバイク「TREK 1120」を踏襲したようなデザインで実にカッコイイですね。
どうしても欲しい場合は現地の購入代行業者を頼ることになりますが、手数料を含むその他諸々の経費を考えると怖くて手が出せません。
たまにどこかの好事家が国内のオークションやフリマサイトに出品してくれることがあるので、気長に待つのも手でしょうか。
まとめ
結局のところ、SURLY・SALSA・KHS・KONA
この4つが国内でファットバイクを購入できる主要ブランドということになります。
付け加えると、「ROCKSHOX BLUTO」や「MANITOU MASTODON」と言ったフロントサスペンションを採用したファットバイクは廃れてしまい、大半がリジッドフォーク化している点にも市場の変化が見て取れますね。
余談ですが、リジッドとリジットでいつも迷いますが、自転車では「リジッドフォーク」と濁点が付くのが正解とのこと。

個人的にファットバイクから撤退して一番残念だったブランドは、やはりスペシャライズドでしょうか。
画像のFatboy Comp Carbonの2019年モデルが特に印象深く、美品の中古車でオークションに競り負けた苦い思い出があります。
チューブレス化していない状態で車重が12.4kgという軽さも魅力ですが、当時としては珍しかった肉抜き穴無しのアルミ製リムも新鮮でしたね。
冬季迷彩イメージしたフレームカラーも惚れ惚れするほどで、今でも諦めきれずに中古車を探し続けています。
このFatboy Comp Carbonと初代Ice Cream Truckのふたつは、ずっと憧れの存在で居続けるのかも知れません。