グラベルキングで人気のパナレーサーから、ちょっと気になるタイヤが登場。
その名も「Break Through/ブレイクスルー」で、高耐久かつ軽量という一見矛盾した性質を兼ね備えた、なかなか挑戦的な製品です。
パナレーサーの社内テストでは走行距離10000kmの長寿命を達成しているとのことで、それが真実ならば文字通りブレイクスルーな存在になってくれそう。

トレッド面には耐摩耗性に優れる厚手のコンパウンドを採用し、耐久性と共に耐パンク性も向上。
高寿命や高耐久を謳った耐パンクタイヤは大抵重量とのトレードオフになりますが、全てのラインナップが300g以下という軽量さには驚かされます。
このブレイクスルーはロードバイク・クロスバイク向けのオンロード用タイヤとしてリリースされ、残念ながらチューブレスには未対応。
チューブドタイヤはチューブレスタイヤに必要な気密層が不要なので、軽量さを実現できたカラクリはこの辺にあるのかも。
耐久性を売りにしたタイヤとしては珍しく、ワイヤービードではなくフォールディングビードなのも一因でしょうか。

ロードバイク・クロスバイク向けということで、現在のラインナップは700×25Cと700×28Cの二種類。
太いタイヤが主流になりつつあるご時世からすると少し物足りなさを覚えるのが正直なところ。
グラベルロード乗りとしては32Cサイズが欲しくなり、今後の充実に嫌でも期待したくなります。
気になる重量は25Cが250g、28Cが270gと長寿命と耐パンク性を兼ね備える高耐久タイヤとしては異例の軽さ。

同社の無印グラベルキングと比較してみると、700×28Cのチューブド版が280gと重量面では大きな違いは見られないものの耐久性は段違い。
無印グラベルキングはお世辞にも耐パンク性は高くありませんし、オンロード主体でも走行距離3000kmで寿命を迎えることも珍しくありません。
余談ですが、同じ無印グラベルキングでもチューブレス版は700×30Cで重量320gと、一気に300gの大台を超えてしまいます。

ついでなので触れておきますが、長寿命の耐パンクタイヤといえば、やっぱりシュワルベ マラソン。
こちらは分厚い耐パンクベルトを備えるツーリングタイヤだけに、トレッド面の厚みだけで勝負しているブレイクスルーとの単純比較はできませんが、無印マラソンの700×28Cが550g、軽量なマラソンレーサーで700×30Cが395gという値。
重量と転がり抵抗ではブレイクスルーに分があるものの、総合的なプロテクション性能はまだまだシュワルベ マラソンの信頼性が勝ります。
総合力では及ばないのは間違いありませんが、パナレーサーのブレイクスルーは通勤・通学中のトラブルを払拭できる耐久性を備えつつ、ホビーユースで求められる軽快な走りも提供してくれる。
そんな我儘を叶えてくれるのが一番の魅力かも知れませんね。
あくまでも私の勝手な妄想ですが、このタイヤはロード乗りよりもクロスバイク乗りに重宝されそうな気がします。
ご存知の通り、エントリークラスのクロスバイクは標準タイヤが重量級。
700×30C前後でも耐久性を重視した500gオーバーの物が採用されているため、タイヤ交換で得られる効果は絶大です。
同等以上の耐久性を維持しつつタイヤ重量を半分できるのですから、やらない手はありません。

欲を言えば、TPUチューブの併用で更なる軽量化も狙いたいところですが、リムブレーキはブレーキ熱の関係で相性が悪いのが難点。
TPUチューブ化も合わせて行うなら、ロードバイクであれクロスバイクであれ、ディスクブレーキ車で実施するのが良さそうです。

さて、パナレーサー謹製の新タイヤということで、気になるのがそのお値段。
私が一番驚いたのがこの部分で、なんと税込3520円也!
実売価格なら3000円を切るかも知れません。
しかも、ご覧の通りMaid in Japanの日本製で、国内生産だから逆に安価にできたのでは……なんて悲しい憶測も。
耐パンク性に優れ、軽量で長寿命、おまけに低価格。
実際の評価に関しては時を待つしかありませんが、伊達にブレイクスルーなんて名乗っていませんね、このタイヤ。
私のグラベル用ホイールは一応28Cのタイヤが履けるので、街乗り兼ロングライド用として試してみたくなりました。
望み薄でしょうけど、ブレイクスルーにミニベロの451ホイール用が出たら、即買いするでしょうね、きっと。