思いっきり私事ですが、とある事情から自転車通勤、俗に言う「チャリ通」をする憂き目に。
自転車大好き人間につき、まあそれも悪くないとすんなり納得するも、やはり娯楽と実用では勝手が違います。
私の所有するグラベルロード・ファットバイク・ミニベロ、この三台の自転車のうちチャリ通号に任命されるのは恐らくミニベロ。
折り畳めば車載できますし、フェンダーも取付け可能、それに加えてキックスタンドも備えていますから、実用性は頭一つ抜きん出ています。
とはいえ不安な点も幾つかあり、その最たるものが雨天時の扱い。
乗り手はレインウェアで対処できるものの、残念ながら所有のミニベロ「KHS F-20R」はクロモリフレームな上にリムブレーキ仕様と、とにかく雨との相性が悪いです。
ドライ用のブレーキシューのままだと制動力が著しく低下し、急な土砂降りで冷や冷やした経験も何度か。
また、車体への水分も厄介で、折り畳み自転車は「くの字」折れるヒンジ部分がサビの標的になりがち。
他にもウェットコンディションではタイヤが通常よりもパンクしやすいという現象もあり、摩耗しやすく耐久力にも乏しい小径車用のタイヤでは不安が尽きないのが正直なところ。
因みに、雨の日にパンクしやすいのは水分によりゴムの摩擦が低下し異物がタイヤに刺さりやすくなるのが原因とのこと。
素の装備のままだと後悔するのは目に見えているので、とりあえずリムブレーキの制動力強化とクロモリフレームのサビ対策から手を付けてみることを決意。
乗り手にも自転車にも優しいチャリ通ライフを目指して、今回は自転車通勤・通学時の雨対策について話題にしてみます。
リムブレーキの雨対策、ウェット用ブレーキシューあれこれ

乗り手の安全確保が最優先ということで、リムブレーキ用のブレーキシューの見直しから。
大抵のリムブレーキ車にはドライ用かオールウェザー用のブレーキシューが標準で採用されていますが、濡れてもある程度の制動力を発揮してくれるウェット用に交換するのが手っ取り早い対策法。
言い忘れていましたが、ブレーキシューにはアルミリム用とカーボンリム用の二種類があり、今回は所有のミニベロに合わせてシマノ/スラム対応のアルミリム用に注目しています。
まずはシマノ製を調べてみると、思いのほかラインナップに乏しく、主流のカードリッジタイプは精々オールウェザー用どまり。
しっかりとしたウェット用で使えそうなのがキャリパーブレーキ用の「M50T」とVブレーキ用の「M70T3」で、どちらもカードリッジタイプではなくブレーキ台座とブレーキシューが一体になったワンピースタイプ。
M50TはTiagra・SORAグレードとなり、私のミニベロにはSORAグレードのキャリパーブレーキが採用されているため、シマノ製から選ぶならこちらが良さそう。
Vブレーキ用のM70T3は5段階評価中で5というかなりのウェット適性を備えているものの、昨今はエントリーグレードのクロスバイクか旧車のMTBくらいでしか出番が無さそうです。
M50Tは700円以下、M70T3も1000円以下と安価なので、まずはこちらに交換して雨天時の効き具合を確認してみるのも手でしょうか。

シマノ製に続いて、お次は社外製のブレーキシューから。
全てカードリッジタイプなものの、SORAグレード標準のワンピースタイプとの置き換えも可能で、その場合はシュー単体ではなくブレーキ台座とセットになった製品を選ぶことになります。
画像左はSWISS STOP/スイスストップの「FLASH PRO BXP」
スイスストップだけに期待したくなりますが、意外にも目立った評価は聞かれず、雨天時は同社比で20%弱の制動力アップが期待できるとのこと。
気になるお値段は4個入りの一台分が4000円強と、消耗品として手が出せそうなギリギリの価格帯と言った印象でしょうか。
画像中央はJAG WIRE/ジャグワイヤーの「Road Pro S Wet」
赤いブレーキシューが目を引くキャリパーブレーキ対応のウェット用で、実際に使用した方のテストによると雨天時の制動距離がドライ使用時の約半分という結果に。
確実に効果を実感できるウェット用ブレーキシューなのは確かですが、流通量が少なく価格も高止まりしているのが残念。
本来の価格は前述のスイスストップと同程度らしいのですが、財力がある方以外は国内在庫に手を出すのは避けた方が無難でしょう。
画像右はBBBのUltraStop「BBS-28HP」
シュー表面に多数の溝が設けられた水切れの良い設計で、雨天時には20%の制動力アップが見込めるとのこと。
使用している方も多く、晴天・雨天を問わずブレーキの効きは前述のスイスストップよりも上と称する方も少なくありません。
ブレーキシューの色がホワイトで汚れが目立ちやすいという不満はあるものの、4個入り一台分が2000円前後と比較的安価なのも人気を集める理由でしょうか。
雨天でもしっかりと効くディスクブレーキに慣れてしまうと、例えウェット用のブレーキシューだとしても物足りなさを感じるでしょうが、安価で試せるシマノの「M50T」かBBBのUltraStop「BBS-28HP」あたりが良い落しどころな気がしますね。
このふたつで十分?雨天走行後にすべき自転車のサビ対策

自転車のサビ対策については以前にも記事にしたことがあるので、今回は軽めに。
チェーンの注油といった基本的なメンテナンスを定期的にしているなら、ドライブトレインまわりのサビを過剰に気にする必要はありませんが、見落としがちなのがその他の部分。
普段は注油をしない非可動部分がおろそかになりがちで、気が付けばボルトの頭が赤茶色になっていたりします。
正直、自転車のサビ対策には上画像のMUC-OFF「BIKE PROTECT」と「HCB-1」のふたつで大抵は事足り、特にBIKE PROTECTが優秀。
ディスクブレーキまわりを除く全ての箇所に使用可能なだけなく、水に濡れた状態でもガンガン使えるのも魅力でしょうか。
チェーンやスプロケのクリーニング後に吹き付け、その後にいつも通りに注油するといった使い方もでき、特に難しい制限が無いのも嬉しいところ。
雨天走行後にシュッと車体に吹き付けウエスで拭き取るだけという、使い勝手の良さが光るケミカルです。
一方、HCB-1は塗布後にしばらく時間を置くという少し癖のある使い方なものの、普段は見えないフレーム内部のサビ止めに非常に高い効果を発揮します。
シートチューブやダボ穴から侵入する水分に対して有効で、私の折り畳みミニベロにならヒンジ部分のサビ止めに高い効果を発揮してくれるかも。

一応、上の記事でもサビ止め剤についてまとめているので、更に深掘りしたい方は参考までにどうぞ。
いる?いらない?夏でも使えるレイングローブについて

最後に蛇足的な話題を少々。
正直、あたたかい季節には全く必要ありませんが、気温が20度以下で風雨に晒されると手先が想像以上に冷えてしまうことがあり、レイングローブを使いたくなる場面があるかも知れません。
私が調べた限り、あたたかい季節に不快感なく使えそうなレイングローブは上画像の四種類。
製品名は左から順に以下の通りで、夏でもギリギリ使用に耐えられる薄手仕様になっています。
● SEIRUS/セイラス「ハイパーライトグローブ」
●ファイントラック「エバーブレス トレイルグローブ」
●モンベル「ドライテック サイクルレイングローブ」
●ショーワグローブ「テムレス 04advance」
この四種類の中で完全防水なのはモンベルとテムレスのふたつで、セイラスとファイントラックは縫い目にシームテープが施されていないとのこと。
どれを選んでも水バケツにドブ漬けでもしない限りしっかりと仕事をしてくれますが、コスパや実用性を重視するならアウトドア仕様のテムレスで十分な気も。
カラーもブラックと控え目で、ひと目でテムレスとわかってしまう気恥ずかしさが少しだけ軽減されています。
流石にテムレスは……そう思ってしまう方には、汎用性の高いモンベル製がオススメ。
こちらは50デニールナイロンの一枚地になっていて、折り畳むとかなりコンパクトになります。
寒い季節にはオーバーグローブとしても活用でき、自転車用として携帯しやすいのが何よりの強みですね。
因みに、モンベル製には登山用のドライテック レイングローブもあり、こちらは更にシンプルな作り。
サイクル用にあった手のひら側のパッドが省略されていて、手濡れを防ぐだけなら登山用のこちらで十分かも知れません。
まとめ
自転車通勤・通学における雨対策について話題にしてみましたが、ブレーキシューはシマノのM50TかBBBのUltraStopのどちらか。
車体のサビ予防に関してはMUC-OFFのBIKE PROTECTを頼ることになりそう。
パンク対策についてはまだ検討中なものの、耐パンク性や耐久性に定評のあるシュワルベ マラソンを使うのがやはり鉄板ですね。
残念ながら20インチ対応のシュワルベ マラソンは406ホイール用しかラインナップされておらず、チャリ通号のF-20Rには他のタイヤを使わざるを得ません。
20インチの451ホイールでパンク耐性強化を狙うなら、パナレーサーのミニッツタフかタイオガのパワーブロックあたりが適任でしょうか。
こういう時だけは、タイヤの選択肢が豊富な406ホイールが素直に羨ましくなります。