いつかは記事にしたいと常々思っていましたが、今回は自分用の備忘録も兼ねてライフハックならぬバイクハック的な内容をご紹介。
実際に私が活用しているものから、ネット上で知ったちょっと眉唾な情報まで、自転車のメンテナンスやカスタマイズに役立つかもしれない……そんな身近な日用品の数々にスポットを当ててみたいと思います。
爪切り
トップバッターはその界隈ではよく知られたコチラから。
ご覧の通りただの爪切りですが、自転車のカスタマイズに多用される「インシュロック」「結束バンド」「タイラップ」をカットする際に大変重宝します。
誰もが経験していると思いますが、これらはニッパーやハサミで無造作に末端処理すると、先端が鋭利になってしまいがち。
肌やウェアにダメージを及ぼすこともありますし、ウエスで車体をクリーニングする際に引っ掛かって煩わしい思いをすることもしばしば。
恐らく刃先が凹状になっているからだと思いますが、爪切りで末端処理するとそんな悩みが嘘のように解消するので是非お試しあれ。
もちろん、肥厚爪に使われるニッパータイプではなく何処にでも売っているスタンダードなタイプの方がオススメです。
瞬間接着剤
瞬間接着剤をワイヤー末端のほつれ止めに使うんでしょ?
手練れの自転車乗りには使い道をすぐに看破されそうですが……実はそれだけではありません。
これはチューブレス限定の話になりますが、出先でパンクした際に補修の手助けにもなってくれます。
シーラントだけじゃ空気漏れが止まってくれないけど、プラグ式のチューブレス補修キットを使う程でもない……
そんな中途半端なパンクの時に役立ち、MTBと比べてトレッド面が華奢なオンロード車ではプラグ式の補修キットよりも使い勝手が良い場合も。
あくまでも応急処置に過ぎませんが、瞬間接着剤はコンパクトなので未開封の物をツールケースに忍ばせておいても損はありません。
靴底補修剤
パンクの話ついでに、こちらの靴底補修剤にも触れておきましょう。
市販の「Shoe Goo/シューグー」あたりが鉄板ですが、小石で穴の開いたタイヤを補修する際に重宝します。
タイヤの穴埋め以外にも、パンクして穴の開いたチューブレスタイヤを延命するのにも役立ち、裏面にチューブ用のパッチ、表面に靴底補修剤の肉盛りといった、両面からの補修が良く知られています。
余談ですが、靴底補修剤は「ゴムに近い弾性」「摩耗や圧力に強い耐久性」「硬化後に加工が可能」「後から重ね盛りも可」こういった性質があるので、他の用途にも応用が効きます。
ここでは詳しく語りませんが、自転車にセンタースタンドを取付ける際のズレ防止&キズ防止用のスペーサーを自作できる可能性を秘めているので、器用な方はチャレンジしてみては如何でしょう。
シール剥がしスプレー
まさしく、知る人ぞ知るという代物が、このシール剥がしスプレーでしょうか。
とはいえ、全てのシール剥がしスプレーが当てはまるという訳ではなく、主成分が天然由来のリモネンである製品が該当します。
実はリモネン成分のシール剥がしスプレーはパンク時のパッチ補修にも使うことができ、チューブの患部に吹き付けて拭き取ると、脱脂とチューブ表面の荒し(バフ掛け)の効果が一気に得られる上に、パッチの貼り付き強度もアップ。
マルニからは「バフいらず・エコ」とう名前で専用品もリリースされていますが、同成分の製品がシール剥がしスプレーとして¥100ショップで販売されていて、こちらの方が80mlと携行向きなサイズ感です。
因みに、先ほどの靴底補修剤で触れたチューブレスタイヤの修理にも応用できる可能性があり、紙ヤスリでは荒すのが困難なタイヤ内側のゴム被膜にも、必要最低限の下処理でパッチが貼れるようになるかも知れません。
木工用ボンド
一体、何に使うんだ……
そんなふうに思ってしまう木工用ボンドですが、意外なことに汚れ落としに使えます。
そうはいっても、表面が多孔質とよばれる微細な凹凸で構成された「つや消し・マット塗装」の自転車限定の話で、脱毛用のブラジリアンワックス的に汚れを吸着させるという斜め上のテクニック。
木工用ボンドには、木材の細かな繊維の隙間に入り込み部材同士を接着させる性質があり、これが多孔質の汚れ除去にも効果を発揮します。
元々は石膏像の黒ズミ汚れを落す際に使われていたテクニックだそうですが、汚れ部分の表面に木工用ボンドを塗り付けて、乾燥後にぺリぺリとゆっくり剥がしていくだけです。
注意点として、自転車のフレームに使用する場合は塗膜も一緒に剥がれてしまう恐れがあるので、不安を感じる場合は水で薄めた木工用ボンドで試したり、剥がす際に水スプレーで木工用ボンドの接着力を弱めてあげるなどの工夫が必要かも知れません。
余談ですが、つや消し・マット塗装フレームの汚れ落としには、消しゴムで擦るというシンプルな方法も。
バケツ
必ずしもバケツである必要はありませんが、ディスクブレーキの自転車にはそこそこ使えるアイテム。
穴の開いた円筒形で直径は30cm以上、ある程度の重さに耐えられる安定感があれば、大き目のゴミ箱や洗面器、木製の桶や樽なんかでも十分ですが、ディスクブレーキ用ホイールの作業台として役立ってくれます。
単純にローターを下側にしてバケツ上面に平置きするだけなのですが、スプロケットのクリーニングやメンテナンス、タイヤを付け外したりビードを落とす作業などで、ローターに気を遣う必要が無くなり、ローターが歪んだり油汚れを拾ったりするのをしっかり回避できます。
同じディスクブレーキでもオンロード車にはあまり必要とされませんが、MTBが盛んな海外ではホイール用として樽のようなものをガレージに常備しているのを動画等でよく見掛けますね。
何気にタイヤまわりが厳ついファットバイクには必需品だったりします。
輪ゴム・虫ゴム
かなりニッチな内容ですが、太目のゴムバンドや虫ゴム、古チューブの切れ端なんかも役立ちます。
状況はかなり限定的ですが、シーラントありきのチューブレスレディで運用していると、仏式バルブのコアネジがシーラントで固着してしまい、指先では回せないことが頻繁に起こります。
工具のある自宅ならラジオペンチで一発ですが、出先では思わぬ苦戦を強いられ、寒い季節だと指先に力が入らずに途方に暮れてしまうなんてことも……
そこで役立つのがゴム製品で、摩擦力アップと共に小さなコアネジを持ちやすくする効果も得られます。
工具よりも嵩張らない、太目のゴムバンドや小さくカットした古チューブをツールケースに忍ばせるのが良さそうですが、某自転車系ユーチューバーは虫ゴムを使っているとのことでした。
道端で困っているママチャリを助けるなんてことにも使えそうですが、そもそも大抵の自転車乗りは英式バルブ対応の携帯ポンプなんて持っていないので、中途半端でバツが悪いレスキューになりそう。
洗濯バサミ
タイヤの着脱に毎回苦戦する……そんな方は洗濯バサミを試してみましょう。
サイズは画像と同じくらいの大きさで、先端が二股になっていないタイプがオススメ。
使い方は簡単、タイヤを洗濯バサミで摘まむだけ。
そうすることでタイヤ左右のビードが閉じたまま固定され、リム内部中央にある溝にタイヤビードが落ちやすくなります。
リム中央溝にタイヤビードが落ちた分だけホイールに対してタイヤ径に余裕が生まれるので、タイヤを着脱しやすくなるという極々あたりまえの仕組み。
特に決まりはありませんが、四時・六時・八時の三箇所を摘まんであげると零時の位置でタイヤを着脱しやすくなる印象。
チューブありのクリンチャーよりもチューブレスの方が効果を実感しやすく、完璧にコツを掴めばタイヤレバーが不要になります。
アルミホイル
今回紹介する中で最もニッチな使い方なのが、コチラのアルミホイルでしょうか。
何に使うかといえば……ディスクブレーキキャリパーの傾き調整に使います。
よく知られた話ですが、キャリパーを固定するディスクブレーキ台座に精度が出ていないと、何度調整してもローターがパッドに干渉する、いわゆる「引きずり音」が解消されない事態に陥ります。
この不具合は目視で確認できるため、ショップに持ち込んでディスクブレーキ台座をフェイシングしてもらうのが一番の解決策なのですが、お住いの地域によっては対応してくれるショップが無いなんてことも……
一応、パークツールから「DT-5.2」という専用工具が販売されていますが、個人で買うには高価すぎる代物。
また、シマノからはY8B216000とY8CL14000という0.2mm厚のアジャストワッシャーも販売されていて、キャリパー左右の傾きは調整はできるのですが、奥行き方向への傾き調整には面倒な加工が必要になるという状態。
そこで役立つのが加工が容易な家庭用のアルミホイルという訳で、試行錯誤は必要なもののスペーサーをハンドメイドすることでブレーキキャリパーの傾きを自前で微調整することが可能になります。
余談ですが、家庭用のアルミホイルは厚さがおよそ0.01mmとのこと。
まとめ
自転車のメンテナンスやカスタマイズに流用できる日用品について、私の知り得る範囲で情報共有してみましたが、如何だったでしょうか?
最近グラベルロードに乗り始めた私としては、瞬間接着剤とシーラントの複合技でパンク補修するテクニックが目から鱗でした。
また新しいネタを仕入れ次第、随時更新して行く予定ですが、多少なりとも皆様のサイクルライフの手助けになれば幸いです。