例年、暖かい季節になると冬眠ならぬ夏眠に入るファットバイク。
特に決まりごとにしている訳ではないものの、自転車を複数所有しているせいか勝手にそんなローテーションに落ち着いていました。
さて、暦は初夏。
いつもならとっくに眠りについている筈のファットバイクが、何故か元気に稼働中。
その理由は次回の更新で詳しく語りますが、端的にいうと刺突パンクで短期入院しているグラベルロードの代車という役回り。

とはいえ、ファットバイクの通年化は少し前から考えていて、諸事情から自宅のガレージに大幅な余裕が生まれたことがその切欠。
代車としての稼働が後押ししてくれたこもあり、ようやくファットバイクを年中無休にする踏ん切りがつきました。

パンクが無ければ休眠予定だったため、ドライブトレインのメンテナンスは長いこと放置気味。
幸い融雪剤によるサビの影響は見受けられず、ホッと一安心。
簡易クリーニングと注油を済ませ、取り合えずの急場を凌ぎます。

まずは近場の河川敷を慣らし運転。
こんな緑あふれる晴天下をファットバイクで走るのはいつ以来でしょうか……
フルサス29erを手放してから未舗装路を気ままに走る行為から遠ざかっていたため、ありふれた砂利道でも楽しくて仕方がありません。
グラベルロードでもちょっとした悪路なら問題なく走れますが、不安を一切感じずに何処へでも突っ込んで行けるのはオフロード車の醍醐味ですね。

興が乗ってしまい最寄りの林道に辿り着くも、入り口でグッと我慢。
この時期はクマの出没が多発するため、この先に進むには覚悟が必要です。
普通にクマのウ●チが落ちてますからね、ここ。

その後は街乗りにシフトし、名も知らぬ公園の藤棚で一休み。
藤花の季節はとっく終わっていて、上から糸で垂れ下がっている芋虫がちょっと剣呑……
この時期はぶら下がっている毛虫や芋虫をよく見掛けますが、ずっとその理由が不確かでした。
気になって調べてみると、外敵から逃亡している説が有力だそうで、樹上で這って逃げるよりも落下して目くらましした方が逃げ延びやすいとのこと。
他にも新たな樹木への移動手段としても使われるみたいですが、樹上で鳥に襲われた際には落下して瞬間移動。
地面まで落ちずにぶらぶらしているのは、アリに襲われないための二段構えと知り、途端に愛らしい存在に思えてきました。

しばらく走ってみると、以前から気になっていた不具合がハッキリわかるレベルで顕在化。
四年以上も使っているのでもう十分頑張ってくれたとも言えますが、クランクブラザーズのSTAMP1ペダルにはガタが発生していて、そろそろ寿命です。
分解メンテで騙し騙し延命していたものの、ペダリングの度にパキパキ音が頻繁に発生し、BBやチェーンリングの不具合かと勘違いするほど。

良くも悪くも雑に扱えるコスパの良いペダルだっただけに後釜をどうするかで悩みますが、今のところMKSの「LAMBDA/ラムダ」が最有力。
このペダルは鋭利なスパイクピンが無いためカジュアルシューズの靴底とも相性が良く、それでいて冬靴に対してはしっかりと滑り止めの効果を発揮してくれるため、ファットバイク用として人気のある製品ですね。
400g強と少し重いのが難点なものの、踏面サイズが大きい、重量がペアで300g前後、ソフトピンタイプ、この三つの要素を満たすペダルはなかなか希少なので、ある程度の妥協は必要でしょうか。

そしてもう一つの課題がこちらのタイヤ。
愛車のファットバイク「サルサ ベアグリース」は27.5インチホイールが標準で、これが少し厄介者。
26インチホイールよりも走破性に優れ、転がりも軽快という利点はあるものの、27.5インチ用には舗装路向きなファットタイヤが存在しないという弱点があるのです。
当然スリックタイヤなんて見当たらず、現在使用しているマキシスミニオンが辛うじて適性があるくらい。
一応、ハードパックなトレイルに向いたタイヤなので街乗りもこなせますが、ノブが目に見えて減っていくのを肌で感じますし、リア用のFBRが1350gでフロント用のFBFが1540gと少しばかり重いのも悩みの種。

27.5インチホイール対応のファットバイク用タイヤに関しては定期的に情報収集をしていますが、ここに来て幾つか動きがあり、久々にカスタマイズ欲がウズウズと。
BONTRAGERの「HODAG 27.5 x 3.80」というタイヤの存在を知り、1265gというその軽量さに惹かれます。
今まで知らなかったのが不思議なくらいですが、2020年にはリリースされていたタイヤだそうで、今となっては既に入手が困難という悲しさ。
26インチ版はまだ辛うじて手に入りますが、27.5インチ版はオークションを頼るしか手に入れる方法が無さそう。

捨てる神あれば拾う神あり……
実はBONTRAGERには「BARBEGAZI」というもう一つの27.5インチ用タイヤが存在しています。
このタイヤは個人的にずっと欲しかった製品なのですが、国内では殆ど取扱いが無い上に頼みの海外通販は「日本への発送ができません!」という門前払い状態でした。
BONTRAGERがTREK傘下なのがその原因ですが、あら不思議。
いつも間にやら、ドイツの海外通販BIKE24で日本への販売制限が解除されているではありませんか!
さてこのタイヤ、サイズは27.5 x 4.50とカタログ値ではかなり大き目。
そうなると当然フレームクリアランスが気になりますが、実際のタイヤ幅はかなり控え目だそうで80mm幅のリムに装着した際のタイヤ幅は105mm程とのこと。
現在使用しているマキシスミニオン27.5 x 3.80のタイヤ幅が95~97mmくらいですから、車種によっては高確率でそのまま使用可能。
サルサ ベアグリースにも普通に使えますし、仕様の似ているCANYON「DUDE」の27.5インチホイール版にも使えたという情報も。
実重量は1253gと前述した「HODAG」並みに軽量なのも魅力ですが、27.5インチホイールのファットバイクはサイドシルエットがMTBっぽく見えてしまうため、少しでも大きいタイヤで自己主張したい場合にも打って付けです。
余談ですが、BONTRAGERのファットバイク用タイヤはHODAG・BARBEGAZI・GNARWHALなど、伝説上の生き物に由来した名前が充てられいるのが面白いところ。
スパイクタイヤのGNARWHALだけ北極海に生息するイッカクからの引用ですが、日本で例えるならタイヤに「牛鬼」や「ぬらりひょん」といった妖怪の名前が充てられている感じでしょうか。
うろ覚えですが、SURLYのクロモリ29er「Krampus/クランパス」も西洋版のナマハゲに由来していた筈なので、こういった海外のネーミングセンスには興味深いものがありますね。

そして、今回のタイヤリサーチで最も衝撃的だったのがこの「JOHNNY WATTS」
ついにシュワルベも27.5インチ用ファットタイヤに参入してくれました。
ハードパックなトレイルと舗装路に向いた紛うことなき街乗り用のファットタイヤで、サイズは27.5 x 4.0と大抵のファットバイクに対応してくれます。
ご覧の通り密集した低いノブが特徴的で、アスファルト上での転がりも良好。
高耐久&長寿命な上にトレッド面の内部には耐パンクベルトも備え、ファットバイク用に限りフォールディングビードでチューブレス対応という特別仕様になっています。
どうやらe-BIKE需要に応えてリリースされたタイヤのようで、他に2.8インチ幅のセミファットタイヤもラインナップされていました。
ファットバイク用は1610gと重いのが気掛かりですが、そこは転がりの良さとトレードオフでしょうか。
マキシスミニオンのFBFが1540gですから、交換で70g増なら割と許容範囲な気もしますね。
因みに、価格は一般的なファットバイク用タイヤの約半分と、財布に優しいのも魅力。

あてどなく走り続けて、気が付けば40km
グラベルロードなら短いくらいの距離ですが、そこはファットバイクなので勝手が違います。
強い向い風だったせいもあり、疲労度は体感でおよそ2倍。
風に滅法弱いファットバイクだけに、帰宅する頃には太腿がパンパンになっていました。
ファットバイクを通年化するにあたって、取り合えずペダルの交換は確定事項なものの、ファットバイク用のタイヤは一本で10000円オーバーが当たり前なので、そこはちょっぴり躊躇気味。
街乗り向きで低価格な「JOHNNY WATTS」が気になりますが、交換するならずっと欲しかった「BARBEGAZI」でしょうね、やっぱり。
どちらのタイヤも国内ではまず手に入らないので、もう少し円高が進んでから機会を窺うことになりそうです。