自転車好きが高じると、大抵は一台の愛車では満足できなくなります。
かく言う私もそうですが、増車と共に掃除の負担が倍々に増えてしまうのが悩みの種。
もちろん、自転車歴に比例してクリーニングスキルも上達しますが、出来ることなら時間を掛けず、手短に済ませたいのが本音でしょうか。
さて、そんな愛車のクリーニングで特に手間が掛かるのが、チェーン・チェーンリング・スプロケット・プーリーなどのドライブトレインまわりですね。
この部分にはチェーンオイルと渾然一体となった汚れが頑固にこびりつきますし、おまけに入り組んだ構造をしているため、掃除が本当に厄介です。
水をジャブジャブ使える環境ならば手短に済ませることも可能ですが、水なし洗車がメインだと色々と工夫が必要になり、時間とケミカル類の浪費も洒落になりません。
少しでも簡単に愛車をピカピカにしたい……誰もが思うことですが、今回はそんな時にちょっとだけ便利なお役立ちアイテム、フィニッシュラインの「GEARFLOSS/ギアフロス」について話題にしてみたいと思います。
ギア板の歯にもフロスを使おう!フィニッシュライン「ギアフロス」とは?
結構知られた製品なので今更説明するのも憚られますが、上画像がフィニッシュラインの「GEARFLOSS/ギアフロス」です。
歯の隙間を掃除するデンタルフロスから着想を得て製品化されたそうですが、価格は1000円弱ほど。
少しお高い気もしますが、星状のマイクロファイバー繊維が効率よく汚れを吸着してくれる優れモノです。
51cm長のロープ状フロスが20本入りで、外観はシューレースによく似ています。
手触りはふわっとしていて柔らかく、洗浄して繰り返し使うことも可能。
いかにも「今回初めて購入してみました!」的に紹介していますが、実はギアフロスを買うのは今回で二度目です。
一度目の購入は五年近く前の話で、その時は後述する理由によりそれほど便利に感じなかったのですが、今回は別の用途に打って付けだったため、再度使ってみることにしました。
このギアフロスは隙間汚れに特に高い効果を発揮し、スプロケット・プーリー・チェーンリング・ボトムブラケット・クランクなどの箇所に向いています。
使い方はデンタルフロスと同様に隙間に差し入れて紐をゴシゴシするだけで、特に難しい点はありません。
過去に使用した経験からすると、ロード系に多いフロントダブルの自転車と相性が良く、洗浄ブラシが届きづらいチェーンリングボルト周辺や、アウター・インナー間のギア板側面部分の汚れを落すのに重宝した記憶がありますね。
場所によっては得手不得手あり?ギアフロスの長所と短所
さて、おあつらえ向きにシーズンを終えてガレージから屋内に引っ込めたファットバイクがあるので、ギアフロスの長所や短所についてちょっとだけ触れてみます。
ドライブトレインまわりはシーズン中に一度も掃除していないため、ファットバイクのスプロケットはご覧の通りギトギト。
冬眠ならぬ夏眠させる前に、車体に残留する融雪剤の塩分を除去し、ドライブトレインまわりも一通りクリーニングするのが毎年恒例の作業です。
上画像の通り、ギア間の隙間に通してからゴシゴシするだけの簡単な作業で、素のままで使ってもケミカルを染み込ませて使っても、お好みでOKです。
ギアフロスといえば、やっぱりスプロケットに使ってナンボでしょ?といった風に思いがちですが、実際に使ってみるとギアフロスと一番相性が悪いのはスプロケットなのでは……と思うことも。
もちろん慣れの問題もありますが、段数によってはギア間の隙間が狭く、ゴシゴシしているうちに高確率で画像のように繊維の間にスプロケットの歯が食い込んでしまいます。
この状態のまま使い続けてもスプロケットは綺麗になってくれるのですが、よく知られているボロ布をギア間に差し入れてゴシゴシする方法と比べてコスパが悪く、特に優位性を感じないのが正直なところ。
ぶっちゃけスプロケットに限っていえば、期限切れのキャッシュカード等に使い捨てウエスや薄手のマイクロファイバータオルを巻き付けて板状にして使った方が遥かに効率が良く、ギアフロスが期待外れに感じるかも知れません。
割と知られた方法ですが、カードに巻き付けるウエスの厚みを簡単に調節でき、ギア板の隙間にフィットさせやすいのも利点ですね。
特別なケミカルを使わなくても、KURE5-56をウエスに染込ませればクリーナーの代用になりますし、シンプルながら短時間せ済ませられるお手軽な方法でしょうか。
カードによる芯があるので、ウエスが歯に噛み込むことが無く、簡易のスプロケ清掃ならこの方法で十分な効果が得られます。
さて、一番使ってみたくなるスプロケットでの使用感がイマイチ……これが五年前に手を出してから再購入していなかった最大の理由ですが、再び注目した訳はズバリ「油圧ディスクブレーキ」です。
油圧ディスクブレーキを安定して動作させる目的で、半年に一度くらいはブレーキキャリパーのクリーニングをしていますが、キャリパー内部の清掃にギアフロスが何かと都合が良いのです。
キャリパー内部の清掃はブレーキパッドを取外して内部の汚れを落し、ブレーキの動作が滑らかになるようにピストンを押し出して側面をクリーニング&潤滑させる必要があります。
今までは綿棒やこより状にした使い捨てウエスでピストンの側面を撫でていましたが、4ピストンタイプだと画像のようにクリアランスが狭く、綿棒だと隙間に入り込めず、こより状のウエスだとボリューム不足で汚れを十分に拭き取れないジレンマがありました。
これは素材が柔軟なギアフロスに打って付けなシュチュエーションで、キャリパー内部やピストン側面をクリーニングするのが楽になる上に、汚れ落ちも大変良いですね。
画像は以前使っていた「SRAM GUIDE R」の物ですが、現在使用しているMAGURAの4ピストンは内室が二つに分割され更に狭いので、ますます有難味が増します。
まとめ
ギアフロスを褒めているのか貶しているのかわからない内容になってしまいましたが、「使う場所による」というのが率直な感想ですね。
本命のスプロケットに使うのはあまりオススメしない……というのが個人的な評価ですが、BBまわり・プーリー・チェーンリングのクリーニングには中々良い仕事をしてくれるのも確かです。
何気に、フロントシングルが主体のオフ車よりも、フロントダブルのロードバイク系やフロントトリプルのクロスバイク系で重宝するアイテムかも知れません。
最後に私事ですが、不本意ながら遂に新型コロナウイルスに感染。
自宅療養となり、窓から快晴の空を眺めるだけの忌々しい日々……おかげで春先のお花見シーズンが丸々潰れてしまい、半月ぶりの快気ライドはすっかり新緑の装い。
願わくば、GW前までに体調が万全に戻って欲しいところです。