大多数の方には無縁な話かも知れませんが、田舎住まいの私にとって自転車用の『クマ鈴』は必需品です。
ここ数年でクマの出没が激増しており『山道を走るから、クマ鈴を装備!』といった従来の使い方では不十分な状況になり、舗装路上で使う機会も増えてきました。
聞くところによると、かつて農地だった場所が人手不足で野山に回帰していたり、新型コロナウイルスの影響で人の往来が減ったことが拍車を掛けているそうですが、とにかく体長1m程の若いクマの目撃例が多発しています。
若いクマは好奇心が旺盛で、舗装路沿いの茂みからひょっこり現れて道路を横断してみたり、住宅地付近に突然現れて住民を驚かせたりするのですが、母グマが近くにいる場合は危険度が一気に上昇します。
うろ覚えですが、数年前に某県某所でロード乗りがライド中にクマに襲われるという事件がありました。
私自身、自転車に乗っている状態ではそうそう襲われないだろ、自転車なら余裕で逃げられるでしょ?なんて根拠もなく思い込んいましたが、この方は遠間からダッシュしてきた母グマに距離を詰められた上に、がぶりと脚に噛みつかれたそうです。
停車状態で子グマを含む3頭を遠間から眺めていたせいもありますが、流石に急すぎて対処できなかったのでしょうね…母グマを振り解き、出血した状態で近くの病院に掛け込んで事なきを得たそうですが、自分が当事者だったらと思うと背筋が凍りますね。
さて、例え舗装路でも山沿いや里山近くのルートは用心した方が良いゾ…という判断から、愛車にはクマ鈴を装備している訳ですが、少し前に『コレは良いかも!』と食指の動く、新たなクマ鈴に出会ってしまいます。
クマ鈴を日常的に使う上で、鈴の音を瞬時にオンオフできる機能は欠かせませんが、今回は自転車用として理想ともいえる、グラナイトデザインの『クリケット ベル』を話題にしてみましょう。
自転車用クマ鈴の完成系?グラナイトデザイン『クリケット ベル』の詳細
さてさて、都合によりいきなり開封しちゃってますが、上画像がグラナイトデザイン『クリケット ベル』の同梱品一式です。
価格は2700円程と、自転車用のベルとしては高過ぎず安過ぎずで、比較的手が届きやすい製品でしょうか。
私が所有しているファットバイクもフルサス29erもハンドルのクランプ径がΦ35mmと太いため、この手のベルは取付けにいつも苦慮されられますが、有難いことにクリケットベルは標準でΦ35mmに対応しています。
もちろん、付属のスペーサーを利用することでΦ31.8mmやΦ22.2mmにも対応し、ロードバイクから下り系のMTBまで、幅広く使い回しできる仕様です。
そして、クリケットベル最大の特徴がコチラ
ベル本体を下にスライドさせることで、通常のベルとクマ鈴という二通りの使い分けができるのです!
なんだ、そんなことか…と思うかも知れませんが、この機能を有している自転車用のクマ鈴は殆ど無く、『通常ベル+クマ鈴』の二刀流で、ハンドルスペースを無駄に消費しているケースも珍しくありません。
通常時はレバーを弾くことで普通のベルとして機能しますが、ベル本体を引き下げると内部のクラッパー(鐘の舌)がフリー状態になり、走行中の振動でベルが勝手に鳴ってくれる仕組みです。
また、クラッパーがフリー状態でもレバーでベルを鳴らすことができ、機能が排他利用じゃないのも嬉しいところ。
因みに、今まではクマ鈴の『Timber MTB Bell』と小型ベルの『CAT EYE OH-2400』を組み合わせて使っていました。
上画像右のTimber MTB Bellは音色が大変良く、こちらもレバーひとつで鈴の音をオンオフできる優れモノですが、自発的にベルを鳴らす機能が備わっていないため、法律上どうしても補助のベルが必要になります。
その点を小型サイズのCAT EYE OH-2400で補っていましたが、こちらは同社のライト用ブラケットに通して固定することができ、ベルはオマケ程度に備わっていれば十分だ!という場合に大変重宝します。
最後に恒例の計量をしてみると、重量は35gでした。
手で持っても、ずっしりとした感覚はなく、寸法はベル状態で68 x 35mm、クマ鈴状態で74 x 35mm程です。
音色は普通?グラナイトデザイン『クリケット ベル』の感想
使い心地が気になったので、早速テストライドに出発です。
ライト用のブラケットが近くにあるので少しハンドルまわりが煩く見えますが、クランプ径Φ35mm対応だけに、最も太いステム付近にもしっかりとマウントできました。
個人的に気になる部分ではありませんが、ベルの音色はいたって普通ですね、前述したTimberの方が断然音色が綺麗です。クリケットベルは文字通りベルの音色、Timberは風鈴のような涼しげで、遠方まで良く響く音色でしょうか。
さて、冒頭でも軽く触れたように滑らかな舗装路上での振る舞いが一番気になるところです。
実はフルサス車はサスペンションが有能過ぎて、この手のクマ鈴が十分に機能してくれないことが多いのですが、予想していた通り、凹凸の少ない舗装路上ではベルが鳴る頻度が低くかったですね。
付属のマニュアルによると、ステム付近ではなく左右どちらかのグリップ付近に取付けるのが正しい使用方法だそうで、画像の取付場所では本来の機能を発揮してくれない模様。
本来は路面からの振動ではなく、無意識にしている細かなハンドリングでベルを鳴らす仕組みになっているので、可能な限りグリップに近い位置に取付けるのが本筋でしょうか。
この症状はTimberを使っていた時から感じていましたが、取付けスペースがどうしてもステム付近にしか確保できない場合は、クリケットベルを少し傾ける方法が有効。
傾けると、内部のクラッパー(鐘の舌)とベルの距離が近づきますから、水平に取付けるよりもだいぶマシになります。
まとめ
クマ対策として自転車用のクマ鈴を新調してみましたが、やはりワンタッチで『ベル ⇔ クマ鈴』を切り替えられるのが良いですね。
山沿いの怪しいルートでは小まめにオンオフできますし、単体のベルとしても卒の無い仕上がりです。
最後にオマケとしてロードバイクやグラベルロード向きなクマ鈴もご紹介。
東京ベル製作所の『TB-SZ1 鈴丸』という製品が中々の優れモノ、オンオフ機能を備え指先で鈴を弾くことで通常のベルとしても使用可能。
残念ながらΦ35mmのハンドルクランプ径には対応していませんが、低速走行時でもしっかりと音色を響かせてくれますし、動きの少ないステム付近に取付けても問題なく機能します。
Timberやクリケット ベルのように遠くまで響く澄んだ音色ではありませんが、凹凸の少ない路面でもしっかり働いてくれるので、舗装路脇の茂みに潜むクマなんかにもアピール効果が高いかも知れません。
昨今は地域を選ばずクマの出没が頻発しているので、オフ車乗りに限らず山間のルートを頻繁に走るというロード乗りの方も、備えておいて損はないでしょう。