三ヶ月ほど前にフルサス29erのトレック フルスタッシュ8をチューブレス化しましたが、最近になってフロントタイヤの減圧が激しくなり、いつの間にかタイヤがヘコヘコになっていることが増えてきました。
例え空気漏れがあったとしても、チューブレス化しているならタイヤを揺すったり軽く走ったりすれば勝手にシーラントが穴を塞いでくれるのですが、症状を見る限り、どうやらチューブレスバルブとバルブ穴付近の気密が甘くなっているようです。
この部分はチューブレスバルブを軽くこじるだけでも一時的に空気漏れしたり、シーラントが軽く噴き出したりする、割とデリケートな部分ですね。
フルスタッシュ8のホイールは、最初からリムを気密するチューブレステープが貼り付けられた状態で出荷されていますが、前のオーナーさんが一年近くチューブドのままで使用していた影響で、バルブ穴付近のチューブレステープに傷みが出ていました。
そのままでも問題なくチューブレス化できたので、あと半年くらいは持つかな?と楽観していたのですが、予想よりも早くチューブレステープに寿命が来てしまったようです。
因みに、リムを気密するチューブレステープの寿命は約一年といわれ、定期的な貼り替えが求められます、タイヤを高圧で運用するロードバイクなら更に劣化が早く進むので割と気を遣う部分かも知れません。
さて、タイヤをチューブレス化した時点でリムテープもといチューブレステープの劣化に気が付いていたため、既に交換用のリムテープは入手済みです。
私自身、はじめてのリムテープ貼り替え作業となりますが、今回はチューブレステープの選び方や交換方法について簡単に説明してみます。
テープ幅が重要!チューブレステープの選び方
今回、私が選んだのは定番中の定番『Stan’s NoTubes』のチューブレス用リムテープです。本当ならリムメーカーと同じSUNringle製を選びたかったところですが、国内からでは入手困難な上にテープ幅がレアでした。
チューブレステープを貼り付けるリムは29インチの『SUNringle Duroc 40』で、リム外幅は40mm、内幅36cmのセミファット仕様です。
普通なら、使用するチューブレステープはリム内幅と同じ36mmを選び、上画像のように私もジャストサイズの36mm幅を選びました。
ですが、ここで私は失敗に気付きます…チューブレステープはリム内幅よりも大きな製品を選ぶのが正解で、ジャストサイズを選んでしまうと後々テープの貼り付けやビード上げに苦戦させられる羽目になります。
目安はリム外幅とほぼ同じか、リム内幅プラス2mm程度だそうですが、リムの内側にはビードをのせるハンプを含めた凹凸があるので、冷静に考えれば内幅以上を選ぶのは当たり前ですよね…Stan’s NoTubesには39mmがあるので、こちらを選ぶべきでした。
さて、このチューブレステープですが、全く伸縮性の無いフィルム状で粘着力もそれほど強くありません。
強度は十分なもののテープの素材に追随性が無いので貼り付けに失敗しやすく、価格が高いのもネックでしょうか。
10m弱で価格は¥2000強、1mあたり¥200以上というコスパの悪さから、代替品を使う方も多く、『3M 仮固定用テープ 8898』や防水気密テープの『エースクロス 011』あたりが有名ですね、こちらは高くても1mあたり¥30くらいですから。
専用品ではないだけに、場合によってはリム内幅に合わせてこれらのテープを輪切りにしてあげる必要がありますが、カッターの替刃を板や本の上にのせて高さを調整し、テープを回転させつつ側面をなぞるようにカットする方法がポピュラーですね。
一応、『3M 仮固定用テープ 8898』は18mm、24mm、48mmと自転車向きなサイズ展開になっているので、代用にはこちらの方がオススメでしょうか、本家に負けないくらい軽量で24mmならリム一巻き6gくらいです。
因みに、チューブレステープは低圧のマウンテンバイクなら一巻き(リムを約1周)、高圧のロードバイクは二巻き(リムを約2周)が基本です、ロードバイクでは両輪で8m以上必要になる場合もあり、この辺が安価な代用品が重宝される理由でしょうか。
脱脂&気泡除去がポイント!チューブレステープ貼り替えのコツ
早速、フロントホイールのチューブレステープ貼り替えをしてみますが、手始めにシーラントがひたひたに入っている筈の29×3.0サイズ軽量タイヤ『Bontrager XR2 Team Issue』のビードを落としてみます。
まだ三ヶ月ですから、注入した100mlのシーラントは丸々残っている感じですね、変色も見られないので再利用も十分にできそうです。
静かな場所でタイヤを空転させるとジャバシャバ音がするくらいなので、次回からは3インチタイヤでもシーラントは80mlくらいで十分かも知れませんね。
今回はタイヤの内側表面の確認やシーラントの除去テストをしてみたいので、このシーラントは再利用せずに処分します。
場合によっては水洗いもOKですが、シーラントの除去はウエスを使った方が良いそうなので、ボロ布でシーラントを吸い取った後に使い捨てウエスで満遍なく拭き取りました。
タイヤの内側表面を確認してみると、短期間だったせいかシーラントが湯葉のように貼り付いておらず、これなら水洗いでささっと済ませるのもありでしょうか?このタイヤはチューブレスに対応していますが、未対応のタイヤでは浸透したシーラントが気密を高めているので、表面を綺麗にし過ぎるのも難アリな気がします。
次に、ホイールのバルブ穴付近を確認してみます。この部分はバルブナットの締め付けでチューブレスバルブとリムを密着させているだけなので、チューブレステープが劣化していなくても、割と空気が漏れやすいですね。
一応、チューブレスバルブの根元はラバーベースと呼ばれるゴム製、バルブナットにはオーリングが備わっていますが、フロアポンプで空気を入れる際やタイヤゲージで空気圧を計る際にバルブ根元に変な力が加わると、そこから空気が漏れて白いシーラントがプシュッと挨拶に来ます。
チューブレスバルブを外すと劣化具合がよくわかりますね。チューブレステープはバルブ穴付近やニップル穴付近で破損しやすいですが、それ以外にも粘着力が弱まってテープ隙間から裏側にまでシーラントが侵入し始めると、完全に交換のタイミングです。
チューブレステープを貼り直す下準備として、劣化したテープを綺麗に剥がします。
プラスチック製のテープなだけに引っ張りには強いですが、一旦切れ目が入ると裂けるチーズのようになり、ベリっといっぺんに剥がすことが難しくなります。また、気になるテープ幅ですが当然の如くリム内幅よりも広い38mmでした。
余談ですが、テープで覆われていたニップル穴には鋭利なアルミの削りカスが結構な頻度で入っていました。雑な仕事だな…と思いつつも交換後のチューブレステープに傷が付かないように念のため全てのニップル穴をチェックします。
さて、テープを剥がし終えたら、これでもかというくらいにリムを脱脂し、テープの糊も残らず除去します。この作業をしないとテープが密着しませんし、何より剥がれやすくなってしまいますから。
私の場合、最初にイソプロピルアルコールで軽く拭いた後に、市販のパーツクリーナーで大雑把に脱脂・洗浄し、仕上げとして糊が残っている部分をパーツクリーナで集中的に洗浄しました、パーツクリーナーは簡易な脱脂だけでなく糊剥がしにも効果があります。
因みにスタンズ製のシーラント限定ですが、アルコール系のパーツクリーナーでシーラントそのものも綺麗にできるそうです。もちろんパーツクリーナーが安全に使える箇所に限りますが。
リムの下処理が済み、不器用な私にとって最大の難関、チューブレステープの貼り付け作業に入ります。
脱脂をした後なので、作業はコットン製の作業手袋や滑り止めの無い軍手を付けて行いましょう、チューブレステープの貼り終わり部分はテープを重ね貼りすることになるので、手の皮脂が出来るだけテープに付着しない方が良いですし、貼り付け作業で指先も痛くなりづらいですから。
テープの貼り付け開始位置は、バルブ穴から10cmくらいずらした位置からスタートし、バルブ穴を覆い隠す方向にテープを巻いて行きます。
ホイールを回しやすくなるので振れ取り台があると作業が捗るそうですが、車体を逆さまにして代用するのも手です。
不精な私はホイールを股の間に縦方向に挟んで作業しましたが、テープを奥ではなく手前に引っ張りながら貼り付けた方が楽に感じましたね…それでも何度か貼り直ししましたけど。
コツというほどではありませんが、チューブレステープは中央部分を指の腹で撫でるように貼り付け、中央部分を密着させてから両端部分の処理で気泡を外側に追い出していく感じでしょうか。
チューブレステープはリムへの密着を心掛け、シワや気泡の侵入を極力避けましょう、特にニップル穴まわりは念入りにです。
また、このリムは中央がなだらかに窪んでいるので上記の方法で構いませんが、窪みが深いリムの場合は密着を意識しない方が良いケースもあります。
リムによっては深い窪みをチューブレステープで底上げすることで、ビードが上りやすくなる効果があるので、その場合はリムテープの中央よりも、左右のハンプやリムの際(キワ)部分への密着を意識しましょう。
リム中央部分のチューブレステープをあえて密着させず、テープで橋を渡してあげるイメージでしょうか?
さて、上画像を見るとわかりますが、前述の通りリム内幅に対してテープ幅が不足しています。ニップル穴を塞いでリムを気密するだけならこれでも十分ですが、テープ幅が足りていないと、テープの貼りズレに神経質になりがちですね。
数mm足りない程度なら問題はありませんが、ハンプの段差を含めてリムがテープでしっかりと覆われていないと、滑りが悪くなりビードが思うように上がらない弊害も起こり得ます。
地道に作業を続けた結果、苦戦しつつも何とかチューブレステープを一巻きできました。ニップル穴の上には、どうしてもポコッとした空気のふくらみができてしまいますが、初めてにしては上出来です。
さて、見えづらいので赤い印をつけていますが、この位置にバルブ穴があり、その左右には10cm開けてテープの重ね代が見えますね、もう少し短くても差支えありませんが、バルブ穴の上でテープが二重になるのが理想的です。
ここまでの作業でテープの表面のシワや気泡の混入には十分に注意を払っていると思いますが、90度になっているリムの際(キワ)付近のテープが密着せずに浮いている場合があるので、指先やプラ製のタイヤレバーなどで左右の縁全周をなぞるように擦って、しっかりとチューブレステープを圧着させましょう。
仮に中央部分の貼りがアバウトでも、リムの際とハンプ部分の処理がしっかりしていれば、気密は保たれる筈です。
因みにテープの終端を真横にカットして貼り付けていますが、玄人は斜め45度にカットして終端処理をするそうです。詳しい理屈は不明ですが、リムテープが剥がれにくくなることのこと。
最後の仕上げとして、テープに穴を開けてバルブ穴を貫通させます。
加熱した金串や六角レンチを使う方法がポピュラーですが、穴のエッジが綺麗に整うなら、お好みの方法で構いません。
熱処理は穴が裂けづらくなるのが利点でしょうか、単純にカッターでX字状に切り込みを入れて、ブスっとバルブを差し込む方法もあるみたいです。
私は切れ味の良いデザインナイフで穴に十字の切れ目を入れてから、エッジを丸く整えました。手段はどうあれ、開けた穴が裂けて広がらず、バルブの根元が密着しやすいように整えるのがポイントでしょうか。
これは我流ですが、私はバルブ穴付近にカットしたチューブレステープを重ね張りして補強しています。海外では同様の方法でゴリラテープが使われているそうですが、この部分に適度な厚みやクッション性を持たせるとチューブレスバルブの固定が安定するそうです。
まとめ
最終チェックとして、ビードを上げてシーラントを注入してみます。
チューブレステープ貼り替えのついでに、勢いでグラベルタイヤに交換してしまいましたが、これについてはまた後ほど。
交換前の29×3.0タイヤは2.0barが上限でしたが、このSCHWALBE G-One Speedはセミスリックタイヤだけに3.5barが上限となり、減圧チェックには打って付けでしょうか。
本当に大丈夫かな~と思いつつも、最大まで空気圧を上げて一晩寝かせてみると、問題なく3.0bar以上が維持できていました。
チューブレステープの交換には何とか成功できたようで、その後は数日経っても目立った減圧は見られず、バルブ根元には以前よりも安定感があります。
私が不器用なせいもありますが、正直この作業は年一回でもやりたくないですね…使用するテープで難易度が結構変わるらしいですが、リム幅の狭いロード用ホイールなら二重巻きでも苦にならないのかなぁ。