前回の記事でフルサス29erのチューブレスリムテープを貼り替えましたが、その際にタイヤを新しい物に交換しています。
後釜に座ったのはグラベルタイヤの『SCHWALBE G-One Speed』で、舗装路上での軽快さに期待しての選択。
チューブレス化したことで今までのプラスサイズタイヤでもそこそこ走れていたのですが、以前にファットバイクをスリックタイヤに交換した際の好印象から、フルサス29erでも機会を窺っていました。
正直、もう少しだけトレイルを楽しみたい気持ちもありましたが、チューブレス化するとタイヤ交換が面倒になるので、テープの貼り替えついでにタイヤも交換してしまった感じですね。
フルサス29erをグラベルタイヤで街乗り仕様にカスタマイズ
転がり抵抗の少ないスリックタイヤへの交換は、マウンテンバイクを街乗りや高速化する手段としてよく使われます。
29erはホイール径が700cと同じETRTO622ということもあり、リム幅さえ適合すればロード用タイヤも流用が可能。
とはいえ、29erを含むMTB用ホイールはリムが幅広な仕様になっているため、細身タイヤは適合しない場合が殆どです。
現在使用中の外幅40mm、内幅36mmのワイドリムなら、50c以上のタイヤ幅から選ぶのが現実的でしょうか。
リム幅に対応するタイヤを選ぶのはもちろんですが、タイヤが細すぎるとMTBとしての見栄えも悪くなりますしね。
余談ですが、チューブレスはチューブドよりもタイヤ選びが少しだけシビアです。
タイヤ内にチューブが収まっていれば『リム外幅=タイヤ幅』のツライチでも何とか使えますが、チューブレスタイヤだとセットアップ時にビードが上がらなかったり、走行中にビードが落ちたりなんて危ういトラブルも。
仮にリム外幅が35mmなら最低でもタイヤ幅は40c以上を選び、それ以下のサイズは避けた方が無難です。
さて、私が今回購入したのは冒頭でも触れたようにグラベルタイヤの『SCHWALBE G-One Speed』です。
60cとグラベルタイヤでは最大クラスですが、実際に使用した方の評判も悪くありません。
私は海外通販を利用しましたが、この29×2.35サイズは国内ではあまり流通しておらず、29×2.00サイズの方が主流みたいですね。
実重量は525gとカタログスペックよりも僅かに軽量でした。
交換前の『Bontrager XR2 Team Issue』が850gなので、前後合わせて一気に650gの大幅な軽量化。
それに加えて、注入するシーラント量も減らせるオマケつきです。
因みに、細身の29×2.00サイズと比べて10gくらいしか重くなっていないのを不思議に思っていましたが、29×2.00サイズのG-One Speedはパンク耐性に優れるV-Guard仕様でした。
G-One Speedはお世辞にもトレッド面が厚くないので、パンク耐性を重視したいなら29×2.00サイズを選ぶのも手です。
トレッドパターンはかなり特徴的で、卓球のラケットに例えられることが多いですね。
軽量を売りにしたグラベルタイヤは総じてパターンが爬虫類の鱗のようで、その見た目通りウエットなコンディションは苦手としています。
前述した通り、チューブレスではリム幅に対してタイヤ幅が細すぎるとビードが上りづらくなります。
前回はチューブを使って片側のビードをあらかじめ上げておくことでフロアポンプのみでも成功しましたが、今回は秘密兵器を導入。
密かに購入していた、タイヤブースターを使ってみました。
余談ですが、このバーズマンのタイヤブースターは圧縮した空気で破損する恐れがあるらしく、購入後にリコール対象になりました。
無事回収されて返金も受けましたが、購入するなら評判の良いシュワルベ製タイヤブースターか、フロアポンプ一体型の購入をオススメします。
タイヤブースターは事前にプロアポンプで圧縮した空気を一気に送り込めるので、フロアポンプよりも多少は無理が利きます。
そうは言っても、タイヤを無造作に嵌めただけでは例えコンプレッサーを使ってもスカスカに空気が漏れてしまうので、手を使ってビードをハンプ付近に寄せておくくらいはしておきましょう。
因みに、同じチューブレスレディでもロードとMTBではセットアップの方法にちょっとした違いがあります。
ロードバイクはタイヤビードとリムがタイトに密着することが多いので、ビードをリムのセンター付近に寄せてからポンピングすることが多く。
MTBはタイヤビードとリムに隙間ができることが多いので、ビードを左右のハンプ付近に寄せてからポンピングすることが多いです。
MTBにロード用の方法を試すとビードがまったく上がらないこともあるので、ビードとリムの密着加減で判断したいところ。
まさにクロスバイク!MTBにグラベルタイヤの感想は?
グラベルタイヤに交換したことで700g近く足まわりを軽量化できました。
タイヤ・ホイール・シーラント・チューブレスバルブ・ディスクローターを含むフロントホイール全体の重量は1800g程度。
ロードバイクと比べると『前後でだよね?』なんていわれそうですが、ファットやセミファット視点で見ると悪くない数値でしょうか。
何せチューブ入りでプラスサイズタイヤのままだと、フロントだけで2700g以上にもなりますから。
さて、早速テストライドと洒落込み、舗装路とグラベルを適度に走ってみることにします。
最初の一漕ぎで直ぐに気付きますが、走行感はまんまエントリークラスのクロスバイクです。
知人の『GIANT ESCAPE R3』に乗った感覚に近く、クロスバイクよりも乗り心地が柔らかい印象でしょうか。
実際にGIANT ESCAPE R3のタイヤを含む前後ホイールは3200g超、最近のモデルはタイヤが太くなってそれ以上だそうですから、この感じ方にも頷けます。
とにかく軽量なグラベルタイヤをチューブレス化した効果は絶大で、ファットバイクをスリック化した時とは比べ物にならないくらい良く転がりますね。
高速時にホイールから聞こえる走行音が妙にロードバイクっぽくて、思わず『なんじゃこりゃ、キモい……』とニヤけてしますが、この転がりの良さはノブ付きタイヤでは味わえないです。
最大空気圧が3.5barとMTBとしては高圧なので段差で硬さは感じますが、フルサスでの街乗りは快適そのもの。
フルサスMTBの無駄遣いと後ろ指をさされても、後戻りできないくらい悪魔的な魅力がありますねコレ。
続いて、山間にある野池を目指してグラベルと呼ぶには微妙過ぎるただの田舎道を走ってみました。
よくある日本の農道で、砂利道6割、草地2割、泥2割といった構成でしょうか。
タイヤ圧を下げていないので、砂利道ではフロントタイヤが暴れますし、リアのトラクションにも安定感がありませんが、特に対策する必要もなく普通に走れます。
もちろん、草地はウエットだと滑りやすいですし、泥はいうまでもありません。
過信は禁物ですが、舗装路・未舗装路が入り混じった地域では割と便利に使えるタイヤですね。
田舎住まいの私には中々しっくりきます。
結局、街乗り・なんちゃってグラベルと30kmほど走ってみましたが、終始快適そのもの。
あえて欠点を上げるなら、タイヤが泥や土埃で白っぽく汚れやすいくらいでしょうか?
サイドシルエットを見る限りMTBらしさも損なわれておらず、60cでも違和感がないことがわかりました。
まとめ
はじめてグラベルタイヤを使ってみましたが、子供時代に街中だろうが砂利道だろうが山道だろうが、パンクを気にせずガンガン走っていた頃のことを思い出させてくれるタイヤでした。
グラベルロード人気でタイヤの選択肢も増えていますが、リムが40cに対応するならパナレーサーのグラベルキングシリーズも試してみたいところです。