スポーツ自転車に長く乗っていると、一度や二度は愛車を転倒させます。
フレームに傷が入り数日間ブルーな気持ちを抱えるだけでなく、そのダメージがリアディレイラーにまで及ぶこともしばしば。
正直あまり思い出しなく記憶ですが、私は停車中のファットバイクを横転させて、ディレイラーハンガーを折り曲げてしまった経験があります。
例によって変速機能に不具合が発生し、その日のライドはそこで終了。
素手でディレイラーハンガーを曲げ戻して何とか帰宅できましたが、それからは駐輪や撮影に必要以上に気を遣うようになりました。
同じ轍は踏むまいと、ディレイラープロテクターやディレイラーガードと呼ばれる保護パーツを頼るも、これが結構ムズカシイ。
一般的な製品は取付けにダボ穴が必須だったり、ロードバイクやクロスバイクで人気の製品はクイックリリースレバーのみ対応だったりと、スルーアクスル車には辛い現実が待っていました。
そんな事情から最近までスルーアクスルじゃ無理なのか……と諦めていたのですが、たまたま見掛けた某サイクル系ニュースサイトに気になる一文が。
『スルーアクスル対応のディレイラーガード登場!』
この思いがけない朗報は、ディスクロードやグラベルロードの人気でスルーアクスル対応品の需要が高まったことが影響しているのかも知れません。
実用性がどの程度なのかが気になりますが、今回はスルーアクスルに対応したディレイラーガードについて話題にしてみます。
念願のスルーアクスル対応!『KCNC ディレーラーガードキット』の詳細
本題に入る前に、一般的なディレイラープロテクター/ディレイラーガードについて軽く触れておきます。
画像で見ると『ああこれか!』と一目瞭然なパーツですね。
外装変速機付きのキッズ用のMTBなんかでよく見掛けますが、乱暴に扱われがちな子ども用自転車には欠かせない装備かも知れません。
安価な上に防御力が高く、割としっかり仕事をしてくれますが、スチール製だけに重さは見た目通り。
リア側の車軸にボルトで共締めしたり、リアエンド付近にある泥除けやキャリア用のダボ穴に固定したりと、取付け方法には何かと制限があり、本格的なスポーツ車には不向きです。
唯一例外なのがミノウラの『DG-2』で、こちらは50gと軽量な上にクリックリリースに対応。
別売りのミノウラ製スルーアクスル軸を併用すれば、スルーアクスル車にも取付け可能という稀有な製品です。
さて本題です、自転車用のアクセサリー類に明るい方なら、画像を見て直ぐにピンと来たかも知れませんね。
この製品は明らかにKCNC製ライトホルダーからの派生品です。
元々はフロントのクイックリリースレバーに増設するライトホルダーでしたが、リア側に取付けると簡易なディレイラーガードとして機能すると一部で話題になっていました。
原型となったライトホルダーはクイックリリースにしか取付けられず長さも6cmですが、この『KCNC ディレーラーガードキット』は総寸が7cmに延長。
ホルダーに取付ける保護プレートも追加され、専用パーツとしてしっかりブラッシュアップされています。
因みにプレート無しの製品もあり、こちらは『KCNC スルーアクスルライトアダプター』という商品名。
その名の通りスルーアクスル対応のライトホルダーですが、プレートの有無とカラーバリエーション以外にディレイラーガードキットとの違いはありません。
ディレイラーガードキットよりもカラフルなので、愛車と色味を統一したい場合に重宝するかも知ませんね。
実際にディレイラーガードキットを車体に取付けると上画像のような外観に。
プレートが加わったことで死角が無くなりましたが、多少の異物感もありますね。
素材はアルミ製でキット全体が45gと軽量。
プレート部分もアルミ製だけに、転倒時はドラゴン〇エストの命の石みたいになるのかも。
気になるスルーアクスル車への取付方法ですが、アクスル軸の終端に6mmの六角穴が必要とのこと。
あれ?確かに穴は開いているけど六角だったかな……
うろ覚えだったので実車で確認してみると、ファットバイクにはナシ、フルサス29erにはアリ、グラベルロードにはアリ、という結果に。
同じスルーアクスルでも終端が6mmの六角穴になっていなかったりサイズが違っていたりする場合もあるので、事前確認は必須でしょうか。
説明し忘れましたが、このディレイラーガードは従来のクイックリリースレバー用としても使用可能。
その場合は先端のピン部分を外し、クイックリリースシャフトのナットと交換するだけです。
まとめ
アクスル軸の種類によっては使えない場合もありますが、スルーアクスル車には希少な選択肢になりそうです。
今回紹介したKCNC製の他にGORIX製も後発としてリリースされていますが、予算に余裕があるなら前述のミノウラ『DG-2』もなかなかの良品。
スルーアクスルに対応したディレイラーガードは別記事でも紹介しているので、興味をお持ちの方は是非ご覧下さい。