前回の更新でも軽く触れましたが、近々ファットバイクを11速化する予定です。
クランクは既にシマノ・SRAMの両方に対応できるRACE FACEのカーボン製クランク&ナローワイドチェーンリングに交換していて、今回の11速化は前回のフロントシングル化で手付かずだったワイドコグ化がメインとなります。
交換予定のリアメカはSRAM GX 11Sで対応するスプロケットは10-42Tとなりますが、トップが10Tのカセットを取付けるには、現在使用しているDTSwiss製ホイールのフリーハブボディをシマノ標準からSRAM『XDドライバー』に交換する必要があり、ポン付けと言う訳にはいきません。
幸いなことに、昨年購入したファットバイク用ホイールセット『DT Swiss BR 2250 CLASSIC』には最初から交換用のXDドライバーが付属していて、追加の出費が避けられるお得仕様です。
コスパの良さと共に、将来的にファットバイクを11~12速化&SRAM化できればイイなぁ~と薄い期待を込めてチョイスしたホイールセットでしたが、付属のXDドライバーの出番が思いのほか早く訪れた感じですね。
DTSwissのスターラチェットは構造が大変シンプルなので気負う必要はありませんが、今回はSRAM11速化の下準備として、DTSwiss製ホイールのフリーハブボディ交換に挑戦してみたいと思います。
コツを掴めば工具不要?DTSwiss製フリーハブボディの交換方法
早速手順を紹介していきますが、上画像のスプロケットが今まで使用していたシマノ製CS-HG50で11-36Tの10速仕様です。
シマノはSRAMほどスプロケットの軽量化に頓着していませんが、重量は380gとお世辞にも軽くありませんね。
交換予定のスプロケットはSRAM XX1グレードのXG-1199 10-42Tで、中古品ですが状態の良い物が安価で手に入りました。
本来のSRAM GX 11Sには重量394gのXG-1150 10-42T がセットになっていますが、このスプロケットは11速最上位のXX1グレードだけに269gと驚異的な軽さです。
アルミ製のローギア以外はインゴットから削り出しで、10枚のギアが一体化されたSRAMご自慢の軽量スプロケットは、そのフォルムも含めてシマノ製には見られない独特な魅力がありますね。
さて、お馴染みの方法でロックリングを外し、シマノ製スプロケットを取外した後は、本命のフリーハブボディ交換作業に移ります。
このDTSwiss製ハブは赤丸部分のエンドキャップに特徴があり、ハブ両端のエンドキャップを交換する事で、190mmや197mmなどの異なるリアエンド幅に対応できる仕様になっていますが、他に工具を使わないパチ組みでフリーハブボディを固定する仕組みを備えています。
要は、このエンドキャップを引き抜くだけで簡単にフリーハブボディを取外す事ができる訳ですね。
フリーハブのメンテナンス方法や交換方法はDTSwiss公式ページのSUPPORT内にあるHOW TO VIDEOSで詳しく解説されているので特に迷うことはありませんが、その動画内ではエンドキャップの取外しに卓上バイス(万力)が使われています。
エンドキャップをバイスで軽く挟んでからホイール側を引っ張って外す流れですが、私はバイスを持っておらず、まともに使える卓上バイスは結構なお値段です。
他に良い方法はないものかとYouTubeで類似の動画を漁ってみると、素直に卓上バイスを使う、プライヤーやラジオペンチで無造作に引き抜く、などの方法に混じってフリーハブボディごと手で引き抜く方法が紹介されていました。
結局、一番お金が掛からず傷も付きづらいこの方法を半信半疑で試してみましたが、びっくりするくらい簡単にエンドキャップが外れました…ホイール軸にも薄くグリスが塗ってあるので素手でも強い抵抗を感じずに抜き取れるのかも知れません、余計な出費が無くなり大助かりです。
ただし、この方法はエンド幅を変更する目的には使えませんね、反対側のエンドキャップにはフリーハブボディが無いので、何らかの器具でエンドキャップを摘まんで引っこ抜くしかありません。
卓上バイスはカーボン製のハンドルをカットする時やダイレクトマウントのチェーンリングをクランクに付け外しする際にも便利に使えるので、口金が最大50mm前後開くホームバイスくらいは手元に備えておきたいところですね。
エンドキャップと共に抜き取ったフリーハブボディまわりのパーツは、上画像の順番でハブに収まっています、洗浄したので綺麗ですが、当然内部はグリスまみれでした。
一番右がエンドキャップ、次がシマノフリーハブボディ、タケノコバネに挟まれる形でDTSwiss謹製のスターラチェットがあり、最後にアルミ製のリングがあります。
再取付けはこの順番のまま、フリーハブボディをXDドライバーにエンドキャップもXDドライバー用に置き換えるだけです。
上画像の中央がDTSwissハブ用のXDドライバー、左側のふたつがXDドライバー用のエンドキャップで、見ての通りXDドライバーは先細りになっているため、歯数11T以下の小さなギアを扱えます。
エンドキャップはリアエンド幅190mmには短い方、リアエンド幅197mmには長い方を使用し、私のファットバイクは短い方のエンドキャップを使うことになりますが、シマノ・SRAMどちらのフリーハブボディにも二種類のエンドキャップが卒なく準備されているのは流石ですね。
XDドライバー本体、卓上バイスと追加の出費を免れ続けていましたが、唯一別途で必要だったのがこのフリーハブ用のDTグリスです。
デリケートな部分なので、私は元と同じDTSwiss純正のグリスを選びましたが、フィニッシュラインのセラミックグリスを使っている方も多い様ですね。
因みに、画像では大きく見えますがサイズは昔し懐かしのフィルムケースよりも小さく、国内で購入すると元値プラス¥1000と中々割高なグリスです。
DTSwissにはこの赤紫色のグリス『HXTXXX00NSG20S』の外に、パッケージの似たクリーム色の汎用グリスもあるので、純正に拘りたい方は間違えないように注意しましょう。
DTSwiss公式の動画に倣い、筆を使ってフリーハブ用DTグリスを各部に満遍なく塗布していきますが、実際にやってみると綿棒や指を使うよりも作業が捗りました。
例外として、エンドキャップだけは汎用グリスを使うので、手持ちのデュラグリスを軽く塗布します。
因みに、このフリーハブ用DTグリスは人体に有害な成分を含んでいるそうなので、後でしっかりと手を洗うか、使い捨てのニトリル手袋を着用して作業した方が良いでしょう。
余談ですが、使用する筆を¥100ショップで見繕う予定でいたのに、探してみると殆どがペンキ用の大型サイズで、刷毛幅が1cm以下の小さな筆は文具や工作のコーナーでも見付ける事が出来ませんでした…謎です。
各部にグリスを塗布した後は、取外した時とは逆のリング⇒タケノコバネ⇒噛み合わせたスターラチェットの順番でハブに取付けます。
続いて、残りのタケノコバネをXDドライバー側に取付けてからハブの軸に通し、スターラチェット側部にある溝とXDドライバーにある溝が一致するように位置合わせをします。
位置合わせが正しいと、XDドライバーを根元まで押し込むことができ、それと同時にふたつのタケノコバネから押し戻される状態になります。
最後に、XDドライバーを押し込んだ状態にしてハブ軸の先端を露出させます、その部分にエンドキャップをパチリと嵌めれば、交換作業は完了です。
スルーアクスル仕様のフリーハブボディはDTSwiss製以外でも似たような仕様なのかも知れませんが、この構造のシンプルさとメンテナンス性の高さには本当に感心させられます、結局のところスプロケットの付け外し以外は一切の工具が不要でした。
仕上げとしてXG-1199を取付けますが、XDドライバー対応のスプロケットには使い慣れたロックリングが存在していません。
最初は戸惑いますが、10Tの最小ギア自体がロックリングの役割を果たしていて、内側には工具用の溝がしっかりと設けられています。
ホイールの中心部分なので、スプロケットを軽量化しても足まわりに大きな変化は無さそうですが、これでファットバイク11速化の第一段階は無事終了です。
まとめ
次回はいよいよシフターとリアディレイラーをSRAM GX 11Sに交換しますが、実はこの記事を書いている時点で既に作業は完了しています。
ここでは触り程度にしますが、このSRAM的には一世代前となる1×11/ワンバイイレブンにはちょっとした不具合がありました。
後々、記事にするとは思いますが気になる方は『Sram Backpedaling Issue』で調べてみると面白いかも知れません。
大雑把に直訳すると『スラムのペダル逆回転問題』となりますが、条件次第では1×12のSRAM EAGLEやシマノ系の11Sや12Sでも発生することがあるらしく、昨今主流のフロントシング化による弊害のようです。