自分好みに弄りまくったこともあり既に理想形に仕上がっている愛車のファットバイクですが、ほぼ一年振りのカスタマイズを実施。
とはいえ、心躍るようなポジティブな内容ではなく、長い間プチストレスになり続けているペダリング時の「異音」と「ゴリゴリ感」の解消がメインテーマ。
以前のカスタマイズでペダルを交換したことにより症状は随分と改善していますが、まだ完全ではありません。
正直なところ走行自体に全く支障はなく、たまに意識してしまう程度の些細な違和感ではありますが、今となっては解消そのものよりも原因をハッキリさせること自体に興味が移っている側面もありますね。
さて、セオリー通り原因と目される部分をひとつひとつ虱潰しに検証している訳ですが、次のターゲットはBBことボトムブラケットです。
現在使用しているBBは既に7年目に突入していて、Qファクターが極端に広くテコの原理が働きやすいファットバイクはペダリングでBBに負担を掛けがち。
一応、定期クリーニングで既存のBBに不具合が無いことは確認済みなものの、そこは素人のやることです、思い切って交換した方がより明確な判断材料になるでしょう。
これで解消しないようなら、ファットバイク特有のシビアなチェーンライン、異音が付き物のナローワイドチェーンリング。
これらの合わせ技が原因であることが濃厚ですが、それなら「仕様」と割り切って諦めも付きます。
相変わらず長い前置きでしたが、今回はファットバイクのクランクとボトムブラケットの交換だけでなく、その過程で知った「ぺダルワッシャー」の規格や互換性についても話題にしてみたいと思います。
BBツールはクランク軸に依存か?ファットバイクのクランクとボトムブラケットを交換

今回はBBだけでなくクランクも一緒に交換。
当初は新品のBBを購入して作業に臨むつもりでいましたが、運良く中古のクランクとBBのセットが新品BBとほぼ同価格で入手できました。
カーボンクランクからアルミクランクへのダウングレードと少し残念な面もありますが、カーボンクランクにクラックが入り、剛性不足になっている可能性も捨て切れませんからね……念のため。

このクランク&BBはSURLYのファットバイク「Ice Cream Truck」、略してICTからの取外し品だそうで、使用感の見られない大変綺麗な状態でした。
調べてみると現行モデルとはクランク形状が異なっていて、入手できたのはICTの2024~2025年モデルで採用されていたRaceFace Aeffect クランクで間違いなさそう。
私の手元には、ICTからの取外し品となるホイール一式やスプロケットも揃っていますから、ICTとは随分と縁がありますね。
フレームさえ手に入れば低予算でもう一台ファットバイクが組めてしまいますが、SURLYの中古フレームはリアエンド幅が177mmのWednesdayばかりが出回り、手持ちのホイールが適合するICTには中々出会えないのが悲しいところ。
因みに、ICTはクロモリだけに完成車の車重が16kg前後と重く、軽量化目的で取外したパーツが中古市場に流れやすくなっているのかも知れません。

現在使用中のクランクも同じくRaceFace製で、シャフト径がΦ30mmのカーボン製。
対してこのAeffectクランクはアルミ製で、シャフト径はΦ24mmとシマノ準拠な仕様です。
少し気になったのが、ウェーブワッシャやプリロード機構といったクランクのガタを予防する仕組みが一切見当たらない点。
奇妙に思って確認して見ると、Aeffectクランクは左右のクランクアームを規定トルクで締め付けることで位置がカチッと決まる設計になっていて、「ボトムアウト/突き当て」による固定方式が採用されていました。

カーボン製からのダウングレードにつき重量増は避けられませんが、計測してみると実重量はBBが101g、クランク一式が783gという値に。
交換前のBBが109gでクランク一式が526gでしたから、BBまわりが8g減、クランクまわりが257g増ととなり、トータルで249gの増量。
実はこれには後述するちょっとしたカラクリがあって、個人的には十分に許容範囲だったりします。

クランクとBBを交換する前に、30Tのチェーンリングを保管していた28Tへと交換。
RaceFaceのダイレクトマウントはCINCH/シンチと呼ばれる規格で、チェーンリングの着脱にはISIS規格のカードリッジBBツールを使用。
私はカードリッジ式BBを使った経験が無く、この工具の自体の出番も多くないため、外観の似たスプロケット取外しツールとたまに混同しそうになります。

交換前後のチェーンリングを比べてみると、重量差は84gと結構な値。
それもそのはず、ICT標準のチェーンリングは強度や耐久性重視のスチール製で、これが前述したちょっとしたカラクリの正体です。
そのままだとクランク&BB交換で249gの増量ですが、チェーンリングをアルミ製の28Tに交換することで、重量差を165gまで縮めることが可能。
このくらいなら他のパーツを軽量化することで十分に補えますし、アルミ製クランクへのダウングレードでも不満はあまり漏れません。
余談ですが、スチール製チェーンリングのオフセット3mmに対して、GARBARUK/ガルバラックのアルミ製チェーンリングはオフセット7.4mmと4.4mmもBB側に寄せた仕様になっています。
これによりファットバイクに特有な無理あるチェーンラインが緩和され、クランク逆回転でチェーン落ちしてしまう、俗に言う「バックペダリング問題」も解消できました。
入手しやすい旧型MTB用の6mmオフセットチェーンリングでも効果が見込めるので、特定ギアでのバックペダリング問題に悩まされているなら、試してみる価値ありです。

さて、まずはBBの交換から始めますが、ここでひと悶着ありました。
RaceFaceということで以前から使用していたCINCH用のΦ30mm対応BBカップツールが使えると思っていたのですが、全く溝が噛み合わずまさかのミスマッチ。

どうやらBB用ツールはメーカーではなくクランクのスピンドル径に依存するらしく、Φ24mmのAeffectクランクにはシマノホローテックII用ツールがジャストフィット。
最近は同じホローテックII用でも要アダプターといったパターンも多いですが、こちらは普通に素のままの工具で取付け可能でした。
アルミクランクにも必要?ペダルワッシャーの規格と互換性の話

新BBの取付けが恙なく終了し、いよいよAeffectクランクを取付けますが、ここに来てペダルワッシャーが備わっていないことに気が付きます。
上画像は取外したカーボン製クランクのもので、こちらはペダルワッシャーをしっかりと装備。
何か見落としがありそうな気がしたのでRaceFaceの公式HPで調べてみると、Aeffectクランクには標準でペダルワッシャーが付属している模様。
中古で取外し品を調達したこともあり、売り手がペダルワッシャーを付け忘れた可能性もありますが、私はここでとあることを思い出します。
あれ?そういえば今まで使ったアルミクランクの殆どにペダルワッシャーが付属していなかったような……
過去にフルサスMTBやグラベルロードでアルミクランクを使用した際も特にワッシャーを意識した経験はありませんし、シマノGRXのクランクにもペダルワッシャーは付属していませんでした。
気になって調べてみると、そもそも今どきのペダルにはペダルシャフトとクランクとの接触部分に平面加工されたフランジが設けられているため、ペダルワッシャーを使わなくてもクランク側にダメージが及びづらい仕様になっているとのこと。
とはいえ、ペダルワッシャーにはスチール製のペダルシャフトのからアルミ製のクランクへの食い込みを予防したり、ペダルの固着やガタつきよる異音を予防する効果もあるので、個人的には使いたい派だったり。
因みに、カーボンクランクには必須で他にもスチール製よりも柔らかいチタン製シャフトのペダルを使用する際にもペダルワッシャーの使用が推奨されていました。

さて、ペダルワッシャーは構造がシンプルにつき、手っ取り早くホームセンターで見繕うのも手です。
RaceFace製のワッシャーを採寸してみると、外径19.6mm、内径14.5mm、厚み1.2mmという値となり、代替品を探すにあたって公的規格の有無が気になるところ。
興味深いことに、ペダルワッシャーには明確な公的規格は存在しておらず、自転車業界における事実上のデファクトスタンダートが緩めに存在しているのみ。
ワッシャーの内径が最も普及している9/16インチのペダル軸に適合するように作られている点以外はそこそこアバウトで、大雑把にまとめると以下の通り。
【外径】20.0mm 前後 ※クランク側の段落ち座面やペダルのフランジ幅に合わせた寸法
【内径】14.5~15mm ※9/16インチ(外径 約14.3mm)のペダル軸が通れる寸法
【厚み】1.0~1.5mm ※Qファクターの微調整用として複数枚使用される場合も
【材質】スチール・ステンレス・チタン合金 ※チタン製は軽量化・錆対策・ドレスアップ用
今回は取外したカーボンクランクから流用することにしますが、これらの仕様を踏まえた上で代替品を探してみるのも良さそう。

一応、市販品も存在していて、やっぱり見栄えの良いチタン製が人気。
この部分の見栄えに拘ってもペダル側のフランジで殆ど隠れてしまうでのでは?
内心そう思っていましたが、上画像を見て納得。
Qファクターの調整用として複数枚を使えば、立派にドレスアップパーツとして機能してくれる訳ですね。
調整用に沢山使うなら、ステンレス製よりも軽量なチタン製の方が有利でしょうし。
早速テストライド、違和感の正体はファットバイクの持病か?

少しだけトラブルがありましたが何とかクランクとBBの交換が完了し、早速テストライドへ出発。
あたたかい季節はどうしてもグラベルロードに偏りがちですが、無雪期でも月に数回はファットバイクでライドを楽しんでいます。

近場を軽く流しただけなのに、久々の28Tに物凄い違和感。
平地だとワイド側のギア板4枚くらいはペダリングがスカスカで、本気でチェーンが外れていると錯覚したほど。
深雪で登坂するなら必須な装備なものの、無雪期で28Tは流石に過剰でトップギアでもスピードがまあ出ない出ない。

この画像からもBB幅の広さを察していただけると思いますが、ファットバイクのQファクターは標準で230mm程もあり、乗る人の体型を選ぶ自転車でもあります。
BBの取付けはRaceFaceの場合でスペーサーがドライブ側に2枚、非ドライブ側が1枚がファットバイクでの定番。
チェーンラインの微調整にドライブ側のスペーサーを1枚抜くという裏技もありますが、私の経験上バックペダリング問題の改善には効果が薄かった覚えが。

さて、肝心の違和感についてですか……
クランクがアルミ製になったことでペダリング時の剛性感がアップ。
これは凄くイイ感じです。
でもね、やっぱり治ってねぇ~
薄々理解はしていましたが、ペダリングの際に感じる異音やゴリゴリ感は1×12速仕様のファットバイクが持つ構造的要因が絡んでいて、いわば宿命のようなもの。
ファットバイクはチェーンラインが極端なのでチェーンの斜め掛けをすると音鳴りしやすく、それにフロントシングルのナローワイドチェーンリングが拍車を掛けます。
ナローワイドはチェーンとギア板の歯が密に噛み合う設計になっているため、薄歯や厚歯の側面がチェーンのインナープレートと強く擦れ合い、チェーンが斜め掛けだとそれがペダルを通じてゴリゴリ、ザラザラとしたノイズとして足裏に伝わりやすい構造。
走行には全く支障がありませんし、ファットバイクの持病だとすんなり受け入れることもできますが、粘度の高いウェット系チェーンルブを使った対策が効果覿面だという情報も。
マックオフの「ウェットルブ」やフィニッシュラインの「ウェット バイク ルブリカント」はもちろんのこと、塗布後にグリス状に変化して留まるワコーズのメンテルブもおすすめとのこと。
ファットバイクは錆と隣り合わせの環境を走ることが多いので、これはドライブトレインの錆予防も兼ねたやり方として是非とも試してみたいですね。
他にもリアディレイラーのBテンションアジャストボルトの調整を見直すといった方法もあるそうで、これについては盲点でした。
ガイドプーリーとスプロケットの距離が近すぎるとチェーンのテンションが高くなり、ペダリングの際にチェーンが詰まるようなゴリゴリ感が出やすくなるとのこと。
結局のところBBもクランクも冤罪だった訳ですが、おかげでもう一台ファットバイクを組めるパーツ的余裕が生まれました。
【オマケの備忘録】Aeffectクランク『スペーサーの順序と使い方』

かなりニッチな内容なので、最後にオマケの備忘録として記しておきます。
実はクランク交換作業中に最も頭を悩ませたのが、スペーサーの使い方。
ファットバイク用のAeffectクランクには非ドライブ側に約11.3mm厚のスペーサーが備わっていて、これはクランクシャフトから外せないくらいカッチリと固定されています。
問題なのはドライブ側に備わっている三つのスペーサーで、RaceFace公式で情報を漁っても使い方や順番が一切不明な代物。
海外でもこのスペーサーについて悩んでいる人がいて、ネットの海を隈なく探しても有益な情報が得られない状態でした。
スペーサーは左から順に、約1mm、約6.5mm(約7.5mm凸部含んだ場合)、約11.3mmの厚さになっていて、中央と右のスペーサーには表裏が存在しています。

自分用の備忘録と悩める人々の為に簡単に説明しておきますが、順番は一番上が6.5mm、次が1mm、一番下が11.3mmが恐らく正解で、フランジがある側がBBを向くようにセットします。
この画像では確認できませんが11.3mm厚のスペーサーの裏面には1mm厚のスペーサーがジャストフィットする段落ちモールドが存在していて、これが結構クセモノ。
上画像左のようにスペーサーを少し短く仕上げることも可能となり、この方法で組み付けるとクランクにちょうど1mmのガタが出ました。
上画像右のように、スペーサーの総寸が約18.8mmするとクランクのガタが一切なくなります。
因みに、画像右に似たやり方で一番上に1mmのスペーサーを使った組み方でもスペーサーの総寸が18.8mmになるので普通に機能します。
間違いではありませんが、この点に関してだけはRaceFaceの古いマニュアルに説明があり、1mmスペーサーはBBに近い側に配置するようにといった指示が。
以上、世界中で数人しか必要としない超ニッチな情報をお伝えしてみました。

