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ファットバイクの油圧式ディスクブレーキを機械式に交換した理由

自転車用ディスクブレーキ

愛車のファットバイク『アーガス エキスパート』のディスクブレーキを、油圧式から機械式(メカニカル・ワイヤー式)に交換することにしました。

油圧式よりも制動力に劣る機械式ディスクブレーキにする事は、一般的にはダウングレードに相当し、ある程度の知識をお持ちの方にとっては愚行とも受け取れるでしょう。

数十年ぶりにスポーツ車を購入し、何もかもが初めて尽くしな状態で油圧式どころかディスクブレーキも当然の事ながら初めての体験でした。

初乗り時には、何気ない停止でジャックナイフしそうになるなど、その軽いタッチと制動力の高さには胆を冷やしつつ驚いたものですが、一年近く使い続ける内に『自分には不向きなのでは?』そんなふうに思うようになりました。

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ディスクブレーキを油圧式から機械式にした理由

Hayes Radar Comp 01

前述の通り、油圧式ディスクブレーキの機能面には全く不満が無く、逆にブレーキが効きすぎて困るほどでしたが、あえて機械式にダウングレードしようと思ったのは予想外にトラブルが多発してメンテナンスに手間取るのと、ブレーキからシャリシャリと音がする、俗に『引きずり』と呼ばれる現象が頻発したのが理由です。

ネット上で調べれば幾らでも対処法が見つかりますし、実のところブレーキパッドを外して飛び出したピストンを押し戻したり、キャリパーのセンター出しをする程度なら大した手間ではありませんが、エア抜きやブレーキフルード交換ともなると、そう簡単には行きません。

また、アーガス エキスパートの油圧式ディスクブレーキはHayes Radar Compという国内では余り流通していないモデルで、メンテナンスの参考になる情報も少ないですし、エア抜きに必要な器具やメーカー純正のミネラルオイル(シマノ製でもOKらしい)を集めだけでも一苦労です。

Hayes Radar Comp 02

余談ですが、このHayes Radar CompはCrosshair(クロスヘア)と呼ばれる特殊なクリアランス調整機能を持っていたり、ブレーキフルードが汎用のDOT4ではなくHayes初のミネラルオイル仕様だったりします。

何が原因なのかわかりませんが、海外のレビューでは制動力に関しての評判が芳しくなく、2017年モデルのアーガス エキスパートからはシマノ製の油圧式ディスクブレーキに変更されています。

稼働率の割に半年で幾たびのトラブルに見舞われ、情報収集も含めてメンテナンスに手間取るのに嫌気が差したのもありますが、機械式に交換すると決めた一番の理由はクリアランス調整の自由度の低さと、前述した『引きずり』が頻発する点です。

ブレーキパッドの減りに関わらず、一定のクリアランスを保ち続けてくれるのが油圧式の利点で、メンテナンスが容易だと言われる所以でもあるのですが、如何せん標準でのクリアランス幅が狭すぎます。

ブレーキパッドとローター間のクリアランスは左右を合わせても1mm以下で、ほんの僅かな変化でもブレーキパッドとローターが接触し、事あるごとにシャリシャリと耳障りな引きずり音を奏でます。

軽度であれば、油圧式ディスクブレーキの場合それが普通だという意見も聞きますが、油圧式ディスクブレーキの場合はキャリパーのセンタリング(並行出し)以外に効果的な調整方法が無く、クリアランス幅を微調整できない点にどうしても不満を感じてしまうのです。

よく知られた話ですが、クイックリリース仕様のディスクロードやマウンテンバイクでは、ホイールを付け外しした際の微妙な狂いから引きずりが生じやすく、不慣れだとその都度キャリパーの並行出しなどの再調整をしなくてはいけません。

メンテが捗る!油圧ディスクブレーキで揃えておきたい3つの工具
油圧ディスクブレーキのメンテナンスや不具合に、あると便利な3つの工具をご紹介。閉じたブレーキパッドやローターの歪み、ローターとパッドの干渉による異音など、煩わしい調整&修正がちょっとだけ楽になるオススメのツールです。

この欠点は毎回しっかりと同じ位置に固定できるスルーアクスルでは起きづらくなりますが、ねじ込みのトルクやレバーの締め付け加減が毎回一定していなかったりすると、フロントやリアのエンド幅に微妙な狂い生じ、クリックリリースと同じようにブレーキから引きずり音が出ることがあります。

私を含む神経質な方にとっては拷問のような仕様ですし、気にしだしたら切りがないのが実情ですが、自分で調整できる余地は可能な限り残しておきたいのが本音でしょうか。

また、ブレーキパッドとローターが触れないように完璧にクリアランス調整したとしても、路面のからの振動でローターが共振する、ブレーキング時の高熱で一時的にローターが変形する、長いカーブでホイール軸が僅かに歪む、これらの些細な現象で一時的に引きずりが発生することがあります。

シマノ製機械式ディクスブレーキに変更

shimano(シマノ) BL-T4000ブレーキレバー BR-M375機械式ディスクブレーキ

さて、機械式のディスクブレーキに交換するにあたって候補は三つありました。

一つ目は機械式でありながらブレーキパッドの片減りや、ローターの変形を防ぐことが出来る両対向ピストン仕様の『TRP SPYKE』

二つ目は油圧式に劣らない制動力とクリアランス調整の容易さが売りの『SRAM AVID BB7』

三つ目が情報が得やすくコストパフォーマンスに優れた『SHIMANO BR-M375』

最後まで後ろ髪引かれたのは、やはりTRP SPYKEですね…片減り防止の両対向ピストンと左右から簡単にクリアランス調整出来る機能に強く惹かれましたし、露出したケーブルに雪や泥が付着しても制動不能にならない為の細かな工夫にも魅力を感じます。

実際のところは不明ですが、対向ピストン故にブレーキの引きが重いらしく、ブレーキの効きもイマイチだとの評判を見掛けたため、今回は価格面も含めて見送ることにしました。

調整方法が超簡単に!機械式ディスクブレーキ"TRP SPYKE"の感想
機械式ディスクブレーキ『TRP SPYKE/SPYRE』に交換した感想をまとめています。油圧式と同じ対向2ピストンが採用され、ローターの歪みやパッドの片減りがありません。クリアランス調整も簡単で引きずり音や音鳴り解消にもオススメな製品です。

【追記】後日、実際にTRP SPYKEを試してみたところ、引きの重さはエントリークラスの機械式ディスクブレーキと同程度でした。

制動力も十分な上に、パッドクリアランスやブレーキの効き具合、レバータッチなどが大変調整しやすく、ディスクブレーキ初心者にも扱いやすい良ブレーキです。

この対向ピストンの機械式ディスクブレーキは一定の需要が見込まれる分野らしく、面白そうな新製品がちょくちょくリリースされます。

REVER MTN1&MCX1対向ピストンメカニカルディスクブレーキ

特に後発のREVER社製機械式ディスクブレーキ、MTB用『MTN1』やロード用『MCX1』は引きの重さが改善されているらしく(実際はTRPと大差なしとのこと)、対向ピストンの機械式ディスクブレーキではかなり魅力的な選択肢になっています。

これで入手が容易なら完璧だったのですが…国内からはebayを頼るくらいしか、まともな購入方法が無いのが残念ですね。

ハイブリッドディスクブレーキが最適か?

ディスクブレーキに第三の選択肢として、ハイブリッド式がじわじわと話題になり始めています。

ブレーキレバーやブレーキワイヤーは機械式そのままで、キャリパー部分のみが両対抗ピストンの油圧式になっている仕組みですが、ブレーキフルード(ブレーキオイル)が最小限しか使われていないので、エア抜きやブレーキフルード交換などの面倒なメンテナンスをする必要がありません。

おまけにブレーキの引きも機械式より若干軽いそうで、製品によっては純油圧式よりも自由度のあるクリアランス調整が可能と、耳障りな引きずり対策にも期待できます。

ハイブリッドとは言っても、キャリパー内部の構造は油圧式なのでブレーキもそこそこ効きますし、個人的にかなり魅力を感じますね。

まだ選択肢が少なく、代表的な製品は『TRP HY/RD』かダイアコンペの『JuinTECH R1』くらいしかありませんが、願ったり叶ったりの仕様なので食指が動きます。

元々はロード用ながらファットバイクでも使えそうなのが、マウントアダプターで180mmローターにも対応可能な『TRP HY/RD』です。

前述の『TRP SPYKE』よりも更に高価なのがネックで、現時点ではとても気軽に試せる代物ではありません。

ダイアコンペの『JuinTECH R1』はコスパが抜群で軽量なのがウリですが、こちらもロードバイクやクロスバイク用の製品ということで、注意書きに『MTBやダウンヒルバイクでの使用では十分な制動力が得られない』とアナウンスされているのが少し引っ掛かります。

とは言え、前後セットで販売されているコスパの良さが光りますし、十分な制動力が得られないといっても、有志によるYouTube上のテスト動画を見る限りでは引きの軽さやブレーキの効きは安価な機械式よりも確実に上です。

因みに『JuinTECH R1』はロード・クロス用なので、引き量が異なる、ファットバイクやMTBのVブレーキレバーが使えません。

ロードやクロスのフラットハンドルに対応した『TIAGRA BL-4700』や『ULTEGRA BL-R780』などのブレーキレバーを別途準備する必要があるので注意しましょう。

補足として、ダイアコンペ製『JuinTECH R1』はASHIMA(アシマ)製ハイブリッドディスクブレーキのOEM品らしく、市場にはダイアコンペ製、ASHIMA(アシマ)製、HTR製の三種類が存在しています。

ブレーキ本体にプリントされたメーカー名は異なりますが仕様は全く同じなので、どれを選んでも差はありません。

まとめ

mongoose argus expert 2016_01

私の不満は油圧式ディスクブレーキに慣れた方にとって、鼻で笑われるレベルかも知れませんが、機械式の方が感覚的に調整が出来る分、初心者の私には好みでしょうか。

人によっては油圧式ディスクブレーキで『引きずり』は滅多に起きたことは無いよ…なんて、羨ましい方もいらっしゃいますが、同じ油圧ブレーキ車でもエンド幅が極端に広くフレームやフォークが歪みやすいファットバイクだと、些細なことでも症状が出やすくなるのかも知れませんね。

機械式に変更したことで、ブレーキパッドの片減りやローターの変形、ワイヤーへの泥や雪の付着など、機械式ならではの新たな問題も出てきますが、実際に取り付けて試走してみても、今のところ大きな不満点はありません。

流石にキャリパー本体は手で持ってもわかるくらい重いですし、レバーの引きも重くなりましたが、後日にブレーキケーブルを『Jagwire Elite Link』に交換したところ、その点にも改善が見られました。

"Jagwire Elite Link"で引きの重いブレーキが超スムーズに!!

ブレーキレバーの引きが重いと感じたら、ケーブルをJAG WIRE(ジャグワイヤー) のElite Link Brake Kit(エリート リンク ブレーキ キット)に交換する方法をオススメします。滑りの良いインナーケーブルとコンパクトなケーブルラインのおかげでブレーキレバーの引きが劇的に軽くなります。

最低グレードの機械式ディスクブレーキということで少し不安がありますが、設定をしっかりと煮詰めれば、フロント・リア共にタイヤをロックできるくらいには仕上がってくれそうです。

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