少ない費用をやり繰りして軽量パーツを購入してみたものの、カタログスペックより重くてガッカリ……
自転車を趣味にしているなら、そんな経験は一度や二度じゃないはず。
私もその例に漏れず、特に落胆が大きかったのが完組ホイールといった高価なシロモノでしょうか。
その原因が単純に個体差である場合もありますが、ホイールに限っていえばフリーハブボディが真犯人であることも。
ホイールに採用されているフリーハブボディの違いで80g近い差が出ることも珍しくなく、これを知らないと騙されたような気持になります。
聞くところによると、メーカー側は軽い方をカタログスペックとして採用しているそうで、購入時にシマノHGやスラムXDから選択できるような場合は、後者の重量が採用されがち。
フリーハブボディはホイールの中心部分に位置するパーツにつき、多少重くなっても足まわりの軽快さに大きな影響は与えないものの、軽量さを尊ぶ自転車乗りにとってはあまり気持ちの良い話ではありません。
さて、完組ホイールの実重量で何度も悲しい思いをした私としては、フリーハブボディの種類によってどのくらいの重量差が出るのかが気のなるところ。
前々から調べてみたいを思っていた内容ですが、いざ行動に移してみるとその面倒臭さに少しだけ後悔することになりました。
意外な事実、各社フリーハブボディの重量差はどのくらい?

結果は上画像で一目瞭然ですが、調べるのにかなり苦労しました。
同じ素材で同じラチェット規格、この条件を満たしつつシマノ・スラム・カンパの全フリーハブボディを網羅しているメーカーは数える程しか無く、単純な比較が難しかったのがその理由。
ようやく見つけたのがCARBON-TIで、軽量パーツが人気を集めるイタリアのブランドです。
【SRAM/スラム】はマウンテンバイク用のXDが49g、ロード用のXDRが49g
【CAMPAGNOLO/カンパニョーロ】は11-12速用のCAMPYが53g、13速用のN3Wが64g
【SHIMANO/シマノ】は10-12速用のHGスプラインLが53g、MTB12速用のマイクロスプラインが64g
個人的に古参のシマノHGやカンパあたりが最下位を争うと予想していたのですが、マイクロスプラインやN3Wといった新しいフリーハブボディ規格の方が重いという結果に。
とはいえ、これには製造側の得手不得手といった要素もあり、これがDT Swiss製だとスラムXD系の48gに対して新参物のマイクロスプラインもN3Wも56gという重量になります。
同じアルミ素材ならフリーハブボディ規格による重量差はそれほど大きくは無く、ほぼ横並びといっても差支えないかも知れませんね。
では、どうして完組ホイールで80g近い重量差が出てしまうのか?
理由は実にシンプルで、単純に素材が異なっているからというもの。

ご存知の通りシマノHGタイプのフリーハブボディには俗に「スプロケ齧り」という持病があり、画像右のようにスプライン部分にスプロケによる噛み傷が発生します。
これが原因で素材が軽量なアルミではなくスチール製である場合が殆どで、重量増が避けられないという顛末。
また、スチール製を数多くラインナップするDT Swiss製で比較した場合、フリーハブボディの種類を問わずアルミ製とスチール製の重量差は50g前後という結果でした。
このことから、仮にアルミ製スラムXDの47gからスチール製シマノHGの117gに交換した場合、それだけで70gも増量することに。
個人的に予想外の結果でしたが、フリーハブボディは同じ素材で同じラチェット規格なら、重量は横並びとなり、素材にの違いによる重量差のほうが顕著ということになりそうです。
因みに、総じて軽量なスラムXD系のフリーハブボディはスプラインの溝とスレッドのネジ山、この二箇所でスプロケットを固定する仕組みによりガタつきが少なく、アルミ製でもスプロケ齧りが起こりづらい構造とのこと。
複雑化するシマノ…フリーハブボディの互換性について

私はオフロード車主体の自転車乗りなので、スラムXD・シマノHG・マイクロスプライン、この辺りについての知識はありましたが、ロード用のフリーハブボディはぶっちゃけ門外漢。
種類や互換性についても知識不足で、カンパ13速用のN3Wも今回の件で初めて知ったくらいです。
最も混乱したのがシマノ12速のロード用で、てっきりロード用も12速MTB用と同じマイクロスプラインが採用されていると思っていました。
実際は「HGスプライン L2」という聞いたことのない規格が使われていて、見た目の似ているマイクロスプラインとは全く互換性が無いと聞いて更に困惑。


それだけならまだ良かったのですが、シマノ12速ロード用のフリーハブボディには12速用カセットにしか対応しない「HGスプライン L2」と10・11・12速用カセットに対応する「HGスプライン L」の二種類があると知り、私の混乱は頂点に達します。
MTB用は12速で下位互換をバッサリ切り捨てたのにズルい……
思わずそんな愚痴も零れますが、スラムもカンパもフリーハブボディは二種類だけ。
それに対してシマノは最低でも五種類、おまけにスペーサーの存在もあるので初心者泣かせにもほどがあります。
普通に考えると、12速ロード用に対応し下位互換もある「HGスプライン L」があれば「HGスプライン L2」は不要なはずですが、恐らくシマノは将来の13速を見越しているのでしょうね。
まとめ
フリーハブボディの種類やそれぞれの重量について話題にしてみましたが、フリーハブボディの重さは素材の違いが大きく影響するという結果に。
同じ素材ならどのフリーハブボディでも重量はほぼ横並びなものの、愛車を1gでも軽くしたいと考えているなら構造的にスラムXDかXDRが有利に働きます。
因みに、XDRに1.85mmのスペーサーを使うとXD用のカセットが使えるそうで、この点はシマノと似ていますね。