今回は久々にカスタマイズの話題。
とはいえ、フルサスMTBのフロントフェンダー(泥除け)の交換と、その他諸々という少しゆるめの内容です。
事の発端は前回の更新に遡ります。記事をご覧になった方から、私が自転車用の保護テープとして愛用している「コニシ 強力補修テープ ボンドストームガード 屋外用」の粘着成分がフレームの塗膜に悪影響を及ぼすとの情報が寄せられました。
本来とは異なる使い方なのは十分理解していたものの、つや消し・マット塗装のフレームや曲線面にもテープが白濁せずにしっかり貼り付いてくれるので重宝していましたが、流石にこれはマズいかも……と慌ててテープを剥がしてみます。
幸いなことに二年近く貼り続けた箇所でも「粘着成分が塗膜を侵食する」といった、指摘にあった不具合は無く、パーツクリーナーのシール剥がし効果で、テープの粘着成分も完全に取り去ることができました。
ですが……ここで、テープの不具合とは別の問題に気付きます。
以前もこのブログで説明しましたが、つや消し・マット塗装のフレームは表面が多孔質と呼ばれる細かな凹凸で構成され、その効果から艶やかな光沢感が生じない仕組。
残念ながら、この効果は摩耗による劣化で徐々に失われてしまい、最終的にはしっとりとしたプチ光沢塗装へと勝手にクラスチェンジしてしまいます。
さて、私は結束バンドやベルクロテープ等からの摩耗でフレームがテカってしまうのを防ぐ目的でテープを使用していましたが、今度はその過保護さが仇に。
同じトップチューブでも、保護されていた部分はつや消し塗装が維持され、露出していた部分は半光沢気味に……といった感じで、保護テープを境にしてフレームの質感に僅かな違いが生まれていました。
恐らく、紫外線による退色の影響も少しはあるのでしょうけど、粘着成分を含まない自己融着テープを使用していた場所でも同じ症状が見られたので、どうやらコニシ ストームガードの粘着成分が悪さをした訳では無さそうです。
あくまでも推測ですが、走行中にフレーム表面を叩く塵や砂埃、乗り降りの際の擦れ、拭き掃除などの日々のお手入れが災いして、表面の多孔質が知らず知らずのうちに磨かれているのでは?といった疑念が。
つや消し・マット塗装は、保護テープを使おうが使うまいがフレームに何らかのダメージが出てしまう……そんな状況な訳ですが、どうしたものでしょう?
フルサスMTBはカスタマイズ的に安定期に入っていて、久しく手を入れていませんでしたが、幸か不幸か新しいテーマがもたらされたようです。
しばらくは模索が続くでしょうが、今後は「リムーバブル&ミニマム」をテーマに、自転車本来が持つ素のままのデザインを活かすカスタマイズに方針転換することにしました。
余談ですが、こういったつや消し塗装がテカってしまう問題は、自転車よりも自動車の方が顕著らしく、オーナーは洗車にも気を遣う必要があり、マットな質感を維持するのに気苦労が絶えないとのこと。
フェンダー・泥除けをベルクロ式に交換してリムーバブル化
初っ端のカスタマイズとして、一番簡単そうなフロントフェンダーの交換からやってみます。
オフ車用のフェンダー・泥除けは結束バンドでの固定が一般的ですが、付けっぱなしだとフレームとの隙間に砂や泥が詰まりやすく、掃除しても中々除去しきれなかったりしますね。
結束バンドは使い勝手が良い反面、キツく締め付けると意外に攻撃性が高く、保護テープなしではフレームに傷を付けることがあるのも難点。
今回使用する泥除けは、Mucky Nutz/マッキーナッツの「FACE FENDER/フェイスフェンダー」で、フレームへの固定がベルクロ(面ファスナー)式なのが特徴。
価格は1500円ほどで、国内はアマゾンに公式ストアがあるため入手性が高いのも嬉しいところ。
実はベルクロも、つや消し・マット塗装の自転車とは相性が悪く、フレームとの接触部分が頑丈なザラザラしたナイロン地だったり、引っ掛かりのあるフック面だったりすると、紙やすりのようにフレームを摩耗させることがあります。
残念なことに、このベルクロはフレームバッグ・トップチューブバッグ・ステムポーチ等の自転車用バッグで多用され、フレームへの傷に配慮されている製品は殆どありません。
光沢塗装なら例え摩耗しても簡単に補修できるので過剰に気にする必要はありませんが、つや消しはフレームは再塗装以外に補修する術が無いのがツラいところ。
すこし話が脇道に逸れましたが、このMucky Nutz/マッキーナッツのフェンダーには攻撃性の低いベルクロが採用されていて、柔らかなループ面側がフレームに接触する仕組みになっています。
Mucky Nutz/マッキーナッツ製フェンダーは、大半がいつでもリムーバブル(取外し)できるベルクロ式で、必要なとき以外は愛車に余計なアクセサリーを極力付けなくない!といったミニマリストの方にもオススメですね。
取付けは簡単で、ベルクロをお好みの長さにカットし四ケ所を固定するだけ。
結束バンドと比べてると固定力に不安を感じますが、フェンダー本体が25gと軽量なこともあり、思いのほかガッチリと固定できます。
バッグ類よさらば!自転車はありのままが一番キレイ?
さて、リムーバブル&ミニマムが今後のカスタマイズ方針ということで、フェンダー以外にも色々と手を加えてみました。
外観はトライアングル部分に常設していたコーナーバッグが無くなりスッキリ風味、ハンドル付近にあったステムポーチも取外し、当面は実用面で不便が無いかを検証してみるつもり。
これでベルクロ留めのバッグ類が一切なくなったので、フレームの保護テープは必要最低限になりました。
小型サドルバッグやケージインしたツールケースはあるものの、久々に見る素に近い車体は中々カッコよく見えます。
自転車用バッグを含むアクセサリー類でカスタマイズされた車体も、オーナーのセンスの良さや拘りが透けて見えるので好きですが、自転車メーカーの意匠が強く主張されるシンプルさも悪くありません。
フェンダーとタイヤとのクリアランスも問題無く、むしろスカスカです。
タイヤは秋にロングライドを予定しているので、一本1kgオーバーのSURLY「ExtraTerrestrial/エクストラテレストリアル」から、軽量なIRC「IRC MARBELLA/マーベラ」へ半年ぶりの交換。
マーベラはノブが減っていたので前後ローテーションしましたが、柔らかい120TPIだけに舗装路での寿命は2000km程度かも知れません。
フルサスMTBのトライアングル部分はご覧の通り窮屈なので、今までボトルケージを取付けたことがありませんでしたが、余り物のボトルケージとツールケースをフレームバッグの代用として実戦投入。
ロングタイプのツールケースは流石にNGでしたが、スムーズに取り出せないものの標準サイズなら問題無く使えます。
本当は取っ払ったステムポーチのかわりに、ドリンクホルダーとしても活用できれば……と目論んでいたのですが、余っていたTOPEAK/トピーク の「モジュラーケージ2」がまさかの取付け不可。
ペットボトル対応のボトルケージでは他にGUEE/グイーの「D-CAGE」が人気らしいので、近いうちに試してみる予定です。
サドルバッグは今まで通りTOPEAK「SIDEKICK WEDGE PACK」のSサイズを継続使用。
容量0.5Lでチェーンロックとライトしか収納できませんが、ツールケースを使わずにこちらに小物をひとまとめにするなら、もう少し大容量のサドルバッグが必要になりますね。
ドロッパーシートポストとの兼ね合いから一点留めタイプの製品がベストですが、個人的にBOAシステム採用でブラケットが不要なサドルバッグ、SILCA/シリカ「SEAT CAPSULE PREMIO」が少し気になっています。
フェンダー交換&バッグレス化後の試走
久々に天気に恵まれたので、試走を兼ねたライドへ出発してみます。
自宅から20kmほど先にあるトレイルへのアクセス路に向かうものの、前日まで続いた雨で路面はウエットコンディション。
フロントフェンダーは交換しただけなので健在ですが、リアフェンダーは完全に取外してしまっていて「ああ、そう言えばそうだった……」と、いまさら気が付きます。
しぶしぶ、アスファルト敷きの道だけを選んで走りますが、メンテやクリーニング後は意図せず車体が汚れやすいコースを選んでしまう不思議。
珍しく完全露出したトップチューブを眺めながら走りますが、いつもはフルサスMTBや29erと大雑把に紹介している我が愛車の正式名称は「TREK FULL STACHE 8」で、フルスタッシュと読みます。
いつも細いタイヤを使っているので、その印象は薄いですが、こちらはセミファットサイズの29×3.0インチタイヤが装着できるフルサスMTBという、何気にレアな代物。
私の知る限り、国内ではワンシーズンのみの受注販売、海外でも2シーズンのみ販売、セミファットのフルサスバイクは、このフルスタッシュとSALSA製の「Deadwood」くらいしか無かったはず。
交換したフロントフェンダーですが、特にベルクロの固定が緩むことも無く、バタつきや異音もありません。
フェンダーの前方が短いタイプの製品を選んだせいもありますが、以前よりもフェンダーの上部に砂粒が乗りやすいような気がしますね、顔まで届くことは無いので特に気になりませんが。
因みに、取外した結束バンド式の前後フェンダーがトータル140gでしたから、重量も120g弱ほど軽くなってます。
走行中にふとステム部分に目を向けると、ステムボルトの塗装が剥げてボロボロになっているのに気が付きます。
塗膜の薄いボルト部分ですし、先頭を切って風を受ける部分なので、走行中に車体を叩く砂埃の影響が如実に表れていますね。
これを見る限り、つや消し・マット塗装のフレームが時間を掛けて摩耗するのも納得ですが、黄砂が激しい地域だと天然のサンドブラスターみたいな劣化もあり得そう。
ライドの帰り際に道の駅で小休止、カスタマイズついでにディスクブレーキをメンテしましたが、ブレーキパッドとローターの洗浄で耳障りな「鳴き」がピタリと収まり、ブレーキの効きも回復。
今回はいつもの洗浄だけでなく、ブレーキパッドの表面を80番手の紙やすりで削る工程を加えましたが、上手い具合に染込んだ油分や汚れが削り落ちてくれたようです。
パッド表面を紙やすりで平らに削る ⇒ 歯ブラシと中性洗剤でゴシゴシ洗浄 ⇒ 仕上げにフィニッシュラインのディスクブレーキクリーナーで脱脂&湿気除去
工程はたったこれだけなので、ディスクブレーキの鳴きにお悩みの方はお試しあれ。
しばらくはこの状態でライドを続ける予定でいますが、飲み物の重要性が増す夏場だけにドリンクホルダーや汗拭きタオルの収納場所として重宝していたステムポーチのありがたさが身に沁みる結果に。
上の画像を見るとわかりますが、ヘッドチューブ左サイドのフレームが妙にテカっているのが分かるでしょ?
実はこれ、ハンドリングの度にステムポーチがフレームのヘッドチューブに擦れて出来た光沢で、この部分に保護テープをしっかり貼らないと、安心して使えないというジレンマ。
取り合えずドリンクや小物類は以前に紹介した、OCCAM DESIGNS/オッカムデザイン「APEX STRAP」を活用して、必要な時だけ一時的にフレームに固定する使い方になりそうです。
まとめ
次は絶対につや消し・マット塗装の自転車は選ぶまい……そう心に決めていますが、つや消しフレームの自転車に乗っている方は、私と同じようにフレームの質感が斑(まだら)にならないようにご用心。
余計なアクセサリーはできるだけ車体に常設せず、素のままで全体的に劣化させるのが一番のエイジング方法かも知れません。
余談ですが、自宅のすぐ近くに謎の撮影映えスポットが誕生。
博識な方が見ればトップ画像で直ぐに何の施設なのか気づくと思いますが、三方が壁に囲まれていて、ちょっとしたCG感のある写真が撮れます。
まあ、ぶっちゃけカントリーエレベーターなんですけど、本格稼働する秋以降はもう撮影できなくなるかも。