バラ完グラベルロードが乗れる状態になったことで、フルサスMTBとのお別れの時期が迫ってきました。
明確に時期を決めていている訳ではありませんが、乗れるのは多くてもあと数回、下手をすれば今回が最後のライドになるかも知れません。
フルサスで29er、それに加えてセミファットタイヤ対応のフレームクリアランスと、走破性に全振りしたようなヤツですが、何の因果か街乗りMTBという勿体ない立ち位置に長らく居座っていました。
最近ではこういった贅沢な活用法を「オーバーバイキング」と呼ぶそうですが、流石に最後くらいはフルサスMTBとしての本懐を遂げさせてあげたくなります。
街乗り用のグラベルタイヤのままなので、あまり無茶なコースは選べませんが、早速とある目的のために少し離れた場所にある某トレイルを目指すことに。
本当なら、あと一ヶ月早くここを訪れる予定でしたが、手の負傷や天候不順でままならず、新緑の眩しいこの時期にずれ込んでしまいました。
見た目は大変綺麗ですが、初夏は一気に草丈が伸びるので、こういった緑の多い低山はどんどん走りづらくなります。
さて、あまり話題することが無いので影が薄くなっていますが、私の本来の趣味は野生動物や野鳥の撮影です。
今でこそ、すっかり自転車趣味に傾倒しているものの、徒歩に近い目線を維持しつつ撮影の行動範囲を広げたい……こういった願望が、自転車に乗り始めた切欠でした。
今回の目的は、何を隠そう探鳥ライド。
そして、本日のターゲットとなるのがコチラのお二方。
左の「オオルリ」と右の「サンコウチョウ」です。
どちらも五月頃に東南アジアから日本に渡ってくる夏鳥ですが、オオルリの方が身近な野鳥かも知れませんね。
オオルリは日本三鳴鳥に数えられるくらい美しくさえずり、大変人気のある野鳥ですが、私の本命はオオルリではなくサンコウチョウの方。
漢字では「三光鳥」と書き、さえずりの出だしが「ツキヒーホシ」「月、日、星」と聞こえるのが、名前の由来とのこと。
初めてサンコウチョウの存在を知ったのは地元の博物館で見た剥製でしたが、「日本にもこんな奇抜な見た目の鳥が居るんだ……」そんな感想を持った覚えがあります。
実はこの二種類の野鳥は生息地が共通することが多く、オオルリが縄張りにしている場所にはサンコウチョウも現れやすいと聞き、過去にオオルリを撮影したこの場所を再び訪れることに。
特にサンコウチョウは薄暗い杉林を好み、水浴びが好きなため近くに浅い水場があることが必須だそうですが、確かにこの里山は条件にマッチしています。
まだ梅雨前なのでギリギリ許容範囲ですが、奥に進むほど草丈が伸び、羽虫やらクモやらハチやらがわんさかと。
おまけに、この先はクマの頻出地域ですし、個人的にマダニにも注意したいところ。
マダニは割と身近にいて、最近はペットを飼っている方の被害も多いと聞きます。
我ながら神経質すぎるとは思いますが、過去に靴に取り付いていたことがあったので、ちょっとした草地を走った後でも、必ずパンツの裾と靴の表面をチェックする癖がつきました。
防虫対策のため真夏でも肌の露出が多いウェアは着ませんが、ロードバイクからグラベルロードに入った方には、割と薄着な方多い気がします。
肌にフィットするピチピチウェアだと、マダニが潜り込みづらいのかも知れませんが、付着したまま自宅に持ち込んでしまう事例もあるので、薄着でトレイルを走る際は虫除けを頼りましょう。
よくあるディート成分は高濃度だと化繊を含むプラスチック製品に攻撃性があり人体にも有害なので、人にも物にも優しいイカリジン成分の入った虫除けスプレーを吹き付けておくのがオススメ。
路面は車両が入れるダブルトラックになっていて、太目のグラベルタイヤでも特に問題なく走れます。
バラ完グラベルの「KONA ROVE ST DL」でも十分に走れそうなルートですが、例えフレアしていてもドロハンで不整地はハンドリングがおぼつかず、MTBとは安定感や疲労度で大きな差を感じることになりそう。
因みに、この場所まで舗装路を自走して来ていますが、散々いじって街乗り化した筈なのに「こんなに進まなかったっけ……」とか「向風がやたらとキツく感じるぞ……」といったふうに、久々に乗ったMTBでグラベルロードとのギャップを痛感することに。
途中でマメに停車し、いつもより多めの記念撮影。
普段はあまり自転車をフレームに入れませんが、別れが近いと思うと、しっかりと記録に残しておきたくなりました。
納車から三年半、私の所有する自転車の中では新参者の方ですが、ファットバイクの後釜として購入したものの、セミファットタイヤでは力不足だった……といった不幸な過去も。
分類的にはオールマウンテンおよびトレイル系のMTBとなり、上りも下りも卒なくこなせます。
うろ覚えですが、前後に3.0インチ幅タイヤを装着できるフルサスマウンテンバイクは数えるほどしかリリースされておらず、こう見えて結構なレア車だったり。
さて、ようやく目的地に到着するも、残念ながらオオルリの気配もサンコウチョウの気配もゼロ。
オオルリは小山を丸々ひとつ縄張りにするため、毎年同じ山に飛来する傾向があるそうですが、やはり少しタイミングが遅かったみたいですね。
春先とは違い、この時期は枝葉が一気に茂ってしまうため視認性が悪く、探鳥にも撮影にも不向き。
辛うじてオオルリらしきさえずりは聞こえましたが、姿を拝むまでには至りませんでした……残念。
ただ、小一時間のんびり佇んでいられるほど穏やかな場所だったのが収穫でしたね。
折り畳み椅子を自転車に括りつけて、紅葉の時期にチェアリング目的で再訪するのも楽しそう。
残念ながら探鳥は空振りに終わりましたが、帰路でちょっと海に寄り道。
50km程しか走っていませんが、ここしばらくグラベルロード三昧だったせいか、完全に脚が鈍っていました。
別れが近づくと途端に名残惜しくなりますが、ラストランはセミファットタイヤで派手に下ってみるのも悪くないかな。