雨上がりの路上を平然と走るママチャリを見掛けると、たまに羨ましくなることがあります。
梅雨や秋雨といった長雨が続くシーズンには特にそう感じてしまい、路面が乾くのを待つのが馬鹿馬鹿しく思えることも。
とはいえ、スポーツサイクルにママチャリ並みのフルフェンダーを装備するのはハードルが高く、対応するダボ穴すら備えていないのが当たり前だったりします。
それでもマウンテンバイクやファットバイクといったオフロード車はかなり恵まれている方で、車体への取付けに趣向を凝らした製品も珍しくありません。
さて、ここで問題となるのがオンロード車の存在。
元々フェンダーの需要が低い上にまともな製品はごく少数、おまけに重量増や外観の変化を甘んじて受け入れる必要もあり、導入に乗り気じゃない人が大半です。
私の場合、ロードバイクなら不要とキッパリ割り切って考えられるのですが、迷うのがグラベルロード。
舗装路と未舗装路を行ったり来たりと彷徨い、マッドコンディションに遭遇することもしばしば。
降雨の翌日はウエットな未舗装路を避けがちで、ライドの面白味も半減です。
そんなグラベルロード乗りの悩みを知ってか知らずか、ASS SAVERS/アスセイバーから気になる製品が登場。
サドルレールに取付ける簡易フェンダーを誕生させたアスセイバーだけに、今回も期待を裏切りません。
気になる防御力は?ASS SAVERS/アスセイバー「WIN WING 2」の詳細
トップ画像で既にお披露目は済んでいるものの、ご覧の通り機能性に不安を感じるくらい割り切った作り。
フェンダーのブレード部分はタイヤ上半分の1/4を覆うに留まり、水滴がタイヤの接線方向にしか飛ばないという性質が最大限に利用されています。
製品名は「WIN WING 2」と冗談みたいなネーミングですが、リリースは2024年の秋ごろなので実際に利用されている方も少なくありません。
ロードバイク用の「WIN WING 2 ROAD」とグラベルバイク用の「WIN WING 2 GRAVEL」の二種類があり、それぞれに十種類ほどのカラーバリエーションも。
前方向への水飛沫を抑え最大限の効果を発揮させるには、ブレードの角度とタイヤとブレード間のクリアランスが重要だそうで、ブレードは地面と水平かテールアップが推奨されダウンポジションは避けて欲しいとのこと。
また、タイヤとブレード間のクリアランスは5~10mmにするのが最良で、それにより前方への水飛沫が最小限に抑えられます。
製品名が「WIN WING 2」だけに「WIN WING 1」の存在が気になって調べてみると、初代は2022年頃にリリースされていて、この時点で既に完成形です。
両者の違いはフレームに取付けるステー部分の色が違うことで、画像左の初代がグレー、画像右の2がブラック。
初代のレビューでステーの色はブラックが良かった……といった声が大きく、それが「WIN WING 2」にしっかりと反映されたようですね。
また、「WIN WING 2」にはフレーム保護ステッカーが新たに追加され、取付けによるフレームへの傷対策も強化されました。
話を「WIN WING 2」に戻しますが、上画像がロードバイク用の「WIN WING 2 ROAD」
水跳ねをガードする0.9mm厚のブレードがウィッシュボーンと呼ばれるグラスファイバー強化ポリアミド製のステーで支えられる仕組みになっていて、支柱となるステーはTPU製のストラップで車体のシートステー部分に固定されます。
タイヤクリアランスは前述した通り5~10mmが推奨され、ロードバイク用は最大で35mmのタイヤサイズに対応とのこと。
重量は64gと大変軽量ですが、価格は税込5500円とちょっとお高めでしょうか。
続いて、こちらがグラベルバイク用の「WIN WING 2 GRAVEL」
見た目はロード用とほぼ変わらないものの、最大で60mmのタイヤサイズに対応しハードテイルのMTB用としても使えそうな仕様です。
重量は72gとちょっぴり増量で、こちらも価格は税込5500円。
ロード用もグラベル用も「WIN WING 2」は工具不要での取付けが可能。
ブレードの角度調整は画像左の三つ穴の位置で行い、晴天時にブレードだけを取外して運用するといった使い方もできます。
シートステーへの固定は画像右のストラップで行い、前述したフレーム保護ステッカーも窺えますね。
因みに、ステーには結束バンドを通す小さな穴も設けられていて、フェンダー本体の盗難防止に役立てて欲しいとのこと。
最後に気になる使用感についてですが、あくまでも簡易フェンダーなのでフルフェンダーには及ばないというのが正直な評価なようです。
これに関してはアスセイバー公式が「膝から上までのライダーの背面全体を保護します」と説明していて、海外のレビューにはふくらはぎやシューズの踵部分に被弾しやすいとの書き込みも。
意外なことに見た目の頼りなさに反して、悪路でもガタついたり泥が詰まったりすることは殆ど無いそうで、ステーの剛性とブレードの軽量さがしっかりと噛み合った結果になっていました。
まとめ
フルフェンダーには及ばないという前提なものの、ASS SAVERS「WIN WING 2」は実用レベルの働きはしっかりとしてくれそうですね。
これは経験談ですが、フェンダーにはシーラントの飛沫からウェアを守ってくれる意外な効果も。
サイクルウェアにシーラントが浸透したまま乾燥すると洗濯しても簡単には落ちないので、高級ウェアに身を包んでいる方ほどパンク時の噴き出しには要注意です。
さて、記事中では意図的にはぐらかしていましたが……
リアは十分わかった、でもフロントはどうするの?
この疑問に答えなければなりません。
別にアスセイバーで統一する必要もありませんが、一応フロント用も二種類リリースされています。
フォーク用が「MUDDER MINI」
ボトムチューブ用が「SPEED MULLET REGULAR」
どちらか一方でも構いませんし、両方を組み合わせるのも手でしょうか。
良く知られている話として、フロントフェンダーには乗り手の健康を守る意味合いもあります。
ウエットコンディションで跳ね上がった水や泥が口内に入ると、土壌細菌の影響でお腹を壊してしまうことがあり、野生動物の多いトレイルでは寄生虫のリスクも。
口呼吸をしなければそれで済む話ですが、息が切れると無意識にゼイゼイやってしまいがちですからね。