前回の記事でセミファット仕様のフルサス29er用にカーボンホイールを購入したことをお伝えしました。
中華製ということで、念のため細部をチェックした後にチューブレス化の作業に着手しましたが、ここでちょっとした問題が生じます。実はこのカーボンホイール、非対称リムが使われているせいでチューブレスバルブの座りがイマイチなのです…
一度でもチューブレスレス化したことのある方ならご存知かと思いますが、チューブレスバルブはリムをバルブの根元にあるゴム製の土台とバルブナットで挟み込んで、その締め込みだけで固定されています。
この部分がいい加減だと、気密が不安定になり空気漏れやシーラント漏れの原因となる訳ですが、非対称リムはバルブ穴部分が平面ではなく斜面やアール面になっているせいで、普通にバブルナットで締め付けるだけでは固定がイマイチなんじゃ…と不安を感じてしまうのが正直なところ。
ロードバイク用の非対称リムにはバルブ穴のある円周部分を平面にして対策している製品もあるそうですが、MTB用でしかも中華製のホイールにそんな繊細な気遣いを期待してはいけません。
使用するチューブレスバルブの種類によっては問題にならない部分ですし、ラジオペンチでバルブナットを増し締めすれば、走行中に緩んでしまうことも無さそうですが、今回はこの部分にちょっとした対策を施してみたいと思います。
オーリング付きを選ぶべし!チューブレスバルブの種類について
さて、今回の課題は非対称リムに原因の五割、残りの五割はこのチューブレスバルブにあります。
チューブレスレディの先駆者であるスタンズ製なら間違いないだろうと、特に深い考えも無く44mm長のチューブレスバルブを購入したのですが、私のチューブレスバルブへの理解が不十分でした。
上画像は左から順に今回使用したスタンズ製、お次が評判の良いマックオフ製、右がシュワルベ製ですが、それぞれ微妙に仕様が異なっていて、マックオフ製にはオーリングがシュワルベ製にはリムのアール面に合わせた台座のようなパーツが付属していますね。
現在販売されいるチューブレスバルブの大半は中央のマックオフ製と同様にロックナットにオーリングが備わっているので、まさか大御所のスタンズ製に無いとは思いもしませんでした。
冒頭でも触れた通り、チューブレスバルブはバルブ根元にあるゴム製の土台『ラバーベース』がリム内部のバルブ穴に密着し、リム外側のバルブナットを締め付けることでリムに固定されます。
当然、走行中にバルブナットが緩んだり、バルブ根元を強い力でこじったりすると空気漏れを起こしますが、オーリングがあるだけでバネ座金(スプリングワッシャー)に似た緩み止め効果が期待でき、バルブ根元にも適度なクッション性が生まれたりします。
また、オーリングを間に挟むことでリムに表面に傷が付きづらく、カーボン製リムなら締め付けによるクラック防止にも少なからず寄与するでしょう。
リムの形状にも寄りますが、カーボン製の非対称リムに限らずチューブレスバルブはオーリング付きの製品を選んだ方が良いですね。
加えてリム幅の広いMTB用ホイールならラバーベースはよくある円錐型で問題ありませんが、細いロード用ホイールにはカマボコ型や台形型といった選択肢もあるので、事前にリム形状を把握して空気漏れしづらい製品を選ぶことも重要です。
チューブレスバルブを選ぶ際は、【1】リム高に対応したバルブ長、【2】リム幅や形状にマッチしたラバーベース形状、【3】オーリングや台座の有無、このあたりがポイントになるでしょうか。
因みに、スタンズ製を購入する前に高評価のマックオフ製と散々悩んだのですが、価格がネックで諦めました。こちらは後発だけに六角レンチとスパナでしっかりと増し締めできる仕組みがあり、通常よりもバルブが緩みづらく安定感があるのが魅力でしょうか。
プチ改善!チューブレスバルブを市販のオーリングで補強してみる
不安は感じますが、取り合ず普通にスタンズ製チューブレスバルブをカーボンリムに取付け開始、土台となるラバーベースを指で適度に押し付けつつ、バルブナットを手で締め付けます。
余談ですが、チューブレスバルブにも寿命があるそうで、ラバーベースが劣化して柔軟性が無くなると交換のタイミングだそうです。英式バルブの虫ゴムみたいなものでしょうか?寿命は実質2年くらいかも知れませんね。
さて、カーボンのクラックに注意を払いつつ、試しにラジオペンチで軽く増し締めしてみるとギリギリ使えそうな雰囲気です。とはいえ矢印部分の隙間が若干気になりますし、作りが一般的なチューブに付属しているバルブナットと大差がないので、このままでは振動で緩んでしまう可能性が高いです。
リムのアール面に合わせた台座の自作も考えましたが、取り合えず緩み止め・キズ防止・クラック防止の目的で市販のオーリングを取付けることにしました。
採寸によると、仏式チューブレスバルブの直径は5.5㎜、バルブナットの直径が9.7mmで、この値を参考に使えそうなオーリングを探すことになります。
最寄りのホームセンターを幾つかはしごして探し回り、ようやく見付けたのが水まわり用のオーリングでした、念のため小容量のロックタイトも購入しています。
価格は二個入りで¥100強、内径が4.8mmリングの太さは1.9mm、素材はニトリルゴムです。伸縮性のある素材なので小さめでも大丈夫ですが、欲をいえば太さは2.5㎜くらいあった方が良かったですね。
早速取付けてみると、予想通り直径が小さめでも十分に使えました。これで少しくらい強めに締め付けてもクラックの心配はありませんし、リム表面に傷が付かなくて済みます。
仕上げにバルブナットで締め付けてチューブレスバルブをしっかりと固定します。画像ではわかりづらいですが、バルブ穴付近のリム表面が緩やかに傾斜しているので、陰に隠れたオーリングの奥側が圧し潰され、手前側が隙間を埋める緩衝材のように機能しています。
念には念を入れて、ロックタイトを軽く塗布することも考えましたが、バルブナットが簡単に外せないと予備チューブを使う緊急時に困りそうなので、何とか思いとどまりました。
チューブレスはビードが外れた場合に予備チューブのお世話になることがあるので、素手で外せるのが一番ですね、ロックタイトもそうですが工具での増し締めも程々にしたほうが良さそうです。
まとめ
今回は市販のオーリングを使う簡単な方法で対処しましたが、ネット上にはシュワルベ製チューブレスバルブの台座のように、非対称リム用の台座を自作して対処している方もいらっしゃいました。
自作にはパイプ状で黒く劣化に強い素材が必要になりますが、光モール社製の品番300『ブラック丸パイプ10』がジャストフィットするらしく、素材も硬質ABS樹脂製です。
¥200くらいで買えて、寸法は外径10mm、内径6mmと仏式バルブに通せる絶妙なサイズ感、おまけに1000mm長と使い放題、これを見付けた先人には本当に頭が下がりますね、感謝、感謝。