以前にチューブレスレディのリムテープ貼り替え作業について記事にしたことがありますが、個人的にこの作業が思いのほか苦行でした。
単に私が不器用なだけなのですが、兎に角このチマチマした作業が性に合わず、例え年一回でもやりたくないのが本音でしょうか。
実はチューブレスレディ対応のホイールにはリムテープが不要な『ホールレスリム』を採用した製品があり、これを使うことで私のワガママな悩みがあっけなく解消します。
さて、微塵も逡巡せずに『財力で全てを解決してしまおう!』というダメな大人の発想から、ホールレス仕様の中華カーボンホイールに手を出した訳ですが、これがおよそ三ヶ月前のお話。
ご存知の通り2020年の前半は世界的なコロナ禍の真っただ中です。ある程度の遅れは覚悟していたとはいえ、待てど暮らせど荷物が届かない…遅延に次ぐ遅延で一時はキャンセルすることも考えましが、ようやく待望のカーボンホイールが到着しました。
新しいおもちゃに興奮気味なのは当の本人だけで、他人の購入レビューなんて大抵は退屈なものですが、チューブレスのビード上げに苦戦していたり、リムテープの貼り替えが面倒に感じたりしている方には、少しだけ参考になる情報が含まれているかも知れません。
今回はセミファット仕様のフルサス29er用に購入した、ホールレス&フックレスの中華カーボンホイールの話題にお付き合いください。
梱包ヨシ!精度ヨシ!29er用の中華カーボンホイールが無事到着
中華カーボンホイールだけに購入元は、もちろんアリエクスプレスです。
配送はシンガポールポストのEMSでしたが、コロナウイルスの影響でシンガポールから日本へのEMS配送は4月の頭から6月の中旬まで完全にストップ、全くのお手上げ状態でした。
国内の購入レビューを参考に信頼できるセラーを選び、価格は送料込みで¥56000程でしたが、シンガポールの何処かで長期保管されていた割に外箱の劣化や損傷は見られず、ひとまず胸を撫で下ろします。
以前にDTSwissのファットバイク用ホイールを購入した際は、かなりゴツい外箱でしたが、こちらは予想外にコンパクト、オマケに間違えてリムだけ注文しちゃったかも…と勘違いするくらい軽いです。
ハブのエンド幅に対して外箱のサイズがギリギリなのが気掛かりでしたが、ハブの両端はエアキャップとダンボールで二重に保護されていました。
フロント&リアホイールの梱包を解いた後は念のためメジャーで寸法を測り、ホイールが29er用で間違いないかを確認します。この手の製品は27.5インチと販売ページが共通なので油断できません。
続いて、リムに割れや過剰なバリが無いか確認し、スポークの曲がりやテンションについても確認します。
最後に車体に仮付けして、ホイールに振れや異音が無いかを確認して一通り終了ですね。
中華カーボンホイールということで、どうしても神経質にチェックしてしまいますが、不具合は全く見られず、逆に振れの無さに驚かされました。ハブの回転も滑らかですし、事前に確認の難しいラチェット音も割と静かで一安心です。
ホールレスリムが素敵!29er用カーボンホイールの細部をチェック
ホールレスリムが目当てで購入したので当たり前ですが、リムにはニップル穴が全く存在しておらず、バルブ用の穴が一箇所あるだけです。
クリーニングついでにウエスで軽く表面を拭き取りましたが、バリや段差は感じず綺麗な仕上がりですね。
因みにリム外寸は35mm、内寸は28mm、リム高は28mm、カタログ値では2.1~2.7インチのタイヤが推奨されますが、実際の使用例によるとグラベルタイヤに多く見られる40cから、セミファットタイヤの3.0インチ(75c程度)まで対応してくれるようです。
ホールレスリムであると同時にフックレスリム仕様にもなっているので、タイヤのビードを引っ掛ける『返し』がリムの両端に設けられていません。
フックレスにすることで強度が増し、カーボンホイールには特に有利に働きますが、返しがないだけに、初見だとちょっと不安になりますね…規定値以上の高圧にするとタイヤが破裂音とともにホイールから外れることもあるそうです。
最近はロード用のフックレスリムの話も聞きますが、MTB用だと3.0bar以上が危険域となり、高圧で運用する自転車には不向きな仕様でしょうか。高圧気味になるグラベルタイヤを履かせる場合は気を付けた方が良さそうですね。
如何にもカーボンといった3Kも好みでしたが、今回は現在使用しているアルミホイールの見た目に近いUDのグロッシーを選びました、癖が無くて合わせやすいのが一番です。
オールマウンテン系のホイールなのでスポーク数は32本です。すっかり失念していましたが、よく見ると扁平したエアロスポークでした。
きし麺みたいな外観に違和感ありまくりですが、低速なMTBで使ってもあまり効果は感じないでしょうね…スポーク同士の接触面積が増えるので、スポークテンション次第では異音が出やすくなるかも知れません。
フリーハブボディはもちろんSRAM XDドライバーを選びました、ハブは前後共にNOVATEC製でBOOST規格です。本当はストレートプルスポークが使えるハブが理想でしたが、それは次回にお預けですね。
記載はありませんが、どうやらリアハブは4爪の32ノッチのようです。今が18ノッチですから、微増とはいえMTBには有難い変化でしょうか。
ローターまわりは無難に6ボルト式にしました。センターロック式は取付けが簡単でハブ側が軽量になりますが、代わりにローター側が重くなる上に価格も割高です。
6ボルト式のローターは取付け時のトルク管理が少し面倒とはいえ、ローターが安価で選択肢が多かったり、チタン製ボルトで軽量化できたりなど、まだまだアドバンテージがありますからね。
ホイールを素のまま計量してみると、フロントホイールが738g、リアホイールが861g、前後で合計1599gでした。
前後で1200g台のXC用ホイールも魅力的ですが、今回は軽量ホイールが目的では無かったので1600gでも御の字でしょうか。この値でも現在のアルミホイールより500g近く軽いです。
いつもなら、旧ホイールからパーツを移植しつつ段階的にカスタマイズするところですが、何せ三ヶ月も待たされただけに、タイヤ・ローター・チューブレスバルブ・スプロケットが一足早く揃ってしまいました。
タイヤはMTB用では三指に入るほど転がりの良いContinental Race King ProTection、スプロケットは超軽量なgarbaruk/ガルバラックと少しだけマニアックな構成にしてみましたが、これでようやく指をくわえてパーツを眺める日々とおさらば出来そうです。
軽量スプロケットは効果度外視のロマン装備みたいなものですが、タイヤは初コンチネンタルだけに、耐久性や乗り味の違いが気になりますね。
まとめ
ホイールの細部を一通りチェックした後に、試しにタイヤをはめてビード上げをしてみました。
旧アルミホイールの場合は、チューブを使ってあらかじめ片側のビードを上げておいたり、ビードを丁寧にハンプに寄せてからポンピングするといった用意周到な下準備をしていましたが、今回のカーボンホイールは無造作にタイヤをはめただけで、いとも簡単にビードが上りました。
タイヤをリムにはめるのに若干苦戦しますが、今までよりもビードとリムのフィット感が強く、スローなポンピングでも隙間から空気が漏れづらくなったのが理由でしょうか。
普通のフロアポンプで、ここまで簡単にビード上げに成功するのは初めての経験ですね。
最後に一つだけ気になったのがバルブ穴です。非対称リムに特有の問題かも知れませんが、バルブ穴がリムの法面にあることで、チューブレスバルブをバルブナットで固定してもイマイチ座りが悪く、固定力に不安が残る気がしました。
ロード用ホイールでなら、リムの曲面を型取りして台座のような物を自作している方がいらっしゃいましたが、オーリングくらいは噛ませないとチューブレスバルブの固定が緩んでしまいそうな気がします…これは今後の課題になりそうですね。