ラテックス系って?今更聞けない『タイヤシーラント』の種類や特徴

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タイヤシーラントは何を使ってる?

定番のスタンズか、それとも人気のマックオフか。

意表を突いてピーティーズという線も……

何にせよ愛車をチューブレス化しているなら、少なからずお世話になっているはず。

タイヤシーラントは「ラテックス系」「非ラテックス系」の二種類に大別され、最近はラテックス系シーラントを強化した製品が主流。

機能性はメーカーに寄ってまちまちなものの、タイヤの穴を素早く塞ぐ補修能力だけでなく寿命・使用感・安全性・環境負荷といった部分に注力した製品が増えています。

さて、実際の話「ラテックス系」だの「非ラテックス系」だの言われてもピンと来ないのが正直なところ。

あまり深くは語られませんし、タイヤをパンクから守ってくれさえすれば、別に知らなくても不都合の無い情報ですからね。

とはいえ、世の中にはラテックスアレルギーなんて厄介な症状も存在し、後天性もあると聞くと他人事ではありません。

日常的にゴム製品に触れる人ほどハイリスクになると聞きますが、今回は普段はあまり意識しないタイヤシーラントの種類やその違いについて話題にしてみたいと思います。

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混ぜ物入りがオススメ?タイヤシーラントの種類あれこれ

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冒頭でタイヤシーラントは「ラテックス系」と「非ラテックス系」の二種類があると大雑把に説明しましたが、現在の状況では以下の三種類と言った方が正確でしょうか。

【1】ラテックス系
天然ゴムや合成ゴムを主成分としたシンプルなタイヤシーラントで、タイヤに空いた穴から噴き出して空気に触れることによりラテックスが凝固する仕組み。

3mm程度の穴を高速で塞いでくれる上に軽量で転がり抵抗も低い特徴がありますが、2~6ヶ月ごとの定期補充が必要で、乾燥するとタイヤ内でゴム状のカスになります。

シンプル故に初心者にも扱いやすく現在でも根強い人気、バルブから注入しても詰まりづらくセットアップが容易なのも魅力でしょうか。

トレッド面の厚いMTB用としてなら十分な機能性を発揮してくれるものの、グラベルバイクやロードバイクには力不足な印象。

また、サイドカットには効果が薄い傾向にあり、3mmを超える穴も不得手です。

【2】ラテックス系(粒子強化型)
現在主流となっているのがこちらで、ラテックス系の持つ「塞ぐ力」を強化したタイプ。

成分に含まれる繊維・結晶・微粒子が穴に引っ掛かることでラテックスの凝固を補助し、サイドカットを含む3~6mm程度の穴にも対処可能。

従来のラテックス系と比べると混ぜ物の分だけ重く、粒子が沈殿したりバルブが詰まりやすかったりするのが欠点ですが、現在進行形で様々な機能強化が図られています。

アンモニアフリーでアルミリムを腐食しない、水洗いができる、CO2カードリッジが使える、乾燥しづらく長寿命、低温環境でも使用可能。

製品によって当然違いはありますが、最近は上記のような機能がプラスされていることが多く、グラベルバイクやロードバイクに特化した製品も珍しくありません。

【3】非ラテックス系(合成樹脂・ポリマー系)
化学反応や乾燥で樹脂が粘性のあるシール層を構成することにより穴を塞ぐ仕組み。

製品によっては繊維・ケブラー・ポリマー等で物理的に穴を埋めるタイプもあり、ゴム成分となるラテックスを含まないためラテックスアレルギーの方でも安心して使用可能。

ラテックス系シーラントと比べて乾燥しづらく長寿命な傾向にあり、タイヤ内の洗浄や後処理も容易です。

興味深いことに、大きな穴よりも小さな穴を不得手とする特徴があり、速効性に劣る面も。

大きい穴なら6mm程度までしっかり対応しますが、高圧でピンホールサイズの穴を即座に塞ぐ能力はラテックス系に及びません。

また、製品によって機能差が大きいのも非ラテックス系の特徴で、一流どころの製品なら強化ラテックス系に迫る実力を発揮してくれます。

【ラテックス系シーラント】で代表的な製品

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ここからは各種シーラントで有名処の製品をご紹介。

まずはラテックス系のタイヤシーラントですが、後述する強化型の普及で随分と選択肢は減ってしまいました。

俗に言うサラサラ系のシーラントで、やっぱり有名処はスタンズの無印こと「Stan’s NoTubes ORIGINAL」でしょうか。

他にも、「Orange Seal Regular Sealant」や「Schwalbe Doc Blue」、IRCのチューブレスレディタイヤ用シーラントがありますが、牛乳みたいに真っ白なタイプはスタンズのOEMだったりします。

IRC・GIANT・ Schwalbeのシーラントが該当するそうで、本家が欠品の際にはちょっとだけ役立つ情報かも知れません。

割と似たり寄ったりなラテックス系ですが、その中でも個性的なのがEffettoMariposa/エフェットマリポサ「Caffelatex/カフェラテックス」です。

成分に発泡剤を含むことで文字通りカフェラテのように泡立つ特徴があり、しかもアルミリムを傷めないアンモニアフリー。

遠心分離によって泡立ったシーラントがタイヤ内部全体に行き渡ってくれるため、サラサラ系が苦手とするサイドウォールの損傷にも少なからず効果を発揮してくれるとのこと。

【ラテックス系シーラント・粒子強化型】で代表的な製品

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現在主流となっているのがこちら、粒子強化型のラテックス系シーラントです。

古参の「Stan’s Race Day」や「Orange Seal Endurance」はもちろん、比較的新しい「Peaty’s Holeshot Tubeless Sealant」や「Muc-Off No Puncture」など、選択肢が豊富なのでどれを使うかで悩みますが、やはり総合力に秀でたマックオフが鉄板でしょうか。

少し前のリニューアルでMTB用とロード&グラベル用の二種類に特化し、携帯に便利な80ml版が存在するのも魅力です。

他にも「Panaracer SEAL SMART EX」や「WTB TCS TUBELESS TIRE SEALANT」、「Vittoria Universal Tubeless Tyre Sealant」など、主要なタイヤメーカーが積極的にリリースしている印象。

各メーカーとも自社ブランドのタイヤに最適化された構成になっているため、悩んだらお使いのタイヤに合わせてタイヤシーラントを選ぶのも一つの手です。

また、この粒子強化型にはバブルから直接注入できない製品も含まれ、タイヤの腹からドバドバ入れる方法しか選べないことがあるので注意が必要。

最近はその問題をクリアしている製品も多く、セットアップが苦手だと自認している方は、バルブからの注入を公式に謳っているマックオフ・パナレーサー・ピーティーズ・フィニッシュラインあたりから選びましょう。

正直、どの製品も高性能化が進んでいるため穴を塞ぐ能力自体に大きな差はありませんが、水洗いに対応しているか、CO2カードリッジが使えるか、バルブから注入できるか、アンモニアフリーか、長寿命か。

こういった部分に注目して、自分好みの製品を選ぶのがオススメです。

因みに、日本国内ではスタンズ・マックオフ・ピーティーズ、これら3メーカーのユーザーが大多数とのこと。

【非ラテックス系シーラント】で代表的な製品

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前述した通り、非ラテックスシーラントは製品によって機能性の差が大きく、メーカーの力量が試される面も。

悪い意味で一番有名なのが、画像右のフィニッシュライン製で今ほどタイヤシーラントの選択肢が豊富ではなかった時期にリリースされた問題児でした。

これに懲りたのか、現在はラテックス系粒子強化型の「FiberLink Tubeless Sealant」が主力となっていて、最大8mmの穴を塞げる上にバルブからも注入できるという中々の高性能っぷりを発揮しています。

因みに、フィニッシュラインの旧製品はまだ併売されているので、間違って購入しないように注意しましょう。

非ラテックス系ではSpecialized/スペシャライズドの「TLR SEALANT MOUNTAIN AND GRAVEL」や「TLR SEALANT ROAD」

Pirelli/ピレリの「CINTURATO SmartSEAL」や「SCORPION SmartSEAL」あたりが有名処で、いずれの製品もアンモニアフリーかつラテックスフリーという安全設計。

他にもラテックス系で紹介したEffetto Mariposa/エフェットマリポサの「Vegetalex/ベジタレックス」があり、こちらは植物ベースのラテックスフリーという仕様。

市場では少数派となっている非ラテックス系ですが、寿命6ヶ月以上のイージーメンテナンスやクリーニングの容易さなど、一部の機能はラテックス系を上回っており、今後の進化に期待したいところ。

最後になりますが、ラテックスアレルギーには後天性があるので天然ゴムの製品に頻繁に触れているような方は要注意。

ラテックスアレルギーの割合は一般の人で1~6%なものの、ゴム製品に頻繁に触れる医療従事者では3~12%だそうで、思い当たる節のある方は非ラテックス系のシーラントを選びましょう。

まとめ

普段はあまり意識しないタイヤシーラントの種類や特徴について話題にしてみましたが、やはり機能面ではラテック系の万能さが目立ちますね。

【ロードバイク】低粘度で泡立ちやすく高圧にも対応できる製品

【グラベルロード】中粘度の粒子入りで高圧から低圧まで幅広く対応できる製品

【マウンテンバイク】高粘度の粒子入りで大きな穴にも対応できる製品

車種別で選ぶなら、ラテックス系・非ラテックス系を問わず上記のような性質を有したタイヤシーラントがおすすめで、オンロードもオフロードもこなすグラベルバイクには、より高い汎用性が求められる印象でしょうか。

うろ覚えですが、マックオフ製シーラントはMTB用よりも後発のロード&グラベル用の方が高性能で、高圧にも低圧にも卒なく対応してくれたはず。

最後になりますが、現時点で最もシール力が高いと評されているタイヤシーラントは「SILCA ULTIMATE SEALANT」です。

7mm超の穴を塞いだ実績あり、テストでは人気のマックオフを抑えて1位を獲得。

高圧運用のロードバイクでも効果を発揮するシーラントとして評価され、6ヶ月と長寿命な上にバルブからの注入も可能です。

個人的に興味を惹かれたのが、「SEALANT REMOVER」という専用のリムーバーが用意されている点。

フレームやホイールと言った硬質部分だけでなく、衣類やタイヤといった今まで不向きとされてきた箇所にも使用可能とのことで、チューブレス化で汚れたタイヤを何処まで綺麗に復元できるのかが気になるところ。

通常のシーラントの倍近いお値段ですが、機会があれば試してみたいものです。

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