これじゃなきゃダメなんだ……
タイヤレバーに、そんな拘りを持っている方も多いはず。
地味ながらパンク修理やタイヤ交換には欠かせない縁の下の力持ちで、使い勝手の良し悪しが作業効率を大きく左右します。
パンク修理を時短できるのはもちろんですがタイヤ交換の際にも威力を発揮し、ビードが硬い傾向にある昨今のチューブレスタイヤでは尚更でしょうか。
かくいう私も過去に苦い経験をしていて、マヴィック製のチューブレスホイールにパナレーサーの第二世代グラベルキングが絶望的にハマらなかったことがあります。
半日近く悪戦苦闘した末に、評判の良かったシュワルベ製のタイヤレバーの仕組みを参考にして、ようやく成功。
両端部分のリムとタイヤを布団用の特大洗濯バサミでクリップしてから、タイヤレバーでグイっと煽ることで、絶対無理だと思っていたビードを何とか装着できました。
作業を終えてホッとしたのも束の間。
「ライド中にパンクしたら、またコレをやるのか……」
そんな不安が頭を過ります。
一度でもホイールに取付けたタイヤはビードが少なからず伸びるので、初回ほど苦戦しないのはわかっていますが、手持ちのタイヤレバーでは手こずるのが目に見えていました。
この経験以来、携行品のタイヤレバーをシュワルベ製に買い替える予定でいたのですが、最近になって大本命になりそうな製品を見付けてしまいます。
タイヤレバー期待の星!クランクブラザーズ「Slider Tire Lever Kit」の詳細
私が興味を惹かれたのは、crankbrothers/クランクブラザーズの新作タイヤレバーこと「Slider Tire Lever Kit」。
この記事を書いてる時点では国内未発売ですが、海外では既にリリース済み。
日本国内でも近いうちに購入できるようになるそうで、お値段は税込1690円と意外に控えめ。
仕組み的にはシュワルベ製のタイヤレバーを踏襲しているものの、リムとビードを固定する「スライダー」と呼ばれるクリップ部分が独立しているのが一番の違い。
厚リム用のブラックスライダーと薄リム用のグレースライダーの二種類が付属し、カーボンおよびアルミ製のリムに対応とのこと。
パーツ点数が多いので紛失が気掛かりですが、それぞれふたつのレバーとスライダーを一体化できる構造になっていて、ツールケースへの収まり具合も上々。
タイヤレバー本体は強化ナイロン製で折れづらく、それでいてリムへの攻撃性を抑えた角の落ちた仕上がりになっています。
使用方法もシュワルベ製とほぼ同じですが、リムとビードを固定するスライダーにツマミがあるため、左右から少しずつスライドさせ、限界まで追い込んでからレバーで一気に仕上げられます。
シュワルベ製はレバーと固定クリップが一体化しているため、仕上げの煽りにレバーを1本だけしか使えませんが、この新作は2本使用することも可能。
このリムとビードの左右をクリップするという小技は本当に効果が高く、硬すぎて無理だと思っていたタイヤビードが嘘のようにハマってくれます。
因みに、ひとまとめにした際の寸法は「Slider Tire Lever Kit」が、L118mm×W21mm×D23mmで重量57g。
対して、シュワルベ製タイヤレバーが、L105mm×W26mm×D11mmで重量39g。
シュワルベ製よりも一回り大きいサイズ感なものの、ツールケースを圧迫するようなことは無さそうです。
余談ですが、硬いタイヤビードに効果的なタイヤレバーと聞いて、ふと思い出したのがコレ。
少し前にSNSで話題になった「Tyre Glider/タイヤグライダー」です。
こちらは構造上チューブの噛み込みが起こりづらいのも魅力で、どちらかといえばクリンチャーに向いた製品。
フックレスリムで使うには加工が必要だったり、硬いチューブレスタイヤでは思うように機能しなかったりと一長一短がありますが、噛み込みしやすいTPUチューブとは相性の良いタイヤレバーかも知れませんね。
使い慣れた物が一番?タイヤレバーあれこれ
ついでなので、現在私が愛用しているタイヤレバーもご紹介。
大定番のパナレーサー製、チューブレス特化のIRC製、クリンチャーに効果絶大なクランクブラザーズ製の三つです。
パナレーサー製はもはや説明不要ですね、使っている方も多いですし、これで十分という方も多いのでは?
IRC製はチューブレスタイヤ専用の製品で、タイヤの着脱時にビードを傷めづらい構造になっています。
現在、チューブレス化しているグラベルロードの携行品として使用中で、冒頭でも触れた理由から硬いビードに対応できるシュワルベ製に買い替える予定でした。
強度があり使用感も悪くありませんが、形状が少しイレギュラーなので肝心な時に使い方が思い出せないなんてことも。
割と気に入っているのが、クランクブラザーズの「Speedier Lever」です。
前述したタイヤグライダーに似た使用感で、形状は大きく異なるものの、実はこちらの方が元祖的な存在。
長さ122mmとやや大柄ですが、レバー1本でタイヤの着脱がスムーズに行え、マウンテンバイクやファットバイク用の太いタイヤと特に相性が良いですね。
以前は全てのタイヤをこれ1本で賄うほど気に入っていましたが、チューブレスタイヤには非推奨と聞いてからはファットバイク専用になりました。
チューブレスタイヤの場合、リムやビードに沿ってタイヤレバーを押し引きすると、ビードが傷みタイヤの気密を損ねてしまうことがあります。
クリンチャーなら問題はありませんし、チューブレスでも過度に気にする必要はありませんが、一般的なタイヤレバーでも多用しがちなテクニックなので、力任せに押し引きするのは控えた方が良さそう。
まとめ
クランクブラザーズの新型タイヤレバーにスポットを当てるつもりが、気が付けばただのタイヤレバー談議に……
それだけこだわりの強いツールということなんでしょうけど、取り合えず「Slider Tire Lever Kit」は100%購入することになるでしょう。
シュワルベのタイヤレバーもかなり優秀なので甲乙つけがたいですが、コンパクトなシュワルベ製はツールケースに忍ばせ、硬いビードにより効果を発揮するクランクブラザーズ製は自宅の工具箱に常駐させる。
そんな使い分けも悪くありません。