長年に渡ってファットバイクでの尻痛に悩まされている私ですが、現在は100%満足できるサドルを諦め、40km前後でギリギリ不快感を感じないくらいの『程々なサドル』に落ち着いています。
ファットバイクはロングライドに向かない自転車ですし、ましてやスピード感を楽しむような自転車でもありませんが、乗り心地が大変良く体への負担も少ないので、いつの日かファットバイクでのんびりロングライドできれば…と常々思っていました。
この40kmの壁を突破する手段として、私が最後に辿り着いたのがサイクルインナーパンツとサドルカバーの二つでしたが、一足先に試したサイクルインナーパンツは期待していた効果をイマイチ発揮してくれませんでした。
さて、そうなると残る手段はサドルカバーな訳ですが…ご存知の通り見た目が非常にカッコ悪く、スポーツ車では使うのを躊躇させるのに十分な存在感を放ちます。
私も当然この点が引っ掛かって利用をギリギリまで渋っていたのですが『ロングライドの時だけなら、むしろ使うべき』『座ってたらサドルなんて目立たないゾ』『いつでも手軽に付け外しできるよ♪』『まず、サドルカバー以前にお前がカッコ悪いだろ(笑)』と言った説得力のある心の声が聞こえたので、漸く重い腰を上げる事にしました。
今回は、一歩踏み出せばそこは天国だった…そんなサドルカバーについて話題にしてみます。
アマゾンで『おすすめ』されたサドルカバーを素直に購入してみる
普段の私なら手を出さない選択肢ですが、今回は¥1000ちょっとで買える中華ブランド製のサドルカバーを選びます。
本来は、過去に使用したコンフォートサドルで使用感の良かったSELLE ROYAL/セラロイヤル、SPORTOURER/スポーツアラー、SERFAS/サーファスのサドルカバーから選ぶ予定でしたが、今回はお試しの要素が強いため、失敗しても財布に優しく評判も上々なアマゾンおすすめの製品を素直に購入してみました。
因みに、セラロイヤル製サドルに使われているROYALGEL/ロイヤルゲルがなかなか高品質だったので、中華ブランド製で満足できないなら『SELLE ROYAL ROYALGEL シートカバー』か低反発素材でお尻にフィットする『SELLE ROYAL メモリーフォーム シートカバー』あたりが次の候補になるでしょうか。
評判上々な中華製シートカバーの細部をチェック
続いて細部を見て行きますが、実重量は277gと標準的なスポーツサドル一個分重さで、寸法は長さが30cm、幅が17cm、厚みが4cmです。
肝心要のクッション部分はゲル素材と低反発素材の二層構造になっていて、指先で押すとサドルカバー単体にも関わらず肉厚なコンフォートサドルを上回るクッション性を感じました。
裏側を見るとカバーの内側に滑り止めが施されています、サドルカバーの両サイドにはサドルに固定するためのフラップがあり、先端にあるベルクロをサドルカバー後部にクロスさせてサドルに固定する仕組みになっています。
さて、気になるサイズ感ですが手持ちの未使用サドル二種類で試してみました、どちらもコンフォートサドルでは標準的な厚みですが、上画像の黒色サドル(L271×W180mm)では使用できず、下画像の茶色サドル(L270×W145mm)ではジャストフィットと、座面幅の違いが成否を分けました。
サドルの適合寸法はL300×170mm、厚さは40mm程度とアナウンスされていますが、使えるか使えないかは座面幅と座面厚の兼ね合いに寄る事が大きいです、袋状になったサドルカバー後部や固定部のフラップにはストレッチ性があるので多少の無理は効きますが、座面の厚いコンフォート系サドルの場合は座面幅が150mm以上が危険ゾーンになるかも知れません。
上画像は茶色サドルに取付けた状態ですが、良い感じでフィットしているのが確認できますね、上から眺めると普通のコンフォートサドルに見えるくらいです。
裏面を見ると直ぐにわかりますが、固定部分がサドル後部の大部分を覆ってしまうため、サドルバッグ等のアクセサリーが使えなくなる欠点があります。
紐やドローコードで固定するタイプのサドルカバーならギリギリ併用できる物もありますが、その代償としてサドルカバーがズレやすくなるのが悩ましい所でしょうか。
サドルカバー装備で40km走ってみた結果
サドルカバーの真価を知るには40km以上の走行が理想的ですが、ちょっと体力が心許ないので走り慣れたコースをノンストップで挑んでみました。
現在使用しているサドルはWTBの『PURE V RACE』でサイズはL273×W148mmと先ほど試しに装着した茶色サドルとほぼ同じ大きさです。
もっと不格好になるかと思っていたのですが、フィット感が良くサドルカバーに遊びがないお陰で外観はギリギリ許容範囲と言った印象でしょうか。
前項で指摘した通り、サドル後部はすっぽりとサドルカバーに覆われ、サドルレールが使えなくなる作りになっています。
普段はこのサドルにはリクセン&カウルのマイクロシェルを装備しているのですが、サドルバッグ本体は当然使えないものの、ワンタッチ用のアダプターはレールに取付けたままでもサドルカバーを装着出来ました。
手軽に使えるサドルバッグが封印されてしまうのが痛いですが、少し前にこれを見越してコーナーバッグとお揃いのステムバッグを導入したので、チェーンロックなどの携帯品はこちらに収納します。
一つだけ目算が外れたのがサドルカバーの持ち運びに関してで、当初は縦に二つ折りにしてコーナーバッグに収納する予定でしたが、予想外に素材がしっかりしていてコンパクトにすることが叶いませんでした。
お尻に違和感があったら直ぐ取付け、不要になったら直ぐ取外す、そんな使い方を想定していたのですが、サドルカバーを携帯するにはもう少し工夫を凝らさないといけませんね。
さて、ファットバイクで40km強を走行してみた結果ですが、サドルカバーの効果は◎です!いつもなら疲労より先に尻痛でモチベーションが駄々下がりするのですが、今回は素直に疲労が先に来てくれました。
走行中は終始お尻に痛みを感じる事はなく、今まで試してきた数多くのサドルは一体何だったのか…と別の意味でショックを受けましたが、サドルカバーの効果がこれほど凄いとは思いも寄りませんでした。
まとめ
見た目の悪さで避けていたサドルカバーがこれほど快適だっとは予想外でした、サドルを次々と乗り換えるくらいなら少しだけ妥協してサドルカバーを頼った方が確実です。
正直、常用するにはまだまだ抵抗がありますが、ロングライド時に限定して使うならこれほど心強い存在もありません。
実際に肉厚なサドルカバーを使ってみると、土台となるサドルは相応な物で十分なのでは?といった感覚があります、サドル側には柔らかなクッション性はほぼ必要なく適度なしなりさえ備えていれば、後はサドルカバーのクッションが埋め合わせてくれる感じでしょうか。
軽量化を兼ねて、良くしなるタイオガスパイダーサドルやそのパチ物あたりと組み合わせてみるのも面白そうですね。