前回に引き続きグラベルロードの乗車姿勢に関するお話。
ピップマグネループのおかげでライド中に感じていた首や肩のコリや痛みは随分と楽になりましたが、ダメ押しとして予告していたドロップハンドルの交換をしてみます。
当初はステムを交換することで乗車姿勢の快適化を狙っていたのですが、いざステム長を測ってみると85mmとMTBとそれほど変わらない寸法であることが判明。
ステムを今よりも短く加えて角度の付いた物に交換して取り合ず様子を見てみよう……そんな目論見がいきなり外れてしまいました。
ロード系バイクだから100mm前後だろうなんて思い込んでいましたが、このグラベルロードはフレームサイズが大きいせいかステム長がMTB寄り。
これ以上短いステムに交換しても狙った効果の半分しか望めないため、潔くハンドルごと交換する流れに。
ロード系バイクということでブラケットやバーテープの扱いにひと悶着ありそうですが、今回はライズ付きドロップハンドルことSURLY「TRUCK STOP BAR」に交換して、グラベルロードのアップライト化をしてみました。
ライズ付きドロハン SURLY「TRUCK STOP BAR」の詳細
実のところ、ライズ付きのドロップハンドルに交換するにあたって、最初に目星を付けていたのはDIXNA/ディズナの「ニーザー2 ハンドル」でした。
その界隈ではかなり知られた製品で、現在も一部のサイズは品薄状態になっている人気のドロップハンドルです。
ドロハンなのにライズが64mmと本家ライザーバー顔負けな作りな上にリーチも52mmと極短。
おまけに108mmとコンパクトなドロップと64mmライズの相乗効果で、下ハンなのに下ハンとは思えない操作感が得られます。
本場米国のグラベルロード乗りの要望に応えて制作されたドロハンだそうですが、これでもかというほど乗り手に優しい仕様になっていて、乗車姿勢の快適化には鉄板ともいえる製品でしょうか。
当然私も心が動きましたが、外観が大きく変わってしまう懸念がある、そもそもライズは64mmも必要か?、補助ブレーキレバーが取付けできない恐れ、この三つが気になって購入に踏み切れませんでした。
最近はロード系バイクに補助ブレーキを使う人をあまり見掛けませんが、MTBからグラベルロードに乗り換えた私には魅力的に映ります。
フラットポジションからでも即座にブレーキ操作が可能なのは、安全面でも有利ですしね。
結構な期間悩みましたが、代替品として白羽の矢が立ったのが今回の主役「TRUCK STOP BAR」です。
定価だと13000円強と若干値が張りますが状態の良い中古品を入手、ライズ30mmと高過ぎず低過ぎずな寸法が購入の決め手になりました。
各部の寸法はクランプ径が31.8mm、リーチが78mm、ブラケット部分のCtoCが420mm、エンド部分のCtoCが475mm、フレア角が12度。
私が購入したのは最もポピュラーな幅420mmの物ですが、他にも450mm/480mmの2サイズがラインナップされています。
ライズ以外はあまり期待していなかったのですが、現在使用しているKONA ROVE ST純正ハンドルよりもリーチが10mmほど短く、ドロップもよりコンパクトだったのが嬉しい誤算。
ドロハンにはあまり詳しくありませんが、形状はアナトミックシャロ―かな?
個人的に残念だった点は、ケーブル用の窪み加工が一切施されていなかったことくらいでしょうか。
SURLY製ハンドルにつき、鉄製と思いきやアルミ製でそこそこ軽量。
実重量は336gで交換予定のKONA製ハンドルから16g程度の重量増で済みそうです。
左右レバーの再取付と久々のバーテープ巻きに苦戦するも、何とか交換完了。
ライズによる外観の変化は覚悟していましたが、思いのほか控えめで許容範囲な仕上がりに。
一番気掛かりだったサイドシルエットにも極端な変化は見られず、ライズ分の高さが加わってもサドルとの高低差に違和感は僅か。
ステム角の延長線上で組付けましたがブラケットが少し仰角気味に見えますね……この辺は折を見て微調整したいところ。
グラベルロードのアップライト化なんて称していますが、実際はグラベルロードをMTB化しているいった方が的を射た表現かも知れませんね。
乗り心地はどう変わる?SURLY「TRUCK STOP BAR」の感想
冬から春への移り変わり、ご当地は異様に暖かった冬との帳尻を合わせるためか、春にしては寒すぎる気温です。
交換した「TRUCK STOP BAR」の走行感を確認するために厚着して出走しますが、ファットバイク用のアウターのまま細身なグラベルロードに乗ると、自転車で芸をするサーカスの熊みたいにアンバランス。
交換後のコックピットまわりはこんな感じ。
ライズによりライト用のブラケットやドロッパー用のリモートレバーの取付け位置に制限が出てしまうものの、交換前と遜色ない使用感を再現できました。
ハンドルとステムを跨ぐようにマウントするステムポーチの類も一応装備可能ですが、人によってはサイコンやライトと狭いスペースを奪い合うことになるので、ライト類はダボ穴用かスルーアクスル用ライトマウントを頼るのも手でしょうか。
ステムから続く左右のフラット部分は実用長が片側30~35mmほど、ワイヤー式の補助ブレーキレバーなら取付けできそうな余裕があり、ライズ部分を握った状態からでもレバーまで指が届きそうな印象。
シマノGRXには油圧式に対応した補助ブレーキレバーがラインナップされていますが、こちらは取付けに最低38mmのスペースが必要だそうなので、使えるか否かは微妙なラインです。
通常よりも30mmライズされたフラット部分を握ってみると、思っていたよりも余裕のない感覚がありました。
ライズによる湾曲部分を避けてバーテープを短めに巻いた影響もありますが、420mmサイズのハンドルの場合でフラットに握れるスペースは成人男性の手幅よりも狭い80mmが精々。
あくまでもフラットハンドルと全く同じようには握れないとうだけの話で操作に違和感は全くありませんが、ハンドポジションをフルに使いたいならバーテープをΦ31.8mm部分との境目までしっかりと巻き、スペースを稼いであげるのが良さそうです。
フレア角が12度とグラベルロード用ドロップハンドルとしては控え目ですが、一応軽めのトレイルも走行。
私自身、下ハンを使うことは滅多にありませんがドロップがコンパクトになったせいか、以前とは比べ物にならないくらい使用感が良くなっていました。
真正面から見ると、30mmのライズと控え目な12度のフレア角がわかりやすいですね。
本格的なグラベルロードは一目でわかるほど極端なフレア角が設けられていますが、TRUCK STOP BARはトレイルにはあまり向かず、上体をリラックスさせて走り続けるツーリング志向なドロハンといった印象。
さて、舗装路、里山、農道、砂利道と50kmほどあてどなく彷徨ってみましたが……
おめでとう!
私の悩みはどうやら解消されたようです。
使い続けている「ピップマグネループ」の手助けもあるでしょうけど、今までとは明らかに疲労感に違いがありました。
首や肩に感じる負担がMTBで走っていた頃と同程度まで軽減され、走行中にコリや痛みも感じません。
たった30mmのライズですが、あるとないとでは大違い。
ドロッパーシートポストをベタ下げしようものなら、まるでママチャリのような開放感が味わえます。
余談ですが、走行中はハンドルのフラット部分よりも90度に湾曲した肩の部分に手を添わせていたのが大半でした。
ハンドルが仰角気味になっているせいか、このポジションの方がフラット部分よりも高さがあり、ブラケットまで距離も短いので、急なブレーキ操作への対応にも不安が少なかったです。
まとめ
ライズ付きドロップハンドルことSURLY「TRUCK STOP BAR」のおかげで、グラベルロードのアップライト化が無事に達成できました。
私の場合はドロッパーポストの助力もあったので30mmライズで十分に快適でしたが、より楽な姿勢でもっと長距離を走りたいなら思い切って「ニーザー2 ハンドル」を選んでも悪くないでしょう。
一度でもライズ付きドロハンで楽をしてしまうと、異形ドロハンへのハードルが一気に下がり外観なんて割とどうでもよくなってしまいます。
最後になりますが、ハンドルと同時にバーテープを極厚5mmのBIKE RIBBON「CICCIO/チッチョ」に交換しています。
クッション性が高く使用感も上々でしたが、極厚バーテープはエンドキャップまわりの処理が難しい上に見た目がもっさり風味になりがち。
今回の交換で、エンドキャップ部分の処理、巻き重ねの間隔、フィニッシュテープの位置、このあたりをことごとく失敗したので、糊つきで巻き直しの難しいCICCIOは短命に終わるかも知れません。
エンドキャップ部分はドライヤーで温めて癖付けすれば厚手でも処理しやすいと聞きますが、極厚タイプをもう一度選ぶかは微妙なところ。
3mm厚くらい、何度も巻き直しできる糊無しタイプ、素材はシリコン製。
次期バーテープには、このあたりが無難かな。