おすすめの工具は?プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ01

記事が長くなってしまったので前後編にわけましたが、今回はいよいよ本番のプレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】です。

おすすめの工具は?プレスフィットBBの取付け・取外し方法【前編】
クランクに交換に先立ち、29erのボトムブラケットをGXP用からdub用に交換。プレスフィットBBの取り外し・圧入の下準備として、必要となる工具やケミカル類を簡単に紹介します

プレスフィットBB攻略法!といえるほど大袈裟なものではありませんが、私なりに失敗しやすい部分や注意点、作業の流れについて簡単にまとめているので、ゆるく参考にしていだだければ幸いです。

躊躇なく叩け!がムズカシイ…プレスフィットBBの取外し方法

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ02

前編で既にクランクは取外し済みなので、お次はGXP対応のプレスフィットBBを取外します。

画像を見るとわかりますが、フルサスMTBはBBまわりのフレーム形状が不規則なので、リムーバーで叩き出すことなく取外しが可能な『ベアリングプーラー』を使えないのが痛いですね…BBの左右にベアリングプーラーの脚を突っ張れるような形状が求められます。

さて、しぶしぶバイクハンド製のリムーバーを使って叩き出す作業をしますが、プレスフィットBBの取外しには順序があり、SRAM系は非ドライブ側の左ワンから取外すのが基本です。因みに、シマノ系は右ワンからだったハズ。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ03

バイクハンド製のリムーバーは円筒部分の直径がΦ22mmなので、左右ワンでベアリング部分の内径が異なるGXPでもギリギリ対応してくれます。ですが、ラッパ状に開いた部分が大き過ぎるせいでスムーズに内部まで挿入できないのため、事前に手で曲げてを少しだけ開き加減をΦ30mm程度に調整しておきました。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ04

リムーバーをプレスフィットBB内部に挿入すると、ベアリングの少し奥側に溝があるので、その部分に四つに割れたリムーバーの先端が引っ掛かるようにカチッと固定します。

赤矢印の部分に溝がありますが、間違えて手前のベアリングに引っ掛けてしまわないように注意しましょう。四つに割れた先端の全てがしっかりと溝に引っ掛かっていないと、打突の際にズレたり外れたりしてしまいます。

どうしても上手く行かず打突時の衝撃で頻繁にズレたり外せたりする場合は、一旦リムーバーを取外してラッパ部分の広がり加減を再調整するか、ソケットレンチのソケットなどをリムーバーの内部に差し込んでラッパ部分が閉じないように工夫しましょう。因みに、ソケットを使う方法はPARK TOOLの公式動画で紹介されていました。

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いよいよゴムハンを使ってプレスフィットBBを叩き出します。

YouTubeの動画を見る限り、どれもすんなり外れていたので楽観していましたが、これがまたビックリするくらい外れず、こぶしサイズのゴムハンをもってしてもぴくりとも動きません。

何じゃこりゃ…と思いつつ作業を続けた末に、必死の形相でフルスイングを繰り返してようやく1mmだけ左ワンが浮き上がりました。

力めば力むほど、リムーバーの先端は溝からズレやすくなりますし、下手をすればベアリング部分にダメージを及ぼしたり、ベアリングだけを叩き出してしまうこともあり、失敗したらヤバイ…といった心理的な躊躇が一番の障害に感じます。

気休め程度ですが1mmの隙間にラスペネを吹き、しばらく待ってから作業を再開します。取外したBBに再利用の予定がないので、この時点で覚悟を決めることにしました。

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こんなに苦戦したのはカーボンハンドルを100円ショップの工具でカットしたとき以来ですが、悪戦苦闘の末にようやく左ワンを叩き出すことに成功。

見た限り左ワンは無傷ですが、作業内容の激しさを顧みると再利用する気にはなれませんね…BBにはプラ製のセンタースリーブがあるので、リムーバーでフレーム内部を傷付けてしまうことはありませんが、あれだけ激しく叩かないと外れないのは予想外でした、カーボンフレームユーザーに不評なのも納得です。

コツというほどではありませんが、リムーバーの四つに割れた先端に対して均等に力を加えようとすると上手く行かないように感じます。四つのうちどれかを大工道具のノミのようにして使い、上・下・左・右と四方向に分けて順番に叩いた方が外れやすかったですね。前編で紹介したロングタイプのタイヤレバーを流用して叩き出す手法は、意外に悪くないテクニックなのかも知れません。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ07

続いて、右ワンの取外しに移ります。一度コツを掴めば楽勝だぜ!といったようにはいかないらしく、右ワンには左ワンのような取外し用の溝が見当たりません。

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変だな…と思いリムーバーを一旦抜いて確認してみると、溝らしきものは赤矢印のベアリングの真後ろにしか見当たらず、これはSRAM製プレスフィットBBに限った仕様なのかも知れません。

この部分を強打すると、右ワンを残したままベアリングだけ外れてしまうのでは?と不安になりましたが、この部分しか利用できそうもありませんから、SRAMを信じて作業を続行します。

因みに、この時点でも薄々気付いていましたが、Φ35mmくらいの棒状の物があれば、センタースリーブの縁を直接叩いて取外せたかも知れません。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ10

さて、ベアリングだけ吹っ飛んでしまう不安と闘いながらも、何とか右ワンも取外せました。

作業難易度は左ワンとほぼ同じで、1mm浮き上がった後にこちらにもラスペネを使いました、もちろん『本当に大丈夫かコレ?』を思うくらいゴムハンでガンガン叩きまくるのも一緒です。

左右ワンを取外したあとは、交換前の下準備としてフレームのBB内部を綺麗にクリーニングしておきます。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ08

無茶苦茶苦戦しましたが、これでプレスフィットBBの取外しはひとまず完了ですね。

作業の粗っぽさの割に、取外したGXP用BBの損傷はほぼゼロでした。左右ワンの側面には殆どグリスの痕跡が見られず表面もザラついていたため、相当みっちりと圧入されていたのが伺えます。

これでは滑りが悪いので異様なまでに外れないのも頷けますが、今回のアルミフレームではなくカーボンフレームの場合では、どのような結果になるのでしょうか…少し気になるところですね。

総評として、このリムーバーを使った方法はプレスフィットBBの再利用や、メンテナンスで一時的に取外す用途には全く向いていません、その場合は前編で紹介した専用工具かベアリングプーラーを頼った方が良いでしょう。

また、私は車体を普通の駐輪状態にして作業しましたが、両輪を外してフレームを寝かせた状態で作業すると違った結果が得られたかもしれません、確証はありませんが何となくゴムハンの衝撃が逃げづらい気がしますから。

最後に一つだけいえることは、ハンマーによる打突が思った以上に激しくても、BBにはセンタースリーブがあるのでリムーバーの先端でフレームを傷付けてしまうことは皆無です。カーボンフレームでやらかすとしたら、勢い余ってハンマーでフレームを叩いてしまうことくらいでしょうか。

こちらは簡単?プレスフィットBBの取付け/圧入方法

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続いて、dub規格の新しいプレスフィットBBを取付けますが、画像左が左ワン、画像中央がセンタースリーブの付いた右ワン、画像右のリング状のパーツがBB圧入後に使用するスペーサーです。

左ワン⇒右ワン⇒クランク⇒スペーサーの順に取付け、PF92でBOOST規格の今回は右ワン側に2mmのスペーサーを一つだけ加えます。

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圧入前に左右ワンとBB内部に『ブレーキシムグリース』を塗布します。チューブを開封してみると今まで使ったことのない独特な粘度のグリスでした。

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念のため左ワンとBB内部の両方に塗布したのですが、BB内部だけで十分ですね。粘度もさることながら、フレームへの喰いつきがやたらと良く、塗料のように馴染む不思議な使い心地のグリスです。

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左ワンをBB部分に軽く宛がい、その上から圧入用の工具で固定します。

この時点で少しだけナットを回してズレないように圧を掛けますが、【1】左ワンが傾いていない【2】圧入工具がしっかりとBB中央に位置して偏りが無い、この2点は遵守しましょう。

前編で説明したように、PARK TOOLの工具には手で回せるレバーが付いているのですが、こちらの中華製は反対側のナットを16mmのスパナかモンキーレンチで固定しつつ、正面側のナットを時計回りに締め付けて圧入する必要があります。

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前述したような手違いが無ければスルスルと左ワンが圧入されます。仮に左ワンが傾いたりしているとナットを締め付ける際に強い抵抗感があり、その場合は速やかに圧入を中断し左ワンを正しい位置に付け直しましょう。

そのまま強引に圧入すると、プラ製の左ワンが変形して使い物にならなくなったり、圧入できても精度が出ていないのでクランクの回転に悪影響を及ぼします。

無事に圧入できると、塗布したグリスがむにゅっと隙間からはみ出してくるので、忘れずに拭き取りましょう。因みに、喰いつきが良すぎて拭き取るのも一苦労なグリスでした。

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ここから先の作業は消化試合みたいなものだと安心しきっていると、思わぬ落とし穴がありました。

左ワンと同じようにグリスと塗布してからセンタースリーブ付きの右ワンを挿入しようとしたところ、矢印部分の段差にセンタースリーブの先端が引っ掛かって、右ワンがBB内部に入りきらないトラブルに見舞われます。

カーボンフレームの場合、この部分はフラットになっていてBB内部は綺麗な円筒形になっていることが多いですが、アルミフレームなだけに余計な加工が施されていました。

新しいプレスフィットBBのセンタースリーブが太すぎることも原因の一つですが、これはちょっと想定外のトラブルですね…幸いセンタースリーブは柔軟性のあるプラ製なので何とか歪ませて通すことが出来ましたが、アルミ製だったらお手上げでした。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ17

右ワンも何とか仮固定までこぎ着け、ここからの作業は左ワンの時と全く同じです。注意点も同様で【1】右ワンが傾いていない【2】圧入工具がしっかりとBB中央に位置して偏りが無い、この二つを遵守しつつ圧入しましょう。

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これでプレスフィットBBの圧入は完了です。予想外のトラブルはありましたが圧入は取外しよりも遥かに簡単でした。

工具を自作する方も多いそうですが、今回使用した中華製の圧入工具は¥1500くらいと、下手をすれば自作するよりも安く上がります。

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これで本当に大丈夫なの?と不安に感じるなら、仕上げとしてクランクシャフトを仮挿入しクランクがスムーズに回転するかどうかをチェックしましょう。画像では不精してドライブ側に反ドライブ側のクランクを取付けてしまっていますが、あくまでも動作テストなのでご容赦下さい。

左右ワンのどちらかで圧入に失敗していると、精度が出ずにクランクシャフトが挿入できなかったり、クランクがスムーズに回らなかったりします。幸い今回のプレスフィットBB圧入は無事成功した模様で、クランクは淀みなく回転してくれました。

オマケで解説!SRAM dubクランクの取付け方法

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ20

序でなので、SRAMのdubクランクの取付けについても簡単に紹介してみます。クランクシャフトを差し込んで六角レンチで固定するだけの簡単な作業ですが、注意すべき点が一つだけありました。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ21

前項の最後で動作チェックをしているので、何の問題も無くクランクシャフトを挿入できますが、BB左右のベアリング部分にはお好みのグリスを塗布し、クランクシャフトにも薄くグリスを塗布しておきましょう。

クランクシャフトにはグリスを塗らない方も多いですが、SRAMのBBはクランクシャフトにグリスを塗布しないと、後述する不具合が生じる恐れがあります。

さて、クランクシャフトの挿入が済み、もう一方のクランクを固定しようとしたところ、ドライブ側に飛び出しているクランクシャフト先端に、何やら青い輪ゴムのような物が巻き付いているのを見付けます…それも二つも。

何だろコレ…と訝しむも、全く心当たりがありません。どうやら青色のオーリングのようですが、プレスフィットBBの交換作業で疲弊しまくっていた私は、あまり深く考えずに青いオーリングを取り去って、そのままクランクの取付作業を完了させてしまいました。

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作業が終了し、ようやく人心地が付いたのですが。最後の最後に登場した青いオーリングが気になってブログ用に撮影した画像を見返してみると、ようやくそれが左右のワンに備わっていたシール用のオーリングだということに気が付きます。

画像左がBBの圧入直後の物で右がクランクシャフト挿入直前の画像ですが、どうやら圧入の仕上げにクランクシャフトを仮挿入した際にグリスを塗布していなかったせいで、このオーリングが摩擦で外れてしまった模様…痛恨のミスですね。

とはいえ、このオーリングは本当にただ浅い溝にハマっているだけの物で、例えグリスを塗っていたとしても外れやすいと知っていなければミスを犯していた可能性が高いです。

恐らくBB内部に水分や埃を侵入させないための簡易的なシールですが、流石にこれは作りがデリケート過ぎるでしょSRAMさん…無造作に挿入すれば高確率で外れるでしょコレ。

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結局、取付けたクランクを外してから左右ワンに青いオーリングを付け直し、グリスを薄く塗布したクランクシャフトを慎重に挿入して作業をやり直した訳ですが、GXPのようなダストキャップが無くなるのも考え物ですね。

チェーンリングの付いたドライブ側のクランクを取付ける前に、BBに付属していた2mmのスペーサーを画像のように『SRAM dub』ロゴが見える方向にセットします。

余談ですが、BBの右ワンにはこのスペーサーがカチッとハマるように凹んだ溝が掘られていて、BBから一度外してしまうと素手では中々ハマりません。私の個体だけかも知れませんがスペーサーを再び溝に納めるには、ドライブ側クランクの締め付けで押し込んであげる必要がありました、謎ですね。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ24

ドライブ側のクランクは8mmの六角レンチで時計回りに取付けます。GXPクランクを取外したときのように、最初は六角レンチで仕上げはラチェットハンドルに六角ソケットを装着した物で増し締めしました。

因みに、旧規格のGXPクランクはドライブ側のクランクにシャフトが付いていますが、新規格のdubは反ドライブ側のクランクにシャフトが付いています。

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仕上げとして、クランクのガタを取るためにドライブ側のクランクシャフト部分を、プラハンやゴムハンで叩き、クランクとBB間の遊びを無くしておきます。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ26

最後にウェーブワッシャーの代替としてお馴染みになった、プリロード機構を調節します。

白丸部分の表示通りに時計回りにプリロード機構を回転させていくと、クランク部分の遊びが無くなりクランクをゆすっても軸方向へのガタつきが無くなります。

キツく締め過ぎるとクランクの回転が渋くなるので気持ち緩めが良いですが、好みの加減になったら2mmの六角レンチでプリロード機構をロックして終了です。

このロック部分は大変華奢にできているので、クランプの隙間が閉じるか閉じないかくらいの位置で、優しく固定しましょう。

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ここからは完全にオマケですが、カーボンクランクで軽量化した序でにペダルをCRANK BROTHERS STAMP1のスモールサイズに交換してみました。

このペダルは非金属製ですが、スピンドル部分は上位ペダルと同様、大きな踏面サイズで重量約300gと中々優秀なペダルです、何より安価なのが嬉しいですね。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ28

今回はBB&クランク、ペダルの交換で400gほど軽量化できましたが、元々使っていたアルミ製クランクが優秀過ぎて、実際に走っても軽量化の恩恵は殆ど感じませんでしたね、正に自己満足って奴でしょうか。

40kmほど試走しても、軋みや定期的にパキパキと音鳴りするといった不具合は全く出ず、これにてプレスフィットBBの交換作業は終了となります。

まとめ

思いのほか記事が長くなり、前後編に分けたプレスフィットBBの取付け・取外しでしたが、実際に作業を終えたときの正直な感想は『ケチらずに専用工具を買え!』でしょうか。

身も蓋もありませんが、プレスフィットBBの取外しだけは心臓に悪すぎて二度とやりたくないですね。BB規格に依存する専用工具は出たとこ勝負の現物合わせな側面もありますが、大抵はホームセンターで買える小物で何とか工夫できそうな気がします。

プレスフィットBBの取付け・取外し方法【後編】イメージ29

因みに、プレスフィットBBには完全に上位互換となるスレッドフィットBBなる製品が既に存在しています。

こちらも種類によっては専用工具が必要ですが、BSA用の工具と同様に取付け・取外しの両方に使えて、メンテナンス性はこちらの方が遥かに上ですね。

WISHBONEやTOKENあたりの製品が有名ですが、ワンと一体になったスリーブ同士を左右からねじ込んで固定する仕組みで、プレスフィットのように圧入時にズレて失敗するようなこともありません。

圧入式BBなのに取外しが簡単にできるのが何より嬉しいですが、現行のプレスフィットBBは案外短命に終わるかも知れませんね…スレッドフィットBBの低価格化に期待したいです。

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