ここしばらくの暖気ですっかり路面の雪は消え去り、ちょい乗り用のミニベロにもいよいよ出番が巡ってきました。
数ヶ月間も冬眠していたミニベロを一通りチェックし、特に目的地も定めずに出走。
毎年、ファットバイクからの乗り換えとなるこの時期は、違う車種とのギャップに少なからず違和感を覚えますが、今年のそれは一味違っていました。
何となく海が見たくなり、山越えルートから海岸を目指すことに。
年に数回は走っている馴染みのコースだけに、ペース配分も脚への負担加減も勝手知ったるもの。
ペースを維持しつつ山道のピークを目指して登坂すると「あれ?今日は妙に漕ぎが軽いな……」と余裕の呟きが漏れます。
いつもなら、ピーク付近で息が弾みますし、額にも薄っすら汗が滲むのですが、不思議とそんな気配が微塵もありません。
ファットバイクからミニベロへの乗り換えなので、多少は楽ができるのも確かですが、それを差し引いても腑に落ちない感覚でしょうか。
雪国でもファットバイクのお陰で完全なオフシーズンにはならず、サイクルトレーナーや三本ローラーに頼らなくても最低限の筋力や持久力が維持できていますが、それもオフ前の80%が精々。
それ故に、春先のこの時期はリハビリ的な足慣らしに充てていますが、いきなり本調子どころか、それを振り切ったようなパフォーマンスに、嬉しさよりも戸惑いが先に立ちます。
気のせい?それとも体調が良いだけ?などなど、頭に疑問符が林立するも、何となく思い当たる節がチラホラ。
そういえば、今年の冬はいつもの三倍はファットバイクに乗ったかも……。
暖冬でこれ幸いと、ファットのままロングライドにちょくちょく行ってたような……。
チューブレス化が面倒でノブ高スノータイヤと激重ブチルチューブのまま乗ってたぞ……。
未圧雪の雪道を走るのは、平地でも常時ヒルクライム状態だしなぁ……。
亀仙流なのか、はたまた小野田くん理論なのか、このマゾ行為が無自覚な脚トレとして作用していたのかも知れません。
うろ覚えですが、ロードバイクのプロかセミプロの方がオフシーズンのトレーニングを兼ねた娯楽として、ファットバイクを楽しんでいるという話を聞いたことがあります。
サイクルトレーナーや三本ローラーは、どうしてもハムスターチックになりがちですし、やはり外を走って風を感じるのは格段に気持ちが良いですからね。
さて、もっともらしい理由で繕ってみても「たまたま体調が良かっただけ……」そういった疑念が拭えず、翌日に今度はフルサス29erでミドルライドに。
れっきとしたオールマウンテン用ですが、カーボンホイール、超軽量TPUチューブ、グラベルタイヤにより街乗りMTB化され、足まわりは前後共にファットバイクの半分以下の重量。
クロスバイク並みかそれ以上の軽快さで、私の所有する自転車の中で長距離を最も負担なく走れます。
因みに、ファットバイクはハイボリュームなタイヤによる疑似サスペンション効果で「街乗り最強!」なんて称されますが、私の経験からすると街乗り化したフルサスには一歩も二歩も及ばないというのが正直な感想。
フルサス29erのタイヤは、軽量で転がりの良いグラベルタイヤ、IRC「MARBELLA/マーベラ」の29 x 2.25インチ。
パンクに悩まされたSCHWALBE「G-ONE SPEED」の後釜として選んだタイヤですが、しっかりと期待に応えてくれ、チューブレス未対応ながらもパンク歴はゼロ。
今春で3シーズン目となり、走行距離は5000kmくらいでしょうか。そろそろピラミッド型のノブが鱗状になり、交換時期が迫っているのですが、タイミング悪く品薄状態でした。
本来のグラベル用としてだけでなく街乗りMTB用としても人気が高いそうで、再入荷後はすぐにでも確保したいところ。
久々にマグラの油圧ブレーキを握ってみると、ファットバイクに組み付けたシマノSLX 7100系とはレバータッチに結構な違いを感じます。
シマノSLXよりもブレーキが効き始めるコンタクトポイントが早く、数ヶ月ぶりだと妙にカチッとした印象が。
目視でも、マグラよりシマノSLXの方がブレーキバッドのクリアランスが広く設定されているのがハッキリとわかり、こういった部分がレバータッチやコンタクトポイントの違いに影響しているのでしょう。
逆にローターがパッドに擦れる「引きずり」に悩まされている方は、油圧ブレーキをシマノ製に交換してしまうのも手です。
私も試してみるまで半信半疑でしたが、油圧ブレーキをSLXにして以来、ホイールを頻繁に着脱しても異なるホイールを使いまわしても、バッドクリアランスに余裕があるせいか、引きずりが起こりづらくなりました。
スルーアクスルのトルク管理に神経質になる必要も無くなるため、輪行や車載などで自転車のホイールを頻繁に着脱するような方には、特に嬉しい仕様かも知れませんね。
話が横道に逸れてしまいましたが、道の駅を三つはしごして70km程のミドルライド。
私はライド中に休憩や補給をゆっくり楽しめないという損な性格なので、このくらいの距離はほぼノンストップになりがち。
いつものパターンなら、復路の後半で太腿や膝に負担を感じ始めるのですが、どうやらミニベロで感じた軽快さは錯覚ではなかったようで、帰宅間近になっても疲労感が薄いままでした。
激重仕様のファットバイクで雪道やアスファルト上をガンガン走っていると、シーズン後に思わぬ脚トレ効果が得られるようです。
ファットバイク歴は七年以上にもなるのに、今までは効果を感じるほど走り込んでいなかったということなんでしょうね……
この状態が今後も維持できると良いのですが、夏前には見事に萎んでいそうな予感。