折り畳みできるハンドル。
興味をそそられる反面、自転車趣味に明るい人にとっては剣呑さを含むワードでもあります。
当の私も初めて耳にした際は「強度は十分なの?」「折れたら大怪我するんじゃ……」といった、ネガティブ思考のオンパレードでした。
とはいえ、駐輪や車載時の省スペース化や輪行時のコンパクト化には少なからず可能性を感じていて、用途を限定するなら十分に役立ってくれそうな淡い期待も。
さて、そんな危なっかしさと可能性が共存している「折り畳みハンドル」ですが、何と完成車に採用するメーカーが現れました。

正直なところ、「本当に売っちゃって大丈夫?」「即リコールなんてことにならない?」なんて、要らぬ心配をしてしまいますが、この試みを始めたのは全国の自転車店にサイクルパーツや自転車本体の製造卸販売をしているサギサカです。
●700x35Cのクロスバイク「FORCE Caroline/カロリーネ」アルミフレーム
●22~24インチのジュニアクロスバイク「AMERICAN EAGLE Fargo/ファーゴ」スチールフレーム
●27.5インチの折り畳みMTB「Coleman Cavalletta/カバレッタ」アルミフレーム
今のところラインナップは上記の3車種のみで、相性が良さそうなミニベロや小型のフォールディングバイクが含まれていないのが残念。
因みに、簡易ながらペダルにも折り畳み機能が備わっていて、どれも車幅の抑制に拘った仕様になっています。
画像の通りハンドルは全てフラットバータイプで、ライズどころかバックスイープもアップスイープも無い完全なストレート形状。
詳細な仕様は公開されていませんが、折り畳み機能によりハンドル幅を15~20cm程度にまでコンパクト化でき、通常時の1/3以下にすることが可能。

サギサカ曰く、この機能は駐輪時に特に威力を発揮してくれるそうで、自転車の出し入れがスムーズに。
隣り合う自転車同士でハンドルが干渉することがありませんし、車載時のコンパクト化にも役立ってくれます。
余談ですが、私はこのタイプの駐輪場がとにかく苦手……
サイクルラックのある駐輪場はまだ少ないため渋々こちらを使うことになりますが、ファットバイクやMTBは当然対象外。
辛うじてグラベルロードやミニベロには対応するものの、駐輪する際は車体の傾きでスポークが曲がってしまわないかと冷や冷やします。
こういった駐輪場には車体を立て掛けられる壁面が無いことも多く、街中の整った駐輪場ほどスポーツサイクルにとっては鬼門だったり。

さて、折り畳みハンドルと聞いて唐突に思い出したのがコチラの製品。
DOPPELGANGER/ドッペルギャンガー
実に懐かしい響きです。
車載や輪行時のコンパクト化でボトルネックになりがちな部分だけに、10年以上前からその需要を汲んだ製品は存在していました。
ドッペルギャンガー自体が自転車事業から撤退しているため、現在はオークションやフリマサイトでしか入手できません。
ハンドルを二つ折りに折り畳める「DHS117」はヒンジが一箇所のみというシンプルな構造につき、ヒンジが二箇所の現行品よりも強度に優れていた可能性も。
もう一方の「DHB086」はクランプ式のレバーでステムを90度回転できる仕組みを備えていて、普通のハンドルがそのまま使えるのが魅力でした。
ご存知の方も多いでしょうけど、ドッペルギャンガーはフレーム破断による裁判沙汰が発端となり、2020年に自転車事業から完全撤退。
俗に言うルック車を扱うブランドでしたが、カスタマイズ用の良いおもちゃになってくれることもあり、自転車ガチ勢からの支持も少なくありませんでした。
その後はキャンプ用品の販売にシフトしてそこそこの評価を獲得していたそうですが、そのキャンプ需要もパンデミックと共に過ぎ去り、現在はバイク用品を扱う業態に生まれ変わっています。

少し話が脇道に逸れましたが、有難いことに今でも「折り畳みハンドル」の単体購入は可能です。
ECサイトで検索すると普通に見つかり、代表的なのが上画像の2製品。
どちらも折り畳み機構による増量分でパーツ重量が500~700gと嵩張りますが、素材はスチールではなくアルミ製。
注目すべきは画像左の製品で、サギサカの完成車に採用されている折り畳みハンドルに外観が酷似しています。
正直、サギサカのHPだけでは折り畳みの仕組みが不明瞭でしたが、この類似品のレビュー動画を見たおかげで、ようやく使い方が理解できました。
ハンドルを折り畳む際は左右ツマミをスライドさせてから折り曲げ、その逆はハンドルを一直線に戻すだけ。
シンプルすぎて不安になるくらいですが、一応サギサカ版はツマミ部分にダイヤパターンの滑り止め加工が施され、【OPEN⇔CLOSE】の表示に従ってツマミを回転させると簡易ロックが働く上位グレードっぽい仕様。
構造的にも強度的にも両者に殆ど違いはありませんが、サギサカに採用されている製品の方が若干安全性が高く、こちらも普通に単体購入が可能です。
因みに、画像右の折り畳みハンドルも恐らく中華製ですが、ヒンジが一箇所な上に固定用のスレッドも備え、おまけにバックスイープありと意外に優秀だったり。

個人的に気になったのが、折り畳みハンドルでよく目にするのがUPANBIKEというブランド。
前述したサギサカ酷似の製品もUPANBIKEのもので、ドッペルギャンガーの「DHS117」に近い構造を持った製品もラインナップしています。
サギサカ似のヒンジがふたつあるタイプの折り畳みはハンドルが「B203」
上画像のヒンジがひとつでレバーでクランプする仕組みの折り畳みハンドルが「B192」
UPANBIKEは福建に本社を構える会社だそうで、「Foldable Handlebar」や「Folding Handlebar」といつたワードで調べると高確率で辿り着くことになります。
最後に私なりの総評ですが、折り畳みハンドルは使いどころが難しく、強度面に不安が残る。
これが素直な感想ですね。
ぶっちゃけ、駐輪時にハンドルを折り畳めてもスポーツサイクルにはそれほど恩恵はありませんし、役立ちそうなシュチュエーションは車載や輪行時が精々でしょうか。
ハンドル幅を一瞬で狭くできる点は確かに魅力なものの、そのためだけに重量増や強度不足を許容するには確固たる目的が必要な気がします。
タウンユースの範疇でなら過度に不安視する必要はありませんが、段差越えのフロントアップではハンドルを瞬間的に強く引きますし、立ち漕ぎでの負担は言うまでもありません。
「多少重くなっても輪行時の収まりや取り回しを改善したい」
「家族のために車載できる自転車の台数を増やしたい」
こういった動機があり、かつ無茶な使い方をしないことが、導入の条件になるでしょうか。

