修正した方が良い?バックペダリング問題とチェーンラインの話

修正した方が良い?バックペダリング問題とチェーンラインの話イメージ01

増車したファットバイクのカスタマイズが一段落し、ようやく人心地が付いたものの、数年前から悩まされ続けている「とある問題」が再浮上してきました。

この問題はロードバイクなどのオンロード車よりも、MTBやファットバイクなどのオフロード車で起こりやすく、俗に「バックペダリング問題」と呼ばれます。

オンロード車乗りの多い国内よりも、海外での方が良く知られていて「backpedaling issue」といったワードで検索することで、更に詳しく知ることができるでしょう。

バックペダリング問題は「必ず修正しなければならない!」といった性質のものではありませんし、普通にライドするだけなら特に実害はありませんが、車種によっては運用面で支障をきたすことも……

もったいぶった出だしになってしまいましたが、今回は件のバックペダリング問題とファットバイクのチェーンライン修正について話題にしてみます。

気にしないのが一番の解決策「バックペダリング問題」とは何ぞや?

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さて、肝心のバックペダリング問題を大雑把に説明すると、スプロケットを最大ギアにしたままクランクを逆回転させると、最小ギア方向に1~2枚分チェーン落ちしてしまう現象のことをいいます。

これは、昨今のフロントシングル化と11速以上の多段化の影響で表面化してきた問題で、この組合せの車種では珍しくない症状かも知れません。

『ファットバイク11速化でコンポをSRAM GXに交換』イメージ20

画像で見るとわかりやすく、クランクを逆回転させることで画像上のようにチェーンが最大ギアに乗り上げてしまい、その後は画像下のようにチェーン落ちします。

因みにミッシングリンクの取付け方向が逆になっていますが、単純に間違えただけなのでご容赦下さい。

ガイドプーリーが機能しないクランク逆回転では当たり前に起きてしまう現象では?という意見もありますが、チェーンの乗り上げが無理のあるチェーンラインに起因しているのも事実。

私の場合、実際に弊害があったのがファットバイクで、雪深い道を走るが故に最大ギアの使用頻度はそこそこ高め。

足場の悪い場所からのリスタート時にペダルの漕ぎ出し位置調整でチェーン落ち、重いファットバイクを手押しでバックさせてチェーン落ち、こういった不都合に何度か遭遇しました。

普段はあまり意識しませんが、車体を掴んで後方にバックさせるとクランクが勝手に逆回転するんですよね……最大ギアでこそありませんが、駐輪時なんかは結構やっている行為です。

意図的に最大ギアのままクランク逆回転はまずやらないと思いますが、MTBでもトレイルの激坂で後方に滑り落ちたり、狭いシングルトラックで車体を取り回したりする際は、最大ギアのままクランクを逆回転させる状況が起こるかも知れません。

仮にチェーン落ちしても、クランク順回転で復帰できますし、気づいた時点でシフト操作しておけばスプロケやリアメカをガリガリいわすこともありませんが、喉の奥に小骨が引っ掛かったままのような不快感が付き纏います。

この問題を解決するにはチェーンラインの見直しが効果的ですが、昨今のダイレクトマウント式クランクでは以前のようにワッシャーでお手軽に調整する方法が使えないのが辛いところ。

海外の方曰く「実害が無いなら解消する必要は特にない」という風潮だそうで、要は「気にしない」というのが最も手っ取り早い解決策とのこと。

神経質な方や完璧主義の方には間違いなく毒になるので、この記事を読んだ後にスプロケ最大ギアでクランク逆回転を試してみるのはやめましょう……「知らない方が幸せになれる」ってヤツです。

実車合わせがキホン!ファットバイクのチェーンラインを適正化

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さて、気にしないのが一番の解決策という身も蓋もない結論でしたが、タイミング良くチェーンリングを現状の30Tから28Tに交換する予定があり、チェーンライン適正化による効果を確かめることができます。

ダイレクトマウント式のチェーンリングはオフセット値が選べ、旧規格のMTBなら6mmオフセット、BOOST規格なら3mmオフセットとなり、任意にチェーンラインの微調整が可能。

因みに、オフセット値は3mmよりも6mmの方がチェーンリングの歯の位置がBB側に寄り、プラマイゼロの0mmオフセットや歯の位置がBBから遠ざかる+4mmオフセットも存在します。

一応、交換用のチェーンリングを決める前に、ファットバイクのチェーンラインを調べてみましたが、これが全くわからない……

辛うじてSRAM製クランクでリアエンド幅177mmの場合で66.5mm、リアエンド幅197mmの場合で76.5mmという値が確認できたくらいです。

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これは実車で調べた方が手っ取り早いのでは?と確認してみると、画像のようにかなり歪なチェーンライン。

画像の上側がトップギアにした状態のチェーンライン、下側がローギアにした際のチェーンラインで、本来あるべきチェーンラインよりも、かなり車体外側寄りなオフセット位置です。

目測でもギア板一枚分に相当する、3mm以上の修正が必要なのが分かるくらいで、クランク逆回転であっけなくチェーン落ちするのにも合点がいきますね。

ノギスで各部を測定して計算してみたところ、クランク側のフロントチェーンラインは79mm、スプロケ側のリアチェーンラインは72mm弱と7mm程度の差がありました。

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さて、何故こんな極端なチェーンラインになっているかといえば、実のところファットバイクは極太タイヤのクリアランスを確保する目的で、チェーンラインがセオリー通りになっていない場合が殆ど。

ファットバイクのチェーンラインは実際に使用するタイヤ最大幅に合わせて、赤矢印のようにタイヤの側面がチェーンに干渉しない値にする必要があるのです。

実車でクリアランス確認してみると、フレームクリアランスギリギリの極太タイヤに交換しても干渉しない余裕がありますし、チェーンリングのオフセット値は今より3mm以上増やしても全く問題無さそうです。

現在使用しているチェーンリングはRACE FACEの純正品で、うろ覚えですがオフセットは3.5~4mmくらいだったはず。

ファットバイクのチェーンリングは大抵3mmオフセットか0mmオフセットですから、旧規格とBOOST規格との共用品となるRACE FACE製は、オフセット値がなかなかイレギュラーです。

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入手のしやすさを考慮するとMTB旧規格用のオフセット6mmのチェーンリングを使うのが無難ですが、今回はGARBARUK/ガルバラックのチェーンリングをチョイス。

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価格がお手頃だったこともありますが、ガルバラックのチェーンリングは歯数によってオフセット値が変化する特徴があり、私が購入したRace Face CINCH用は28Tと30Tのオフセット値が7.4mmと、修正用としておあつらえ向きでした。

GARBARUK製に交換することで、現在よりも3mm以上BB側にチェーンラインを寄せることができます。

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チェーンリングはもちろんナローワイドで、GARBARUK製は通常よりも僅かに歯の形状が長い印象。

余談ですが、リアディレイラーをSRAM GX EAGLEに交換した際にチェーンもKMC製の12速互換品に交換したのですが、何故かRace Faceのチェーンリングにフィットしませんでした。

こちらのGARBARUK製で試してみると、注油すれば普通に使えるレベルとはいえチェーンの音鳴りが酷い上に、新品チェーンリングの塗膜が速攻で削れる始末で、本当に互換チェーンなのか疑わしいくらい。

調べてみると、SRAM純正チェーンは内寸2.4mm、KMC互換チェーンは内寸2.2mmと内リンクの内寸に違いがあるそうで、0.2mmの差が影響している模様。

SRAM純正12速チェーンは価格高騰と品不足に拍車が掛かっていますが、手に入りやすい互換チェーンは要注意かも知れません。

スプロケの歯に対しても同様なので、クランク逆回転で益々チェーン落ちしやすくなる可能性も。

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オフセット7.4mmなだけに、チェーンリングの側面は見たことが無いくらい盛り上がっていて、ちょっとだけ富士山ぽい面持ち。

購入前はシンプル過ぎて味気ないかな……と思った外観ですが、実物はそれほど悪くありません。

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チェーンライン調整とはいっても、新しいチェーンリングをポン付けするだけです。フレームとチェーンリング間のクリアランスにも問題は無く、作業は短時間で終了。

さて、フロント28T化のついでとはいえ、バックペダリング問題は解消しているのでしょうか?

恐る恐るスプロケ最大ギアでクランクを逆回転してみると……

よし!落ちない、ここまでは成功です。

続いて12速全てで動作確認し、無理なチェーンラインによるチェーンの音鳴りや隣のギアへの干渉が発生していないかを確認。

これもOK!、最大ギアでも最小ギアでも音鳴りは僅か、隣接するギアへのチェーン干渉も感じません。

チェーンリング交換のオマケ程度に考えていましたが、フロント75.6mm、リア72mmのチェーンラインでバックペダリング問題が無事解消。

チェーンラインの許容範囲は12速でプラスマイナス3mmくらいだと聞いていましたが、何とか近い値に収まってくれました。

まとめ

ライド時に意識していれば、そうそうバックペダリング問題に悩まされることはありませんが、これで深い雪道でも気兼ねなく最大50Tを使うことができます。

チェーンラインが歪なファットバイクで起こりやすい現象なので、どうしても気になる方は入手しやすい6mmオフセットのチェーンリグから試してみましょう。

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因みに、ONEUP COMPONENTS の「SWITCH」やWOLF TOOTHの「CAMO」といった、調整幅の広いパーツもリリースされているので、チェーンラインに拘りたい方は是非お試しあれ。

最後にちょっとした小技ですが、オフセットの異なるチェーンリングに交換する以外にも、ドライブ側のBBスペーサーを減らして位置調整する方法があります。

このやり方はお手軽ですが、フレームとチェーンリングが干渉しやすくなるので、大き目のチェーンリングをお使いの場合は事前にクリアランスを確認すべし。

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